「スペルミス」「スペルチェック」など日本語でも馴染みのある「スペル」ですが、英語 “spell” とは意味が異なるのを知っていますか。

英語の “spell” には、日本語の「スペル」という意味はありません。
そのため、日本語をそのまま英訳してしまうと思わぬ誤解を招いてしまうことも。

今回は、そんな間違いやすい英語 “spell” の意味と使い方をはじめ、便利な英語表現やスペル暗記のコツを紹介します。

 

“spell” の意味と使い方

“spell” を辞書で引くと、下記のような意味が書かれています。

[動] (語を)つづる、(~とつづって)読む、(結果を)招く
[名] 呪文、まじない、魔法、魔力

動詞、名詞それぞれの正しい使い方を例文で確認しましょう。

Aさん
Watch out for mistakes and spell words correctly.
訳)間違えないよう気をつけて、単語を正しくつづりましょう。
Aさん
The fairy godmother cast a spell on Cinderella and changed her into a beautiful dress.
訳)魔法使いのおばあさんは、シンデレラに魔法をかけて美しいドレス姿に変えました。

スペルを尋ねるときに日本人が間違いやすいのが、
“What’s the spell?”
とそのまま訳してしまうこと。

名詞 “spell” の意味は「呪文」「まじない」「魔力」でしたね。

そのため、 “What’s the spell?” は、「呪文は何ですか?」と尋ねていることになります。

日本語の「スペル」と英語の “spell” は、同じ意味ではないため注意が必要です。

では、「スペル」「つづり」を尋ねるときはどのような表現を使うのでしょうか。
よく使われる定番表現を覚えておきましょう。

Aさん
How do you spell that?
訳)スペルは何ですか?
Aさん
How do you spell the company name?
訳)会社名のスペルを教えていただけますか?

「スペル」を使った英語表現

「スペル」を使った英語表現

日本語の「スペル」を表すいろいろな英語表現を紹介します。
身近な場面で使いやすいフレーズを集めたので、例文で練習してどんどん使っていきましょう。

「スペルを教えてください」

スペルを尋ねるときの定番の言い方です。

Aさん
How do you spell your name?
訳)お名前のつづりを教えてください。
Aさん
Excuse me, would you tell me how to spell that word, please?
訳)すみません、その単語のつづりを教えてもらえませんか?

「スペルを確認させてください」

スペルを復唱し、確認するときに役立つ表現です。

Aさん
Is this the correct spelling of your company?
訳)会社名のスペルはこれで間違いないでしょうか。
Aさん
That’s “A-r-k-a-n-s-a-s,” is that correct?
訳)(アーカンソー州のスペルは)A-r-k-a-n-s-a-sでよろしいでしょうか?

「スペルを間違えました」

スペルを間違えたときに使える表現です。

Aさん
Oh dear, I’ve made a spelling mistake!
訳)ああ、スペルミスしてしまいました!
Aさん
Sorry, I spelled the word wrong. I forgot an “e” between the “r” and “d”.
訳)すみません、スペルを間違えました。「r」と「d」の間の「e」を忘れていました。

パソコンやタブレットのタイプミスを意味する “typo” もよく使われます。

Aさん
I have made a typo in my email.
訳)メールでスペルミスをしてしまいました。

「スペルが違います」

相手のスペルミスに気がついたときに使える表現です。
文頭に “I think” をつけることで「〜と思うのですが」という意味になり、失礼にならずに伝えられます。

Aさん
I think there is a typo in “chauffeur”.
訳)「chauffeur」にスペルミスがあると思うのですが。
Aさん
I think you may have spelled “possess” wrong.
訳)「possess」のスペルが間違っているかもしれません。

「スペルチェックをお願いします」

書類やレポートのスペルチェックをお願いするときの表現を紹介します。
“Could you〜?” を使った丁寧な言い方が一般的です。

Aさん
Could you check the spelling in my coverage report last week?
訳)先週の取材レポートのスペルチェックをお願いできますか?
Aさん
Could you please correct the English contract that was asked to me yesterday?
訳)昨日頼まれた英語の契約書を添削していただけませんか?

電話では “spelling alphabet” が便利

電話では “spelling alphabet” が便利

“spelling alphabet” とは、英語のスペルを確認するときに使うアルファベットのことです。
口頭で聞き取りにくいアルファベットを、単語を例に挙げることでわかりやすく正確に伝えられます。

一般的によく使われる国名や人名を一覧にまとめました。

アルファベット 単語例
A America / Adams
B Brazil / Bob
C China / Charlie
D Denmark / David
E England / Edward
F France / Frank
G Germany / George
H Hong Kong / Henry
I India / Isabel
J Japan / Jack
K Korea / King
L London / Larry
M Mexico / Mary
N New York / Natalie
O Oslo / Oscar
P Paris / Peter
Q Quebec / Queen
R Rome / Robert
S Spain / Sam
T Tokyo / Tom
U Union / Uncle
V Victoria / Victor
W Washington / William
X X-ray
Y Yankee / Yellow
Z Zebra
Aさん
My name is HARU, H as in Hong Kong, A as in America, R as in Rome, and U as in Union.
訳)私の名前はハル、Hong Kong の H、America の A、Rome の R、Union の U で HARU です。
Aさん
My password is g5pte: g, George; five; p, Paris; t, Tokyo; and e, England.
訳)私のパスワードは g5pte、George の g、5、Paris の p、Tokyo の t、England の e です。

英語のスペルを暗記する2つのポイント

ローマ字に慣れている日本人にとって、英単語のスペルは難しくて覚えにくいという人も多いでしょう。
英単語にはいくつか規則性があり、ルールを理解すれば覚えやすいものばかりです。
しかし、ルールを覚えるのが大変、どうしてもスペルを間違ってしまうという人は、次の2つの方法を試してみましょう。

  • 発声しながら紙に書き出す
  • 単語の意味をイメージにする

スペルを覚える最も有効な方法は、単語を紙に書き出すこと。
ただ書くのではなく、声に出して読みながら書くことがポイントです。
視覚と聴覚を刺激し、正しいスペルを体で覚えていきます。

それでも覚えられない場合は、単語を分解してイメージ化するとわかりやすいでしょう。

【例1】
“breakfast” (朝食)= “break” (壊れる)+ “fast” (速い)
⇒「朝食を速く食べるとお腹を壊す」をイメージする

【例2】
“export” (輸出する)= “ex” (外へ)+ “port” (運ぶ)
⇒「外へ運んで輸出する」をイメージする

人間の脳はその言葉に触れる回数が多いほど、インプットされるような仕組みになっています。
そのため、一度に10回20回と暗記するよりも、1日5回を毎日続けることが大切です。

“spell” には他にもこんな意味がある

“spell” には他にもこんな意味がある

名詞 “spell” には、他にも「(交替でやる)ひと仕事」「(仕事などの)順番、交替」「発病・発作」といった意味があります。

日本語の「スペル」からはあまり予測できない意味のため、意味と使い方を知っておくと役立つでしょう。

Aさん
We will rest after a spell of work.
訳)ひと仕事終えてから休もう。
Aさん
They worked in spells for a month.
訳)彼らは1か月間、交替で働いたわ。
Aさん
She suffered from coughing spells last week.
訳)彼女は先週、せきの発作に苦しんだのよ。

まとめ

日本人が間違いやすい英語 “spell” の意味と使い方、便利な英語表現やスペル暗記のコツを紹介しました。

「スペル」と “spell” の意味は同じではありません。 “spell” には名詞「つづり」という意味はなく、日本語と同じような使い方をすると誤解を招いてしまいます。

スペルを尋ねるときは、 “How do you spell~?” を定番表現として覚えておくのがおすすめです。スペルが聞き取れなかったり、もう一度確認したいときには、 “spelling alphabet” を使うとわかりやすく伝えられます。

単語の正しい意味と使い方を習得し、スムーズでわかりやすい英会話を目指しましょう!