久しぶりに英語を使ってみようとしたら、「あれ? 出てこない!?」と思った経験はありませんか。学生時代には英語が得意科目だったのに。あるいは、留学していたときには学校や日常生活でも、それなりに英語を使えていたのに―。

英語に限りませんが、言語はツール、いわばコミュニケーションの「道具」です。あまり使わないでいると、さびついて、次第に忘れてしまいます。それでは、せっかく覚えた英語を忘れないようにするには、わたしたちはどうしたらよいのでしょうか?

使っていないと忘れてしまう英語

使っていないと忘れてしまう英語

戦後世代は義務教育で触れている英語

日本では、2020年4月から小学校での英語教育が必修になりました。中学校での英語教育はそれより先だって1951年から選択科目として行われて(実際には「英語」が選択されて)いて、2002年から正式な必修科目になりました。

そういうわけで、戦後生まれの世代はほぼ学校で英語に触れているはずですし、現在社会で活躍している、働き世代の30代半ばより若い方は、すでに中学校時代に英語が必修科目になっていた世代です。

これまでに一度も英語に触れたことがないという方は、少ないのではないでしょうか。

学生時代に習っても、使う機会がないと…

しかし、学生時代に英語が得意でも、その後大学に進学して英語に関連する学問を専攻しても、または留学経験があっても、英語を忘れてしまう可能性があるのです。

ここで重要なのは、ある程度英語に触れた経験をもっている人でも、その後まったく英語を使わない時期があると、英語の力を維持できないということです。

海外で生活していた子どもも、日本に帰国すれば…

わかりやすい例としては、海外で暮らしていた子どもたちがあります。

特に幼児の場合は、まだ字が読めません。英語を習得するのは主に耳からでしょうが、外国生活のなかで日常的に英語に触れるうちに、やや込み入った構造の文章や発音などもそのまま覚えて、上手に使いこなすことができる子もいます。

ところが、そういう英語圏で生活をしていた日本人の子どもが日本に帰国し、その後日本での生活のなかでまったく英語を使わないでいると、それまで学校や日常生活でも使っていた英語を忘れてしまうといわれています。

そのため、一般に「帰国生」「帰国子女」などとよばれる海外で学んだ子どもたちも、日本に戻ってからも英語能力を保つために、英語の勉強を続けています。

使っていないとどうして忘れてしまう?

生まれたばかりの赤ちゃんは、「あー」「うー」などの、口や唇を使わないで出す喃語(なんご)しか話せません。

それが幼児になると、片言の幼児語を話すようになり、やがて日本語を話すようになります。

この過程で、日本語の文法を特別に教わることがなかったとしても、多少の言い間違いはあれ、子どもは大人の話す日本語を理解し、自分なりに使いこなすことができるようになります。

人間が言語を習得するときには、リズムとして耳から覚えるといわれています。そのため、複雑な文法や発音も、知識としてではなく、感覚で覚えてそのまま使えるようになるのです。

しかし、子ども時代に覚えた英語も、英語をあまり使わないようになると、忘れやすくなってしまいます。これは、文法や発音を知識として理解していないために、ふだん英語を使わない環境にいると、その感覚を忘れてしまう、ということです。

たとえば野球などのスポーツをする、あるいはピアノのような楽器を弾くなどと同様に、「しばらくしていないと忘れる」ものだと考えると、イメージがわかりやすいのではないでしょうか。

ちなみに、英語には記憶に関連する単語や言い回しが数多くあります。表現の幅を広げたい方には次の記事が参考になると思います。

中学校から英語の勉強に入った場合は?

一方で、中学校や高校で英語を習っていた場合、文法や発音、構音構造については知識として学んでいます。環境が変わったり、時間が経って忘れてしまったとしても、身につけた知識として思い出しやすくなるメリットがあります。

幼少期の感覚として英語を覚えるのではなく、文法や構音構造の勉強から入った場合は、母語である日本語の知識がベースになります。英語にはあるが日本語にはない発音があるため、どうしても身につきにくい発音域があり、読み書き (reading, writingの力) はすぐにできるようになっても、聞き取りや会話 (speaking, listeningの力) に苦手意識を感じる人が少なくありません。

その代わり、先に知識として身につけているので、今後英語を使わなくなっても、文法や発音などの知識として英語を思い出しやすくなる利点があります。

とはいえ、感覚的な部分に負うところの多い聞き取りや会話は、日常生活で英語を使っていないと忘れてしまいます。

次の記事では、仕事や生活上の必要から、社会人の方が中学英語をやり直したい場合について、詳しく説明しています。もう一度基礎からおさらいしたいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。

使わなくなっても英語を忘れたくない! そんなときは?

使わなくなっても英語を忘れたくない! そんなときは?

今は使わないけれども、将来また使うときのために

せっかく覚えた・勉強した英語を忘れたくない! 今は仕事や日常生活で英語を使う機会はないけれども、いつか英語を生かした仕事にチャレンジしたい!など、いろいろな理由で、覚えた英語の知識や能力を忘れたくない、という方は多いと思います。

英語を使わなくなっても、忘れないようにするにはどうしたらよいのでしょうか?

英語を使わないから忘れる、それを避けるための方法は、日常生活のなかに、少しでも英語を使う機会を設けておくことです。

大切なのは「聞き取り」と「会話」

日本人、特に中学校で初めて英語を習ったという世代の方なら、英語の勉強というと、どうしても単語の書き取りや英作文を連想してしまうと思います。

けれども、英語を忘れないようにするのに大切なのは、書き取りや英作文といったいわゆる「読み書き」ではなく、「聞き取りと会話」の部分なのです。

前の項でも書きましたが、英語に限らず、言語による「聞き取りと会話」は、知識ではなく感覚として覚えることが多いのです。そのため、英語を忘れないために大切なのは、知識よりも、英語の感覚を忘れない、ということなのです。

つまり、英語を忘れないために、少しでも英語を使う機会を日常生活に取り入れようと思うなら、重要なのは、英単語の書き取りや英作文をすることではなく、英会話やリスニングを積極的に取り入れることになります。

簡単にできる! 日常生活でできる英語を使う習慣とは?

簡単にできる! 日常生活でできる英語を使う習慣とは?

10分間だけ「英語だけで会話する」時間を設ける

これは、筆者が学生のときに英語教師から教わった方法です。強制的に今から10分間、英語のみで会話する、という時間を作ることです。

英語のみの会話を、同じくらいの英会話能力をもつ友人や家族同士ですれば、自分だけでなく、会話相手も英語を忘れることを防げますので、うれしい相乗効果も期待できます。

英語だけで会話する時間には、相手の話し方を聞いて「そんな言い回しもあるのか!」と新しい発見も期待できる時間でもあるのです。

毎日英語で会話を重ねるなかで、言いたいことを英語でどう表現したらいいのか、別な単語や表現を使ったらどうなるのか、など自然と考える機会が生まれます。人によって千差万別な表現方法や会話が出てくるわけです。

ちなみに、英語だけで会話する時間を作る、というのは英会話の感覚を養う上でも有効です。これからもっと英語を磨きたい、という場合にも効果が期待できます。

字幕映画や洋楽にチャレンジする

楽しみながら英語のリスニングを磨くには、洋画を観るときに、日本語吹き替え版ではなく英語字幕で楽しむとか、洋楽を聴くときにも、最初は歌詞カードを見ずにとりあえず聞き流してみる、という方法があります。

英語の映画や洋楽を使った勉強法は、英語が苦手、という中高生を対象に、英語に親しむための方法として紹介する場合もあります。

洋画なら視覚と聴覚で、洋楽ならリズムと歌詞で英語を覚えられますので、好きなフレーズやシーンから英語表現を学ぶこともできます。

楽しみながら触れられる映画を使った勉強は、人気がある勉強法です。生の英語に触れられるメリットだけでなく、気をつけた方がいいデメリットもありますので、下記の記事を参考にしてください。

野球好きなら、実況つきでメジャーリーグの試合を観る

最近は、日本人プロ野球選手が、アメリカにわたってメジャーリーガーとして活躍することも多くなりました。野球が好きな方にお勧めの方法が、メジャーリーグの試合を実況つきで観ることです。

英語に多少慣れていて、かつ野球にも詳しい方なら、比較的わかりやすい英語で実況を聞くことができます。耳や英語の感覚を鍛えるだけでなく、実況のちょっとした言い回しに感動する機会に恵まれることもあります。

筆者が覚えているのは、当時シアトル・マリナーズに在籍していたイチロー選手の試合をテレビで観ていたときのことです。バッターが打ったボールが、ライトを守っていたイチロー選手の頭上を超え、誰もが長距離打を予想したそのとき、イチロー選手はダッシュで外野の壁面にぶつかりながらもジャンピングでボールをキャッチ!というスーパープレイを披露しました。

場内は大歓声、実況も大興奮で”Wow! That’s Ichi’s field isn’t it ?“ と叫びました。

イチロー選手は外野手で、外野は英語で”outfield”といいます。また、fieldには「分野」という意味もあります。つまり、先程の実況中継は、「ここはイチローが守っている外野だぜ!」「これがイチローのお家芸(得意分野)だぜ!」と二種類の意味をひっかけていた訳です。

また、メジャーリーグもそうですが、野球も含めてスポーツの実況は独特のテンポで進められることが多いのです。時間の制約があるなかで、リズムのよい効果的な表現を、テンポよく使うので、英語の感覚を忘れないようにしたい、英語を磨きたいときにも役に立ちます。

効率よく英語を使いたい、スキルアップをめざすなら英会話

【オンライン英会話】効果的な活用方法・使い方のコツを詳しく解説!

一番理にかなっているのが「英会話のレッスンを受ける」

以上のことから、覚えた英語の能力を忘れないためには、読み書きといった知識の部分ではなく、会話や聞き取りの感覚の部分を鍛える機会をもつのが大切ということを説明しました。

また、日常生活のなかでも英語を取り入れやすい勉強法を紹介しました。しかし、英語を話す時間をもちたくても、ひとり暮らしなどで話す相手がいない、あるいは英語の会話につき合ってくれる人がいない、映画や洋楽などを聴いたり観たりする暇がない、そもそも野球に興味がない…!という方もいるかもしれません。

こうした場合、なにかと忙しい現代人が英語を忘れないために、一番効率がよい取り組み方は「英会話のレッスンを受ける」ということになるでしょう。

週に1回からのレッスンでも

英会話のレッスンなら、入学金や受講料を支払って契約をすれば、否が応でも英語を使う時間を確保できます。1対1の個人指導レッスンから、少人数でのレッスン、グループレッスンまで、いろいろな形の英会話教室があります。通いやすいところにある英語学校を選ぶのがよいでしょう。

英会話のレッスンを受けるだけでなく、同時に英検やTOEICなどの資格を取ることを目指してスキルアップしたい方なら、他の講座を併用して受講することもできます。

無理のない範囲で通える英語学校や英会話教室もたくさんありますので、ぜひ活用してみましょう。

まとめ

忙しい!費用を抑えたい!そんなときはオンライン英会話をお試しください。

英語学校や英会話教室のレッスンは、少なくとも英語で会話する時間は確保できます。しかし、多くの場合、レッスンは週1回で、なかなか忙しくて時間が取れなかったり、残業や出張などの予定が入ってしまい、レッスン予定日に受けられなくなってしまうこともあります。

また、通いやすい距離に、受けたいコースのある英語学校や英会話教室がない、という場合もあるかもしれません。知らない人といきなり対面で話すことに抵抗がある、レッスンの費用が高いと感じるなど、自分の空いている時間を活用して、もっと自由に英会話レッスンを受けたい!という方も多いと思います。

多様化する現代人の英会話のニーズに対応した英会話レッスンが、「オンライン英会話」です。

インターネット回線を使用して、自宅にいながらそのまま英会話のレッスンが受けられます。空いている時間を活用できるので、講師の予約が取れれば、毎日レッスンが受けられます。また、通学型の英語学校や英会話教室に比べると、教室費用や光熱費などがかからないなどの理由で、低額なオンライン英会話サービスも少なくありません。

オンライン英会話なら、英語を忘れないために英会話を始めてみたいけれども、はじめの一歩がなかなか出せない……という方も、気軽に始められるのではないでしょうか。

たとえば、学研が提供するオンライン英会話、kiminiでは無料で体験レッスンを受けることができます。オンライン英会話では、どのような人が講師として指導してくれるのか、レッスンはどのように進むのか、自分の英語がどの程度のレベルにあるのかなど、興味がある方は一度、申し込んで体験してみることを勧めます。

オンライン英会話では、さまざまなレベル(子どもの場合は年齢)を対象に、レッスンを受ける目的に合わせたコースが用意されています。

下記の記事は、より目的に合った、納得のいくオンライン英会話サービスを選ぶ際に助けになると思います。

せっかく覚えた英語を忘れないために。毎日の生活に英会話を取り入れる手段のひとつとして、自分に合ったコースを選んで、好きな時間にレッスンが受けられる、オンライン英会話を探してみてはいかがでしょうか。英語を磨いて、いっそうのスキルアップをめざす方にも勧められる学習法です。