英語を勉強していると「目的語」という言葉を目にすることがあるでしょう。
「目的語」とは、英語が文章を組み立てる時の大原則「5文型」を構成する要素の一つです。
英文法用語の一つなので、「英文法が苦手!」「英語は意味を訳して読むから、英文法は気にしてない!」という方には悩みの種になりがちです。
しかし、目的語の性質を理解すると、英文法の苦手が一つ減るだけでなく、英語を読んで理解する時にとても役に立ちます。
この記事では、そんな「目的語」について詳しくお伝えします。
目的語ってそもそも何なの?
「目的語」とは、動詞とくっついて意味を成す英語を指します。
身近な例を挙げると、「Know(~を知る、知っている)」が目的語と相性の良い動詞です。
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I know it.
(知っているよ) -
I know him.
(彼を知っているよ。) -
She knows the news.
(彼女はその出来事を知っている。)
こうした具合に、KnowとIt, him, newsがくっついて、英語の「文章」として完成します。
↑の例文でいう「It, Him, News」などの「名詞」にあたる部分が「目的語」と呼ばれているわけです。
補語と目的語の違い
「目的語」と混同しやすい英語の働きに「補語」というものがあります。
例えば、以下の英文は主語、動詞、補語によって成り立っています。
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She is beautiful.
彼女は美しい。 -
He became a famous actor.
彼は有名な俳優になった。 -
He looks happy.
彼はハッピーなようだ。(ハッピーなように見える)
いかがでしょうか?
前項でお伝えした「I know him」や「She knows the news」と何が違うの?と思った方も多いのではないでしょうか?(少なくとも英語を始めたての筆者はそうでした。)
確かに目的語も補語も、動詞の後に来ますのでとてもよく似ています。
それでは補語と目的語との違い、そして見分け方を見ていきましょう。
目的語と補語の見分け方は?
目的語と補語との見分け方は、ズバリ「主語との関係」だと言えます。
もし、動詞の後に来る英語が主語とイコールの関係で結びつけば、それは補語になります。
補語の例文と照らし合わせて見てみましょう。
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She is beautiful.
彼女は美しい。 -
He became a famous actor.
彼は有名な俳優になった。 -
He looks happy.
彼はハッピーなようだ。
1.の例文「She is beautiful.(彼女は美しい)」については、She(彼女)とBeautiful(美しい)はイコールの関係にあると言えますね。(彼女=美しい)
2.の例文「He became a famous actor.」についても、He(彼)とA famous actor(有名な俳優)がイコールの関係です。(彼=有名な俳優)
3.の例文「He looks happy.」も、He(彼)とHappy(幸せ)はイコールの関係です。(彼=幸せ)
対して、目的語の例文で照らし合わせて見ましょう。
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I know it.
(知っているよ) -
I know him.
(彼を知っているよ。) -
She knows the news.
(彼女はその出来事を知っている。)
1.の例文では、I(私)はIt(それ)と同じ(イコール)ではないですよね?
2.の例文も、I(私)とHim(彼)とはイコールの関係ではありません。
3.の例文もShe(彼女)とThe news(その出来事)はイコールではないですよね。
このように、主語との関係がイコールで結ばれるか結ばれないかを確認することで、目的語なのか補語なのかを見分けることができます。
そもそもなんで目的語と補語を見分ける必要があるの?
前項までの話を聞いて、こう思った方もいらっしゃるのではないでしょうか?
おっしゃる通りです。
高校を卒業して、大学で英語を専攻した筆者も、英文法が大の苦手だったので、まさにそう思っていました。
「英語の品詞がわかったところで、ただの自己満足でしかなくない?」と。
しかし、目的語と補語がわかることで、英語の文章を読む時に大きく読み手の私たち自身を助けてくれます。
なぜなら、目的語か補語かわかることで、文章の骨格を瞬時に、正確につかめるようになるからです。
文章の骨格とは、教科書に載っている文法用語で言うなら「5文型=SVOCの形」のことです。
一つ例を挙げましょう。
Tiger sharks, the fourth largest type of shark on the planet, are known to consume not only fish, turtles, and mammals such as seals but also an extremely wide variety of other sea creatures.
(出典:2019年度第3回英検準1級過去問 P.6)
↑の文章を、最初から最後まで一語ずつ訳そうと思うと、頭が痛くなるのではないでしょうか?(筆者はなります。)
しかし、文章の骨格をとらえると……
- Tiger shaeks(主語)
- Are known(動詞)
- To consume(目的語)
これだけでもかなりわかりやすくなったのではないでしょうか?
Tiger shaeksがTo consumeすることで知られて(Are knownされていて)、他の英単語はConsumeされる対象として羅列されているだけだとわかります。
なので、文章の骨格は「イタチザメ(Tiger sharks)は、食べること(To consume)で知られて(Are known)されている。これ以下はConsumeされる具体例→(魚や亀、アザラシみたいな哺乳類だけじゃなくて、広い範囲の海の生き物をね。)」とシンプルにして読むことができるわけです。
このように、補語なのか目的語なのかを見分けられるようになることで、例文のような長い文章も難なく読めるようになるわけですね。
目的語と補語を見分けられるとTOEICの点数も上がる?
前項で「目的語と補語を見分けられることで、英語を読むのに役立つ。」とお伝えしましたが、目的語と補語を見分けられることで「TOEICの点数が上がる」という目先のメリットもあります。
TOEICのリーディング(読解)パートには、純粋に文法知識を問われる問題が登場します。
その際に、選択肢直後の英語が目的語か補語かを見分けることが出来れば、上級者でも見落としてしまうような問題でも迷わず正解を選ぶことができるようになります。
英語の動詞には「目的語を取らないと使えない動詞=他動詞」と、「目的語を取る際に前置詞を伴う動詞=自動詞」があるからです。
- 長い文章をシンプルにしてスピーディに読める
- 自動詞と他動詞を見抜いて、間違った選択肢を見抜ける
このことから、目的語と補語を見分けられることで、「TOEICの点数が上がる」という目先のメリットもあると言えますね。
まとめ
この記事では、英語の文章を構成する大切な要素の一つ「目的語」についてお伝えしました。
ここまでお読みのあなたは、「目的語」が英語をどんな風に構成するかがわかっているだけでなく、英文中の目的語を見抜くことで英語をスムーズに理解できる事実を十分に理解しているでしょう。
この記事でお伝えした内容が、あなたの英語学習をより充実したものにできれば幸いです。