先日、中学時代に合掌コンクールで歌った歌の一節がふいに脳内で流れ出しました。気になって YouTube でフル動画を視聴したところ、当時指揮をしていた友人の姿までが脳裏に蘇ってきました。いやはや、人間の記憶というのは不思議なものですね。
さて、そんなわけで今回のテーマは「指揮」です。音楽で指揮することや指揮者などを、英語で何と表現すればよいか、詳しく確認していきます。
また、記事の後半では指揮棒や指揮台など、その他の指揮関連の表現についても取り上げます。クラシック音楽に興味のある人にとっては、覚えておいて損のない表現ばかりなので、ぜひ参考にしてください。
それでは、早速始めていきましょう!
「指揮」「指揮する」は英語で何て言う?
楽団や合唱団などで行われる「指揮」は、英語だと “conducting” と言います。また、「指揮する」と動詞で表現する場合は “conduct” です。発音記号は「kάndʌkt」、カタカナだと「コンダクト」となります。
conduct は分解すると「共に(con-)導く(-duct)」という構造になっています。複数の演奏者や歌手を導くというイメージから、指揮にはピッタリの表現ですね。
Conducting seems difficult, doesn’t it?
訳)指揮って難しそうだよね。
It really is. I conducted once when I was in middle school, but I couldn’t do it well at all.
訳)本当にね。中学生のころに1回指揮したけど、全然上手くできなかったよ。
「オーケストラの指揮者」は英語で何て言う?
「指揮者」は英語で “conductor” と言います。発音記号は「kəndˈʌktɚ」、カタカナだと「コンダクター」でOKです。
「オーケストラの指揮者」と字義通りに直訳すると “conductor of an orchestra” となりますが、文脈で明らかな場合は conductor だけでも充分伝わります。
上述の通り「指揮をする」が conduct なので、conductor は「指揮をする人」が原義となります。綴りを書く際は player(選手)や singer(歌手)に引っ張られて conducter としないように注意しましょう。
My dad is a conductor.
訳)私のお父さん、指揮者なんだ。
That’s amazing, and so cool!
訳)すごい、かっこいい!
また、オーケストラの指揮者を表す表現として “maestro(マエストロ)” という言葉もしばしば使われます。これは主に芸術や音楽の専門家に対する敬称であり、指揮者以外にも作曲家や巨匠的音楽家などに対して使用されます。
maestro はもともとイタリア語由来の表現ですが、英語でもよく出てくるので、この機会にぜひ覚えておきましょう。
You can call me “Maestro’s daughter” if you want.
訳)私のことは「マエストロの娘」って呼んでくれていいよ。
Nah, I’ll pass on that…
訳)あー、遠慮しとくよ…。
「指揮をとる」は英語で何て言う?
日本語では、大勢を導いたり先頭に立ったりすることを「指揮をとる」と言いますが、これを英語にする場合は “take the lead” が適切です。単に lead(導く)と言うだけでも伝わりますが、take the lead と言うことで「率先して先頭に立つ」というニュアンスを表せるでしょう。
なお、同じ「指揮」という言葉が使われているものの、音楽の「指揮する」と大勢を導く「指揮をとる」とでは、意味が異なります。そのため、「指揮をとる」の意味で conduct は使えないので注意しましょう。
このように、同じ言葉が使われていても、英語に直すとまったく違う表現になることは多々あるので、安易に直訳しないように気をつけましょう。
I want you to conduct during the meeting.
訳)ミーティングでは君に指揮をしてもらいたいんだ。
Conduct? Why? I’ ve never acted as a conductor.
訳)指揮? なぜですか? 今まで指揮者なんてやったことないですよ。
What are you talking about?
訳)何を言っているんだ君は。
That’s my line.
訳)こっちのセリフですよ。
「指揮棒」や「指揮台」など、指揮者に関連する英語を覚えよう!
ここからは「指揮棒」や「指揮台」など、指揮に関連する英語表現についてもご紹介していきます。
少々マニアックな内容になりますが、音楽に興味のある方なら知っていて損はありません。ぜひ参考にしてください。
「指揮棒」in English
「指揮棒」は英語で “baton(バトン)” と言います。baton はもともとラテン語由来の「棒」を表す言葉で、指揮棒以外にも杖や警棒、リレーで使うバトンなどの意味もあります。
ちなみに、指揮することを日本語で「タクトを振る」と言うこともあるので、「タクト=指揮棒」と思っている人もいますが、これは誤りです。タクトはドイツ語で「音楽の拍子」を意味する “takt” から来ているため、指揮棒という意味はありません。
「指揮台」in English
指揮者が立つ舞台である「指揮台」は、英語で “podium(ポディウム)” と言います。
podium はもともと、古代ローマ時代の建築物で、競技や演説などが行われる台を表していました。そこから、現代ではスポーツ選手が立つ表彰台や、指揮者が立つ指揮台などを表すようになりました。
「譜面台」in English
指揮者の前にある「譜面台」は、英語では “music stand(ミュージック スタンド)” や “score stand(スコア スタンド)” と呼ばれます。
譜面台に載せる楽譜は、通常のものを “sheet music”、複数の楽器の楽譜が合わさったものを “score(full score)” と言い、楽譜台はそれらを「立てるもの(stand)」ということです。
なお、指揮者の方が見ている楽譜である score には、オーケストラのすべての楽器の奏でる音が記されているそうです。
「聴衆」in English
指揮者の背後にいる「聴衆」は、英語では “audience(オーディエンス)” と言います。audience に含まれる audi- は「聞く」を表す語根で、audience で「聞く人々」といった意味です。同じ語根は audio(オーディオ)にも使われています。
audience はオーケストラの聴衆以外にも、テレビの「視聴者」やイベントの「観客」など、さまざまな意味で使用されます。
まとめ
今回は「指揮」を表す英語表現について、関連表現も交えつつ詳しく確認してきました。
「指揮」は英語で “conducting” と言います。「指揮をする」と動詞で表すなら “conduct”、「指揮者」は “conductor” です。
今回ご紹介した表現を覚えておけば、英会話で音楽関係の話題になったときにきっと役立ちますよ。
それでは、これからも楽しい英語学習を。
Let’s enjoy!!