先日、洋服のボタンが外れてしまいました。糸で縫い直すだけかと思いきや、不器用な私にはできぬ相談。結局お直し屋さんにお願いしましたが、糸仕事を自分でできる人に憧れる今日この頃です。

ということで、今回のテーマは「糸」。英語では糸を何と呼ぶのか、また糸を使って作られた布や生地の場合はどうなのかについて確認していきます。それぞれ複数の言い方がありますが、1つひとつのニュアンスの違いにも触れていますので、ぜひ参考にしてみてください。

これを読めば、今後「糸」と「布」で迷うことはありません。それでは、早速始めていきましょう!

「糸」は英語で何て言う?

「糸」は英語で何て言う?

「糸」を表す英語は “thread、string、yarn” の3種類です。それぞれに意味が少しずつ異なるので1つずつ確認していきましょう。

糸を表す英単語①:thread

日本語の「糸」という言葉に最も近いのは、この thread という単語です。発音記号は「θréd(θred)」で、カタカナで表すと「スレッド」となります。日本人が苦手とする th が含まれているので、発音には要注意ですね。

threadのコアイメージは「何かを作るための材料となる糸」です。そのため、thread単体で使うことはあまり無く、撚り合わせて太い糸(string)にしたり、織り合わせて布(clothなど)作ったりなど、あくまで名脇役として活躍します。

Aさん
Your button is coming off.
訳)ボタンが外れそうだよ。
Bさん
Oh, I need a needle and thread.
訳)うわ、針と糸が必要だな。

 

また、thread の表す意味は「糸」以外にもあります。たとえば、長く繋がっているイメージから派生した「生命(寿命)」という意味。有名な曲のタイトルにも使われていますね。

続いて、話が繋がることになぞらえて「筋道、脈絡」といった意味でも使われます。インターネット掲示板でよく使われる「スレ(スレッド)」はこの意味の派生です。

糸を表す英単語②:string

糸は糸でも、複数の糸を撚り合わせて作った太い糸は string と呼ばれます。発音記号は「stríŋ」、カタカナの「ストリング」ほぼそのままの発音で通じます。

先ほどの thread が縫い針(needle)に通る一方、stringは通りません。縫うための材料でなく、それ単体で使うものを表します。そのため、日本語では「糸」よりも「紐(ひも)」とか「細いロープ」などという言葉の方が近いです。

string がよく使われるシーンとしては、エプロンの紐、リボン、ギターなどの弦楽器の弦などが挙げられます。私が子どもの頃は男子の間でヨーヨーが流行していましたが、そこで使われている糸も「ストリングス」という名前で売られていました。

Aさん
I need to attach a string to this yoyo.
訳)このヨーヨーに紐を付けなくちゃ。

糸を表す英単語③:yarn

糸は糸でも、毛糸などの太い糸は yarn と呼ばれます。発音記号は「jάɚn(jάːn)」で、カタカナで表すと「ヤーン」です。

何かを作るための材料として使われる点では thread と同様ですが、yarn は太いために一般的な縫い針(needle)には通りません。よく映画やアニメで海外のおばあちゃんがセーターなどの編み物をしている様子が描かれますが、あそこで使われている糸が yarn です。ちなみに、あの木の棒は「棒針(knitting needle)」と呼ばれるそうです。

Aさん
My cat often plays with a yarn ball.

訳)うちの猫はよく毛糸玉とじゃれています。

なお、太い糸ならば素材に限らず yarn と呼ばれるので、以下のように使われている素材によって複数の種類が存在します。

英語での名称 日本語での名称 使われている素材
wollen yarn 毛糸 動物の毛、ウール
silk yarn 生糸 蚕の繭から作られる絹、シルク
cotton yarn 綿糸 綿花を原料とした木綿、コットン

 

また、yarn には「物語、冒険譚」といった意味もあります。

yarn は一本一本が太いので、それを織り合わせてできる布地は大きく膨らんだものになります。優れた物語を読むと夢が膨らむことから、そのような意味に繋がったのかもしれません。ただし、不用意に膨らみをもたせた「つくり話」というネガティブな意味にも通ずるのでご注意を。

「布」や「生地」は英語で何て言う?

「布」や「生地」は英語で何て言う?

糸は縫ったり織ったりすることで布(生地)に仕立てられます。ということで、ここでは糸に関連する言葉として、布(生地)について確認していきます。

布(生地)に相当する英単語は “cloth、fabric、textile” の3種類です。それぞれ詳しく見ていきましょう。

布を表す英単語①:cloth

日本語の「布」に最も近いのは cloth という単語です。発音記号は「klˈɔːθ(klˈɔθ」、カタカナで表すと「クロース」となります。th の発音が難しく、close と聞き間違えられやすいので注意しましょう。

ちなみに、cloth の複数形は “cloths” ですが、衣服を表す “clothes” と間違えやすいためか、ほとんど使われません。cloths というキーワードで検索をしても「もしかして clothes?」と言われてしまう始末です。

日本語の布に一番近しいイメージなのは cloth という単語ですが、その分「その布を取って」というような「布製品」も含めて表します。そのため、布の素材や生地などを表したい場合はあまり適していません。そのような場合は、以下のfabric や textile の方がふさわしいです。

Aさん
Take the cloth, please.
訳)その布を取ってください。
Bさん
Here you are.
訳)はいどうぞ。

布を表す英単語②:fabric

布は布でも、細かい種類や品質のことを表したいなら fabric が適切です。発音記号は「fˈæbrɪk」、カタカナでは「ファブリック」です。

一般的に流通している洋服(clothes)には多くの生地が使われています。綿(cotton)、麻(linen)、絹(silk)、毛(wool)などの天然のものから、ポリエステル(polyester)、テンセル(tencel)、レーヨン(rayon)、ナイロン(nylon)などの人工的なものまでさまざまです。

洋服を見て、「これにはどんな生地が使われているのかな?」といった疑問をもった場合には、fabric という単語を使って聞けば良いでしょう。

Aさん
What kind of fabric is this cloth made from?
訳)この布はどんな素材でできていますか?
Bさん
It is made from linen 100%.
訳)その布は麻100%ですよ。

布を表す英単語③:textile

衣服などの製品になる前の繊維の状態を textile と呼びます。発音記号は「tékstɑɪl(tɛks.taɪl)」、カタカナでは「テクスタイル」です。

日常生活で繊維のことに話が及ぶことは少ないので、前述の clothやfabricと比べると使用機会はあまり多くありません。ちょっと専門用語的なニュアンスですね。

「不織布」は英語で何て言う?

近年マスクが必需品ですが、そこでよく使われる「不織布」は英語で “nonwoven” と呼ばれます。織るという動詞 weave の過去分詞が woven なので、nonwoven で「織られていない」という意味ですね。nonwoven fabric と言われることもありますが、nonwoven だけでも通じるので問題ありません。

ちなみに、不織布マスクの場合は “nonwoven mask” の他に「使い捨てマスク」ということで“disposable mask” という表現も使われます。布マスクは再利用ができることから “reusable cloth mask” と呼ばれます。

「ウエス」って何語?

汚れを拭き取る際に使う布を指して「ウエス」と呼ぶことがありますが、これは本来の英語ではなく、”waste cloth” を短縮することで生まれた和製英語です。

とはいえ、この waste cloth という表現自体も英語圏ではあまり一般的ではなく、同じような意味合いでは単純に cloth というか、もしくは rag と表現することが多いようです。

まとめ

今回は「糸」について、そして関連する「布(生地)」について確認しました。

ひとくちに糸といっても、そこには thread、string、yarn という3種類の表現があり、それぞれに表すものが違っています。日本語ではどれも糸で通じるので、この点においては英語の方が繊細な言葉といえるかもしれませんね。

また、布や生地を表す言葉も cloth、fabric、textile と複数あり、それぞれに言葉のニュアンスが異なります。それぞれを場面に即して使い分けられるようになれば、英語表現の幅が広がりますね。

それでは、これからも楽しい英語学習を。

Let’s enjoy!!