英単語やリスニングももちろん大切ですが、実はそれ以上に大切なのが英文法。いくら英単語を理解していても、文法がわからないと正しく文を読み取ることができません。
それに英文法を理解し、文の流れが理解できるようになれば知らない単語が出てきても文の流れから単語の意味を理解しやすくなるというメリットもあります。本記事では、英語のスキルを上げるために押さえておきたい、高校までの英文法を紹介します。
中学で英文法を学んで、高校でも英文法を学びますが、高校の英文法では中学で学んだ英文法をさらに詳しく上級レベルで学んでいきます。
大学でも英語の授業はありますが、高校までに学んだ英文法を基礎に、専門分野の研究について英語の文書を読んでいきます。ですから、高校までに学ぶ英文法をしっかり押さえて、復習していくことが重要です。
助動詞
助動詞とは、その名の通り動詞を補助する役割を持った動詞のことを言います。助動詞の例としては、can/be able to(〜できる)、may(〜かもしれない)、should/ought to(〜すべきだ)、must/have to(〜しなければいけない)などが挙げられます。
ちなみに過去形だとcanはcould、mayはmightとなります。このように過去形のある助動詞なら問題ありませんが、should、mustのように過去形のない助動詞もあります。この場合は動詞を現在形ではなく現在完了(have done)に変えます。
助動詞mayを使った例文は以下の通りです。
Have you seen Tom? I’m looking for him.
訳)トムを見なかった?今彼を探しているんだけれども。
No, but he may be at his classroom.
訳)見てないよ。でも、彼はたぶん教室にいると思うよ。
このように、助動詞は動詞の前に入れて使います。否定したい場合は、助動詞の直後に”not” を付けるのが基本です。例えば、cannot, should not, must not, need not, had better not といった具合に、助動詞の直後に”not” を入れています。
ただし、have to, need to, ought toを否定する場合は例外で、助動詞の直後にnotを持ってきません。heve to(~しなければならない)を否定する場合には、don’t (doesn’t) have toとなります。need to (~する必要がある)を否定する場合には、don’t (doesn’t) need toとなります。ought to を否定する場合には、ought と to の間に ”not” を入れ、”ought not to”として「~すべきではない」として使います。
助動詞の”need”は直後に動詞を持ってきて「~する必要がある」とできますが、”need to”としてto不定詞の後に動詞の原形を持ってくることもできます。それぞれの否定の作り方については、上記で説明した通りです。
簡単な助動詞を使った例文を紹介しましたが、助動詞はとにかく使い方を含めて覚えることが重要です。上記の説明をまとめると、下記のようになります。
- 助動詞は動詞の前に入れて使う。
- 助動詞を否定したい場合は、基本的に助動詞の直後に”not”を入れるが、例外もある。
- 助動詞の否定の作り方に関する例外の例:“have to” と “need to” は ”don’t (doesn’t) have to / don’t (doesn’t) need to”とする。”ought to”の否定は、”ought not to”となる。
「まる覚えしなさい」と言っても、論理的に整理して覚えないとなかなか頭に入らなくて、すぐに忘れてしまいます。ですから、「基本的に~となるが、例外もある」「例外は~である」というように覚えてみてはいかがでしょうか。
時制
日本語と英語で考え方が異なるので、基本的なことでありながらよく難しいと言われるのが時制。現在形・過去形・未来形までは問題なくても、現在完了や現在進行形、完了進行形などが出てくるとわからなくなってしまう人も多いはずです。
時制は試験でもよく出題される問題であり、微妙な違いを理解できていないと、大きな失点に繋がってしまうので、特に進行形・完了形はしっかり押さえておきましょう。
進行形
進行形は、当事者(主語)の視点で、その文章の時点で動作が進行中である場合に使います。進行形を使った例文は以下の通り。
When I left at home, my brother was playing TV game.
訳)私が家を出た頃、弟はゲームをしていた。
”my brother played TV game.”とも訳したくなりかもしれませんが、これはどうして進行形になるのかというと、家を出ようとした瞬間にとっさにゲームをしようとすることはなく、家を出る前から継続してゲームをしていたと考えられます。
このように、家を出たタイミングで、ゲームをするという動作が進行している状態なので、進行形を使います。しかし、動詞の中には進行形にならないものも存在します。進行形にならない動詞の覚え方は、もの・人の状態や感情・感覚を表す動詞と覚えると良いでしょう。
例としては、know(知っている)、hear(聞こえる)、see(見る)など。これらの場合は原型で使うのが一般的です。
完了形
もう一つ難しいと言われることが多いのが完了形です。完了形とは、主語の時制を基点として、その結果起こったことや、同じ状態が継続されていることを表します。現在完了だとhave done、過去完了だとhad done、未来完了だとwill have doneとなります。例文は以下の通り。
Is Misaki still living in Osaka ?
訳)みさきはまだ大阪に住んでいるの?
No, she had just moved to Tokyo.
訳)いいえ、彼女は東京に引っ越しました。
この文章では過去完了が使われています。「みさきは大阪には住んでおらず、とうに東京に引っ越している」という結果があることから、ここで過去完了を用いるのです。
完了進行形
これまで解説してきた現在進行形と完了形を組み合わせた、完了進行形というものも存在します。完了進行形とは、主語を基点として、動作が継続されている場合に用います。例文は以下の通り。
When Joshua arrived there, Erika had been waiting for two hours.
訳)ジョシュアがそこに到着したとき、エリカは2時間待ち続けていた。
この文章は過去完了進行形です。エリカの待つという動作はジョシュアが到着する2時間前からジョシュアが到着するまでの間継続されています。そこで過去形・過去完了形ではなく、過去完了進行形を用いるのです。
ただし、先ほど進行形にならない動詞として挙げた、感覚や状態などを表す動詞は完了進行形にもならず、現在完了・過去完了を使って表現します。
when節とif節
時制の中でも注意しなければいけないのがif節とwhen節です。ifは「もし〜すれば」「〜するかどうか」、whenは「〜するとき」「いつ〜するか」とそれぞれ2つの訳し方があります。
それぞれどちらの訳し方を取るかで時制が変わるので、この違いも覚えておきましょう。ifだと「もし〜すれば」、whenだと「〜するとき」と訳す場面では、どんな場合でも現在時制です。
それに対して、ifの「〜するかどうか」、whenの「いつ〜するか」と訳す場面では、後ろの文章がその動作を行った時制に合わせたものとなります。
仮定法
仮定法とは、「もし〜なら〜するのに」や「もし〜だったら良かったのに」という、現在の事実と、過去の事実に関して叶わないこと、叶わなかったことについて、仮定を並べる文法のことを言います。
仮定法の文法は、現在の事実に反することについて願望を述べる場合には、「If 主語 過去形動詞〜, 主語 過去助動詞+ 動詞〜」を使う仮定法過去になります。
ちなみにbe動詞が入る場合は基本的には主語に関係なくwereを用います。
仮定法過去の例文を見てみましょう。
Aさん
If I were a bird, I would fly in the sky.
訳)私が鳥なら、空を飛べるのに。
仮定法過去は、「もし鳥だったら、空を飛べるのに」という現在の事実に関して、叶わない願望を表しています。仮定法過去の短い例文を覚えておくと、後で思い出すときに役に立ちますよ。
「もし〜だったなら、〜だったろうに」と過去の事実を仮定法で表現したい場合は、if節の動詞が過去完了形、主節の動詞が過去助動詞+完了形を使う「仮定法過去完了」になります。
仮定法過去完了の例文は、次のようになります。
If I had studied harder , I could have gotten a higher score.
訳)もし私がもっと一生懸命勉強していれば、もっと高い点数が取れたのに。
この文章では、「もっと一生懸命勉強すればもっと良い点が取れたのに」と後悔しているので、テストの点数が悪かったことを暗示しています。テストの点が悪かったという事実に対して、良い点が取れるという実現の低い可能性に対する推量が行われているので、この文章では「仮定法過去完了」が使われます。「仮定法過去完了」には、後悔の念が込められています。
これまで解説してきたのは、過去もしくは現在のことに対する仮定です。未来のことに対する仮定は、「If 主語 were to/should+動詞〜, 主語 過去助動詞+動詞〜」という文法を用います。例文は次のようになります。
If he were to receive punishment, his personality wouldn’t change.
訳)もし彼が罰を受けたとしても、彼の性格は変わらないだろう。
この文章における彼が罰を受けることが現在起こっていることにあたります。それに対して彼の性格が将来的に変わるかどうかは、現在の段階ではわかりません。そこでこの文章では未来のことに対する仮定として、were toを用いています。「were to が未来の仮定を表す」というのは、最初受け入れがたく感じるかもしれませんが、例文と一緒に覚えてしまいましょう。
仮定法ではifが省略されることがあります。その場合は、動詞もしくは助動詞が文章の先頭に来た倒置形に変わります。
比較級
比較級は中学生のときに学んで高校でも学びますが、英作文で比較級の間違いをしてしまう人が多いです。「自分は問題ない」と思っていても、急に英作文をするようにと言われた時に、凡ミスをしてしまう人が結構います。
例えば、次の日本語文を英語に訳してと言われたとします。
「もっと一生懸命 勉強しなさい、そうすれば、あなたはもっといい点数を取れるでしょう」
答えは、Study harder, and you will get a higher score. ですね。
しかし、Study more harder, and you will get a more greater score.と書いてしまう人が実際にいます。
「more harder、more greater って、中学や高校の時に、何を勉強したんだろう?」と思ってしまいますが、大人でもそういうミスをしてしまう人がいるので、気を付けて下さい。
日本語で「もっといい点数」となっていても、スコアは、基本的に high か low です。
形容詞や副詞の比較級を作る際、2音節までの短い単語は、-er を付けて、比較級を作ります。”more”を使って比較級を作るのは、3音節以上の長い形容詞・副詞のみです。more useful, more famous, more interesting などの場合は、moreを使って比較級を作りますね。
英会話で比較級を使って話す必要がある場合に、「比較級だ!」と思って思わず “more”を口にしてしまい、比較級を作る時に”more”を使わない形容詞・副詞を続けてしまう人がいますが、頭の中で素早く比較級が作れないなら、とりあえず”much”を発しておいて、”-er”を付けるのか、”more”を使うのかをよく考えて、「正しい比較級」をアウトプットするという方法もあります。
不定詞と動名詞
不定詞とは、動詞を名詞・形容詞・副詞として使いたい場合に、toの後ろに動詞の原形を付けて表現する文法のことを言います。まず名詞的用法とは、「〜すること」と訳す場合です。例文は以下の通り。
My dream is to be a policeman.
訳)私の夢は警察官になることです。
次に形容詞的用法は、不定詞が名詞を修飾する場面に使います。名詞を修飾するのは形容詞なので、形容詞的用法と呼ばれます。例文は以下の通り。
There is no money to buy a TV game.
訳)テレビゲームを買うためのお金がない。
そして、副詞的用法は、形容詞や動詞を修飾する使い方です。形容詞や動詞を修飾するのは副詞なので、副詞的用法と呼ばれます。
I’m happy to get a present from dad.
訳)私はお父さんからプレゼントをもらって嬉しい。
この3つの使い方さえ覚えておけば、不定詞は問題ありません。しかし、原型不定詞と言って、toを使わないものも存在します。原形不定詞の覚え方は、使役動詞のmake・have・letの3つと、see・feel・knowなどの知覚動詞と覚えましょう。原形不定詞を使った例文は以下の通りです。
She saw my brother play the guitar.
訳)彼女は私の兄がギターを弾いているところを見たことがある
ちなみに原型不定詞は受動態も特殊です。一般的な受動態は過去分詞に変換するだけですが、原形不定詞の受動態だけはto不定詞となります。
文法も押さえればテストで安定して高得点が狙える!
英文法を学ぶメリットは、TOEICや英検などで高得点を目指すにあたって、いくら難しい文章でも英文法は高卒レベルまでしか出題されないところでしょう。
したがって、英文法を学ぶだけで、試験で安定して高得点を狙えるようになります。ボキャブラリーを増やすことの重要ですが、ボキャブラリーだけ増やしても、文法を理解していなければ、TOEICや英検で高得点は目指せません。
英文法に慣れるにはとにかく英文を読む、話すことが大切。たくさんの英文を読んで、英文法を完璧に仕上げましょう。