キリスト教、ユダヤ教、イスラム教の三大宗教の聖地として知られる中東の国、イスラエル。死海での「浮かぶ体験」や、嘆きの壁での祈りなど、スピリチュアルな旅の目的地としても人気です。
実はこの国、面積は日本の四国ほどしかありませんが、世界遺産を9件も保有するという、歴史の宝庫なのです。
今回ご紹介するのは、その中でも「聖書時代の遺丘群(Biblical Tels)」と呼ばれる、古代都市の跡地です。特に重要とされるのが「テル・メギド」「テル・ハツォール」「テル・ベエル・シェバ」の3つ。これらの丘は、旧約聖書の舞台となった場所であり、考古学的にも非常に重要な発見が続いています。
英語を学びながら、この不思議な古代遺跡の旅に出かけてみましょう。
聖書時代の遺丘群とは?

中東の地には、テルと呼ばれる、盛り上がった丘が点在しています。これらの丘は、かつて人々が何度も同じ場所に町や村を築き直し、その上にまた建てていくことでできたものです。つまり「歴史が積み重なった丘」なのです。
遺丘(テル)とは?
テルは、平らな土地にできた人類の文明の層とも言えるものです。一番下には紀元前3000年ごろの集落、上層には紀元前1200年ごろの神殿跡など、何千年もかけて人が住み続けた痕跡が詰まっています。
主にレバノン、シリア、トルコ東部、そしてイスラエルに集中しており、イスラエルには200以上のテルがあるとされています。
メギッド、ハツォール、ベエル・シェバの3つの遺丘は、旧約聖書にも登場する重要な場所です。
ハルマゲドンとは?
「ハルマゲドン(Armageddon)」という言葉は、映画や小説でもおなじみですが、その語源はヘブライ語の「ハル・メギド(Har Megiddo)」であり、「メギドの丘」を意味します。
新約聖書『ヨハネの黙示録』では、世界の終末に行われる最後の戦いの地として描かれ、象徴的な場所になりました。1998年公開の映画『アルマゲドン』でもこの言葉がタイトルに使われており、「終末的な危機」というイメージが世界に広まりました。
アクセス情報
テル・メギド:テルアビブから車で約1時間半。公共バスもあります。
テル・ハツォール:ガリラヤ湖の北、カリリ地方。ティベリアスからバスでアクセス可能。
テル・ベエル・シェバ:ベエル・シェバ市の南。ベエル・シェバ中央駅から車で約10分。
世界遺産としての価値
聖書時代の遺丘群-メギッド、ハツォール、ベエル・シェバ(Biblical Tels – Megiddo, Hazor, Beer Sheba)は、2005年ユネスコの世界遺産に登録されました。
訳)聖書時代の遺丘群-メギッド、ハツォール、ベエル・シェバは、2005年にユネスコの世界遺産に登録されました。
世界遺産に登録された理由
ユネスコはこれらの遺丘を「人類の都市文明の発展を示す重要な証拠」「聖書にも言及されているという点で、宗教的にも価値がある」として評価しています。長い時間をかけて積み重ねられた都市構造は、当時の社会組織、宗教、貿易、戦争のあり方までを物語っています。
Biblical Tels – Megiddo, Hazor, Beer Sheba – UNESCO World Heritage Centre
覚えておきたい英会話フレーズ集
旅や学習に役立つ英語表現をまとめておきます。
訳)聖書時代の遺丘群は、人類文明の考古学的アーカイブです。
聖書時代の遺丘群のおすすめポイントまとめ

3つの遺丘群について、紹介します。それぞれ異なる魅力を持ちながら、どれも旧約聖書とつながる深い歴史が刻まれています。
テル・メギド
北部のエズレル平原に位置するテル・メギドは、かつて古代中東の交通と交易の要衝でした。エジプト、メソポタミア、アナトリア(現在のトルコ)を結ぶ海の道に面しており、多くの文明がこの地をめぐって争いました。
この遺跡は、20以上の文明の層が重なっている典型的な「テル」で、紀元前7世紀ごろのソロモン王の時代には、防衛都市として栄えたといわれています。巨大な貯水システムや城門などの遺構が見どころです。
さらに、メギドは「ヨハネの黙示録」に登場する「ハルマゲドン(Armageddon)」の語源としても知られています。
テル・ハツォール
イスラエル北部、フーラ渓谷に広がるこの遺丘は、紀元前18世紀ごろにカナン(Canaan)最大の都市だったとされ、約15万人が暮らしていたという記録もあります。規模としては、同時代のエルサレムの10倍に達したとも言われています。
テル・ハツォールは考古学的にも重要な発見が多い遺跡で、宮殿跡や神殿、貯水システム、文字が刻まれた粘土板などが発掘されています。これらは、この都市が単なる宗教都市ではなく、政治・経済・軍事の中心地でもあったことを物語っています。
旧約聖書の「ヨシュア記」には、ヨシュアがこの町を征服したという記述があり、聖書と考古学の接点を感じられる場所です。2005年にはこの遺跡で紀元前15世紀頃の神殿の遺構が発見されました。
テル・ベエル・シェバ
南部のネゲブ砂漠にある都市遺跡で、アブラハムが住んだとされる土地。「ベエル」は「井戸」、「シェバ」は「誓い」を意味し、誓いの井戸と訳されます。
この場所には、見事に整備された街の遺構が残っています。区画された通り、行政用の建物、水利システム、住居跡など、都市計画が意識されていたことがわかります。特に地下の水利システムは、乾燥地帯での生活を可能にした高度な技術の証といえます。
まとめ:英語で世界遺産を旅する
イスラエルに点在する3つの遺丘、メギド、ハツォール、ベエル・シェバは、どれも聖書と深く関わる場所です。何千年もの歴史が重なり合った丘を歩けば、聖書の世界が立体的に見えてくるようです。
「ハルマゲドン:Armageddon」や「誓いの井戸:Well of the Oath」などの英語表現に触れることで、歴史と語学がつながる面白さも発見できます。
英語で世界遺産を旅することで、さらに世界が広がっていくでしょう。
