英語は使わないとどんどん衰えていきます。
車もしばらく運転しないと上手な運転ができなくなっていきますし、楽器やスポーツもしばらく止めただけでガクッとできなくなってしまいますよね。
定期的に練習しないと衰えていくことから、英語の上手さを「筋肉」のように例えて「英語筋」と呼ぶ人もいます。
そこでこの記事では、英語の上手さを表す「英語筋」が、どんな原因で、どれくらいのスピードで衰えていくのか、また英語筋の衰えをどのように防げるのかをお伝えしていきます。
英語筋が衰える原因
英語筋が衰える原因はいくつもありますが、主な理由は以下の点だと言えるでしょう。
- 環境の変化
- 英語を使う頻度の減り
- 記憶の要因
順番に見ていきましょう。
環境の変化
英語筋が衰える大きな原因として、「環境の変化」が挙げられます。
最もわかりやすい事例が「留学から帰国する」ことでしょう。
留学中は日常的に英語に触れていたり、自分の想定外のシチュエーションからも英語を使う必要に駆られたり、自分が意識していない周りの会話でさえも英語で行われていますよね。
留学中は外国語を学ぶのに最適な環境だと言えるでしょう。
しかし、留学期間を終えて日本に帰ってくるとどうでしょうか?
当たり前のように周りの会話が母国語である日本語で聞こえてくるようになり、身の回りのことがほぼ全部、日本語で解決するようになります。
留学の他にも、英会話教室の受講期間が終了したり、英語で話す友人と疎遠になってしまったりと、「英語を使わない環境」に変化すると、英語筋が衰える大きな要因となります。
英語を使う頻度の減り
英語を使う頻度が減ると、英語筋が衰えていきます。
例えば、高校受験や大学受験などで勉強している間は当たり前のように出来ていたことが、受験期間が終わってしばらくしてからは全くできなくなった経験はありませんか?
今これを書いている筆者は、大学受験をしている時には江戸幕府の歴代将軍の名前を全て覚えていて、さらに何代目の将軍が何をした人なのかも全て言えました。
しかし、大学1年生の冬にもなると、江戸幕府の歴代将軍の名前も3人程度しか思い出せない上に「江戸の三大改革は?」といった初歩的な質問にも答えられなくなってしまったのを今でも覚えています。
これは勉強以外にも、車の運転や楽器の演奏、スポーツなどでも同じことが言えますね。
頭以上に、「身体が」英語を忘れてしまうわけです。
英語も例に漏れずに、使う頻度が少なくなると、あっという間に衰えてしまい、当たり前に出来たことが出来なくなるわけですね。
記憶の要因
英語筋が衰える原因として、記憶の要因もあるでしょう。
記憶は脳で行われるもので、脳は神経の大きな集まりだと言えます。
神経は電気を通して連携することで機能しているのですが、上述した環境の変化や英語を使う頻度が減ってしまうと、英語を使う時に使っていた「神経回路」が使われなくなります。
「神経回路」が使われなくなると、いざ必要に迫られた時に、回路を巡る反応が鈍くなってしまいます。
つまり、英語を使う脳の回路が鈍ることで、英語筋が弱り、英語が使えなくなってしまうわけですね。
英語筋の衰えの進行速度
英語筋はどれくらいのスピードで、どんな風に衰えていくのでしょうか?
段階を追ってお伝えしていきます。
英語筋の衰え初期段階
英語筋の衰えは、数週間から数ヶ月で初期段階がやってきます。
英語筋の衰え初期段階では、主に以下の点で英語力が衰えてきます。
- 単語力
- 英語の流暢さ、滑らかさ
- 発音
まず単語力。英語から離れて数週間や数ヶ月すると、特に新しく学んだ英単語が抜けていきます。
新しく学んだ英単語は、長い間保っておける「長期記憶」にまで行っておらず、すぐに忘れてしまう「短期記憶」にあるので、数週間から数ヶ月でまず先に忘れてしまうわけですね。
英語の流暢さや滑らかさも、数週間から数ヶ月で衰えてしまいます。
英会話の中でとっさに単語やフレーズが出てこないことが多くなり、結果として流暢さや滑らかさが損なわれてしまうわけです。
さらに、英語らしい発音も自然に出てきづらくなります。LとRやTHの発音など、日本語で使われない英語の発音は特に、意識しないと自然な発音が出なくなってしまいます。
英語筋の衰え中期段階
数ヶ月から半年程度英語に触れない期間が続くと、英語筋の衰え中期段階がやってきます。
英語筋の衰え中期段階では、主に以下の点で英語力が衰えてきます。
- 英語の構文理解
- リスニング力
- 文法理解
まず英語の構文理解について、数ヶ月から半年程度英語に触れていないと、少し複雑な英語の構文をスムーズに理解できなくなります。
特に英語と日本語は語順が違うので、構文が複雑になると理解がしづらくなるので、数ヶ月から半年くらい英語に触れなくなることで、構文理解の「慣れ」が抜けてしまって、英語の構文が読み取りづらくなるわけですね。
また、リスニング力も衰えてきます。英語を聞き取って理解する力が衰えてきて、ネイティブスピーカーの話すスピードについていけなくなり、結果として「リスニング力が衰えた」と感じるわけですね。
さらに、数ヶ月から半年ほど英語に触れていないと、英文法の理解が衰えて、自然な英語から離れてしまいます。
特に冠詞や時制など、日本語で意識しない部分でミスをする傾向が多くなります。
英語筋の衰え後期段階
英語を1年以上使わない期間が続くと、英語筋の衰えの後期段階に入るでしょう。
英語筋の衰え後期段階では、主に以下の点で英語力が衰えてきます。
- 基本のフレーズが出てこない
- 英語を使う自信がなくなる
- 英語筋を取り戻すのが難しくなる
まず、英語を1年以上も使わない期間が続くと、日常的に使う基本のフレーズもスムーズに出て来なくなります。
これは、日常的に使う英語のフレーズが、日本語に完全に置き換わってしまうことが要因だと言えます。
例えば留学や海外駐在などでは、日常的なフレーズを英語で言えない状態は致命的です。日本語を使っても、周りに理解してくれる人は誰もいないわけですからね。
しかし、日本に帰国するなどして英語を使わない環境に長くいると、英語よりも日本語の方がよく伝わるわけですから、脳が「英語は不要」と判断して、日常的なフレーズが日本語に置き換わってしまいます。
その結果、英語の基本のフレーズさえも出てくるまでに苦労してしまうわけですね。
また、英語を1年以上使わなくなることで、自分の英語力に自信がなくなり、英語でコミュニケーションを取るのを避けてしまいがちになります。
さらに、1年以上英語を使わないと、英語を使う脳の回路も長い間使われなくなっているので、かつての英語筋を取り戻すには時間と努力が必要になります。
英語筋が衰えるのを防ぐ方法
せっかく鍛えた英語筋が衰えるのを防ぐには、どうしたら良いでしょうか?
英語を習慣化する
英語筋の衰えを防ぐには、英語を習慣化することが大変効果的です。
英語筋が衰える大きな要因は「英語を使わなくなる」ことでしたよね。
逆を言えば「英語を使い続ける」ことができれば良いわけです。
とはいえ、環境などの変化で英語を使う機会が減っていると、英語を使い続けるのは口で言うほど簡単ではないでしょう。
なので、日常の中で自然な習慣として、英語を取り入れるのが効果的です。
例えば、普段見るニュースの一部を英語ニュースにしてみる、お気に入りの英語のポッドキャストを見つける、などの方法がありますね。
人間は「意識して継続」するよりも、「習慣として続ける」ことの方が挫折リスクが低いです。
ですから、英語筋の衰え防止に、ご自身の習慣のひとつに英語を取り入れるのは大変効果的だと言えるでしょう。
英会話の機会を意識して作る
英語筋の衰えの原因である「英語を使わなくなる」ことは、環境の変化によって起こることがほとんどです。
例えば、留学や海外駐在からの帰国が多いですね。
環境が大きく変化すると、それまでのように英語を習慣的に使うのがとても難しくなります。
なので、意識して英会話や英語を使う機会を作るのが効果的です。
例えば、意識して「英会話カフェ」に顔を出してみたり、留学中や海外駐在中にできた友人、同僚と積極的に英語で交流してみるのが良いでしょう。
最初は意識して作った英語の環境が、段々と「日常的な習慣」になれば、挫折するリスクも低くなります。
冒頭でお伝えした通り、英語を使わなくなる原因が「環境の変化」に伴うものであるならば、「意識して英語を取り入れる」ことも「環境の変化」として一緒に取り入れてしまうのが効果的だと言えるわけですね。
まとめ
この記事では、英語力を「筋力」に例えて、以下のことをお伝えしました。
- 英語力は、環境の変化、英語を使う頻度の減少、記憶の要因から、筋力のように衰えていく
- 英語筋は初期段階、中期段階、後期段階と、細かいコツから英語力の根本へとじっくり衰えていく
- 環境の変化による英語を使う頻度の減少を、習慣と意識によって防ぐのが効果的
この記事でお伝えした内容が、あなたが培った英語力を活かし、あなたの英語ライフをより豊かにできれば幸いです。