今回は、英語を使って仕事をしている方からの、初心者向けのアドバイスです。
最初のうちは英語でのメールや電話って、とても緊張しますよね?
勉強や工夫を重ねて、少しずつレベルアップしていきましょう!
心構え
海外の人と仕事をすることになってはじめに不安になるのは、英語力の問題だと思います。もちろん英語力があるに越したことはなのですが、英語力は勉強時間に比例するものなので一朝一夕にはどうにもなりません。日々の仕事と独学で少しずつ慣れていきましょう。
英語力以外で、始めのうちに身につけていくべきなのは、「自分の当たり前は相手の当たり前じゃない」という心構えだと思います。これは国内外関係ないことですが、特に海外の人と仕事をするときは常に念頭に置いておきましょう。日本と海外では文化や慣習が違い、そういった違いがビジネス上でも表れてきますので、いくつか気を付けるべき点があります。一つずつ詳しく見ていきましょう。
時差
海外とやり取りする上でまず気を付けるべきなのは、時差の問題です。数時間の場合もあれば、数十時間の場合もあります。「〇日までにお願いします」と伝えても、相手の〇日はこちらの1日後かもしれません。ミーティングを設定したり、回答締め切り日を設定したりする場合は、気を付けておきましょう。
では、ミーティング時間やメールやアンケートの回答締切を指定する場合、どうすればいいのでしょうか。
海外の会社や部署に対して時間指定する場合には、時間の後に必ず (JST) と付けましょう。JSTは Japan Standard Time の略です。海外の会社や部署も時差があることは認識しているので、具体的な指定時間の後に (JST) が付いていれば、自国の時間で何日の何時が締切かが分かります。
締切時間を設定する際に、自社とやり取りする会社や部署の時差を考慮に入れて、設定する必要があります。たとえば、ニューヨークの場合、日本との時差は、サマータイムなら13時間ニューヨークが遅れています。アメリカ、カナダの場合、サマータイムの開始日「3月の第2日曜日の午前2時」に時計の針を1時間進め、終了日「11月の第1日曜日午前2時」に1時間遅らせます。春夏はサマータイムで時差13時間、秋冬は時差14時間と覚えておくといいでしょう。
西海岸のロサンゼルスの場合、日本との時差はサマータイムなら16時間で、秋冬なら17時間です。ミーティング時間や締切時間を設定する場合に、相手と自分が共に働いている時間帯を考慮して設定するように心がけましょう。
祝日
祝日についても注意が必要です。その国ごとに祝日が異なりますし、相手が長期休暇に入ってしまったせいで連絡が取れなかった・・・というケースも考えられます。(私も経験済みです。)海外の人と仕事をすることになったら、相手のカレンダーや時差早見表等をチェックするくせをつけておきましょう。
日本の祝日は、海外の会社や部署にとっては祝日ではないことが多く、海外の祝日は、日本には関係がなかったりするので、やり取りする相手の国にとって祝日かどうかをチェックすることも重要です。
毎年、日にちがFixされている祝日もあれば、感謝祭のように年によって祝日の日にちが変わる祝日もあるので、要注意です。
2024年のアメリカの祝日を紹介します。
- 1月1日(日):New Year’s Day(元旦)
- 1月15日(月)Martin Luther King. Jr Day(キング牧師記念日)
- 2月19日(月)President’s Day(大統領の日)
- 5月27日(月)Memorial Day(戦没者記念日)
- 6月19日(水)Juneteenth(奴隷解放記念日)
- 7月4日(木)Independence Day(独立記念日)
- 9月2日(月)Labor Day(労働者の日)
- 10月14日(月)Columbus Day(コロンブス記念日)
- 11月11日(月)Veterans Day(退役軍人の日)
- 11月28日(木)Thanksgiving Day(感謝祭)
- 12月25日(水)Christmas Day(クリスマス)
ヨーロッパや東南アジアの国についても、国によって祝日が違ってきますので、自分がやり取りする国の祝日について確認する必要があります。
英文メールの書き方
始めに、自分の英文署名を作りましょう。日本語では☆や♪などの記号を署名の一部として使用している方もいますが、相手のPC環境によっては文字化けをする可能性が高いため、環境依存の文字を海外向けのメールで使用するのは避けましょう。
次に、実際のメール文です。日本語メールでは「お世話になっております。」から始まり、「以上、よろしくお願い致します。」等の言葉で締めくくることが多いですが、そういった表現を無理に英語にするのは無理がありますし、不自然になってしまいます。
詳しい英文メールの書き方については、インターネット上の情報や書籍を参考にすることをおすすめします。自己流で書き始めるのは時間がかかりますし、何よりも伝わりづらくなってしまうため定型文をいくつか使用した方が効率が良いです。
シンプルでわかりやすい表現で、短めにまとめることがポイントです。1つのメールに複数の話題を入れるのはできるだけ避けましょう。日本語のメールでもそうですが、内容がぼんやりして伝わりづらくなるだけでなく、メールが長くなってしまいます。メールでは伝わりづらい内容の場合は、資料を添付して伝える方法もあります。次項の資料作成の秘訣も参考にしてみてください。
文章は、あいまいな表現は避け明確に書くことが大切です。具体的には、「〇〇について教えてください」と言いたい場合は「〇〇についてX月X日まで教えてください」と伝えた方が明確です。「できるだけ早く」という意味のAs soon as possible (ASAP)も便利なフレーズですが、具体的ではないため、日付を指定した方が早く返信がもらえる場合もあります。
人によって「できるだけ早く」の感覚が違いますし、相手が多忙な場合、具体的な日にちが入っていないと、対応を後回しにされてしまいます。
「返信をいつまでに欲しい」と書くことに加えて、メールの最後には次の一文を忘れずにぜひ書き加えていただきたいです。
I look forward to hearing from you.(あなたからの返信を心待ちにしています。)
メール文が完成したら、もう一度読み返してみましょう。スペルチェックのためにざっと翻訳サイトを活用するのもおすすめです。特に相手のお名前を間違えると失礼にあたるので、お名前のスペルなどに間違いがないか、きちんと確認してから送信することが大切です。
資料作成の秘訣
外国人向けの資料を作成したり、日本語の資料を英訳したりする場合もあるかと思います。実際、私は英語が苦手な上司のために上司が作成した資料を英訳する機会がありました。その上司特有かもしれませんが、日本人の資料は総じて文字数が多いように思います。直訳をしてしまうと、なんとも長ったらしい表現になることがほとんどでした。
パワーポイント等のプレゼン資料は、文字情報が多すぎるとなんだか情報過多で見る人に圧迫感を与えるものになりがちです。必要に応じて英語バージョンの資料では、日本語と全く同じ表現をするのではなく情報を削る必要もあります。文字情報が多すぎると、一番伝えたいキーポイントがぼやけてしまうという問題があるため、プレゼン資料はできるだけシンプルに分かりやすくするように努めましょう。
自分で資料を一から作成する場合、テンプレートを上手に活用するのはもちろんですが、もう一つ使えるテクニックがあります。それは、情報を見える化することです。文字だけで説明するより、グラフや図表を使った方が情報が伝わりやすくなり、説得力が高まるので、できれば図表も活用するようにしましょう。
私の英語力が今よりもなかった時によく使っていたテクニックなのですが、ある程度の期間のプロジェクト(それがたとえ短期間であっても)の場合は、「これは私がやること」「これはあなたがやること」という意思を明確にするためにスケジュール表を作っていました。チームでのプロジェクトの場合、調査や図表作成など、作業を分担した方がスムーズに進み、アウトプットも良くなります。
資料作成するのは少し手間と時間がかかるのですが、チームで確認しながら対応すると、認識の違いが発生しにくいため大きなトラブル回避につながっていたと感じています。
メール送信時の注意と重複しますが、スペルチェックもお忘れなく。日本語の資料よりも念入りにチェックしましょう。
プレゼン資料作成のキーポイントをまとめると、次のようになります。
- プレゼン資料はできるだけシンプルで分かりやすくする。
- グラフや図表を使って、情報を見える化する。
- プレゼン資料や決算資料の作成は、調査担当、図表作成担当、文章担当など、可能であれば、分担して対応する。
- 英語の資料を作成する際は、必ずスペルチェックを入れる。
電話対応
海外からの電話がかかってくる可能性がある部署に配属されたら、まず最初によく使うフレーズ集を手元においておくと安心です。自信がなければ、空き時間や家で声を出して練習しておくだけでも効果があります。
英語力に自信がないのに、担当者が不在で取り次げない・・・というケースもありますよね。そんなとき、親切心で日本語の電話のように「ご伝言を残されますか?」「ご伝言承りましょうか?」と伝えるのはできるだけ避け、「折り返しお電話いただけますか?」と伝えたり「担当者に後ほど折り返すように伝えます」と答えるのもありです。(もちろん伝言を聞きとることができたらすばらしいです!)
訳)ご伝言を残されますか?
訳)ご伝言を承りましょうか?
訳)はい。彼がお手すきのときに私に電話をかけ直すように頼んでいただけませんか。
聞き取れないなら、「もう少しゆっくり話していただけますか?」とお願いしても大丈夫です。ネイティブ同士ですら、電話越しでは伝わりづらいものなのですから安心して聞き返しましょう。分かったふりをしてしまうのが一番してはだめなことです。
訳)もう少しゆっくり話してもらえませんか?
まとめ
今回ご紹介した内容は、全体的に日本語でも共通のルールが多かったかと思います。しかし、全体を通してやはり大切なのは「自分の当たり前は相手の当たり前じゃない」という心構えです。英語力は少しずつ身についていきますが、相手の状況を常に考えることは自分の意識が変わらないとできません。
誰でも初めての仕事は緊張するものです。ましてや母国語ではない英語を使うのは、とてもプレッシャーだと思います。しかし、数をこなせば少しずつ慣れていくものなので、心配しすぎないで頑張ってください。
最後に念押しですが、スペルチェックはくれぐれもお忘れなく!