「英語で何て言う?」コーナー、今回は「dog(犬)」についてです。
犬は、牧畜が行われていた国々で非常に大切にされてきた動物です。イギリスではとくに尊重されており、「人間の最良の友(man’s best friend)」とみなされています。
今日は、この「dog」ついて解説していきます。

「dog」の基本的な意味について

「dog」の基本的な意味について

「dog」は古い英語の「docga」が変化した言葉とされていますが、語源はよくわかっていません。「frocga(frog=蛙)」や「picga(pig=豚)」と同じく「小型の」「家畜として」という意味の接尾辞「ga」がついたものと考えられています。いずれにしても、相当昔から人間と共に暮らしてきた動物であり、今もさまざまな場面で人間をサポートしています。

a Seeing Eye dog 盲導犬
※イギリスではguide dog
an assistance dog 補助犬
a police dog 警察犬

ペットのことを話すとき、親しみを込めて「it」の代わりに「he」や「she」を使うことがあります。
Aさん
I put my dog on his leash and took him for a walk.
訳)犬にリードをつけて散歩に連れていきました。

子犬は「dog」ではなく「puppy」で、「キャンキャン」という鳴き声は「yip」で表します。日本では小さな子どもが犬のことを「ワンワン」と言いますが、英語では「doggy」や「bowwow」と言います。
犬に命令するときの言い方をご紹介します。

Sit! おすわり
Down! ふせ
Beg! ちんちん
Stay! おあずけ
Shake!/Give me your paw! お手

ちなみに、英語圏の犬の名前は「King」、「Duke」、「Bob」、「Fido」、「Rover」、「Spotty」などが多いそうです。
このように、「dog」は「人間の友だち」という忠実のイメージがありますが、身近であるからこそ悪い意味での慣用表現や、ことわざが多い単語でもあります。
例えば、

die like a dog 惨めな死に方をする
lead a dog’s life 惨めな生活をする
A barking dog seldom bites. 吠える犬は滅多に噛みつかない
Every dog has his day. 誰にでもいいときはある
It’s raining cats and dogs. どしゃ降りの雨が降っています
Let sleeping dogs lie. 眠っている犬は寝かしておけ=さわらぬ神にたたりなし

などのように使われます。

さまざまな犬を表す英語表現については、以下の記事をご覧ください。

子犬についてのスラング表現については、以下の記事をご参照ください。

日本、アメリカ、イギリスで人気の「dog」について

日本、アメリカ、イギリスで人気の「dog」について

それでは、日本、アメリカ、イギリスでよく飼われている犬についてご紹介します。

日本で人気の犬

  • トイ・プードル(Toy Puddle)
起源についてはよくわかっていません。フランスでとても人気があるためフランス原産とされていますが、「puddle」の語源がドイツ語の「プデル(水をパチャパチャと鳴らす音)」で、ドイツから来た水辺の漁のための犬が祖先であるとも言われています。トイ・プードルは、18世紀後半のルイ16世統治の頃に作られたとされています。
  • チワワ(Chihuahua)
メキシコのチワワ地域が原産地で、世界的に認められた犬の中でも一番小さな犬種です。独立心があり、機敏で賢い犬と言われています。
  • 柴犬(Shiba Inu)
日本原産の日本犬の一種で、天然記念物(a natural monument)に指定されています。「柴犬」という名前は中部地方の山岳地帯で使われていた名前で、「柴藪を上手に抜けて猟を助けるから」など、由来には諸説あります。海外でも人気の高い犬です。
  • ミニチュア・ダックスフンド(Miniature Dachshund)
ダックスフンドはドイツ原産の犬です。ドイツ語で穴熊を意味する「ダックス」と犬を意味する「フント」を合わせた意味です。巣の中の穴熊を狩るために手足が短くなっています。
  • MIX犬(Mixed Breed)ペットショップで取り扱っているMIX犬は、純血種同士を人工的に掛け合わせた犬のことを指します。日本では、いわゆる「雑種(mongrel)」と区別していますが、英語で話す時には「mixed breed」でも「mongrel」でもどちらでも良いです。

アメリカで人気の犬

  • ラブラドールレトリーバー(Labrador Retriever)
カナダ原産の犬です。本来は「retriever(取り戻す)」なので狩猟犬なのですが、現在は家庭で飼われ、盲導犬や警察犬として活躍しています。網にかかった魚の回収に役立つ水かきのついた足が特徴です。
  • ジャーマンシェパードドッグ ((米)a German Shepherd (英)an Alsatian)

日本では「シェパード」と呼ばれています。「ドイツの牧羊犬」という意味のドイツ原産の犬です。単に「shepherd」というと「羊飼い」の意味です。警察犬をはじめ災害救助犬(search and rescue dog)・軍用犬(army dog)・麻薬探知犬(a drug detection dog)などで活躍しています。

  • ゴールデンレトリーバー(Golden Retriever)

イギリス原産の犬です。穏和で探究心のある性格をしているので、ペットとして広く慕われています。ラブラドールと同じく、獲物を持ちかえる猟犬です。ラブラドールと外見も似ているので親戚のように思われていますが、両種の間には割と隔たりがあると言われています。

  • ビーグル(Beagle)
ビーグル(Beagle)「ピーナッツ」に登場するスヌーピー(Snoopy)で有名な犬です。イギリス原産のセントハウンド(Scenthound:嗅覚が優れている)で、狩猟の際に獲物を追いつめたり、回収したりすることが得意な犬です。

イギリスで人気の犬

  • イングリッシュコッカースパニエル(English Cocker Spaniel)
鳥猟犬の中でも最小のイギリス産スパニエル。「Spaniel」にはさまざまな種類がありますが、スペインが原産であることからついた名前と言われています。
  • フレンチブルドッグ(French Bulldog)
ブルドッグは、18世紀頃のイギリスで「bull(牡牛)」と戦わせる遊びのために育てられたと言われています。その頃、イギリスの織物職人がブルドッグをフランスに連れて行き、パグやテリアとの交配で誕生したのがフレンチブルドッグです。ブルドッグは、19世紀中頃には動物を戦わせる遊びが禁止されてから、獰猛な性格が失われ、現在のようなおとなしい犬になったそうです。
  • パグ(Pug)
中国原産の犬です。名前の由来は中国語で「いびきをかいて寝る王(覇歌パー・クー)」からきているなど諸説あります。紀元前400年には中国ですでに存在していたと言われ、非常に古くから親しまれている犬です。ちなみに、イギリスでは「小型機関車」のことを「pug」と呼ぶので、その音の響きからも親しまれているのかもしれませんね。

犬にまつわることわざ・慣用句(日本)

犬にまつわることわざ・慣用句(日本)

「犬」にまつわることわざや慣用句はたくさんあります。まず、日本のことわざ・慣用句をみていきましょう。

犬も歩けば棒に当たる

A dog hits a stick when walking.

何かをしようとすると、何かと災難にあうものであるということ。逆に、思いがけない幸運があるという良い意味もあります。

良いほうの意味の場合、英語は下記のようになります。

The dog that trots about finds a bone.(歩き回る犬は骨を見つける)

Every dog has its day.(どんな犬にも幸せの日が訪れる)

犬に関することわざについては、下記の記事もご覧ください。

飼い犬に手を噛まれる

A man may cause his own dog to bite him.

信じていた人や普段から面倒をみていた部下から裏切られたり、予想外の害を受けたりすることを表現したことわざです。

夫婦喧嘩は犬も食わない

Even a dog does not eat a couple’s quarrel.

夫婦喧嘩は、つまらないことや一時的なことが原因であるため、他人が間に入らない方がいいというたとえです。

犬が西向きゃ尾は東

当たり前のこと。犬が西の方向を向いているときは、犬の尻尾は東の方向を向いているという例えから生まれました。

これに意味が近い英語に、下記のようなものがあります。

When the crow flies her tail follows.(鳥が飛べば尾がうしろ)

尾を振る犬はたたかれず

素直で愛嬌が良ければいろいろなことがうまくいくということわざです。飼い主に従順で、しっぽを振って寄ってくる犬はだれしもかわいいと思うという例えから生まれました。

これに意味が近い英語に、下記のようなものがあります。

The lion spares the suppliant.(ライオンも命乞いをする者の命は助ける)

犬は三日飼えば三年恩を忘れぬ

The dog does not forget favor for three years if I feed it on 3rd.

犬であっても、餌を与えて育てれば3年間恩を忘れないということ。つまり、人間が恩知らずであってはいけないということを意味しています。

犬に論語

どんなに立派な教えも、分からない人に言い聞かせても無駄であるということ。犬に論語を説いても、少しも理解できないという例えから生まれました。

これに似た表現に下記のようなものがあります。

Do not throw pearls to swine.(豚に真珠を投げるな→豚に真珠)

Don’t teach fishes to swim.(魚に泳ぎ方を教えるな)

犬は人につき猫は家につく

Dogs stick to people. Cats stick to homes.

引っ越しをするとき、犬は飼い主についていき、猫はその家にとどまるという、犬と猫の違いを表したことわざです。犬は飼い主から受けた恩を忘れないという意味が込められています。

犬猿の仲

be like cats and dogs

「仲が悪いこと」を意味します。顔を合わせると喧嘩が始まるくらいの仲の悪さです。犬と猿が仲が悪いとされるのは、干支の順番などいくつかのエピソードがあります。

英語にすると、犬と猿ではなく、「猫と犬」となるのがユニークです。

負け犬の遠吠え

Barking dogs seldom bite.

よく吠える犬はめったにかまないというところからきています。争いごとに負けた人は陰で悪口を言ったりするものだと言う意味です。

犬にまつわることわざ(アメリカ・イギリス)

犬に関することわざは、アメリカやイギリスにもあります。

人を愛するならその飼い犬も愛せよ

Love me, love my dog.

主人を尊敬するなら、主人の飼っている犬も大切にするはずだという考えから生まれたことわざです。すなわち、自分のことを愛するなら、自分の長所だけでなく欠点も含めて愛してほしいという意味になります。

餌を与えている犬に手を噛まれる

Bite the hands that feeds one.

日本のことわざ「飼い犬に手を噛まれる」と同じ意味を持つことわざです。信頼していた人に裏切られたり、恩をあだで返されることを表現しています。

ライオンの尻尾になるよりは犬の頭になるほうがいい

Better to be the head of a dog than the tail of a lion.

日本の「鶏口となるも牛後となるなかれ」と同じ意味です。大きなライオンの尻尾になるよりも、犬の頭になるほうがいいという例えから、大きな集団の末端となるよりは、小さな集団でも重要なポジションにいるほうが生きがいがあるということを意味することわざです。

犬を愛さない者は紳士でありえない

He cannot be a gentleman which loveth not a dog.

イギリスでは犬を牧羊犬としてではなく、飼い犬として可愛がっていました。イギリスならではの歴史的背景から生まれたことわざです。

「dog」にまつわる名言

次に、dogにまつわる名言をご紹介します。

  •  A dog is the only thing on earth that loves you more than he loves himself.

(犬はこの地球上で唯一、自分自身を愛する以上にあなたを愛してくれるものだ)。

これは、アメリカのユーモア作家、ジョッシュ・ビリングスの名言です。

  •  A dog will teach you unconditional love. If you have that in your life, things won’t be too hard.

(犬は無条件の愛を教えてくれる。あなたの生活の中に犬がいれば、物事はそんなに難しいことではないだろう)。

アメリカの俳優、ロバート・ワグナーの名言です。

  • Before you get a dog, you can’t quite imagine what living with one might be like. Afterward, you can’t imagine living any other way.

あなたが犬を飼う前は、犬との生活がどんなものであるかは全く想像できない。犬を飼った後は、それ以外の生活を想像することはできない)。

アメリカの作家、キャロライン・ナップの名言です。

「dog」を使った基本的な英語表現について

「dog」を用いた日常的な英語文をいくつかご紹介しましょう。
Aさん
I have a dog named Lucky.
訳)私はラッキーという名前の犬を飼っています。

Aさん
I take my dog for a walk every morning.
訳)毎朝犬を散歩に連れていきます。

Aさん
Our dog is a mixed breed (a mongrel).
訳)うちの犬は雑種です。

Aさん
This dog is well trained.
訳)この犬はよく訓練されています。

Aさん
Keep your dog on a chain.
訳)犬は鎖につないでおいてください。

Aさん
The dog is loose in the yard.
訳)その犬は庭で放し飼いにされています。

Aさん
Will you feed the dog before you leave?
訳)出かける前に犬に餌をやってくれますか?

Aさん
Your dog always barks at me.
訳)きみのうちの犬、いつもぼくにほえるんです。

Aさん
I was bitten by the dog next door.
訳)隣の犬にかまれました。

Aさん
The dog defended (protected) his master from danger.
訳)その犬が主人を危険から守りました。

Aさん
We enjoyed watching the dog playing around in the yard.
訳)私たちは庭で犬が遊んでいるのを楽しく見ていました。

Aさん
Clean up after your dog.
訳)犬のフンはきちんと始末しましょう。

Aさん
What sex is your dog?
Is your dog a he or a she?
訳)あなたの犬はオスですか、メスですか ?

まとめ

犬を飼っている方は、英語でぜひhe/sheのことを紹介できるようになってくださいね。
では、最後にクイズです。
Q1
What kind of dog never bites?
訳)絶対に噛みつかない犬は何でしょう?

Q2
「doggy bag」とは何だと思いますか?

答えは…
Q1
A hot dog.
ホットドッグ

Aさん
レストランで食べ残したものを入れる持ち帰り用のふくろ
でした!
それでは次回をお楽しみに!
参照:アンカー 大人のための英語学習辞典 2016年12年20日初版第1刷発行 (株式会社学研プラス)