国連英検は、英語力だけでなく国際社会・国際情勢への深い理解をアピールできる英語資格です。

私たちがよく知る”英検”と比べると一般的な認知度は劣りますが、英検以上に高いレベルの英語を学ぶことができたり、国際機関へのアプローチにマッチしていたりと魅力ある英語資格でもあります。

この記事では、国連英検について通常の英検と比較しながら、その難易度や取得するメリットについてお伝えします。

国連英検とは?普通の英検とどう違うの?

冒頭でお伝えしたとおり、国連英検とは英語力だけでなく国際社会や国際情勢への深い理解をアピールできる英語資格です。

国連”英検”と名前がついているので、私たちがよく知る英検との違いについて気になる人が多いでしょう。

本項では国連英検について、私たちに馴染み深い英検と比較しながらお伝えしていきます。

英検との違い

日本の英語資格の中で最も有名な試験のひとつである「英検」が、日本の教育を司る「文部科学省」が後援する日本英語検定協会が主催しているのに対して、国連英検は日本の外交を司る「外務省」が後援する日本国際連合協会が主催しています。

そのため文部科学省と結びつきの強い通常の英検は、高校受験や大学受験などで活用されることが多く、英語科目のみなし得点や推薦入試の考慮事項として導入している学校も多いです。(※)

※ただし高校卒業程度認定試験(旧大検)の英語資格として文部科学省が国連英検C級を認定しているなど、国連英検も文部科学省と提携している事例も有り

対して国連英検は、各級に「何年生程度」の指標はあるものの、実際のコミュニケーションや英語運用能力、国際社会への理解に重きを置いた試験となっているため「実務」に焦点が当たった試験となっています。

特に、A級や特A級になると国際情勢に絡んだトピックの英作文とネイティブスピーカーとの時事問題討論が課せられ、「語学」としての英語を超えた「国際人としてのスペシャリスト」が目標になっていることがわかります。

まさに国連英検が公式ホームページで掲げている「真の国際人へのパスポート」にふさわしい試験であることがわかります。

英検との共通点

国連英検と英検には共通点もあります。

1点目は「幅広い受験者層」です。

英検は小学校5年生レベルの5級から、大学上級レベルの1級まで幅広い受験者層を対象にしています。

同じように国連英検も、中学卒業レベルのE級から、国際会議で通訳なしで英語の契約交渉ができるレベルの特A級まで幅広いレベルの受験者を対象にしています。

2点目は「コミュニケーション重視」の英語試験である点です。

国連英検の公式サイトでは以下のように記載されています。

国連英検はコミュニケーション能力を重視した試験です。B級~E級で出題されるリスニング問題のウエイトは40%と高く、またB級以上は国際時事問題をテーマとした作文問題(ウェイト20%)が設けられています。

国連英検公式サイトより

↑では「下位〜中位級のリスニング問題のウェイトが40%」を根拠にして「コミュニケーション能力を重視した試験」としています。

同じく英検の問題を見てみると5級から2級までの一次試験では、リスニング問題のウェイトは40%〜50%を占めていることが確認できます。

以上のことから、英検と国連英検は「コミュニケーションを重視した英語力検定試験」という点で共通しているといえます。

国連英検を受験するメリットとは?

国連英検を受験するメリットとは?

国連英検を受験するメリットには主に以下のことが挙げられます。

世界情勢・国際時事を英語で考えられるようになる

国連英検の最大の特徴が「世界情勢・国際時事に焦点があたった英語を学べる」点だと言えます。

例えば日本で最も有名な英語資格のひとつであるTOEICは、日常英語に加えて企業間のやりとりや契約などビジネス英語が問われます。

その結果、一般企業から「ビジネス英語力の指標」として広く用いられています。

対して国連英検は、「世界情勢・国際時事」に焦点が当たった試験です。

試験出題トピックも国連の活動に沿って、世界平和、地球環境、世界政治、世界経済、人権、食品、医療等の世界情勢・国際時事問題を広く取り扱っているので、今まさに地球上で問われている問題を認識し、自分の考えや解決策を論理的に伝達する表現力が求められます。単なる語学力の判定にとどまらず、総合的な国際コミュニケーションスキルが問われる検定試験です

国連英検・試験概要より

↑のような世界情勢・国際時事問題について「英語で」考えることで、国際社会の問題や自分の意見について英語で発信できるようになります。

国際機関へのアプローチに有利

国連英検を受験することで、国際機関へのアプローチが有利になります。

例えば、独立行政法人である「国際協力機構」では、国連英検のC級以上を語学力の評価基準として採用されています。↓

国際協力機構(JICA)ではC級以上の合格者を派遣職種により語学力の評価基準として採用されています。

国連英検:試験概要より

また、国際機関で働きたい人が登録する「外務省ロスター登録制度」に登録する語学の要件として「国連英検A級」が認定されています。(参照:国際機関職員募集情報 18ページ)

以上のように、国連英検が国際機関へのアプローチに有利に働くことがわかります。

国連英検はどれくらいの難易度?

国連英検はどれくらいの難易度?

国連英検の難易度は、「私たちがよく聞く”英検”よりも少し難しく、”英検”と同じくらい幅が広い」といえます。

国連英検は、難易度ごとにE級から特A級までのレベルに分かれています。

国連英検の最も初級であるE級レベルが「中学修了程度」とされていて、対して英検は3級で「中学修了程度」となります。

国連英検E級

E級
中学修了程度の文法・文型に基づく英語の理解力が要求されます。簡単な趣味や自己紹介が出来るコミュニケーションレベルです。

国連英検 試験概要 受験級レベルより

英検3級

級:3級
推奨目安:中学卒業程度

日本英語検定協会公式ホームページ 「各級の目安」より

また「国連英検:試験概要 各級合格者 他英語資格」によると、国連英検の最も高い級である特A級合格者は、90%以上が英検1級を既に所有していると回答しています。

このことから特A級が英検1級を凌(しの)ぐ難関の試験だとわかります。

以上の国連英検E級と英検3級、国連英検特A級と英検1級を比較すると、国連英検の難易度は、「私たちがよく聞く”英検”よりも少し難しく、”英検”と同じくらい幅が広い試験」だとわかります。

国連英検ジュニア

国連英検ジュニア

英検に「英検ジュニア」があるように、国連英検にもジュニア向けの「国連英検ジュニア」があります。

国連英検ジュニアもしっかりと外務省の後援を受けていることから、しっかりと権威を持った機関から任された児童向け英語試験だと言えますね。

国連英検ジュニアもE級からA級まで6つの級に分かれていて、お子さんの習熟度ごとに幅広く難易度を調節して受験できます。

PreA級やA級になると中学生レベルの英語になるので、「国連英検E級にはまだ早いかな」と考えている中学生にとって、将来国連英検を受ける基礎づくりとしても役立ちます。

まとめ

この記事では、国連英検がどんな試験であるかを、私たちがよく知る英検と比較しながらその特徴、難易度、受験するメリットについてお伝えしました。

ここまでお読みのあなたは、国連英検の魅力やどんな人が受験するのかを理解していることでしょう。

この記事でお伝えしたことが、あなたの英語学習をより充実したものにできれば幸いです。