言語コーパスを使えば、英語学習をより効果的にすることができます。

言語コーパスとは、英単語と英単語の相性や使われ方を集めたデータベースを指します。

しかし、英語学習にコーパスを使っている人や、コーパスについて詳しく知っている人は多くありません。

この記事では、言語コーパスとは何かについてと、言語コーパスを使った英語の勉強方法についてお伝えします。

言語コーパスとは何か

言語コーパスとは、言語の研究のために使われる、実際に使われている単語やフレーズの莫大なデータベースです。

例えば、コーパスを見ると「『銃』という単語は、『規制』『制限する』『所持』『違法の』『撃つ』などの単語と一緒に使われることが多い。」といった事実を確認できます。

また、ニュースや新聞、テレビ番組、話し言葉、書き言葉など、どの分野でどんな言葉が使われているのかを知ることができます。

最近ではAI(人工知能)が言語を学習するためのデータベースとしても用いられ、翻訳機などの技術向上にも貢献しています。

コーパスで英語の自然な使い方がわかる

コーパスで英語の自然な使い方がわかる

コーパスを使うことで英語の自然な使い方がわかります。

英語の自然な使い方がわかれば、英語学習をより効果的に進めることができます。

これには以下の根拠があります。

  1. 実際に使われている単語がわかる
  2. 適切な英語の使い方がわかる

順番に見ていきましょう。

1.実際に使われている単語がわかる

コーパスでは「今現在どの英単語がどれだけ頻繁に使われているか」を確認できます。

例えば、あなたが飛行機に乗った時に機内食やブランケットの提供などをしてくれる「客室乗務員さん」を何と呼ぶでしょうか?

かつて飛行機の客室乗務員さんは「Stewardess(スチュワーデス)」と呼ばれていました。

しかし、現在では「Flight Attendant(フライトアテンダント)」と呼ぶのが一般的になっています。

これは「Stewardess(スチュワーデス)」がもともと女性を表す英単語であり、「客室乗務員は女性の仕事」という誤解を与えるとして「Flight Attendant(フライトアテンダント)」に呼び名が変わったからです。

この「Stewardess(スチュワーデス)」をThe Corpus of Contemporary American Englishで見てみると、実際に1990年〜2004年までは頻度(Freq)の指数が平均して172程度なのに対して、2005年〜2009年には同指数が92まで落ち着き、2015年〜2019年には52にまで減っているのが確認できます。

このように、同じ意味を表す英単語でも、年代ごとにどの英単語が好んで使われるかを確認できるので、コーパスを確認することで「生きた英語、自然な英単語選び」が身につくのを期待できます。

2.適切な英語の使い方がわかる

コーパスを活用することで適切な英語の使い方がわかります。

例えば、「予約を取る」と英語表現したい場合、「Take a reservationだっけ?Make a reservationだっけ?」と迷うことはありませんか?

こうした英語のフレーズを作る際の「英単語同士の相性」を「語法」と呼びます。

コーパスでは、実際に使われた英文からデータが作られているので、例えばTakeやMakeなどの英単語から、どんな英単語を使って英文が作られているのかを確認できます。

よって、コーパスを使って「実際に使われている英単語同士の相性」を知ることができ、結果自然な英語の感覚を身につけるのに役立つことが期待できるわけですね。

コーパスを無料で使うには?

コーパスを無料で使うには?

英語を身に着けるのに役立つコーパスですが、WEB上から無料で見られるものもります。

日本語の英単語辞書サイトで見られるコーパスもありますし、アメリカやイギリスで使われる本場のサイトで見られるものもあります。

日本語のサイト

Weblio

Weblioは日本の会社が運営する百科事典サイトです。

検索エンジンで「〇〇(英単語) 意味」などで検索すると1ページ目にヒットすることが多いので、馴染みがあるかたも多いのではないでしょうか?(いまこれを書いている筆者も英語学習の際にとてもお世話になっています。)

そんなWeblioですが、調べた英単語の意味だけでなく、「共起表現」と呼ばれる単語の使われ方のデーターベースを参照することができます。

ヒットした英単語の上の方に、「意味 例文 類語 共起表現」とタブが並んでいるので、「共起表現」をクリックすると、検索した英単語と一緒に使われている英単語を一覧で見ることができます。

例えば、「Take」で共起表現を見てみると、「Take place」や「Take over」、「Take part in」といった熟語の形のほか、「Take the 〜」、「Take a 〜」など他動詞の形で使われることが多いことがわかります。

まさに、「よく使われる自然な英単語の使い方」を学ぶのに役立つ機能だといえますね。

英語のサイト

The Corpus of Contemporary American English (COCA)

The Corpus of Contemporary American English では、アメリカ英語のコーパスを閲覧することができます。

アメリカの小説、新聞、雑誌、論文、テレビや映画、ブログで話されている、書かれている英語がデータベース化されています。

使うには会員登録が必要ですが、語学研究で使われている本格的なコーパスを見られるサイトです。

British National Corpus (BNC)

British National Corpus (BNC)では、イギリスのコーパスを閲覧できます。

British National Corpus (BNC)では、イギリスの書籍、新聞、論文、広告などで使われている言葉がデーターベース化されています。

上述のThe Corpus of Contemporary American English (COCA)とアカウントを共有できますし、WEBサイトのデザインや使い方も共通なので、アメリカ英語とイギリス英語で適切に使い分けたいですね。

コーパスを使うときの注意点は?

コーパスを使って英語を学ぶ際には、「あくまでよく使われる用法を教えてくれるものであって、なぜその表現が正しいかを教えてくれるものではない。」ことに注意する必要があります。

ネイティブスピーカーがどんなイメージを持って、その英単語同士を組み合わせて使っているかはコーパスだけではわからないということです。

このことから、コーパスだけではなく、他の学習も並行して取り入れた方が英語学習として効果的だといえますね。

「コーパス」とは?自然言語を扱うAIのカラクリ

「コーパス」とは?自然言語を扱うAIのカラクリ

前述の「言語コーパスとは何か」で少し触れましたが、現在ではコーパスの膨大なデーターベースは、AI(人工知能)の言語のデーターベースとして用いられ、翻訳機などにも用いられています。

人間が言葉の使い方を学ぶ時のように、AIも「この言葉の時はこの言葉を使う。この言葉の時はこの言葉は使わない。」ということをコーパスのネットワークを見ながら学習して、言語を扱い翻訳をするといったカラクリになっているわけですね。

まとめ

この記事では、英語を学ぶ際に役に立つ「言語コーパス」についてお伝えしました。

ここまでお読みのあなたは、言語コーパスがどんなものであるか、そして言語コーパスを使って英語の勉強をより効果的にする方法を既に理解していることでしょう。

この記事でお伝えしたことが、あなたの英語学習をより充実したものにできれば幸いです。