アメリカやカナダでは、秋になると「サンクスギビング(Thanksgiving)」という感謝祭が行われます。
この時期に英語で感謝を表す活動を取り入れることで、子どもたちは“感謝の気持ちを言葉にする力”を育てることができます。
サンクスギビングとは?

アメリカやカナダで祝われる「サンクスギビング(Thanksgiving)」は、秋の収穫と一年の恵みに感謝する行事です。
アメリカでは11月の第4木曜日、カナダでは10月の第2月曜日に祝われます。家族や友人が集まり、七面鳥(turkey)、マッシュポテト(mashed potatoes)、かぼちゃパイ(pumpkin pie)などのごちそうを囲んで、「ありがとう」を伝え合う時間を過ごします。
この行事の起源は、17世紀に移民たちが初めての収穫を祝い、ネイティブ・アメリカンに助けられたことへの感謝を表したことにあります。現在では、宗教を超えて「感謝する日」として多くの家庭で受け継がれています。
日本にもある“感謝”の文化
サンクスギビングは海外の行事ですが、日本にも「ありがとう」を伝える文化があります。秋には「収穫祭」や「勤労感謝の日」があり、自然や働く人への感謝を表す機会が多くあります。
子どもたちが行う「おいもほり」や「秋まつり」も、まさに自然の恵みに感謝する活動です。こうした行事と英語を結びつけることで、感謝の気持ちを“伝える力”を自然に育てることができます。
世界の収穫祭

サンクスギビングのように、「収穫を祝い、自然の恵みに感謝する行事」は世界中にあります。それぞれの地域の歴史や気候、宗教、農業文化によって形は違いますが、共通しているのは「実りに感謝し、人々がつながる日」であるということです。
アメリカ・カナダ:Thanksgiving(サンクスギビング)
時期:
- アメリカ:11月の第4木曜日
- カナダ:10月の第2月曜日
特徴:
もともとは、17世紀に移住してきたイギリスのピルグリムたちが、最初の収穫を祝ってネイティブ・アメリカンと食事を共にしたのが始まりです。
家族が集まり、七面鳥(turkey)・クランベリーソース・かぼちゃパイなどの伝統料理を食べながら「感謝」を分かち合います。
近年では、「感謝を行動で示す」文化も根づき、ボランティアや寄付活動を行う家庭も多いです。
日本:収穫祭・新嘗祭(にいなめさい)
時期: 11月23日(勤労感謝の日の起源)
特徴:
日本でも古くから、稲の収穫を神に感謝する祭りが行われてきました。
「新嘗祭」は、天皇がその年の新米を神にささげて感謝する行事で、農耕文化の中心的な儀式です。
地域ごとにも秋祭りが開かれ、神輿(みこし)や太鼓、踊りなどでにぎわいます。
現代の保育園や学校では「収穫感謝祭」や「おいもほり」などとして、自然の恵みに感謝する活動が行われています。
中国:中秋節(ちゅうしゅうせつ)
時期: 旧暦8月15日(9月ごろ)
特徴:
秋の満月を祝い、家族の団らんと豊作に感謝する伝統行事です。
まんまるの月は「家族のつながり」を象徴し、月餅(ムーンケーキ)を食べながら月を眺める風習があります。
中国だけでなく、台湾・ベトナムなどアジア各地で祝われる広域的な秋の行事です。
インド:ポンガル祭(Pongal Festival)
時期: 1月中旬(南インド・タミル地方の収穫期)
特徴:
ヒンドゥー教の太陽神スーリヤに感謝をささげるお祭りです。
「ポンガル」という米と牛乳、砂糖で作る甘いおかゆを神に供え、豊作を祝います。
家や牛を飾り、家族で踊りや音楽を楽しむ4日間のお祭りは、インドの収穫感謝の象徴です。
イギリス:Harvest Festival(ハーベスト・フェスティバル)
時期: 9月下旬~10月初旬
特徴:
古代から続く収穫感謝の伝統がキリスト教と結びつき、教会で「Harvest Thanksgiving」として祝われます。
農作物や果物を飾って神に感謝し、集めた食べ物を貧しい人々に寄付する文化があります。
学校でも子どもたちが果物や野菜を持ち寄り、「Harvest songs(収穫の歌)」を歌うなど、教育行事としても親しまれています。
ドイツ:Erntedankfest(エルンテダンクフェスト)
時期: 9月末〜10月初旬
特徴:
「Ernte=収穫」「Dank=感謝」「Fest=祭り」という名のとおり、収穫を感謝する祭りです。
教会での礼拝のほか、村ごとに音楽・パレード・ダンスなどが行われます。
収穫物で飾られた「感謝のかご(Erntekorb)」や「穀物の冠(Erntekrone)」が象徴的です。
宗教色と地域の伝統が融合した、ヨーロッパらしいお祭りです。
ガーナ(アフリカ):ホモウォ祭(Homowo Festival)
時期: 8月ごろ
特徴:
「Homowo」とは「飢えを笑う」という意味で、昔の飢饉を乗り越えたことを祝うお祭りです。
人々が太鼓を打ち鳴らし、踊り、料理を分け合って豊作を祝います。
家族や地域のつながりを強めるとともに、過去の困難に感謝する精神が根底にあります。
韓国:秋夕(チュソク)
時期: 旧暦8月15日(中秋節と同じ日)
特徴:
韓国では家族が集まり、祖先に感謝をささげ、秋の収穫を祝います。
「ソンピョン(松餅)」というもち米の団子を作り、親族の健康や幸せを祈ります。
この日は里帰りラッシュが起こるほど、家族の絆を大切にする行事です。
子どもにもできる英語の感謝表現
感謝を伝える英語は、どれも短くて覚えやすいものばかりです。小さな子でも、気持ちを込めて言うことで英語がぐっと身近になります。
- Thank you. (ありがとう)
- Thank you for helping me. (手伝ってくれてありがとう)
- Thank you for the food. (ごはんをありがとう)
- I’m thankful for my friends. (友だちに感謝しています)
- I’m happy to be with you. (一緒にいられてうれしいです)
子どもたちと一緒に「誰に」「何に」ありがとうを伝えたいかを話し合うと、より気持ちがこもります。
たとえば、
- “Thank you, Mom!” (お母さんありがとう)
- “Thank you, nature!” (自然にありがとう)
- “Thank you, friends!” (友だちにありがとう)
といったように、身近な存在に感謝を向けることで、英語が“こころの表現”になります。
感謝を伝えるアクティビティのアイデア

英語での「ありがとう」をただ覚えるだけでなく、体験の中で使うことが大切です。
Thank You Cardを作ろう
紙に「Thank you for ~」と書き、絵を添えてカードを作ります。送りたい相手を考えることで、思いやりの気持ちを育てられます。
“Thank You Tree”を作ろう
紙の木を作り、葉っぱの形のカードに感謝の言葉を書いて貼り付けます。
子どもたちが「何にありがとうを感じたか」を共有しながら飾ると、クラス全体が温かい雰囲気になります。
感謝の歌をうたおう
リズムに乗せて英語の感謝表現を楽しむことで、自然と表現が身につきます。
おすすめは「Thank You Song for Kids」など、感謝をテーマにしたシンプルな英語ソングです。
絵本で感じる“ありがとう”
絵本を通して「感謝」を学ぶのもおすすめです。
“Thanks for Thanksgiving”(作者:Julie Markes)
家族や自然、日常の小さな幸せに「ありがとう」を見つける内容で、サンクスギビングの雰囲気をやさしく伝えてくれます。
“The Thankful Book”(作者:Todd Parr)
カラフルなイラストとともに、どんなことにも感謝できる心を育てる絵本です。
多文化理解とつながる「ありがとう」

感謝祭をきっかけに英語を学ぶことは、単なる言葉の学習ではなく、文化の理解にもつながります。
アメリカの家庭では、サンクスギビングの日に困っている人々に食事を届けたり、ボランティア活動をする人も多くいます。
「ありがとう」は言葉だけでなく、行動で伝えることの大切さを学べる行事でもあります。
日本でも、英語で感謝を伝える体験を通して、思いやりや協力の心を育て、世界の人々と気持ちを分かち合う力を伸ばすことができます。
まとめ
感謝の言葉は、どの国でも人と人をつなぐ大切な言葉です。
秋のサンクスギビングの時期に、子どもたちが英語で“Thank you”を伝える活動を取り入れることで、言葉の力と心の温かさを育てることができます。
「ありがとう」を英語で言う体験が、子どもたちにとって“世界とつながる第一歩”になるかもしれません。
