英語を取りまく教育環境はここ数年で大きく動きました。
これまで中学校からの導入だった「科目としての英語」が、小学校5年生からの導入に前倒しになり、学ぶ英単語の数や英文法の項目が増えてより本格的な英語教育に変化したといえますね。
さらに、これまで日本の英語教育の課題であった「会話にも使える、より実践的な英語教育」にも焦点が当たり、中学校からは英語の授業を原則英語で行われるようになります。
この記事では、それだけ大きな変化があった英語教育について、具体的にどんなことが変わったのか、そして「教育」について話す時に英語では何と言うのかについてお伝えします。
「教育」を英語で訳すと?
「教育」とひと口に言っても、教育にはさまざまな形態があります。
学校での義務教育、家庭での幼児教育、また社会人になっても新人の教育など、「教育」が持つ意味や使われる場面はさまざまです。
日本語ではひと言で「教育」と表現しても、英語で表現する時はそれぞれ別の表現をします。
順番に見ていきましょう。
学校教育
一般的な「教育」を表すのは、「学校教育」のニュアンスを持つ「Education」です。
もともとは動詞の「Educate(教育する)」の形で、それが名詞の形になると「Education(教育)」になります。
「学歴」は「Educational Background」ですし、教育費は「educational expenses」で表すので、学校教育のような知的教育には「Education」が使われます。
例文
- We must educate our youngsters better.
私たち若者をもっとよく教育しなくてはならない。 - She took pains to educate her children
彼女は子供を教育するのに苦労した - To educate a boy in the way he should go
子どもを立派に育てる - An old-fashioned education for girls
旧様式の女子教育 - The expenses necessary for school education
学業に必要な費用
(家庭での幼児)教育
家庭内での「養育」や「幼児教育」は「Upbringing」が使われます。
必ずIng形で使われ、「Upbring」の形では使われないため注意が必要です。
- Upbringing at home
家庭での育て方、家庭教育 - Upbringing in a family
家庭での育て方、家庭教育 - Upbringing method
教育法 - musical upbringing
(幼少期からの)音楽教育
新人教育、新人研修
学校教育を終えて会社に入ってからも、「新人教育」や「研修」などの意味で「教育」という言葉が使われます。
こうした会社などでの「教育」は「Instruction」や「Training」で表されます。
- instruction ability
指導力 - instruction by correspondence
通信教育 - instruction environment
教育環境 - instruction beyond the classroom walls
教室での勉強にとらわれない教育 - training analyses
教育分析 - training and development
教育研修 - Training and Education Benefits System
教育訓練給付制度
英語教育改革
「日本人は先進国の中でも英語が苦手」と言われています。
確かに日本の母国語である日本語は、使われる文字も文法も英語とは違うため、日本人が英語を学ぶのは難しいです。
さらにその日本語と近い言語である韓国語や中国語を話す韓国と中国と比べても、日本の英語力指数は低いです。(「EF EPI英語能力指数」において、韓国は37位、中国は49位なのに対して、日本は78位)
この状況を打破するため、英語教育は現在の社会人が受けてきたものから大きく変わろうとしています。
改革されている英語教育
現在英語教育は以下のように大きく改革されています。
- 2020年度から小学校での英語教育が導入される
- 覚える英単語数と文法事項の数の増加
- 4技能を重視
順番に見ていきましょう。
1.小学校での英語教育導入
これまで学校科目での英語は中学校からでしたよね。
これが2020年度から大きく変わり、小学校5年生から英語が科目として導入されます。
これまで中学校から高校までの6年から、2年間前倒しになったことで8年間の教育課程になったわけですね。
これによって後述の改革にも影響を及ぼします。
2.覚える英単語数と英文法項目の増加
英語科目の導入が前倒しになったことで、覚えられる英単語数と英文法項目が増加しました。
「小中高における新学習指導要領実施前後の目標単語数の比較」によると、中学校から高校までに習得する英単語数が、これまで3000語程度だったのに対して、2020年度以降は4000語〜5000語程度に増加します。
また英文法項目においても、これまでは高校に入学してからの履修だった仮定法や現在完了進行形などを中学校の時点から学びます。
3.4技能の重視
これまで座学中心だった英語教育が、「4技能の習得を目標とした科目」となりました。
英語の4技能とは、読解(リーディング)、聴解(リスニング)、作文(ライティング)、スピーキング(英会話)の4つの技能を指します。
つまり、これまでの読解や英作文が中心だった学校科目としての英語から脱して、コミュニケーションも重視するより実践的な英語の習得を目標としているわけですね。
具体的には……
- 中学校から英語の授業が極力英語で行われる
- 大学入試共通テスト(旧センター試験)に、マークシート試験に加えて外部試験(英検など)を用いた4技能を評価予定
といったことが組み込まれます。
子どもの英語教育
科目としての英語の導入が2年間前倒しになりましたが、英語教育でよく話題になるのが「母国語を覚え始める幼児期からの英語教育が効果が高い」という点です。
イギリスの科学学術誌である「ネイチャー」によると、脳科学的に言語中枢が最も発達しやすいのは「6歳から13歳までの間」とされ、「言語を司(つかさど)る脳の部分を摘出(てきしゅつ)した手術の後では、思春期以前に摘出(てきしゅつ)した患者さんは、思春期以降に摘出(てきしゅつ)した患者さんに比べて、言語能力を取り戻すのが容易だった。」としています。
つまり、言語中枢が柔軟である6歳〜13歳の間に外国語も含めて言語を学ぶのが脳科学的には効果的といえますね。
まとめ
この記事では、英語の教育について以下の点からお伝えしてきました。
- 「教育」を英語で表す時、学校教育はEducation、家庭教育はUpbringing、従業員の教育はTrainingやInstructionが使われる
- 2020年度から英語教育が一新され、必修化の前倒し、覚える項目の増加、4技能教育による実践的な英語教育の導入がされた
- 脳科学的には、6歳〜13歳での言語習得が効果的とされている
ここまでお読みのあなたは、「教育」について英語で話すときの語彙力、そして英語教育に起こった大きな変化について十分に理解しているでしょう。
この記事でお伝えしたことが、あなたの英語の理解をより深いものにできれば幸いです。