IT企業の採用では、海外のエンジニアや開発チームとの連携を想定し、英語面接を取り入れるケースが増えています。ただし、ITエンジニアの英語面接で確認したいのは、英会話力だけではありません。実際の開発現場では、技術的な課題を説明したり、チームメンバーと意見を交わしたり、トラブルが発生した際に状況を整理して対応策を伝えたりする場面があります。そのため企業側には、「英語を使って仕事を進められるか」という視点が求められます。
では、IT企業の英語面接では、どのような質問をすれば候補者の実力を見極められるのでしょうか。本記事では、面接で確認したいポイントと具体的な英語質問を紹介します。
この記事の3行まとめ(AI要約)
- 技術的な説明力を具体的な経験から確認する:技術的な課題への対応や技術選定の理由、相手に合わせた説明ができるかを質問で見極めます。
- ケース型の質問でロジカル思考を見る:トラブル発生時の対応を問い、条件を追加して、状況を整理し判断を修正できるかを確認します。
- 英語の流暢さだけで評価しない:意見の対立への対応や分からないときの確認など、英語を使って仕事を進められるかを評価項目で判断します。
技術的な説明力を見極める質問

ITエンジニアの英語面接では、まず自分の技術的な知識や経験を、英語で分かりやすく説明できるかを確認することが大事です。「英語で自己紹介してください」といった一般的な質問だけでは、実務で必要となる技術説明力までは判断できません。
そこで、これまで担当したプロジェクトや技術的な課題について質問すると、候補者の実力をより具体的に確認できます。
技術的な課題について質問する
例えば、次のような質問があります。
Could you explain the most challenging technical problem you have faced in your previous project?
これまでのプロジェクトで直面した、最も難しかった技術的な問題について説明してください。
この質問では、候補者が技術用語を英語で話せるかを見るのではありません。どのような問題が起きたのか、原因は何だったのか、どのように対応したのか、結果はどうなったのかを説明できるかを確認します。
例えば、回答の中に次のような要素が含まれているかを見るとよいでしょう。
- 課題を具体的に説明できているか
- 自分が担当した部分を明確に説明できているか
- 解決策を選んだ理由を説明できるか
- 最終的な成果まで伝えられているか
技術選定の理由を聞く
候補者の技術的な判断力を確認したい場合には、技術選定についての質問をすることもできます。
Why did you choose this technology for the project?
なぜその技術をプロジェクトに採用したのですか。
開発スピード、拡張性、保守性、既存システムとの相性、チームのスキルなど、複数の要素を比較したうえで判断しているかを見ることがポイントです。
相手に合わせて説明できるかを見る
技術者同士の会話では専門用語が通じても、プロジェクトマネージャーや営業担当者などには伝わらないことがあります。
How would you explain a technical issue to a non-technical team member?
技術的な問題を、技術に詳しくないチームメンバーにどのように説明しますか。
ここでは、専門用語をどれだけ知っているかよりも、相手の知識レベルに合わせて説明方法を変えられるかを見ます。
実際のグローバルプロジェクトでは、英語力だけでなく、「相手に合わせて伝える力」が重要になります。
ロジカル思考を見極める質問

ITエンジニアの採用では、知識や経験だけでなく、問題が発生したときにどのように状況を整理し、判断するのか、そしてその流れを言葉にできるかも大事な評価ポイントです。
ケース型の質問を取り入れる
What would you do if a system suddenly became unavailable just before a major release?
大規模なリリース直前にシステムが突然利用できなくなった場合、あなたならどうしますか。
この質問で面接官が確認したいのは、候補者が問題をどのような順序で捉え、どのような基準で判断するかということです。
例えば、次のように問題を整理して回答できるかを見ます。
- 現在の状況を確認する
- 影響範囲を把握する
- 原因を調査する
- 復旧を優先する
- 関係者に状況を共有する
- 必要に応じてリリースの延期などを判断する
unavailable=使用できない(英辞郎)
条件を追加して柔軟性を見る
What if the problem affects customers in multiple countries?
もし、その問題が複数の国の顧客に影響しているとしたらどうしますか。
IT開発では、問題が発生した後に新しい情報が判明することも少なくありません。そのため、状況の変化に応じて判断を修正できる力が、実務では必要になる場合があります。
グローバルなコミュニケーション力を見極める質問
海外のエンジニアや開発チームと仕事をする場合、英語を「正しく話す」ことだけがコミュニケーション力ではありません。自分の意見を伝えるだけでなく、相手の話を理解し、分からない部分を確認し、意見が異なる場合には調整する力も必要です。
意見が対立したときの対応を見る
例えば、次のような質問があります。
Tell us about a time when you disagreed with a team member. How did you handle the situation?
チームメンバーと意見が合わなかった経験と、そのときどのように対応したかを教えてください。
ここでは、相手の意見をどのように理解し、自分の考えをどう伝え、最終的にどのような結論に至ったのかというプロセスが大事です。
I listened to my colleague’s concerns first, and then explained my perspective based on the project requirements.
まず同僚の懸念を聞き、そのうえでプロジェクトの要件に基づいて自分の考えを説明しました。
このように、相手の意見を聞く姿勢があるかどうかも確認できます。
perspective=見方、視点(英辞郎)
分からないときに確認できるか
グローバルな開発現場では、英語を使っていてもすべての内容を一度で理解できるとは限りません。
What would you do if you did not understand what your overseas colleague was saying?
海外の同僚の話が理解できなかった場合、どうしますか。
このような質問への回答で、相手の話を確認しようとする姿勢があるかを見ることができます。「分からないことを質問できる」というのは、グローバルな環境では欠かせません。分からないまま開発を進めれば、後になって大きな認識のずれにつながる可能性があります。
英語の流暢さだけを評価しない

英語面接で注意したいのが、英語が流暢な候補者を過大評価しないことです。発音がきれいで、スムーズに話せることはもちろん一つの能力です。しかし、それだけで技術力やコミュニケーション力が高いとは限りません。
反対に、多少の文法ミスや言いよどみがあっても、質問の意図を理解し、技術的な内容を整理して説明できる人もいます。
それを見極めるために、評価項目をあらかじめ設定しておくとよいでしょう。例えば、次のような基準です。
- 英語理解力:質問の意図を正確に理解できるか
- 技術説明力:技術や経験を具体的に説明できるか
- 論理性:理由や根拠を示して判断できるか
- 柔軟性:新しい情報に応じて考えを修正できるか
- コミュニケーション力:質問・確認・意見交換ができるか
- 協働力:異なる意見を持つ相手とも調整できるか
よくある質問
ITエンジニアの英語面接では、英会話力以外に何を確認すべきですか?
英語を使って仕事を進められるかを確認することが大切です。具体的には、技術的な内容を分かりやすく説明する力、問題を整理して判断するロジカル思考、海外のメンバーと意見を交わすコミュニケーション力などを見極めます。
ITエンジニアのロジカル思考は、どのような質問で確認できますか?
リリース直前にシステムが利用できなくなった場合の対応など、ケース型の質問が有効です。さらに条件を追加して質問すると、状況の変化に応じて判断を修正できるかも確認できます。
英語が流暢な候補者を過大評価しないためには、どうすればよいですか?
英語理解力、技術説明力、論理性、柔軟性、コミュニケーション力、協働力などの評価項目をあらかじめ設定しておきます。多少の文法ミスがあっても、質問の意図を理解し、内容を整理して説明できているかを見ることがポイントです。
まとめ
IT企業の英語面接では、英語の流暢さだけを評価するのではなく、英語を使って実際の仕事を進められるかという視点を持つことがポイントです。特に確認したいのが、技術説明力、ロジカル思考、グローバルなコミュニケーション力です。
英語面接で大切なのは、候補者に「完璧な英語」を求めることではありません。英語を共通のツールとして使いながら、技術的な内容を説明し、相手と認識を合わせ、チームで仕事を前に進められるか。この視点で質問と評価基準を設計することで、IT企業にとって本当に必要なグローバル人材を見極めやすくなるでしょう。
