世界にはいろんな素晴らしい教育法がありますが、実は日本にも、日本人に合わせたとても良い教育法が研究され、全国各地で実践されています。

「聞いたことはあるけど、どんなことをするのかは知らない」方が多いかもしれません。

そんな私たちの周りの日本の教育法を紹介いたします!

日本で生まれた教育法

日本で生まれた教育法には、有名なものに次の3つがあります。

  • ヨコミネ式教育法
  • 七田式教育法
  • 石井式教育法

それでは、それぞれの教育法を見てみましょう。

ヨコミネ式教育法

ヨコミネ式教育法

ヨコミネ式教育法は通称「YYプロジェクト」とも呼ばれています。

この教育法を提唱したのが「横峯吉文(1951年生まれ)」で、あの女子プロゴルファー、「横峯さくら」のお父様でもあります。

「心の力・学ぶ力・体の力」をつけさせ、子どもはすべて天才であるという理念の下で卒園までに園児全員が逆立ちで歩く、5歳児で漢字の読み書きができる、などのユニークな教育法が話題になっています。

1.ヨコミネ式のねらい

ヨコミネ式教育法の最終的なターゲットは「子供の自立」で、「自ら考え、自ら判断し、自ら行動し実践すること」だと説いています。

子どもの才能を開花させ、「読み・書き・計算・体操・音楽」を通して「学ぶ力・体の力・心の力」を育てることで、子どもの可能性を最大限に引き出すことが目的になっています。

幼児期から「自学自習」の訓練をして、「独学」が可能な子供になっていくとあります。

2.ヨコミネ式の特徴

ヨコミネ式教育法では、まず「子供のやる気を引き出す」ことを重視しています。

これには、「4つのスイッチ」というテクニックを使い、やる気を引き出すことが出来ると言います。

4つのスイッチ

①子どもは競争が好きである
「○○ちゃんに負けたくない!」という競争心は、子どもは自然に持っています。そんな「競争心」を刺激して、やる気を起こさせます。

②子どもは真似が好きである
自分よりもよくできる子供を見ることで、「自分でもやってみたい」という向上心が出てきます。

③子どもは現時点よりも少し難しいことに挑戦したくなる
子どもは一度できるようになると、すぐに飽きてもう少し違うことにトライしたくなりますが、かといって急に難しいことをやらされると、モチベーションが下がってしまいます。ちょっとだけ難しい課題を、一人一人のペースに合わせて与えていくことで子供の成長をサポートしていきます。

④子どもは認められるとうれしい
大人でも褒められたり、認められるとうれしいものです。子ども自身が「できた」「努力が実った」という成功を喜ぶ感情を積み重ね、自信や達成感を生み出させます。このような子供の「やる気スイッチ」を押していくことで、子どもがぐんぐんと意欲を出し、いろんな可能性を伸ばしていくのがヨコミネ式の大きな特徴です。

<ヨコミネ式の具体的な指導・学習法>

*学ぶ力
テストでいい点を取る、というのではなく「生きるために必要な知識を自ら学ぶようになる」ことを目標とし、「読み・書き・計算」の練習をします。

*体の力
子どもの運動神経は、6歳をピークに大きく成長し発達するとされています。そこでこの時期に、泳ぐ力・走る力・柔軟性・体操といった体の力を育てていきます。

*心の力
子ども自身がなにか問題にぶつかったり、トラブルにあっても自分で解決していけるような強い「心の力」が育つように、必要以上に親や周りの大人が甘やかせず、手を貸しすぎず、できるだけ自分で経験をしていくように指導をします。

3. ヨコミネ式教育法の効果

例を挙げますと、

  • 毎朝15~20分程、かけっこや競争をします。後ろ走りや横走りなど、いろんな走り方があり、敏捷性がついてきます。
  • 毎日のストレッチにより、ブリッジ・側転、逆立ち歩きが出来るようになります。
  • 年長児になると跳び箱を8~9段飛ぶことが出来ます。
  • 毎日20分の本読みを行い、卒園時には小学1年生の教科書を不自由なく読み、理解をします。
  • 簡単な足し算や引き算が出来ます。
  • 3歳から始める書き取りの練習で、カタカナやひらがなを書くことが出来るようになります。
  • 音を聞き分ける訓練を重ね、絶対音感がついてきます。また楽譜も読めるようになります。

このような大きな成果が出ているようです。

4.ヨコミネ教育法のデメリット

  • 自由に遊ぶ時間が少ない
  • 子どもが頑張ろうとするがゆえに、頑張りすぎてけがをする心配がある
  • 子どもがやりたくない活動もやらされる

などを懸念する声もあるようです。

七田式教育法

七田式教育法

七田式教育法は、七田眞(しちだ まこと 1929-2009)が1960年ごろ、島根県に開いた塾「児童教育研究所」から生まれた幼児教育法です

特に「右脳の力を引き出す」ことを目的にしたもので以下のようなねらいがあります。

1.七田式教育のねらい

創始者の七田氏によりますと、「これからの教育で大切なのは、心の教育、感性の教育、自分を最大限に生かして人の役に立つことが出来る魂の教育が必要」であるとともに、知育・徳育・体育・食育をベースにした全人格的教育を目指しており、右脳教育に特化し、右脳と左脳のバランスをよくする、と唱えられいます。

そのための一番大切なことは、「愛、信頼、厳しさ」であり、愛情をかけることが右脳を育て、子どもの可能性を引き出すということを目指しています。

2.七田式の特徴

七田式教育の特徴は人間が本来持っている「右脳」の優れた能力に働きかけるためにカードフラッシュ、イメージトレーニング、記憶法などの手法を用い、それに加えて、読み書き、計算、プリント学習などの「左脳」に働きかける活動も取り入れて、知識や能力の定着を図ります。

また、「認めて愛して育てる」という大きな教育理念を浸透させるために親への子育て相談やサポートも実施しています。

3.七田式の具体的な指導・学習法

七田式は子供の年齢を細かく分けたプログラムが用意されています。

完全個別にカリキュラムを作成し、3か月に一度「七田能力検定」を行って、子どもの八田素や成長を確認します。

指導例

指導は七田チャイルドアカデミー認定講師が担当し、学年ごとにクラス編成があります。

例を挙げると、

0~1歳児は母親や保護者に抱っこされ、スキンシップや抱きしめなどの皮膚刺激を通してたっぷりと愛情を受け取ります。フラッシュカードなどで、絵やひらがななどを高速でみせるなどすることで、脳を活性化させ、よく出来たら褒めてあげることで、子どもは自己を認め、レッスンを好きになります。

2~3歳になると、動物になりきる、海やプールで泳ぐなどをイメージして体を動かすなどの訓練をします。また、「リンク機能」といって、隣り合った二つ以上の物をつなげてお話を作るという作業で単語をイメージで覚えるというトレーニングもあります。

その他、七田式そろばんや、プリント学習、1000コマ暗記、など成長に従ってユニークな手法を使っています。

これらは英語学習にも取り入れられているようです。

4.七田式の効果

このような手法の七田式教育法は、どのような効果があるのでしょうか?

  • 子どもの興味のあること、得意なことがわかる。
  • いろいろな面での才能が芽生えた。
  • しつけがしやすく、心が育つ記憶力が伸びた。
  • 集中力が付き、暗記力がアップした。

などの効果があるということです。

5.七田式のデメリット

七田式のデメリットはどんなものでしょうか?

  • 自宅でのワークの量が多い・
  • 親の競争がある。
  • 教材費が高い。

などの声がありました。

石井式教育法

石井式教育法

石井式教育法は、石井勲(いしいいさお 1919-2004)が、明治時代に澤柳政太郎(やなぎさわまさたろう 1865-1927)によって唱えられていた「読み学習を先行させてから書く指導をするほうが効果がある」という法則を継承し、作られた「漢字教育法」になります。

その後研究が進み、現在は脳の体感「脳幹」=思考力・読解力表現力を身につけて、子どもが本来持つ、天才的潜在能力を引き出すという方法を実践しています。

1.石井式の特徴

  • ゲームや絵本を読んだりして遊びながら事前に言葉を覚え集中力や記憶力を伸ばします。
  • 漢字かな交じり絵本」を使って、リズム感のある美しい日本語を聞きます。
  • 毎日繰り返し読む読解力や思考力を育てます。
  • 本物の美術作品で芸術に触れ、子どもの豊かな情操や感覚を育みます。

などの特徴があります。

2.石井式教育法の具体的指導・学習法

「漢字かな交じり絵本」は、子ども達が興味を持っている日本昔話や伝統的な海外の名作などを絵本にしたもので、毎日繰り返し読みます。

また言葉カード、ことわざ・俳句かるた、百人一首、国語読本などを、ゲームや遊びをなどを交えながら楽しく行います。

3.石井式の効果

  • 言語能力が高くなる。
  • 集中力が高くなり、短時間でも集中して行動する能力がつく。
  • 読解力や思考力が高くなり、自分で進んで学習するようになる。
  • 小学校1年でも高学年レベルの本を読めるようになる。

などの効果があります。

4.石井式のデメリット

  • 勉強に時間を取られすぎる
  • 指導者によって、単調な暗記になってしまうことがある。

などがデメリットだという声があります。

まとめ

海外の教育法を調べたうえで、日本教育法を見てみると、どことなく「訓練」をすることが強調されているような印象を受けました。

「子供の可能性を引き出す」という点はみな共通しているのだと思いますが、子育ては「○○したらこうなる」という絶対的な保証はなく、子どもの先天的な才能、周りの環境、それを継続できるかという子ども自身のモチベーションだったりと、いろんな要素が重なって変化していくものだと思います。

○○教育法が絶対よい!といえず、それぞれにメリット・デメリットがあるので、子どもの心や身体の成長を見守りながら、一緒に学んでいけたらいいのではないか、と私は思います。