そもそもパラサイトとは「寄生生物」や「寄生植物」を表す言葉ですが、ある人物が周りにいる人から利益を得るようなニュアンスで使われることがあります。

このパラサイトは英語からきていますが、それがどのような表現で、どのように使われるか知っていますか?

記事ではパラサイトの意味を説明し、例文で使い方などを解説するとともに、パラサイト生活など関連用語についても紹介します。

パラサイトはparasite

皆さんは、韓国のブラックコメディスリラー映画「Parasite(英語タイトル)」を観たことがありますか?

この映画は、第72回カンヌ国際映画祭で最高賞であるパルムドールを受賞しました。日本語のタイトルは”パラサイト 半地下の家族”、半地下に住むキム一家は家族揃って失業中でしたが、あるきっかけで高台の豪邸パク家にパラサイトすることに成功。ところが、、、といったストーリーです。

本記事のテーマであるパラサイトは、このparasiteや関連用語で表現することになります。

パラサイトの意味と例文は?

パラサイトの意味と例文は?

パラサイトの英語は「parasite」です。前述の韓国映画のタイトルと同じですね。もともと英語で「寄生生物」や「寄生植物」などを意味する言葉です。しかし、現在は人が人に寄生するというニュアンスで使われることがよくあります。

そこで、辞書から「寄生」の意味を簡単に確認します。
【寄生とは、ひとつの生物が他の生物についたり、内部に入り込んだりして、そこから栄養を取るなどして生活すること】
このことから、人間など哺乳類に寄生し、血を吸うなどして栄養を奪うシラミもparasiteの一種です。

さらに、寄生と共生の違いも紹介します。
parasite(寄生)片方が利益を得て、片方が害を被ること
symbiosis(共生)相互依存・相互共益のこと

キム一家はパク家にパラサイト寄生し、共生ではなかったということなんですね。キム家はパク家の内部に入り込み、そこから多くの利益を取りながら生活していたからです。キム家とパク家の双方向ではなかったことからパラサイト、納得ですね。

パラサイトの意味と使い方

さっそく、英語パラサイトはどのような意味を持つのか、また使い方をみていきましょう。

parasiteには名詞で以下の意味があります。
・寄生生物
・(人の好意を利用して暮らす)たかり・寄生者
たかりとはチンピラのイメージもありますね(汗)

そして”寄生する”という動詞になると単語「parasitise」になります。カタカナの発音はパラシィタイズのような感じです。parasitiseはイギリス英語、parasitizeはアメリカ英語になります。

さっそく、例文で具体的な使い方を紹介しましょう。

Aさん
She is a parasite.
訳)彼女はパラサイト(寄生者)だ。
Aさん
He used to be a parasite.
訳)彼は、かつてパラサイトだった。

この2つの例文では、彼女は今現在、たぶん経済的に家族に依存して暮らしており、また彼のほうは以前はそのような生活をしていたが今は自立しているといった比較になっています。

Aさん
I don’t want to be a parasite. I’ll earn money by myself and I want to be independent.
訳)私はパラサイトになりたくないの。自分で稼ぎ、自立したいわ。

independent=自活できる・自立した・依存していない・独立した・支配されない
parasiteと対極
にあるのがindependentですね。ぜひ、independentも合わせて覚えましょう。

Aさん
A parasitic plant parasitises other plants to obtain water and nutrients.
訳)寄生植物は、他の植物に寄生して水や栄養分を得る。
Aさん
She parasitises him for his money.
訳)彼女はお金目当てで彼に寄生している。

この例文のような関係をparasitic relationshipと呼びます。
parasiticは次の寄生虫でも出てくる形容詞で”寄生性の”という意味です。寄生性のリレーションシップということを表現しています。

寄生虫の英語

寄生虫を英語にすると「parasitic insect」になります。このフレーズはparasiteの関連用語であるparasitic(寄生性の・おべっかを使う)のinsect(昆虫)から成り立っています。

Aさん
Roundworms and tapeworms are parasitic insects.
訳)線虫やテープワームは寄生虫です。

「パラサイト」の言い換えは?

パラサイトが寄生生物、また人の好意を利用して暮らす”たかり・寄生者”ということを学びました。では、パラサイトを言い換えるとするとどのような言葉になるのか、ここについても紹介しましょう。

パラサイトの言い換え

人間に関して使われるパラサイトについて、他の表現にすると以下が挙がります。
居候(いそうろう)、親がかりの身、すねかじり、被扶養者、ニート、引きこもりなど。いずれも、自立せず、誰かを頼る生活をする者になります。

Aさん
My son is 32 years old and is still living with us. He is a schnorrer.
訳)息子は32歳ですがまだ私たちと一緒に住んでいるんです。彼はすねかじりだわ。

この息子さんには親を利用している意図はないかもしれませんが、schnorrerで[「すねかじり」、人の寛大さを利用する居候の意味です。

Aさん
She has been a hikikomori for 5 years and relies on her parents.
訳)彼女は5年間引きこもりであり、両親に依存しています。

社会現象でもある引きこもりは英語でそのまま「hikikomori」、また「severe social withdrawal」として表現されます。例文に出てくるrely onには”~に依存する・~に頼る”の意味があり、パラサイトは誰かに依存していることに繋がりますのでぜひ覚えたい英語表現になります。

パラサイト生活・パラサイトシングルとは?

パラサイト生活・パラサイトシングルとは

パラサイト生活、パラサイトシングルという言葉があります。社会人になっても親元で生活をする独身者の生活、またはそういった未婚者を指します。
経済的にも精神的にも自立することなく、実家にパラサイトしているんですね。

ネイティブの間では、パラサイト生活よりパラサイトシングルのほうが使われている印象があります。
あえてパラサイト生活を英語で表現すればparasite lifeになるかもしれません。

パラサイトシングルはparasite single

経済的に楽なため、独身貴族を謳歌するパラサイトシングルの英語は「parasite single」で表現します。
parasite singleを英語で調べると、日本に関連した記事が多くでてきます。例えば、「なぜ日本のパラサイトシングルは結婚を拒否し、両親と暮らし続けるのか」、「日本の中年、パラサイトシングルに追いつく人生の幻想」などです。世界から見ても、日本におけるパラサイトシングルは興味深く取り上げるべき現象ということでしょうか?

Aさん
The factors being as a parasite single, include a lack of financial security and affordable housing.
訳)パラサイトシングルでいる要因には、経済的な安定や手頃な価格の住居がないことが挙げられる。
Aさん
One possible side effect of the parasite single phenomenon, is the increase in the average age of the first marriage.
訳)パラサイトシングル現象の副作用として考えられるのは、平均初婚年齢の上昇である。

これらは外国人にとって自国と比べて興味のあるテーマになります。parasite singleについて話せるようになっておくといいですね。

パラサイトの語源は?

最後に、パラサイトの語源についても紹介しましょう。そもそもはギリシャ語あるいはフランス語だったんです。

パラサイトの語源

parasiteはそもそも、フランス語「parasite」、ギリシャ語の「parasitos」、加えてラテン語「parasitus」から生まれたと言われます。
それらの意味は、おべっかを使う、他人にたかる人、ゴマスリする人、たかり者、他人のお金で生活する人、他人の食卓でご飯を食べる人など、まさしく現代のパラサイトを意味する厳しいニュアンスです。

昔からパラサイトがいたということがわかりますね。

まとめ

パラサイトの英語は「parasite」です。寄生生物や寄生植物に加え、誰かに依存して暮らす人といった意味を持ちます。自立とは正反対がパラサイトということになります。
ぜひparasiteを使えるようにするとともに、パラサイトシングルについて外国人に聞かれても答えられるような機会にしてください。