海外にも日本にもいる動物であれば、文化の違いなどを飛び越えて伝えるので覚えておいた方が良いでしょう。ここでは、そんな動物のひとつである「鹿」にまつわる英語をご紹介します。一般的には鹿と言えばdeerと言いますが、小鹿だと「Bambi」じゃないのと思う方もいるのでは?その他にも実は鹿を表す英語はあるので、それぞれの違いについて見ていきたいと思います!
辞書で「鹿」と調べると・・・
まずは辞書で「鹿」を調べてみましょうか。研究社 新和英中辞典で鹿の英語を調べてみたところ、以下のような記述がありました。
しか 鹿
a deer《★単複同形》; 〈雄〉 a stag; 〈雌〉 a doe; a hind (赤鹿の); 〈子〉 a fawn
- (壁飾りの)鹿の頭a staghead
- 鹿の皮 deerskin、buckskin
- 鹿の角 an antler、a pair of antlers (1 対)
- 鹿の肉 venison”
結構出てきましたね。a deer、a stag、a doe、a hind、a fawnと、5つも違う言葉が並んでいます。しかも、鹿の角に使う単語や、鹿肉に対して使う単語はもはや鹿という単語の面影すらありません。ちょっと覚えにくいですが、ネイティブが知っている表現なら覚えておきたいですね。
鹿は性別や成長度合いによって呼び名が変わる動物
辞書で調べてわかったように、鹿は性別によって呼び名が変わったり、子どもには別の単語があったりと、結構言いわけられていることがわかりましたよね。ということで、ここからはこれらをより詳しく解説していきます。
deer
まずは基本のdeerですね。こちらは一般的には長い角を持っているオスの鹿を表し、イメージとしては野生です。ただ、鹿の総称として使っても差し支えありません。ですから、一般的な英単語を覚えたいのであればdeerだけで良いでしょう。
覚える時の注意点は、deerは複数形でもdeerなことです。これを聞いて、ふと他にも動物で複数形でも形が変わらなかった単語を思い抱いた方もいるのでは?sheep(羊)やfish(魚)も、単数形でも複数形でも形は変わりません。ここの記憶にdeerも新たに追加しておきましょう。
これらの複数形でも形を変えない単語はそういうものだと暗記してきた方も多いと思いますが、実はちょっとしたニュアンスがあります。羊も魚も鹿も、基本的には群れで行動する生き物ですよね。このような動物たちには個体差がそこまでなく、群れをひと固まりとして数えるのが海外流なので、単数か複数かは区別しないようになったのです。
学校では英語と言えば「暗記!」の一言で教えられたことも多いと思いますが、実は掘り下げるとより覚えやすい理由が隠れていたりします。絶対ではなく例外があったりもすると、学生には教えにくいのかもしれませんね。
例文をご紹介するとこんな感じ。
November is a good time to hunt deer.
訳)11月は鹿を狩るのに良い時期です。
The deer population has increased substantially in recent years.
訳)近年、鹿の個体数は大幅に増加しています。
The deer saw me and darted away.
訳)鹿は私を見て、駆け去った。
They saw a herd of deer of twenty.
訳)彼らは20頭の鹿の群れを見ました。
名詞ですから、知っている文法や英語の型の中に入れれば簡単に文章はできますね。ちなみに、鹿の群れを表すなら最後の例文のように「a herd of deer」を使います。
stag
鹿の中でも、特に成体のオスを言い表したいのであればstagです。この単語は、女性を伴わない懇親会の出席する男性を意味したりもするのでちょっと面白いです。他にも、辞書には「新しい銘柄の証券をより高い価格で迅速に売却することを期待して購入する投機家」なんて表記も。
鹿に話を戻しますが、stagは特にアカシカと呼ばれる鹿に対して、かつ5歳以上のオスに使われることが多いです。鹿にそこまで馴染みがないと、stagを言われたアカシカを思い浮かべられないと思いますが、海外で鹿が身近な地域であればあるほど、その地域の人たちが想像する鹿は同一の性質を持っているでしょう。
The hounds will soon hunt down the stag.
訳)猟犬たちはすぐに牡鹿を追い詰めるでしょう。
stagも名詞なので使いやすいです。
buck
buckも牡鹿ですが、他の動物でもオスであれば使える単語になっています。特に使われることが多いのはトナカイやウサギですね。「元気な若者」なんて意味もあるので人間にも使える表現です。
doe
doeは、鹿のメスを指します。こちらもウサギやヤギ、羊などにも使えるので鹿限定というわけではないことに注意しましょう。文脈によっては他の動物を指すこともあります。
ちょっとした熟語には、doe eyesというものがあります。「雌の目」という直訳ですが、意味合いは「くりくりとした小動物のような目」という意味です。可愛らしい目ということですね。
hind
メスの鹿はdoeとご紹介したばかりですが、やはりオスと同じようにメスの鹿にも色々な言い方があります。どれだけ鹿に対して英語は表現豊かなのかとびっくりしている方もいるのではないでしょうか。それだけ英語圏には鹿の存在が大きかったのかもしれませんね。日本だと奈良の鹿が有名ですが、牡鹿、雌鹿、小鹿と、どの単語にも鹿が入っているので英語ほど覚えるのが難しくはないように感じます。英語はどの単語もバラバラで、統一性がないですからね。
hindはメスの鹿の中でも、ニュアンス的には角のない鹿のことを指すため、ネイティブに言ってイメージするのは角がない様子です。
fawn
オスやメス、性別の違いによって鹿の呼び名を変えている英語では、その鹿の成長度合いによっても名前を変えたりします。そのひとつがfawn。こちらは「可愛らしい小鹿」という意味があるので、単に小さい子どもの鹿というよりは、可愛いという形容詞ありきで呼ぶようなものです。
ちなみに、fawnには動詞もあり、意味は「ごまをする」や「媚びる」、「ペットが飼い主にじゃれる」です。
Bambi
小鹿はfawnでしたが、その愛称はBambiです。どうしてこの単語だけ最初の文字が大文字なのかというと、世界的に愛されるディズニー映画の「バンビ」という固有名詞から来ているからです。ですから正式な呼び名というわけではないのですが、日本でもバンビと聞けば小鹿を連想する人が多いくらいには浸透していますよね。
まとめ
鹿という英語がこれほどまでに表現豊かだったとはと、驚いた方もたくさんいるでしょう。これらをすべて使う機会はそうないかもしれませんが、鹿が身近な地域ではネイティブも使うので、聞いてわかるようにはしておきたいものです。鹿にまつわる表現である鹿肉や鹿の角なども、鹿という単語の面影がないので、これらは関連しているのに覚えにくいスペルとなっています。ただ、長いスペルではないこと、難しい発音ではないことを考えたら一度に暗記してしまった方が後々楽だと思いますよ!