「ギャングエイジ」や「9,10歳の壁」という、扱いにくい時期を過ぎ、少しづつ落ち着きを見せるようになるこの年齢の子供達は、自分が人にどう見られるか、どう思われるかなど、社会生活の意味が理解できるようになります。

大人のウソや、建前も感じ取れるこの年齢の子供たちの心と体の発達と、言葉のアプローチを、海外の子育て事情を交えてお伝えします!

身体的発達

成長の個人差が大きくなる。特に性的な成熟に差が表れる

大きな個人差はありますが、女子は初潮を迎えたり乳房が膨らんで、男子は体毛が生えてくるなどの性的変化が出てくる年頃です。

この時期を「第二次性徴」と呼び、体が子供から大人へと変化し、生殖能力を持つようになります。子供と向き合い、正しい性教育を話し合う機会ともいえるでしょう。

  • 性教育・・・sex education

体が急成長し、食欲が旺盛になる

体の成長に伴い、頻繁におなかがすいて、おやつにスナック菓子などを食べる子供も増えているようです。また不規則な生活や、女子は生理が始まるなどの理由で、鉄分が不足し、貧血を起こす子供も少なくはありません。良質のたんぱく質、ビタミン、ミネラル、炭水化物などのバランスの良い食事を心がけ十分な睡眠を心がけましょう。

  • 食欲旺盛・・・big appetite, strong appetite

海外の子供の食事

海外の子供の食事

イギリス

あまりご飯がおいしくない?ことで有名なイギリスですが、本当にところはどうなんでしょうか?イギリスの子供たちは何を食べているのでしょうか?

イギリスの子供たちの朝食

イギリスには「イングリッシュ・ブレックファースト」と呼ばれるイギリスの典型的な朝食があります。内容は、ソーセージにベーコン、スクランブルエッグ、ハッシュドポテト、ベイクドビーンズなどが乗ったお皿のほかに、トースト、シリアル、オレンジジュースなど「イギリスで一番おいしいのは朝食」と言われるほど、有名です。

ちょっとおしゃれなホテルのカフェなど、黒ソーセージや燻製のニシン、マッシュルームなどのソテーやトマト、卵もポーチドエッグ、オムレツなどチョイスが出来たり、季節のフルーツがあったり・・・仕上げに紅茶を飲めば、大満足のごちそうブレックファーストでお腹がいっぱいです!

しかしこの豪華な食事は、毎日ではなく週末などが食べるということで、普段はミューズりーやシリアルに牛乳をかけて、トースト、ビスケット、ジュースに紅茶というのが定番のようです。Weetabixウィータビックスというシリアルを固めたものに牛乳をかけるのもあるそうですよ。

イギリスの子供たちの給食

「パックドランチ」という、サンドイッチにポテトチップス、フルーツやクッキー、飲み物がセットされた軽いランチを食べるそうです。

日本のように、見た目も栄養もしっかりしてる給食は、世界ではなかなか見られません。大人も同様で、昼はサンドイッチにチョコレートなど軽く済ませることが多いようです。

イギリスの子供たちの夕食

イギリスはほとんど共働きのため、家族みんなで食卓を囲むというのはなかなか難しいらしいです。平日は冷凍食品の活用が多く、土日にスーパーなどで大量買いした冷凍食品を各自で電子レンジやオーブンで加熱して食べたり、あとは缶詰やインスタントのスープなどで済ませます。 野菜も冷凍のミックスベジタブルなどが定番だそうです。

もちろんこれらの習慣は各家庭によって差がありますが、日本とはだいぶ違いますね!日本の給食は栄養のバランスがよく、世界的に見ても優秀と言えます。しっかり食べて子供の成長を促したいものですね!

情緒的発達

情緒的発達

他人が自分をどう思っているかに敏感になる

高学年になってくると、勉強が難しくなり、不得意なものも出てきて劣等感を持つようになり、また人と自分を比較して、「嫌われているんじゃないか?」と不安に思うようになります。

幼いころには感じなかった感情が生まれて戸惑いがあるものの、「友達に嫌われたくない」という思いから、自分を抑えて人に合わせたりして、子どもなりのストレスを抱えるようになります。

  • 敏感である・・・sensitive

親の期待に応えたい気持ちと、反発する気持ちが混ざり合う

自立心が確立する一方、まだ親に甘えたい気持ちもあり複雑な時期です。交友関係も広まって、親よりも友達との関係を優先するようになります。それで親に秘密を持つようになり、急によそよそしくなったり、話をしなくなったりします。

それによって親も寂しくなり、困惑してしまいがちですが、この時期は親からの自立の時期であり、社会の中で自分を見つめなおしていく頃なので、少し離れたところから子供の成長を見守るようにしましょう。

  • 交友関係・・・friendship, relationship
  • 反発する・・・resist

美的感覚が優れてくる

特に女子に言えるかもしれませんが、このころから「きれいなもの」「可愛いもの」に興味が出てきます。キャラクターものを集めたり、髪形を気にするなど、プレ思春期の表れかもしれませんね。着るものなどもこだわりが出来て、親が選んだものを嫌がるようになります。

また、テレビや雑誌の影響で、アイドルタレントのようになりたいと、スタイルを気にする「瘦せ願望」がある子も少なくなく、十分細いのに「まだ痩せたい」と食事を抜いたりすると、成長ホルモンに影響が出て、ひどい場合は生理が止まってしまうこともあります。バランスの良い食事と運動で、健康な体を作るように気を配りましょう!

  • 美的感覚・・・aesthetic sense

思考力が大人並みになってきて、善悪や平等などの判断を考えるといったようになる

「親が言ったから」「先生が言うから」というだけで「大人が決めたことは正しくて守らなければいけない」と行動していたものが、この年頃になると「親の約束と友達のどちらを優先するか」という葛藤を抱えることがあります。そして、「仲間がいいというのなら、少しくらい規則を変えてもいい」といった考え方に変わっていきます。

しかしながら、「友達に仲間はずれされたくないから」という自分の意志に反した行動をとってしまうこともあるでしょう。また、物事の公平さや正義について考える「公正感」も大きく変わってきます。

何かをする、何かを分けるうえで「ずるい」「ずるくない」という見方をし、また、「みんなが満足するにはどうしたらいいか」を考えることが出来るようになります。

  • 仲間はずれ・・・leave out   ”Don’t leave me out!” 仲間はずれしないでよ!

男女を意識するようになり、戸惑いや照れが生じてくる

体の変化に伴い、男女同士で異性を意識するようになってきますが、素直にその気持ちを表現できずにお互い反発したり、わざと相手を傷つけるような言葉を吐いたりしてしまうことがあります。お互いを認め合い、思いやるような言動が出来るように家庭でしっかり教えていきたいものですね!

特に女子同士のグループ活動が増え、小さな社会を作るようになる

近年はゲームなどの一人遊びや塾や習い事が増え、また大人数で思い切り遊べる場所や空間が減ったことからも、少人数で行動する「チャムグループ」を形成することが多くなっていると言われています。

「チャムグループ」とは上司に特徴的な仲間集団で、秘密を共有するなどして、「私たち同じね」といったやりとりなどでお互いを確認しあうことをいいます。一体感を大切にするために、誰かを仲間外れにして結束を固めることもあり、それがいじめに繋がるなどの問題も出てきています。

いじめはどうして起きる?

いじめの認知件数は増加の一途をたどっていて、いじめによる子供の命や、心身の健康に重大な被害が生じたり、不登校につながるなどの重大な事態も発生しています。

いじめの構造は、単に被害者、加害者という図式だけでなく、それをはやし立ておもしろがる「観衆」、見て見ぬふりをする「傍観者」など、さまざまな形がいじめを促進するケースもあります。

つまり、多くの子供がいじめの当事者になる可能性があるというのです。これは大きな社会問題であり、いじめをなくすことはなかなか簡単ではないですが、普段からいじめが生じないように、社会全体で子ども自身が大人にSOSを出しやすい仕組みなどを作る対策が必要でしょう。

また家庭でも、子どもの変化を細やかにキャッチして、親がいつでもそばにいるという安心感を持てるようにコミュニケーションをとっていくべきだといえます。

いじめ行為が犯罪として残るアメリカ

州によって違いはありますが、アメリカではいじめによって子どもが命を絶ったりすることを重く受け止め、たとえいじめた加害者が未成年であっても、プライバシー保護で名前を伏せたりされることはなく、いじめを犯罪として扱い、有罪になれば犯罪歴が付きます。

仮にプライバシーを保護されたとしても、言論の自由のもとに周りの住民たちによって加害者の子供の名前や顔写真、住所などを暴露され、その加害者の家族までもが仕事を失ったり、転居を強いられたり、毎日のように誹謗中傷の電話やメールが来るなどの制裁を受けてしまうのです。

いじめで被害者を傷つけた加害者が、自分が犯した罪によって犯罪者のレッテルを張られ、世間から追放される、いじめられる立場に逆転するという、この厳しい罰があるアメリカのいじめ対策法は、非常に考えさせられますね。

まとめ

心も体も大人に近づいてきて、少し遠くに行ってしまったように思うこの年頃の子供も、自分の体や心の変化を受け入れることに葛藤が生じます。

ここでこそ、親が自分の経験などをもとに、共感し、一緒に解決策を見出してあげることが、子供達に心強い味方がいる安心感を与え、大人への階段を上がっていく助けになるのではないでしょうか?