日本でもお祝いの場で「コングラッチュレーション」と声をかけることはよくあります。ただ、コングラッチュレーションはお祝いの場であっても、使う場面が限られるのはご存知でしょうか。場合によってはコングラッチュレーションという言葉が相手に対して失礼になってしまうこともあります。そこでここでは、コングラッチュレーションの正しい使い方と正しい発音について解説します。

お祝いの言葉は基本的に複数形

日本語の曲だと、歌詞に「コングラッチュレーション」と入っていることがよくあります。しかし、これはじつは間違いです。コングラッチュレーションではなくCongratulations、コングラッチュレーション”ズ”が正解となります。お祝い自体は数えられないので不可算名詞として捉えてあえて単数形を使う方もいるかもしれません。ただし、Congratulationsに限らず、お祝いの言葉は基本的にsを付けて複数形となります。

どうして必ず複数形にするのかと言うと、英語だとお祝いをはじめとする感情をあらわにする言葉は、複数形をとって度合いを表現するという特徴があるためです。Congratulationで単数形を取ってしまうと、正直相手に対してそれほどお祝いの感情を持っていないと捉えられてしまいます。Congratulations以外にも相手に対して感謝や祈りなどを伝える場面ではsを付けるのが一般的です。例えば”Thanks.”も複数形を取っているでしょう。このように英語では、相手に対して感情を伝える場面で、より感情を強調したいとスペルに”s”を付け足すという特徴があります。

Congratulationsはどんなお祝いの場でも使える言葉ではない!

”Congratulations!”はお祝いの気持ちを伝える場面でも特に定番の言葉と思われがちですが、実はどんな場面でも使えるというわけではありません。”Congratulations!”が使えるのは、気持ちを伝えたい人が努力をした結果発生した出来事に対してです。したがって、Congratulationsを使うのば、学校を卒業できた、試験に合格した、昇進したなどの場面に限って使うのが良いでしょう。

それとは逆に誕生日や結婚の場面に”Congratulations!”は適していません。誕生日や結婚は努力したうえで迎えるものではありません。それぞれの場面でCongratulationsを使うと、場合によっては相手を嫌な気分にさせてしまうこともあります。例えば女性の知人が結婚した場面で”Congratulations!”と声をかけると、相手に対して「よく頑張って今の旦那さんと結婚できたね!」と少し嫌味を交えた表現になってしまいます。ただ、お祝いの言葉を伝える相手が男性で、結婚までの経緯を知ったうえでお祝いする場面だと、”Congratulations!”を使う人もいます。

Aさん
Best wishes for your marriage!
訳)結婚おめでとう!
Aさん
Happy ever after.
訳)末永くお幸せに

また、誕生日や新年のお祝いなどは、先ほど解説したように努力して手にするものではなく自然と当たり前のように迎えるものです。そのため、”Happy〜”という表現を用いるのが適しているでしょう。

Aさん
Happy Birthday!
Aさん
Happy New Year!

”Happy〜”では少し物足りない、もう少し上級者向けの表現を使ってみたいと思っている方もいるでしょう。

Aさん
Birthday wishes for you!
訳)末永くお幸せに

Aさん
With best New Year’s wishes.
訳)新年あけましておめでとうございます。

このように、お祝いの場面と言っても使える表現は様々です。若い人の間では、結婚などの場面でもCongratulationsを使う人が増えてきてはいますが、Congratulationsの捉え方は人によって変わるので、できれば避けて別の表現を使ったほうが無難でしょう。

Congrats!はどんな場面で使う言葉?

若い人を中心に、”Congratulations!”を略して”Congrats!”ただ、”Happy〜”では少し物足りない、もう少し上級者向けの表現を使ってみたいと思っている方もいるでしょう。として使うことがあります。この表現は主に親しい人に対して使うもので、例えば友達が会社で昇進した時に、”Congrats on your promotion!”のように使います。ただ、これはスラングに近いあくまで親しい人に向けて使う表現なので、会社の上司や学校の先生など目上の人に対しては使わないほうが良いです。

Congratsに似たスラング的な表現は多く存在します。それでは、たくさんある気軽に使える表現のうち、よく使われるものを紹介していきます。

Kudos

Kudosはギリシャ語で称賛などといった意味を持つ言葉です。ただ、Kudosは日常会話の中ではあまり使われない表現で、メールやSNSなど文章で相手を称賛する場面で利用すると良いでしょう。また、Kudosを使って先ほどのように相手の昇進などの行為を称賛したい場合は、”Kudos for〜”を使います。

Aさん
Kudos to you!
訳)よくやったね!すごいね!

Aさん
Kudos for your promotion!
訳)昇進が決まってすごいね!

Props

Propsは元々は小道具という意味の言葉ですが、スラングでは「おめでとう」という意味になります。昇進など人生に大きな影響を及ぼすような出来事というよりは、ちょっとしたラッキーな出来事があった場面などで、相手に対して称賛、お祝いの言葉を伝える際に使うと良いでしょう。

Aさん
Props to you!
訳)おめでとう!

Way to go!

日本の歌の歌詞でも”Way to go!”という表現はよく使われています。こちらの表現は簡単に訳すと「よくやった!」という意味です。友達と言うよりは、部下など自分よりも目下の人に対して使うことが多い表現となっています。

Felicitations!

FalicitationsもCongrats同様、おめでとうという意味を持つ言葉です。ラテン語が由来していて、英語では”Good Luck.”に近い感覚でよく使われています。こちらもKudosのようにどちらかと言うと文章で使われる言葉多いです。万が一言葉をかける対象が決まっている場合は、後ろにtoを付けます。

Aさん
Felicitations to you!
訳)おめでとう!

Three cheers

Three cheersもおめでとうという表現で、親しい友人に結婚などおめでたい出来事があった際に用います。Three cheersは日本語だと万歳三唱に近い表現にあたります。Three cheers単体で使われることはあまりなく、例文のように後ろにforを付けて使うのが一般的です。

Aさん
Three cheers for your promotion!
訳)昇進おめでとう!

Mazel tov!

少し変わったおめでとうの表現を使ってみたい方におすすめの表現が”Mazel tov!”です。Congratsと同じくおめでとうの意味を持った言葉で、イディッシュ語やユダヤ語が語源なので、英語圏ではあまりメジャーな表現ではありません。そのため、会話よりも文章で使われることが多いですが、オシャレな表現に挑戦してみたい時にぜひ使ってみてください。

Congratulationsの正しい発音は?

Congratulationsは日本語読みだと「コングラッチュレーションズ」ですが、発音を意識して読むと「カングラッチュレェィション(ズ)」となります。日本人が苦手とするLとR両方が含まれているので、しっかり発音できないのではと不安な方もいるのではないでしょうか。しかし、しっかり発音を理解しておけば、それほど発音は難しくありません。

Congratulationsの発音記号は「kəngrætʃuléiʃən」。これを見てみると、日本人が苦戦するであろう発音は、RとLの発音の違いに加え、aとoの音の2つが考えられます。まず、RとLの発音の違いは意外とシンプル。Rは舌を上に反って、どこにも付けずに発音します。それに対してLは前歯の生え際辺りに舌の先を付けて「ル」と言ってみると問題なく発音できます。RとLは発音だけでなく聞き分けも難しいとよく言われますが、Rの方が舌が付かない分はっきり発音しにくく、こもった音になります。

もう一つaとoの母音については、日本語だと母音があいうえおの5つの音しか存在しません。それに対して英語では母音がa・i・u・e・oの他にあとえの中間音に近いæやアとオの中間音に近いəなど、日本語にはない母音が多く存在します。日本人が英語の発音で苦戦するのは意外と気付かれていませんが、この母音の使い分けができない部分が大きいです。Congratulationsもoやaが複数登場しますが、oはə、最初のaはæ、2番めのaはéiが割り当てられています。そのため、パット見「コングラッチュレーションズ」と読みたくなりますが、発音記号を意識して読むと、「カングラッチュレェィション(ズ)」のような発音になります。

Congratulationsは使う場面が実は限られる言葉!

日本でもお祝いの言葉の定番としてよくCongratulationsが使われています。しかし、これは実はどんな場面でも使える言葉ではなく、相手の努力に対して称賛する言葉なので、昇進や進学などに使われるのが一般的です。昔と比べてCongratulationsを使う場面のルールは緩くはなってきていますが、相手によっては結婚の場面などで使うと不快に感じてしまうかもしれません。正しい場面でCongratulationsを使うことを意識し、英会話上級者を目指しましょう。