「英語脳」という言葉を聞いたことはありますか?
「英語脳」は、英語学習者が目指すべき脳の状態として、英語学習者の間で話題になりました。
この記事ではそんな「英語脳」についてお伝えしていきます。
この記事を読み終わる頃には、「英語脳とはどんな状態か」を正確に理解しているだけでなく、「英語脳になるためには何をすれば良いのか」まで理解しているので、ぜひ最後まで読んでみてください。
『英語脳』とは?
「英語脳」とは、英語を日本語に変換することなく、英語のままで理解する状態を指します。
例えば、皆さんは英語を読むときにどんなプロセスで読んでいるでしょうか?
英語学習者のボリュームゾーン(TOEIC600点や英検2級レベルまでの学習者のほとんど)は、英文を読む時に一度日本語に訳して読む傾向があります。
例を挙げるなら、日本語ネイティブの皆様は「りんご」と言われた時に「丸くて赤い、かじると果汁がジューシーで甘酸っぱいあの果物」が思い浮かんだかと思います。
ここで「Apple」と言われたらどうでしょうか?
多くの日本人は、「Apple」と言われると頭の中に「りんご」という日本語が浮かびます。
対して、英語脳を身に着けた人は、「Apple」という英単語が直接「丸くて赤い、かじると果汁がジューシーで甘酸っぱいあの果物」をイメージできます。
これが日本語脳と英語脳との違いです。
「Appleくらいなら、日本語に変換しなくても直接イメージできるわ!」とお考えになった方もいらっしゃるでしょう。
しかし、これが「Apple」という英単語ではなく、以下のような「英文」だったらどうでしょうか?
The roman emperor Caligula, also known as the “mad emperor,” became so infamous that it is difficult to separate fact from legend regarding his life.
出典:2021年度 第3回 英検準1級 より
いかがでしょうか?
「全然読めなかったー」という方はもちろん、意味を訳せた方の中でも、日本語に訳さずに読めた方は少ないのではないでしょうか?
このように、英語を外国語として学ぶ人のほとんどは、英語を一度母国語に訳すプロセスを踏んで理解しています。
しかし、TOEICのハイスコアや英検の上位級を取得する人、海外で実際に働いて英語を身に着けている方の多くは、「英語を英語のまま理解している」事実があります。
実際に、科学雑誌「Nature」に発表された脳科学の論文によると、高校生以降に第二言語として英語を習得した人は、母語(日本人の場合は日本語)を使用するときと英語を使用するときでは脳の別の領域が活動するという実験結果があります。
そして、そんな英語脳を身につけることで、「英語を省エネで即座に理解できる」という利点があります。
つまり、英語を読むたびに頭を使ってぐったりとしてしまうことなく、日本語を扱うように英語を扱うことが出来るようになるということです。
※先程の例文を訳すなら、「”狂った皇帝”として知られるローマ皇帝カリギュラは、彼の人生に関して事実と伝説を区別できないほどに悪名高くなった。」といったような訳になります。(訳:筆者)
日本にいて英語脳は手に入れられるのか?
英語を学ぶうえでメリットの多い「英語脳」ですが、海外留学などをせずに日本国内にいたまま手に入れられるのでしょうか?
結論を言えば「簡単ではないが、可能」だといえます。
その根拠について一つずつ見ていきましょう。
簡単ではない理由
日本にいて英語脳を身に着けにくい理由として、「必要に迫られにくい環境」が挙げられます。
英語脳を習得するとき、「必要に迫られる環境」は非常に強い武器になります。
英語を身に着けようとする人が積極的に海外留学をしたがる理由もここにあります。
海外留学をして、特に周りに日本人がいない環境に置かれると、「日本語を話すメリットが全くなくなります。」
英語脳を身につけるとき、「英語を話す環境」よりも、「日本語を話すメリットがない環境」が非常に有効になります。
日本語を話すメリットが全くないので、脳はそれに順応して「どうにか英語を伝えて、この危機的状況を脱しなくては!」というモードに入ります。
このような「日本語を話すメリットがない環境」が英語脳の形成に非常に効果的なのですが、日本国内にいると絶望的に環境に恵まれません。
まず日本語を話せば通じてしまうのですから。
この「英語脳を作るのに、環境の要因が大きい」というのが、「日本にいると英語脳を作るのが難しい」と主張する根拠です。
可能な理由
続いて、「日本にいても英語脳は作れる」の根拠です。
先程、「英語脳を作るのには環境設定が大きな要素」と申しましたね。
そうです。環境さえ設定できてしまえば、日本にいても英語脳を作ることは可能です。
具体的には、英会話スクールや英会話カフェにいるときだけでも良いので、「この時間は絶対に日本語より先に英語を思い浮かべる」と意識することが効果的です。
それによって、擬似的に海外留学中のような「英語脳を作るのに好ましい環境」を設定できます。
日本はこの環境設定がとても難しいので、多少強引にでも擬似的な「日本語を話すメリットが全くない」環境を作ってしまいましょう。
英語脳に近づける勉強法
英語脳に近づけるのに非常に効果的な勉強法があります。
それは「目に入るものすべてを英語でとらえる」という勉強法です。
例えば、今筆者はこの記事を喫茶店で書いています。
キーボードから手を離して視界を広げてみると、コーヒー、水、ノートパソコン(この記事を書くために持ち込んだものです)、スマホ、メニュー、電灯などがあります。
これらを一切日本語を切り離して、「A cup of coffee, a glass of water, a laptop computer, a cellphone, a menu-book, a light……」
といった感じですべて英語でとらえていきます。
慣れてきたら、目に入るものを英単語ではなく「英文」でとらえてみるといいでしょう。
「This is a cup of coffee, This is a glass of water, That is a light……」といった感じです。
英単語で思い浮かべるか、英文で思い浮かべるかは些細な違いに感じますが、英語のネイティブスピーカーからすると非常に大きな違いに感じるようです。
↑のような地道な作業の積み重ねから、英語を英語のまま理解する「英語脳」の習得につながります。
英語脳を作るためのコツは「〇〇」だった!
最後に、英語脳を作るためのコツと注意点についてお伝えします。
英語脳を作るためのコツは、ズバリ、「順番」です。
なんの順番かと言うと、「頭に浮かぶ言語」の順番です。
冒頭でお伝えした「Apple」を例に挙げてみましょう。
例えば、目の前に「丸くて赤い、甘酸っぱいあの果物」の写真が出された時に、「りんご」より先に「Apple」を思い浮かべるよう意識します。
これによって、あなたの持っている「語彙(ごい)、ボキャブラリー」が「りんご」から「Apple」に更新されていきます。
最終的に、りんごの写真を見て「This is a picture of apple.」という英文が一番先に頭の中に浮かんだら完璧ですね。
この作業を「Apple」以外の全てに行えば、あなたの英語力は飛躍的に向上していることでしょう。
まとめ
この記事では、「英語脳」について、以下の点からお伝えしてきました。
- 英語脳とは、英語を母国語に変換せず、英語のまま理解する脳の状態を指す。
- 国内で英語脳を身につけるには、多少強引でも「日本語が意味ない環境」を設定するのが効果的
- 英語脳を身につけるには、頭の中に浮かぶ「言語の順番」を「英語第一」に変化するのが効果的
ここまでお読みのあなたは、もう英語脳の理想的な状態と、それに至るまでの効果的な方法を知っていることでしょう。
この記事でお伝えした内容が、あなたの英語力を豊かなものにできれば幸いです。