「日本語もまだゆっくりなのに、英語を聞かせて大丈夫?」と不安になる保護者は少なくありません。言葉の発達がゆっくりでも、英語に触れること自体が原因で日本語まで遅れるわけではありません。大切なのは、英語を一方的に覚えさせるのではなく、その子が安心して言葉を受け取れる形で取り入れることです。
バイリンガル保育の現場でも、「二言語にすると混乱しませんか」という相談を受けてきました。けれど、英語に反応していないように見えた子が歌に合わせて体を動かしたり、後になって聞いた表現を口にしたりすることがあります。
この記事の3行まとめ(AI要約)
- 子どもが見ているものに短い英語を添える。花やトラックを指さした場面で一言添えるパラレルトークが、言葉の受け取りを助けます。
- 0歳〜6歳まで年齢帯ごとに英語の関わり方を変える。0歳〜1歳半は動作に短く添え、3歳〜4歳はごっこ遊びで役を分けてやり取りを増やします。
- 二言語自体は日本語の遅れの原因ではない。米国小児科学会の見解を踏まえつつ、心配なときは小児科や発達相談窓口に相談できます。
言葉がゆっくりな子に英語を聞かせても大丈夫?

言葉が出る時期や増え方には個人差があります。知っている言葉があっても、安心できる相手や場面でなければ口にしない子もいます。
そのような時期は、単語を言わせるより、子どもが見ているものに短い英語を添える方法が合います。花を指さしたときや、トラックを見つけたときに、その場で一言添えます。
きれいなお花を見つけたね
見て、大きなトラックが来たよ
パラレルトーク(Parallel talk)とは、子どもが見ているものやしていることを、大人がそばで実況するように言葉にする方法です。おやつを食べながら“It’s crunchy.”(サクサクしているね)と添えるだけでも、味や音と英語が結びつきます。
「英語でなんて言うの?」と答えを求めすぎない
言葉がゆっくりな子にとって、「これ、英語でなんて言うの?」という質問は負担になることがあります。答えが返ってこないときは、子どもの気持ちを代わりに言葉にします。
もっと遊びたいんだよね
英語で答えなくても、うなずく、目を向ける、指をさすといった反応があれば、やり取りは続いています。
保育の中でも、言葉を繰り返すよう求められると顔をそらすのに、好きな遊びについて話すとよく反応する子がいました。声に出すことだけを目標にせず、「気持ちが通じた」という経験を重ねることが、次の言葉につながる場合があります。
二言語で日本語が遅れることはある?
複数の言語に触れること自体が、子どもの言葉の遅れを引き起こすわけではないという見方が一般的です。米国小児科学会(AAP)の保護者向け情報でも、乳幼児が複数の言語を使うことは、コミュニケーション発達の遅れの原因にはならないと説明されています。
ただし、知っている単語が日本語と英語に分かれていると、片方の言語だけでは語彙が少なく見えることがあります。概念語彙(Conceptual vocabulary)とは、二つの言語で知っている言葉を、同じ意味の重複を除いて数える考え方です。“dog”と「犬」の両方を知っている場合は、一つの概念として捉えます。
「ワンワンいた」「Dogいた」のように、二つの言語を混ぜることもあります。コードスイッチングとは、会話の中で言語を切り替えたり混ぜたりすることです。混乱していると決めつけず、自然な英語で受け止めます。
犬を見つけたね
日本語と英語の両方で、言葉の理解や人とのやり取りに心配がある場合は、二言語だからと様子を見続ける必要はありません。かかりつけの小児科、自治体の乳幼児健診、保健センター、地域の発達相談窓口に相談できます。
年齢に合わせて英語をどう取り入れる?

0歳〜1歳半頃:音や表情を一緒に楽しむ
喃語(なんご)から意味のある一語が少しずつ出てくる時期です。名前を呼ぶと顔を向ける、指さしをするなどの姿が見られますが、時期には個人差があります。
英語は、毎日の動作に短く添えます。抱き上げるときやくすぐるときに声をかければ、動きと意味が結びつきます。
よいしょ、抱っこしようね
こちょこちょ
歌にも表情や動作を添えると楽しみやすくなります。
1歳半〜3歳頃:一語や指さしを会話につなげる
知っている言葉が増え、「ワンワン、いた」のような二語の組み合わせが見られる時期です。「自分で」「イヤ」と意思を強く表すようにもなります。
青と赤、どちらの靴下がいい?
このように選択肢を示せば、声が出なくても指さしで答えられます。“Blue.”と返ってきたら、“You chose the blue socks.”と自然な文にして返します。
リキャストとは、子どもの言いたいことを否定せず、大人が自然な文に整えて返す方法です。言い直しを求めないため、会話を楽しみながら自然な表現を伝えられます。
3歳〜4歳頃:ごっこ遊びでやり取りを増やす
自分の経験を話したり、「なぜ?」と質問したりする子が増える時期です。お店屋さんごっこで、子どもと役を分けて言葉をやり取りします。
お茶はいかが?
子どもが「ジュースがいい」と日本語で答えたら、“Juice? Here you are.”と会話を続けます。英語だけで答えさせるより、役になりきって楽しめる形が向いています。
4歳〜6歳頃:好きな遊びを英語につなげる
「間違えたくない」「恥ずかしい」という気持ちから、英語を知っていても黙る子がいます。そんなときは、好きな遊びの中で英語を使います。
マインクラフト(Minecraft)が好きな子なら、建物や道具の話題から英語につなげられます。
かっこいい建物だね。何でできているの?
日本語で返ってきても、“Exactly.”や“You’re right.”と受け止めれば、好きなことを英語で共有できます。恥ずかしさが理由で黙ってしまう場合の関わり方は、恥ずかしがり屋さんのための英語と距離の縮め方でも紹介しています。
言葉が少ない子でもオンライン英会話を受けられる?
言葉が少ない子も、最初から文章で答える必要はありません。Kimini英会話のレッスンでは、講師が教材のイラストを指しながら“What’s this?”と尋ね、答えが出ないときはゆっくり言い直したり、“A dog or a cat?”と選択肢を示したりします。
レッスンで心に残ったのは、最初は保護者の顔ばかり見ていた子が、講師のまねをして小さな声で“Cat.”と言えた場面です。講師が“Yes, it’s a cat.”と返して次の画面へ進むと、子どもはその後、画面を見る時間が増えました。自分の一言でレッスンが動き、「先生に伝わった」と感じられたのだと思います。
マンツーマンなら、ほかの子の答える速さを気にせず、指さしや一語から参加できます。保護者は答えを先回りせず、困ったときだけ短く支えると、講師とのやり取りが生まれやすくなります。
まとめ
言葉の発達がゆっくりでも、英語に触れること自体が原因で日本語が遅れるわけではありません。日本語と英語を混ぜる、一語だけで答える、しばらく聞いているといった姿も、その子が言葉を受け取り、少しずつ使っていく過程で見られます。
家庭では完璧なバイリンガルを目標にせず、朝の“Good morning.”や好きな遊びの中の短い一言から始められます。Kimini英会話も、講師の言葉を聞く、絵を指す、一語で答える段階から利用でき、その子なりのペースで「伝わった」という経験を重ねられます。
FAQ:よくある質問
二言語だと言葉が遅れますか?
二言語に触れること自体が、言葉の遅れの原因になるわけではありません。言葉の増え方には個人差があり、語彙が二つの言語に分かれるため、片方だけを見ると少なく感じる場合があります。
日本語と英語が混ざるのは問題ですか?
問題ありません。子どもが会話の中で二つの言語を切り替えたり、混ぜたりすることはあります。伝えたい内容を受け止め、大人が自然な日本語や英語にして返します。
言葉が出るまで英語は待った方がいいですか?
待つ必要はありません。歌や絵本を楽しむ、生活の動作に短い英語を添えるなど、返事を求めない方法で始められます。
英語で話しかけても日本語で返事をします。続けて大丈夫ですか?
続けて大丈夫です。問いかけに合った日本語が返ってくる場合は、英語の大意を理解できているサインです。英語で言い直すよう求めず、会話を続けます。
どのような場合に相談した方がいいですか?
日本語と英語の両方で、言葉の理解や人とのやり取りに心配がある場合は相談します。かかりつけの小児科、自治体の乳幼児健診、保健センター、地域の発達相談窓口を利用できます。
