英語は日本語よりもカジュアルな印象を持っている方が多いかもしれません。

しかし、英語でも相手に何かを依頼したりお願いしたりする場合は、丁寧なニュアンスが伝わるよう表現が使い分けられています。

それはビジネスシーンに限ったことではなく、日常会話でも相手に何かをお願いする場合は、丁寧なニュアンスが伝わるよう気を付けられているのです。

そこで今回は、そもそも英語で「丁寧」は何と言うのか、さらに英語で何かをお願いする際に使える丁寧な表現を紹介していきます。

「丁寧」は英語で?押さえておきたい6つの英語表現

そもそも英語で「丁寧」は何と言うのか、パッと言葉が出てこない方も多いでしょう。

学校の授業では「polite=丁寧」と習いますが、実は状況によって同じ「丁寧」でも異なる単語が使われることもあります。

ここでは、押さえておきたい「丁寧」の英語表現を6つ紹介します。

polite

「丁寧」といえばpoliteと覚えている方も多いでしょう。もちろん間違いではないのですが、丁寧の中でもとくに “礼儀正しい” という意味の丁寧に対して使われる単語です。

状況に適した、あるいは相手に配慮した言葉遣いや行動といった意味合いの丁寧さにはpoliteを使うのです。

Aさん
Your Japanese is very polite.
あなたの日本語は丁寧です。
Aさん
I am grateful for your polite response.
わたしはあなたの丁寧な対応に感謝します。

civil

「市民」「公民的な」「市民社会の」などの意味があるcivilを使って、「丁寧」という意味を表現されることもあります。

civilにはもともと「市民」「公民的な」「市民社会の」などの意味があるため、この場合の「丁寧」は社会的なルールにきちんと従っている、無作法ではないといったニュアンスがあります。

また、丁寧な行動に対してポジティブな印象を抱いているのではなく、「失礼ではない」というニュアンスがあり、消極的な印象があります。

Aさん
She is always civil even when she is in trouble or sad.
彼女は心困ったときや悲しいときときでさえ、いつも丁寧な振る舞いをします。

courteous

相手の言動が丁寧、気配りのある行動ができているなど、相手に対して尊敬の意味を込めて丁寧を表現するときはcourteousを使います。

politeは一般的によく使われる丁寧という意味で、 “礼儀正しい” というのをシンプルに表現できるのに対し、courteousは丁寧という意味の中に相手への敬意を含んでいるニュアンスが伝わります。

Aさん
The lawyer’s explanation is courteous.
弁護士の説明が丁寧です。
Aさん
I really appreciate your courteous response.
あなたの丁寧な対応に本当に感謝します。

detailed

「こまかな指示が行き届いている」「細部にわたる説明が丁寧」など、物事に対するきめ細かさという意味の丁寧はdetailedで表現できます。

detailは「細部」「細かい面」「ディティール」などの意味があり、detailedはdetailの形容詞で「詳細な」という意味になります。

Aさん
Thanks for the detailed explanation.
詳細な説明をありがとうございます。

thorough

丁寧というのは抜け・漏れのない徹底した状態や状況に対しても使われますよね。

このような「徹底的な」という意味の丁寧はthoroughを使います。

「~を通って」「~を貫いて」といった意味のthroughとは全く別の単語のため、混同しないように注意しましょう。

Aさん
I can understand it because your thorough explanation.
あなたの徹底した説明によって、わたしはそれを理解しました。
Aさん
I need a thorough explanation on this background.
この背景に関して、徹底した説明が必要です。

careful

注意深い、慎重なというニュアンスを含む「丁寧」はcarefulで表現できます。

carefulはもともと「注意深い」「慎重な」「~に気を付けて」などの意味があるため、丁寧という意味で使う場合は周囲の環境に気を配って丁寧な対応をしている様子が伝わります。

Aさん
She is careful with her work.
彼女は仕事が丁寧です。

「英語には敬語がない」というのはうそ?

「英語には敬語がない」というのはうそ?

英語は日本語に比べてカジュアルで、距離の近いコミュニケーションというイメージを持っている方も多いでしょう。

また、「英語には敬語がない」というのを聞いたことがあるかもしれません。

日本語では目上の人または親しい間柄ではない人に対しては、「尊敬語」「謙譲語」「丁寧語」を使って会話をしますよね。たとえば、「行く=伺う、いらっしゃる」「言う=申し上げる、仰る」などになります。

このような尊敬語・謙譲語・丁寧語をまとめて「敬語」と言いますが、英語でも敬語はあるのでしょうか。

結論として、英語には尊敬語と謙譲語はないものの、丁寧語にあたる丁寧な表現があります。そのため、日本語のシステムと英語のシステムは異なるものの、英語にも敬語(丁寧な表現)が存在すると言えるでしょう。

英語で丁寧に依頼・お願いするときに使えるフレーズ

英語で丁寧に依頼・お願いするときに使えるフレーズ

最後に、丁寧なニュアンスで依頼・お願いをする際に使える基本の表現を紹介します。

Would you 〜?

「Will you ~?」を過去形にした表現が「Would you ~?」です。

ではなぜ過去形にすると丁寧なニュアンスになるのでしょうか。

理由としては、現在形よりも過去形の方が、現実よりも遠くに存在するからです。
もっとわかりやすく表現するなら、「相手の立場を尊重し、距離を保つ効果」が過去形にはあるのです。

そのため、「Will you ~?」はストレートな印象があるのに対し、「Would you ~?」は「もし可能であれば」という柔らかい印象を表現できます。

ただ、「Would you ~?」を使うと、「していただけますか」という意味の中に、“お願いを引き受ける”意思がありますかというニュアンスを含む表現になります。

Aさん
Would you mind helping me?
手伝っていただけますか?(意思を聞くニュアンス)

Could you 〜 ?

丁寧なニュアンスでお願いする際によく使われるのが「Could you ~?」というフレーズです。

「Could you ~?」も「Would you ~?」と同様、過去形にすることでより丁寧な印象を表現できます。

ただ、「Can you ~?」の過去形のため「可能かどうか」と聞くニュアンスが残っています。

Aさん
Could you give me a discount?
値引きしていただけませんか?(可能かどうかを聞くニュアンス)

まとめ

いかがでしょうか。

今回は「丁寧」の英語表現について解説しました。

一口に「丁寧」といっても、どのような丁寧なのかによって表現が使い分けられています。まずは基本のpoliteから覚えていくようにしましょう。

また、英語には敬語がないというのを聞いたことがあるかもしれません。たしかに、日本語の尊敬語や謙譲語にあたる表現はないものの、丁寧な言葉遣いはあります。相手に対して依頼やお願いをするときは、嫌な印象を与えないように丁寧な表現を使ってくださいね。

ぜひ今回の記事を参考に、「丁寧」の英語表現を活用してみてください。