英語を読む時に「動詞」をまず見つけることを意識すると、長くて難しそうな文章でも楽に読めるようになります。

英語は日本語と比べて、主語や動詞などの順番などの根本的な文法構造が違うので、文章が長くなったり複雑になるほど読むのが大変になります。

そんな時に便利なのが、「まず動詞を見つける」という読解のコツです。

この記事では、「なぜ動詞を見つけられれば、難しい英文でも楽に読めるようになるのか」の理由を体験しながら、「どうすれば動詞を見つけられるのか」のコツについてお伝えします。

英語は動詞を見つけられれば楽に読める?

【apparently】の意味とは?「どうやら~らしい」の英語表現を例文で紹介

英語ではパッと見て難しそうで長い文章でも、動詞を見つけられれば楽に読むことができます。

動詞を見つけることができれば、英文の「骨格」を掴みやすくなるからです。

「英語を読む時は、まず動詞を見つけろ!」という言葉を見聞きしたことがある人も多いでしょう。学校の英語の先生から聞いたり、英文読解の参考書でもよく目にするくらい、有効な手段だからです。

英語にはさまざまな品詞、例えば名詞や副詞、形容詞や動詞などがあるので、「難しい!もう無理だ!」となる人も多いでしょう。

確かに英文を品詞を一つ一つ明らかにしながら読むのは、英文法がかなり得意な人に限られます。

しかし、品詞が全てわからなくても、英文には大まかに「主語と述語」に分けられるので、「どこまでが主語、どこからが述語」かがわかるだけでも英文を読むのがグッと楽になるわけです。

そしてその「どこまでが主語、どこからが述語」を見極めるのに、「動詞を見つける」プロセスが大きく役に立つわけですね。

ちょっとだけ例を挙げてみましょう。

Tiger sharks, the fourth largest type of shark on the planet, are known to consume not only fish, turtles, and mammals such as seals but also an extremely wide variety of other sea creatures.

(出典:2019年度第3回英検準1級過去問 P.6)

上記の例文は英検準一級で実際に出題された長文問題の冒頭部分です。

文章の始めである “Tiger sharks”から、文章の終わりである “Sea creatures” まで一続きで書かれていて、英単語一つずつ読んでいくととても大変ですよね。

しかし、動詞を見つけて、どこまでが主語、どこからが述語かを見極めると、以下のように考えることができます。

  • Tiger sharks(主語)
  • are known(動詞の受動態)
  • to consume(主語がどのようにare knownされているか)
  • sea creatures  (to consumeされる対象)

いかがでしょうか?

動詞を見つけて、主語と述語を見極めることで、文章の大まかな構成が見えて、「イタチザメ(Tiger sharks) が、海の生き物(sea creatures)を、消費することで (to consume)、知られている(are known)」という文章の骨格が見えてきます。

こうなれば、残りの英単語は主語や述語をただ説明しているだけなので、楽に素早く英文全体の意味を理解できるようになります。

【補足】ちなみに例文1全文の訳は「イタチザメ(この惑星で4番目に大きなサメの一種)は、魚や亀、アザラシなどの哺乳類だけでなく、極度に広い範囲の海の生き物を食べて消費することで知られている。(筆者訳)」といった感じになります。

以上のことから、「パッと見て難しそうで長い文章でも、動詞を見つけられれば楽に読むことができる」と言えます。

次に、先ほどよりもっと複雑な長文をチェックしてみましょう。

This overpowering need by people with sudden savant syndrome to act on their extraordinary skills is just one of the many aspects of the syndrome that scientists do not understand whether the change is permanent or if it is also in other family members.

(出典:2024年度第1回英検準1級過去問 P.7)

この文の意味はとれますでしょうか? 主節の主語と動詞がどれか分かりますでしょうか?

まず、主節の主語と動詞について見てみましょう。

  • The overpowering need(主語)
  • by people with sudden savant syndrome to act on their extraordinary skills(主語を修飾)
  • is(動詞)
  • one of the many aspects of the syndrome(補語)
  • that scientist do not understand (直前のsyndromeの修飾部)
  • whether … or if ….(understand の目的語)

この長い一文でも、動詞を見つけて、主語と述語を見極めることで、文章の大まかな構造が見えますね。長くて複雑な一文なので、主節の主語はどれで、動詞はどれかを見極めないと、文の意味が大変とりづらい一文だと言えます。

【補足】例文 2 全文の訳は「自分の非凡な能力を使って行動したいという、突発性サヴァン症候群の人たちの強すぎる要求は、その変化が永続的なものなのかあるいは他の家族メンバーにもあるのかという科学者が理解していないその症候群の多くの面の一つにすぎない。」となります。

“sudden savant syndrome”「突発性サヴァン症候群」なんて、知っている人はほとんどいないでしょうが、それを知らなくても、こういった長文に出くわしたときは、どれが「主語」でどれが「動詞」なのかを見極めることで、読み解いていくしかないです。

2行目の the syndrome that … の箇所で、that 節でも主語と動詞を確認した方がよいです。そのthat節では、the scientists が主語で、do not understand が動詞で、whether 節とif 節が understandの目的語になっています。

英単語力をとても鍛えていて、”sudden savant syndrome”「突発性サヴァン症候群」の意味を知っていても、文の構造が読み解けない人は、この文の意味をとるのが厳しいでしょう。

英検準1級の問題を取り上げて、長文を2文紹介しましたが、英検準1級、1級ではこういった複雑な長文が出てきます。長文なんて読み解けなくても、単語力さえ鍛えていけば、英検の上位級にも合格できるし、英会話もマスターできるというのは違います。

英文法の理解は、英語を究めて「上級マスター」になっていくためのカギだということに気付いていただければ幸いです。

英語で文法を軽視した筆者の悲惨な末路

英語で文法を軽視した筆者の悲惨な末路

前項で「動詞を見つけて、英文の骨格を掴む」ことの威力をお伝えしましたが、今これを書いている筆者は長い間英文法を軽視していました。

「英単語さえわかれは、英文法が苦手なままでも英語は読める」と考えていたからです。

確かに英単語がわかれば、書いてある文字の意味がわかりますから、書いてある英語が何の話をしているのかを把握することは可能です。

なので、かなり頑張れば、英語の長文読解でそれなりの点数を取ることも可能になります。

しかし、英単語力のパワープレー(力技)で英文法を軽視すると、それなりのリスクを伴います。

例えば、前項で挙げた 2つの例文のように、一文が長い文章を英単語力のパワープレーで読もうとすると、膨大な量の英単語を、一度に処理する必要に迫られます。

文章の頭から続く英単語を、なかなか来ないピリオドまでずっと一つずつ処理しないといけなくなるわけですね。

その結果、一文を読むだけでもかなり頭がクタクタになってしまいます。

筆者はそんな状態が長く続いた結果、「英語は頑張れば試験で良い点数が取れる。だけど英文メールなど、実際の英語に触れるのは嫌だ。クタクタに疲れるから。」という、「英語ノイローゼ」的な状態に陥ってしまいました。

「英語ができるようになりたいのに、英語が嫌いになってしまう」という状態は、大きな矛盾を抱えていて英語を学ぶ上で大きなリスクですよね。

筆者はその状態を改善するために、英文法を学び直して、英語の読解に応用する技術を身につける必要に迫られました。

その結果、今では前項でお伝えしたような「英文の骨格」を掴み、スムーズに英語を理解できるようになったので、英語ノイローゼを克服して前向きに英語に触れることができています。

以上のように、英文法を応用して「動詞を見つける」こと、つまり英文の構造を理解することが、英語を学ぶ上でどれだけ大きな威力を持っているかがわかりますよね。

動詞を見つける簡単なコツ

動詞を見つける簡単なコツ

ここまでで「動詞を見つけて、英文の骨格を見抜く」ことの大きな威力をお伝えしましたが、具体的にどうすれば動詞を上手に見つけられるのでしょうか?

動詞を見つける一番の方法は、「主語を見抜く」ことです。

動詞が見つけられない原因の多くが、「どこまでが主語かわからない」ことだと言えます。

例えば、以下の例文を見てみましょう。

例文 1 :The girl called Jane called on Jack.

いかがでしょうか?

「どうして動詞が2つもあるの!?」と混乱した方が多いでしょう。(私もこの例文を初めて見た時は混乱しました。)

しかし、種明かしをすれば、”The girl” の直後にある “called” は、単にメインの主語である “The girl” を説明しているに過ぎません。(「現在分詞や過去分詞は、直前の名詞を説明する」という英文法が機能しているわけですね。)

「ジェーンと呼ばれる女の子」という、一つの主語(名詞句)になるわけです。

その結果、Janeの後ろにある called onが主語になることがわかるので、”The girl … called on Jane(主語) called on(動詞) Jack.」という構成になっていることがわかり、「ジェーンと呼ばれる女の子は、ジャックを訪問した。」という文章だと分かるわけです。”call on”  = “visit”という意味を知っていないと、この英文は正しく解釈できないですが、The girl の後の “called Jane”の部分は過去分詞で、後ろからThe girlを修飾していることは、文法をしっかり勉強していれば、分かりますね。

このように、英文法知識を活かして「主語」を見つけることが、そのまま「動詞」を見つけるコツに直結することがわかりますね。

「もうコツが分かったから大丈夫」と思っているあなたにもう1問、練習問題を出します。

例文 2:The boy named Jack named his dog Leo.

いかがでしょうか?   例文2でも、動詞が2つありますが、動詞が2つあることには、もう驚かないですね。でも、name が動詞が使われたとき、どういう意味だっけ?と思って悩まれる方がおられるかもしれません。”name”が動詞で使われると、「名づける」という意味になります。ここまで解説すれば、もうこの文の意味はとれるのではないでしょうか。

“The boy” の直後にある “named” は、単にメインの主語である “The boy” を後ろから修飾しているに過ぎません。こういうのを文法用語で「後置修飾」と言います。2語以上の分詞で単語を修飾する場合、その単語の後ろに置くというルールがあります。

例文2の文の意味は、次のようになります。

「ジャックと名付けられた男の子は、彼の犬をレオと名付けた。」

例文2の文は、第何文型でしょうか?

この文は、S V O C の第5文型ですね。主語は The boy で、それを修飾しているのが named Jackですが、この部分を関係代名詞を使って “The boy who was named Jack”と書くことも可能ですが、”who was”は省略して、”The boy named Jack”と書く方が簡潔で分かりやすいですね。

まとめ

この記事では、「動詞」を見つけて英語を読むメリットや、英語を読みやすくなる理由、そして動詞を見つけて文構造を見抜くためのコツを紹介しました。

ここまでお読みのあなたは、英文法を使って動詞と文構造を見抜き、難しい文章にも臆(おく)さずに挑めるようになるため何をすれば良いかがわかっているでしょう。

この記事でお伝えした内容が、あなたの英語学習をより豊かにできれば幸いです。