「英語の現在形って、どんな時制?」と聞かれたら、あなたはどう答えるでしょうか?

現在形は中学校の一番最初に習う英語表現で、最も基礎的な内容だと言えます。

しかし、現在形について正しく説明できる大人は意外にも(あまりにも)少ないです。

もし「現在形は現在を表す時制」だと考えているなら、その理屈が通らない時がとても多いからです。

この記事では、そんな英語の現在形と、現在形以外の「現在」と名の付く英語の時制を解説します。

この記事を読み終わる頃には、現在形が何を表す時制なのか、そして現在と名の付く時制のややこしい部分についても正確に理解しているので、ぜひ最後まで読んでください。

現在形

現在形

「現在形は、現在のことを表す英語の時制である。」と習った人も多いのではないでしょうか?

確かに「現在形」という名前なのですから、現在のことを表すと考えるのが自然ですよね。

しかし、困ったことにこの理屈が通らないことが多いです。

例えば…

Aさん
Tom goes to the gym every Tuesday.
訳)トムは毎週火曜日にジムに行きます。

この英文では現在形を使うのが適切です。

しかし、この英文を発している話し手が、火曜日にこの話をしているとは限りませんよね?

水曜日にこの話をしているかもしれませんし、他の曜日にしているかもしれません。なのに現在形を使っています。

ちょっと不思議ですよね。
だから、「現在形は現在を表す表現という理屈は通らないことが多い」と言えるわけです。

それでは、現在形は何を表す時制なのでしょうか?

ズバリ、「定期的に行われるものを表す時制、不変の真実を表す時制」だと言えます。

Aさん
The sun rises in the east and sets in the west.
訳)太陽は東から昇り、西に沈む。
「東から昇り」で rises from the east としてしまいそうになりますが、「東で昇り」と考えましょう。「西に沈む」も同様に sets in the west となります。
Aさん
The earth goes around the sun.
訳)地球は太陽の周りを回る。
Aさん
Water boils at 100 degrees.
訳)水は100度で沸騰する。

このように、太陽は毎日欠かさず東から昇って西に沈みますし、地球は太陽の周りをまわっていますし、水が100度で沸騰する※のは不変の事実です。
※:気圧が違えば沸騰する温度も変わりますが、同じ条件下なら100度で沸騰する事実は変わりません。

以上のことから、「現在形は定期的に行われるもの、不変の事実を表す時制」と言うことができます。

現在進行形

現在進行形

現在進行形は「現在を含めた、一定の期間のものごとを表す時制」だと言えます。

ひと言で表すと少し難しいですよね。しかし、具体例を挙げれば、「現在形よりも現在を表している時制」だと気付きます。

  • (現在形)I study mathematics.
    私は数学を勉強します。
  • (現在進行形)I am studying mathematics.
    私は数学を勉強しています。

この例文は現在形と現在進行形だと分かりますよね。日本語にするとほぼ同じような訳になるくらい似た例文です。

しかし、両者には大きなニュアンスの違いが含まれています。

現在形は「定期的、不変」のニュアンスを含むとお伝えしました。

それに対して、現在進行形は文字通り「現在は~している」のニュアンスを含んでいます。「動作が進行している」ことを強調したいときに「現在進行形」を使います。

例文で言うと、現在形の方は「数学を(習慣的に)勉強している。」のニュアンスがあります。なので、習慣的にいつ勉強するのかを表した方が文としては、完全な文になります。

対して現在進行形には「(今は特に)数学を勉強している。」のニュアンスがあります。

現在形では習慣的に数学を勉強しているのに対して、現在進行形では「テストでいい点を取るために…」や「昇進、昇給に必要だから…」などの理由で「一時的に」勉強しているニュアンスも含んでいるわけです。また、現在進行形は、”now”と一緒に使われることも多いです。

以上のことから、現在進行形は「現在を含めた一定の期間のものごとを表す時制」であり、「現在形よりも、現在のことを表す時制」だと言うことができます。

学校のテストや資格試験のために英語を勉強するという人が増えており、勉強する機会が増えているのは良いことですが、日常生活やビジネスで使える英語を学んでいってほしいものです。

現在完了形

現在完了形は、「現在との結びつきがある過去の出来事」を表す時制です。

「過去の出来事を話すのに”現在”完了形なの?」と思う方もいらっしゃるのではないでしょうか?

これは、現在完了形が「過去のことを話しているが、実際は現在に焦点が当たった時制だから」だと言えます。

少しややこしいですよね。

しかしこれは、過去形と現在完了形の違いを見比べてみるとイメージがしやすいです。

例えば、以下の例文2つを見比べてみましょう。

  • (過去形)She broke up with Tom.
    彼女はトムとの関係を絶った(別れた)。
  • (現在完了形)She has broken up with Tom.
    彼女はトムとの関係を絶った(別れた)。

動詞が過去形か現在完了形か以外は全く同じ文章です。

どちらもトムとの関係を絶ったことを指しています。

しかし、過去形は現在との繋がりが必ずしもあるわけではないので、現在はまた仲良くしている可能性もあり、その後に、However, … と続けて、今は絶交状態ではないことを表す文を続けることができます。

対して現在完了形には現在との繋がりを暗示するので、トムとの関係は現在もないことが暗示されています。

以上のことから、現在完了形は「文章は過去の出来事を話しているが、現在にも焦点が当たっている時制」だと言えます。

現在完了形の例文

Aさん
I have just finished assignment.
訳)ちょうど課題を終えてしまったところだ。
Aさん
You’ve got a mail. ※gotは過去分詞
訳)メールが届きました。
Aさん
Jane said she had broken up with Tom.
訳)ジェーンは既にトムとの関係を絶ってしまったと言った。
“You’ve got a mail” については、昔そういうタイトルの映画があったなと思い出される方もおられるのではないでしょうか。正確に言えば、映画のタイトルは “You’ve got mail”で、1998年にリリースされた映画でした。インターネットでe-mailを送ることが流行り始めた時期でした。have + got で現在完了の文ですが、これは現在完了の3つの用法(完了、経験、継続)のうちのどの用法でしょうか? 答えはもちろん「完了」で、「ちょうど今メールを受信した」という意味になりますね。
上記の文で、”said”の後にthat節が続いていますが、「時制の一致」の影響を受けるので、that節の中は過去完了形を使うべきです。ジェーンがそういった時点は過去で、その過去の一時点までトムと関係を絶っていたという過去完了の意味になるからです。

現在完了で注意すべき文

現在完了の作り方は「have (三人称単数が主語の場合は has) +過去分詞」で、現在完了には「完了」「経験」「継続」の3つの分類がありますが、注意すべき文について少し解説します。

「彼はアメリカに行ってしまった」を英語にする場合、”He has gone to America.”となり、現在完了の「完了」を使った文ですね。「アメリカに行ってしまって今も行ったままである」というニュアンスを含んでいます。

「彼はアメリカに行ったことがある」という経験の現在完了の英文はどうなるでしょうか? 「行ったことがある」という現在完了の経験を表す英文には、”have been to ~”を使うので、それを英語にすると、”He has been to America.” ですね。今はアメリカ以外の場所にいるという含意があります。

「行ってしまった」と「行ったことがある」でhave (has)の次に来る動詞が違うことに気付きます。「行く」に関して「現在完了」の「完了」と「経験」の文を作る場合は、動詞そのものを変えますが、他の動詞を使って、「~してしまった」「~したことがある」という現在完了の文を作る場合は、同じ動詞が使われて、文脈で現在完了の「完了」なのか「経験」なのかを読み取ることになります。

通常、「完了」なのか「経験」なのかを示唆する副詞(句)も文中に含まれているので、そういった副詞(句)をキーにして「完了」か「継続」を読み取ることができます。「完了」の場合、肯定文なら already、否定文、疑問文なら yet などが文中に入っていることが多いです。「経験」の場合、回数や頻度を表す副詞(句)が通常含まれています。

現在を表す英語表現

現在を表す英語表現

「現在」に焦点を当てて英会話をする時に、知っておくと便利な英語表現をまとめました。

Current

Currentは名詞で「現在」を表す英単語です。

文章での現在形表現ではなく、単純に「現在」をひと言で表す場合に使います。

  • Current events
    時事
  • The words are no longer in current use.
    そのことばは今ではもう使われていない。

Currently

Currentlyは副詞で「現在は、現在」という意味です。現在形や現在進行形の文と一緒に使われます。

Aさん
The project is currently ahead of schedule.
訳)そのプロジェクトは現在、予定より早く進んでいます。

Aさん
The company is currently hiring new employees for various positions.
訳)その会社は現在、さまざまなポジションで新入社員を雇っているところです。

As of ~

As of ~は「~現在」という意味になります。ビジネスのプレゼン資料などで、As of の後に具体的な日にちを入れて、「~現在…」という表現がよく使われます。

Aさん
As of today, the event is still scheduled to take place.
訳)今日現在、そのイベントは行われる予定です。

Aさん
As of July 20, 2024, the number of employees of the company is 250.
訳)2024年7月20日現在、当社の従業員の数は250人です。

Up to date

Up to dateは「最新の」を意味する英語表現です。

服装の流行や、デジタル機器のソフトウェアの状態を指す時に使われます。

Aさん
She always wears the most up-to-date clothes.
訳)彼女はいつも最新の服装をします
Aさん
Is your software all up to date?
訳)あなたのソフトウェアは全て最新のものですか?

Modern

Modernは「現代の、近代的な」を表す英単語です。

カタカナで「モダン」と呼ばれて日本でもよく耳にしますよね。

少し前には「モダンPC」という、近代的で高性能なパソコンを連想させるCMがよく放送されていました。

Aさん
Microwaves are extremely widely used in modern technology.
訳)マイクロ波は現代の科学技術で極端に広く使用されます。

まとめ

この記事では、意外にも正確に知られていない英語の現在形と、現在を表す英語の時制について以下の観点からお伝えしました。

  • 現在形は現在を表す時制ではない
  • 現在形は、習慣的に起こるものごと、不変の真実を表す時制
  • 現在進行形は、今を含んだ一定期間のことを表す時制。現在進行形が”現在を表す時制”だと言っても良い
  • 現在完了形は、「過去の出来事を話して、現在とのつながりに焦点を当てた時制」だと言える
  • 現在に関わる英語表現

ここまでお読みいただいたあなたは、もう「現在形」について正しい認識を持ち、現在を表す時制をしっかりと理解しています。

英語を学習する上で、単語や熟語をまる覚えするだけでなく、それらが文の中でどのように使われているかを確認しながら学んでいくようにしましょう。例文を読んで使い方を確認しながら覚えた単語や熟語は、実践的に英会話の中でも使えますし、忘れづらくなります。

この記事でお伝えしたことで、あなたの英語表現が豊かになれば幸いです。