「テーマ」は日常会話でよく耳にするおなじみの言葉。「プレゼンのテーマ」や「エッセイのテーマ」、「テーマソング」なんかもよく聞くフレーズですね。

英語にも“theme”という単語がありますが、実は“theme”は、使い方に少し注意が必要な単語です。
今回は、日本語と英語の「テーマ」の違いや、“theme”を使うときに気を付けたいことについてご紹介します。
ぜひ参考にしてくださいね。

テーマの語源

テーマの語源

「テーマ」の英語は“theme”です。“theme”には大きく次の3つの意味があります。

  • 主題、テーマ
  • 様式、スタイル
  • 音楽の主旋律、主題

日本語の「テーマ」もほぼ同じような意味ですが、ニュアンスが異なります。その違いはあとでご紹介しますね。

この“theme”、ギリシャ語の“tithenai(置く)”が語源とされています。主題やテーマは、「もの」や「こと」の中心に置かれることからイメージしやすいですね。

同じ語源を持つほかの英単語には次のようなものがあります。ちょっと難しい単語もありますが、語源がわかると覚えやすいので、ぜひ、この機会に一緒に覚えてしまいましょう。

  • thesis 論文、論題
  • photosynthesis 光合成
    photo-が「光」、syn-が「ともに」で、「光で物質を置き合わせる(=合成する)こと」の意
  • parenthesis 挿入語句、丸かっこ
    par-は「となりに」、en-は「中に」の意味。複数形はparentheses

themeの発音

日本語では「テーマ」と発音しますが、これは、ドイツ語の“Thema” を日本語読みしたことに由来するよう。英語の発音とは全く異なるので、気をつけてくださいね。

英語“theme”の発音記号は、【θíːm】。あえてカタカナで表現するなら「シィーム」です。
ポイントは「th」の発音。この「th」は無声音thです。日本語の「」を軽く舌を歯で挟んだままで発音しましょう。
ここをきちんと発音しないと“seam(縫い目)”という全く違う単語になってしまうので、気をつけてくださいね。

日本語の「テーマ」と英語の“theme”は意味が違う?

日本語では「プレゼンのテーマ」や、「映画のテーマ」などさまざまなシチュエーションで使うことができる「テーマ」ですが、英語の“theme”は少し異なります。

英語の場合、個人の考えているような小さなことに“theme”を使うと、ネイティブは変に感じるよう。“theme”が使われるのは、個人的な出来事ではなく、たとえば会社の企業理念や大きな会議の題材、イベントやアート展示などに使われる言葉で、日本語の「テーマ」と比較すると、少し抽象的で「大きな概念」というニュアンスです。

使われるシチュエーションで、多少意味が変化するため、あまり神経質になる必要はありませんが、ある程度は把握しておくのがおすすめです。

ちなみに、テーマを細分化したものを意味する「サブテーマ」は和製英語。英語では“subtopic”と言います。

Aさん
They discussed the subtopic of that project.
彼らはそのプロジェクトのサブテーマについて話し合った。

theme、subject、topicの違いを確認しよう

“theme”と同じようなニュアンスを持つ単語に“subject”“topic”があります。どれも日本語に訳すと「主題、議題、題目、テーマ」といった意味で混乱しやすい単語です。
それぞれの違いを簡単に確認しましょう。

theme

“theme”は特定の主題という意味で用いられます。芸術作品や文学などでは、アイデアや概念、思想という意味もあります。“subject”“topic”と比べると、表現する範囲が最も大きく、最も抽象的な単語です。

Aさん
The theme of this exhibit is “Local Goes to Global”.
この展示会のテーマは「ローカルからグローバルへ」です。
Aさん
What is the theme of this lecture?
この講義のテーマは何ですか?

subject

“subject”と聞くと「教科、科目」が思い浮かびますが、“subject”にも「主題、題目、テーマ」といった意味があります。
“theme”が話や展示などの大きな方向性や思想を示す「主題」ならば、“subject”が表すのはいわゆる「題材」。“theme”よりも具体的なテーマを表します。

Aさん
The subject of the meeting was the upcoming budget.
会議の話題は今後の予算でした。
Aさん
Oppressive working conditions is the important subject we need to discuss deeply.
過酷な労働環境は話し合うべき重要なテーマです。

topic

“subject”よりも範囲が小さく、より具体的なテーマ“topic”です。日本語にするなら「話題」「論点」がふさわしいでしょう。“subject”の中にいくつかの“topic”があると考えるとイメージしやすいですよ。

Aさん
What’s the topic of your presentation?
あなたのプレゼンのテーマは何ですか?
Aさん
The recent news article on the topic of environmental pollution has sparked a lot of debate.
最近の環境汚染に関するニュース記事は多くの議論を巻き起こしています。

テーマを使った日本語の英語表現を確認しよう!

テーマを使った日本語の英語表現を確認しよう!

日本語にも「テーマ」を使った表現がありますね。それらの表現は英語ではどのように言うのか、確認しましょう。

テーマソング

映画やドラマなどで作品をイメージして作られたテーマソング。テーマソングは英語でも”theme song”です。特にオープニングに使われる曲は“opening theme song”ということもあります。

 

Aさん

The theme song for that anime is very popular among fans.
あのアニメのテーマソングはファンの間でとても人気がある。

テーマパーク

テーマーパークは”theme park”です。似た表現に”amusement park”があります。一般的に、“amusement park”は「乗り物などの遊具を設けた施設」のこと。一方、”theme park”は映画やキャラクターなど、何かテーマのある遊園地を意味します。

Aさん
Tokyo Disneyland is my favorite theme park. I go there every year.
東京ディズニーランドはわたしのお気に入りのテーマパークです。毎年行きます。

テーマカラー

テーマカラーはある特定のイメージやテーマを表現するために設定される色です。英語では”theme color”です。

Aさん
The theme color of that company is red.
その会社のテーマカラーは赤だ。

まとめ

今回は「テーマ」の英語についてご紹介しました。日本語の「テーマ」はドイツ語由来。英語の発音とはかなり違うので注意が必要です。

“theme”と似た表現に”subject”と”topic”がありますが、日本語ではどれも「テーマ」と訳せるため、混乱しがち。状況によって使い分けが曖昧になることもありますが、それぞれニュアンスをきちんと把握すると明確で効率的なコミュニケーションを図ることができます。
日本人にとっては少しむずかしいところではありますが、頑張ってマスターしてくださいね。