この「ことわざ」、「英語」で何と言う?シリーズ、今回は、「犬」のつく「ことわざ」を英語に翻訳してみました。
「犬」はネコ目イヌ科イヌ属の哺乳類の一種です。犬なのに「ネコ目」だなんて変な感じもしますが、「ネコ目」は「食肉目」とも呼ばれ、肉を食べる動物が含まれます。そのため、クマやセイウチも「ネコ目」に含まれるそうです。
人と犬の歴史は古く、縄文時代には狩猟の手伝いをする家畜や番犬として、人と犬が一緒に過ごしていたとされる記録が残されています。
江戸時代には五代将軍・徳川綱吉が、戌年戌月戌の日生まれであったため、「生類憐みの令」により犬を手厚く保護したことは歴史上有名なエピソードです。
今回は、現在でも代表的なペットとして広く愛されている「犬」のつく「ことわざ」を英語に訳しました。
1.犬も歩けば棒に当たる
「犬も歩けば棒に当たる」は、不用意に行動を起こすと災いにあうことを意味する「ことわざ」です。元々は悪い出来事を避ける意味で使用されていましたが、現代ではとにかく行動してみると案外良いことが起こるというポジティブな意味で使用されることもあります。
英語では
「A dog hits a stick when walking.」
と翻訳することができます。
ポジティブな意味で使用する場合は
「The dog that trots about finds a bone.」(歩き回る犬は骨を見つける)
「Every dog has its day.」(どんな犬にも幸せの日が訪れる)
と英語では言われることもあります。
これと似た表現に、次のような言葉があります。
「A flying crow always catches something.」(飛んでるカラスはいつも何かを捕まえる)
「犬も歩けば棒に当たる」に似ていることわざ
「犬も歩けば棒に当たる」に意味が似ていることわざはいろいろあります。
「悪い出来事を避ける」意味のことわざには次のようなものがあります。
「藪をつついて蛇を出す」(余計なことをいう事で、状況が悪化するのたとえ)
「触らぬ神に祟りなし」(めんどうなことには余計なことをしないで触れないほうがいいというたとえ。)
「行動してみると良いことが起こる」の意味合いのことわざには次のようなものがあります。
「思い立ったが吉日」(「やってみよう」と思い立ったなら、すぐに実行するほうがいい)
「怪我の功名」(災難だと思われたことが、思いがけず良い結果をもたらすこと)
訳)散歩をしていたら、初恋の人にばったり会ったわ。
訳)まさに、「犬も歩けば棒に当たる」だね。
2.犬になるなら大家の犬になれ
「犬になるなら大家の犬になれ」は、主人を選べるなら、金持ちや大物に仕えるほうが得だという意味の「ことわざ」です。人に使われるのであれば、頼り甲斐のある大物を選ぶ方が、得られるものが多いという教訓でもあります。
英語では
「If you become a dog, become a landlord’s dog.」
と翻訳することができます。
ここでは「大家」を「landlord」と訳していますが、「owner of the house」と訳すこともできます。
3.夫婦喧嘩は犬も食わぬ
「夫婦喧嘩は犬も食わぬ」は、夫婦喧嘩はつまらないことが原因であることが多く、他人は干渉しないほうがよいという意味を持つ「ことわざ」です。
何でも食べるといわれる犬でさえ、夫婦喧嘩には見向きもしないことから生まれた「ことわざ」だそう。夫婦喧嘩はほうっておいてもすぐに仲直りするので、それまで放っておくのがいちばんということですね。
英語では
「Even a dog does not eat a couple’s quarrel.」
と翻訳することができます。
quarrelとは「喧嘩・口論」を意味します。evenは副詞で、「○○でさえ、○○ですら」という意味です。
4.犬の一年は三日
犬の1年は人の3日に相当するといわれています。このことから、犬の成長が早いこと、人間の1日は貴重であることを意味する「ことわざ」が「犬の一年は三日」です。
英語では
「One year of a dog is equivalent to three days of a person.」
と翻訳することができます。
equivalent to ~で、「~に相当する」という意味を持ちます。equalと類義語です。
「犬の一年は三日」に似ていることわざ
「人の1日(時間)が貴重である」の意味に近いことわざに、次のようなものがあります。
「While there is life there is hope.」(命あるかぎり、希望がある)
5.生ける犬は死せる虎に勝る
動物の世界において、犬は虎よりも弱いと考えられています。しかし、死んでしまった虎と生きている犬であれば、より生き続けた犬が勝ると考えられます。
このことから「生ける犬は死せる虎に勝る」は、生きているからこそどんな生物も役に立ち、死んではどうにもならないことを意味する「ことわざ」です。
英語では
「A living dog wins a dying tiger.」
と翻訳することができます。
ここでのdyingは形容詞で、「死にかかっている○○」を意味します。
6.犬猿の仲
犬と猿は仲が悪いとされていることから、非常に仲が悪い間柄をたとえて言うことばです。
英語では
「be like cats and dogs」
と翻訳することができます。犬と猿ではなく、「猫と犬」となっているのがユニークですね。
「犬猿の仲」に似ていることわざ
「仲が悪い」意味を表す英語に、次のようなものがあります。
「Oil and water don’t mix.」(油と水は混ざらない)
7.飼い犬に手を噛まれる
自分の飼い犬に手を噛まれるという意味から、常日頃目をかけて大切にしている人や信用している人に裏切られることのたとえです。
英語では
「I had my hand bitten by my dog. 」
と翻訳することができます。
8.犬に論語
犬に論語を説いてもまったく通じないという意味から、道理の通じない人には何を言っても無駄だというたとえです。
「犬に論語」に似ていることわざ
「犬に論語」に似ていることわざはいろいろあります。
「Do not throw pearls to swine.」(豚に真珠を投げるな→豚に真珠)
「Don’t teach fishes to swim.」(魚に泳ぎ方を教えるな)
「猫」がつくことわざを知りたい方は、こちらの記事をお読みください。
「犬」のつくことわざ:海外編
イギリスやアメリカで使われている「犬」のつくことわざを紹介します。
You cannot teach an old dog new tricks.
「老いたる犬に新しい芸を教えることはできない」と訳します。日本のことわざの「老い木は曲がらぬ」と同じ意味で、欠点は若いうちに直さないと成長してからでは間に合わないことを意味します。
A barking dog seldom bite.
「吠える犬はめったに噛まない」と訳し、日本のことわざ「吠える犬は嚙みつかぬ」と同じ意味です。口先だけの人は実行力が伴わないというたとえです。
Let sleeping dogs lie.
「眠っている犬は寝かせておけ」と訳し、日本のことわざの「寝た子を起こすな」と同じ意味です。余計なことをして問題を起こさないほうがいいというたとえです。
「犬」のつく慣用句
二語以上の単語を合わせることで、元の意味と全く異なる意味を持つ言葉を指します。英語で言うと「idiom」(イディオム)です。たとえば、次のようなものがあります。
「犬の遠吠え」(臆病な人が威勢を張ったり、人の悪口を言うこと)
「犬が西向きゃ尾は東」(疑いの余地もないこと、当たり前のこと)
犬の鳴き声
日本では、犬は「ワンワン」と鳴きます。犬の鳴き声を英語で表現する場合には少し違ってきます。
bow-wow
「バウワウ」です。大型犬の鳴き声を表現するときに使われることが多いです。小さな子が犬のことを「わんわん」と言うことがありますが、「bow-wow」がそれにあたります。
ruff ruff
「ラフラフ」です。英語では、日本語の「ワンワン」という表現に一番近く、犬の体の大きさや犬種に関わらず使われます。
yip yip
「イープイープ」です。日本語では「キャンキャン」に近く、小型犬や子犬の鳴き声に近い英語です。
まとめ
今回は「犬」のつく言葉にまつわる「ことわざ」をまとめてみました。
「犬も歩けば棒に当たる」は有名ですが、それ以外でも「犬」にちなんだ「ことわざ」はたくさん存在していましたね。あなたが知っている「ことわざ」はありましたか?
今後もさまざまな「ことわざ」や「名言」を翻訳していきますので、お楽しみに!