日本でカフェや図書館に行くと、勉強している学生を見かけることがあります。

中学生や高校生であれば、塾や予備校に通っている人も少なくはないと思います。

では、アメリカの学生は普段どのように勉強したり授業を受けているのでしょうか?
今回は、私が留学している学校での体験談をレポートします。

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はじめに

アリゾナ州

私はアメリカのアリゾナ州の大学の語学学校に通っています。基本的には午前中に授業あり、午後は宿題や復習などに追われる毎日です。私が通っている語学学校のプログラムでは、1時間30分の授業ひとつに対し、自宅学習が2時間ほど要求される内容になっています。

1日にライティング、オーラルコミュニケーション、グラマーまたはリーディングの3クラス受講しているので、自宅で6時間ほど勉強が必要になります。しかし、実際には日常的に6時間も勉強することはありませんが、宿題のボリュームが多いときや、テストの時期には6時間では足りないほどで、週末も出かけることなく勉強に追われるようになります。

私の学習スタイルは決して効率がいい方法ではないので、学校で習ったことと宿題をこなすことで手一杯です。つまり予習や復習は時間があるときにしかできないという日々が続いており、このことこそが英語力がなかなか成長しないことにつながっているのかもしれません。

今回は、アメリカに留学して気がついたアメリカ的勉強方法や、アメリカの学生がどのように勉強をしているのか、アメリカで流行っているメモの取り方を紹介したいと思います。勉強スタイルは人ぞれぞれですが、1年ほどアメリカで学生をやっていると、どことなく勉強スタイルの傾向が見えてきました。

今回の記事は個人的な見解や、推測も含まれていますので、あくまでも参考程度に読んでいただければ幸いです。

二人で勉強する

勉強スタイルについて、アメリカにきて驚いたことのひとつが「二人で勉強する」学生がとても多いことです。学校の図書館やカフェテリアはもちろん、町のレストランなどあらゆるところで、学生二人が一緒に勉強している姿を頻繁に見かけます。

授業が始まる前に毎朝通っている学校の図書館では、ひとりで勉強している学生と同じくらい、二人組の学生がいます。重たそうな教科書を広げて、互いに相談しながらノートを書いたり、移動式のホワイトボードを使って問題を解いたり様々です。

このような光景はキャンパス内のカフェテリアや、学生が使えるスペースであればどこでもよく見かけます。さらにはキャンパス外のスターバックスなどでも二人組で勉強している学生がいます。

まったく喋らずにひたすら勉強しているタイプもいますが、基本的には分からないことなどを共有しながら、一緒に勉強しているようです。私はひとりで静かな環境でなければ勉強ができない性格なので、この光景にはちょっと驚いてしまいましたが、アメリカでは二人組で勉強するのはごくごく当たり前のようです。

日本で言うところの医学部に通う友人も同様で、週末やテスト前は必ずと言っていいほど、クラスメイトと一緒にスターバックスや学校に残って勉強していると言います。その友人曰く、仮に分からない箇所があっても、自分で調べるより友人に尋ねたほうが効率がいいのだそう。さらには、自分では気がつかない問題の解き方やテクニックも手に入るらしく好んで二人で勉強しているそうです。

私は、一度だけグラマー(文法)クラスのテストを控えていたときに、クラスメイトのメキシカンから誘われて二人で一緒に勉強したことがあります。やはり私は集中できず、勉強したのかしていないのか分からないような成果に終わってしまいました。しかし、誘ってくれたメキシカンは私と話をしているなかで、理解が深まったと言います。

先生から教えてもらうだけでなく、別の人から同じ説明を受けるだけでも捉え方や理解度は違うようです。どうやら二人組で勉強することには、このようなメリットがあるらしく、アメリカ人の学生たちはこのスタイルを好んでいるようです。

さらに、先生から教えてもらったことを他人に教えるという「アウトプット」をすることで、より自身の理解力が深まるのかもしれません。私自身も、ひとりでやって理解できなかったトピックでも、他人に教えることをきっかけとして自然に理解できた経験があります。

二人組で勉強するということは、学んだこと(インプット)を教えたり、共有したりする(アウトプット)がしやすいという利点があるのかもしれません。英語に限らず、どうやっても理解できないことや腑に落ちないトピックはあるものです。もし、このような場面に直面した際には、クラスメイトに声をかけて一緒に勉強するのもひとつの手かもしれません。

スタバで勉強する

スタバで勉強する

アメリカの学生は本当によくスターバックスで勉強をしています。先にご紹介したような二人組もいれば、ひとりでカウンター席に座ってエッセイを書いていたり、難しそうな教科書を読んでいたり様々です。

当然スターバックスはカフェなのでたくさんの人が出入りしますし、おしゃべりもしていますが、意に介すことなく勉強している姿を見ると感心してしまいます。日本でもスタバで勉強したり仕事をする人がいますが、アメリカではもっと一般的な印象です。

私がいつも行くスタバには10人掛けくらいの大きなテーブルがあるのですが、10人くらいのティーンエイジャーが陣取って、もくもくと勉強しているのを見かけたことがあります。しかも、彼らは全員同じグループで、帰る前にはそのテーブルでリーダー格の人が、プレゼンテーションのようなことまでしていきました。

アメリカの学生は、たとえ音楽がガンガン鳴っているようなスタバやファミレスのような場所であっても平然と勉強をしているようです。私のような神経質な人間からしてみれば、羨ましいほどの図太さです。アメリカに留学の際にはスタバで勉強してみるのもいいかもしれませんね。

実際、アメリカの大学や語学学校のそばには、スターバックスが数店舗あって、大学生がそこでよく勉強しています。

図書館の個室で勉強する

日本でも一部の図書館にあるようですが、アメリカの大学の図書館にはほぼ間違いなく「carrell(カレル)」と呼ばれる、個人部屋があります。基本的には個人閲覧室という定義のようですが、私の学校の図書館では「二人以上で使用する場合のみ使用可」というルールがあり、受付で学生証を提示して空室があれば、時間単位で使えます。

個室であることから比較的静かな環境で勉強できることや、周囲を気にせずに話ができるため、日中はどのカレルも満室状態です。どのカレルにもホワイトボードと大型テレビが備え付けられており、パソコンを接続すればパワーポイントなどの資料を共有しながら勉強をすることも可能。

どの個室でも3、4人が集まって小さな講義スタイルで使用されていることが多く、私にとってこのような勉強スタイルは新鮮に写りました。実際に私の友人はこの制度を利用し、家庭教師と一緒に、週に一度カレルを使って英語のレッスンを受けています。

その学校に所属している学生であれば無料で使えるため、学生にとっては利用しない手はないとても良い設備だと思います。ただし、カレルの有無や使用の際のルールは学校によって異なるので注意してください。

教科書を買う派?買わない派?

私は語学学校に通いながらも、ビジネスの授業も受講しています。その授業では1冊16,000円ほどの教科書を使っています。私は律儀にも新品の教科書を定価で購入してしまったのですが、クラスメイトを見てみると、教科書を持っていない人がほとんど。持っていても中古品。

新品の教科書を持っているのは私くらいで、ほとんどの学生は最初の授業の説明の際に先生から「教科書は絶対に必要」と言われなかったため、買わずにいたようなのです。実際には教科書通りに授業は進められており、テストもすべて教科書内から出題され、教科書の利用率や存在価値は高いのですが、先生からお咎めがないことを良いことに教科書を買わない学生がほとんどです。

当然、教科書がないためテストの際には困っているようで、教科書を持っていない学生のほとんどはテストで70点以下の傾向があるようでした。しかし、考え方によっては70点取れていればその授業をパスすることができるので、ばかにならない教科書代を節約する意味ではいいのかもしれません。

それにしても、授業に参加しておきながら教科書を持たない学生が多く、驚いてしまいました。中にはペンすら持たずに、Macbookだけ片手に持って毎回参加する学生もいます。面白いことに授業中にMacbookを使っているところを見たことがありません。

ノートを取っているけど…

ノートを取っているけど…

アメリカ人と一緒に授業に参加していると、とにかくみんなノートを取っています。当然ながら英語を理解できるから、聞きながら書けるわけですが、そもそも英語を聞き取ることに問題を抱えている私はそのようなことはできません。

隣に座ったクラスメイトは1回の授業でノートが文字で真っ黒になるほど書き取っていたり、巧みに色を変えながらノートにまとめている人もいます。そんな忙しい中でも質問をしたり、ディスカッションをしたりと、アメリカ人学生のマルチタスク能力に感心していました。

しかし、授業中にノートを必死に取っている割にはテストができないという問題があるようなのです。私は先生の英語を理解できないため、授業中にほとんどノートを取れません。しかし、テストでは毎回90点以上を取れています。一方で、ノートを取る学生たちは70点以下の人が多いという事実もあります。

実際に、ノートを取っている学生のスコアを尋ねると決していいスコアではなく、必ずしもノートを取っていれば良い点数が取れるというわけではないようなのです。残念ながらアメリカでも、テストで点数が取れないことには次のステージには進めない仕組みです。いくらノートを取っていたり、議論が出来たり、話の核心を突く着眼点を持っていても、テストがダメならダメなのです。

「ノートを取る」は、英語で ”take a note”または “take notes”と言いますが、ノートの取り方にもいくつかメソッドあるので、後ほど紹介します。

私は自分自身を分析したときに、テストはできるが、話の核心を理解できていないタイプだと感じています。反対にアメリカ人の学生たちは、話の核心を理解できているもののテストができないと言ったところでしょう。話の核心が理解できている場合、内容をうまく要約することができます。

どちらが良いか悪いかという話ではありませんが、日本からアメリカへ留学にきて、日本の常識とは少し違った学生たちの実体があることがよく分かりました。個人的には、テストができなくても評価されるシステムがあってもいいと思うのですが、アメリカも日本と同じで、テストのできるできないが、評価基準になっていることが分かりました。

Aさん
Why is it that some of her classmates in an American university do not get good scores on tests in spite of their hard work in taking notes?
訳)アメリカの大学のクラスメートで、ノートを一生懸命取っているわりに点数がよくない人がいるのはなぜだろう?
Bさん
I’m not sure, but I guess they are so focused on taking notes that they neglect understanding the content.
訳)よく分からないけど、彼らはメモを取ることに集中しすぎて、内容を理解するのがおろそかになっているからかな。

ノートの取り方

アメリカでは、ノートの取り方においていくつかメソッドがあるので、代表的なものを紹介します。

コーネル・メソッド The Cornell Method

コーネル・メソッドのノートの取り方は、コーネル大学で開発され、「後で授業の内容をレビューしやすい」「学習成果が上がる」と高評価のノートの取り方です。

ノートの1ページを次の3つのセクションに分割します。

  1. キーワード
  2. ノート
  3. サマリー(要約)

3のサマリーにはページ下段の5、6行ぐらいをあてます。その上の行は、縦に4分の1と4分の3に分割し、左側4分の1にキーワード、右側4分の3にノートを充てます。

左側4分の1に「キーワード」を挙げていくことで、キーワードや要点が分かりやすくなって、後で復習しやすいです。

ページ下段5、6行のサマリーは、授業中に記入しきれない場合は、内容を覚えているうちになるべく早く記入するようにするといいです。

日本の授業では、サマリーを書く練習をあまりしてこなかった感がありますが、2024年度から英検2級以上の試験で、ライティング2題のうち1題にサマリー問題が入ってきました。情報を整理し要約を作成する練習をたくさんすることで、サマリー問題への対応も少しずつ上手になっていくでしょう。

ボックス・メソッド  The Box Method

ボックス・メソッドは、内容のまとまりごとにボックスを作って、ボックスごとに分けてノートを取っていく方法です。

トピックがいくつかあって、そのトピックごとに内容をまとめたい場合に、ボックス・メソッドは役に立ちます。

iPadでメモを取る場合にも、このボックス・メソッドは使えます。

マッピング・メソッド  The Mapping Method

マッピング・メソッドは、ボックス・メソッドのメモの取り方と少し似ていますが、それをもっとシンプルにして視覚化した感じのメモの取り方です。

大トピックの下に、サブトピックを書き、その下にサブトピックのキーワードやポイントを書いていき、マップのようにつなげていきます。

メモを取るとき、長い文章を書くのが得意じゃなくて、トピック、キーワード、ポイントだけを書いていきたいという人におすすめです。英語の授業で、英文すべての聞き取りが厳しい人でも、このメソッドだと、難なくメモが取れそうです。

Aさん
It seems quite difficult to take notes in an English class using the Cornell Method.
訳)英語の授業で、コーネル・メソッドでメモを取るのはかなり難しそうです。
Bさん
At first, you can use the box and mapping methods to take notes. When you get used to taking notes, you should try the Cornell Method.
訳)最初は、ボックスメソッドやマッピングメソッドでメモを取ってもいいと思います。メモを取るのに取れてきたら、コーネル・メソッドにチャレンジしてみて。

まとめ

アメリカ流の勉強スタイルはやはり日本とは少し異なるようです。アメリカ人はいつだって「合理的」なことを求める傾向があります。勉強においても合理的な方法を使っているようです。その一例が二人組で勉強したり、図書館のカレルを使ったりするところに現れているのでしょう。

勉強スタイルは国籍に関係なく人それぞれだと思いますが、自分の視野だけで考えるのではなく、アメリカ流の良さについて考えてみるのも良い機会かもしれません。日本と違って静寂な場所がほぼなく、いつだって何かしらの邪魔が入ってくるのがアメリカの大学ですが、「それが普通」というように感じられるようになれば、合理的で楽しく勉強ができるようなると思います。

ノートの取り方に関しても、コーネル・メソッドはアメリカの大学で流行っているようで、合理的で成果が出やすいノートの取り方だと言えるでしょう。英語で授業を受けたら、英語でメモを取るというのが基本です。難しい英単語については、日本語で意味を書いておくといいですが、すべて英語でメモを取るように訓練していきましょう。

個人的には慣れるまでにもう少し時間がかかりそうですが、アメリカは日本よりも気楽に、楽しく勉強できる最適な場所であるのかもしれません。ぜひ、留学や滞在の際には勉強スタイルの違いなどにも目を向けて、彼らから学べるものは学んでみてください。