日本の教育を司(つかさど)る文部科学省の方針を受けて、愛知県は英語教育の改革に力を入れています。
文部科学省は2020年度から、以前まで中学校1年生からスタートしていた授業での英語教育を、小学5年生からのスタートに2年分前倒しにしました。
愛知県も、文部科学省の方針を受けて、英語教育を大きく改善するために行動を起こしています。
この記事では、愛知県の英語教育改革のモデルとなっている高校、愛知県の学生さんの英語スピーチコンテストの実績についてお伝えします。
愛知県の英語教育モデル校
愛知県で行われる英語教育のモデル校として、以下の学校が挙げられます。
愛知県立高校13校
文部科学省による「愛知県英語教育改善プラン」によると、愛知県立高校を、それぞれ12の地区に分けて、国際教養科を持った、先進的な英語教育ができる研修協力校を2校、準研修協力校を11校、合計13校を英語教育のモデル校にしています。
つまり、愛知県内に13校の英語教育モデル校があるということですね。
13のモデル校は、過去に文部科学省が行っていた先進的英語教育プログラム「スーパー・イングリッシュ・ランゲージ・ハイスクール(通称セルハイ)」や、「あいちスーパーイングリッシュハブスクール」のモデル校に選ばれた学校が多いです。
愛知県内の13のモデル校を規範として、各地域の高校と連携して、各高校の英語教育の改善を促す形で、愛知県は英語教育の改革を行っています。
名北地区 千種高校
県内有数の進学校。国際教養科を持ち、外国文化と日本文化を深く学び、豊富な英語の時間数を活用してコミュニケーション能力の育成に重点を置く科目や国際理解を深める科目を持つ。
名東地区 中村高校
国際コースを持ち、国際コースの生徒は3ヶ月から12ヶ月から選択して留学し、必ず海外での生活を経験する。
尾東地区 瀬戸西高校
2013年から10年間、先進的英語教育の拠点である「あいちスーパーイングリッシュハブスクール」に指定。2023年からは「あいちリーディングスクール」の連携推進校に指定されるなど、英語教育モデル校としての実績あり
尾北地区 尾張北高校
国際教養科を持ち、専門教科では生徒20名以下の少人数で授業を行う、授業をほぼ英語で行う、英語のネイティブ講師との授業、英検やTOEICなどの外部試験対策になる授業を行うなど、特色のあるカリキュラムを展開
尾西地区 津島高校
国際探究科(旧:国際理解コース)を持つ。英語を使った「探究型」の学習を軸としていて、フィールドワークやスピーチ、ディスカッション、ディベートなど「英語を使った発信」を3年間を通して学ぶ
尾中地区 一宮西高校
県内有数の進学校。国際理解コースを持つ。国際理解コースでは比較言語文化を課題研究するなど、国際理解に関わるコース独自の設定科目がある。
知多地区 常滑高校
国際理解コースを持つ。普通教科の他に、週に1度の外国人講師による授業、英語の4技能に焦点を当てたカリキュラム、外国人との交流による国際感覚を身につける、外部試験(英検)による英語力の測定をしている
西三北地区 豊田北高校
国際系の専科はないものの、先進的英語教育の拠点である「あいちスーパーイングリッシュハブスクール」に指定された経験から、英語教育の「あいちリーディングスクール」として選出。
西三南地区 安城東高校
国際理解コースを持つ。英語の多読やエッセイの英作文、絵本の翻訳、オーストラリアの姉妹校(カレッジ)やアメリカ、ドイツ、シンガポールほかとのオンライン交流で、アクティブな英語を学ぶ
西三東南地区 西尾高校
県内有数の進学校。国際系の専科はないものの、先進的英語教育の拠点である「あいちスーパーイングリッシュハブスクール」に指定された経験から、英語教育の「あいちリーディングスクール」として選出
東三南地区 豊橋東高校
国際理解コースを持つ進学校。「総合英語Ⅰ・Ⅱ」「日本文化」という独自の科目が設定され、通常の教材に加えてニュースを活用するなど、時事的な話題にも触れながら実践的な英語力を養っている
東三北地区 御津あおば高校(旧:御津高校)
英語類型コース(御津高校時代の「国際教養科」)を持つ。先進的英語教育の拠点である「あいちスーパーイングリッシュハブスクール」に指定。現在も愛知県の英語教育改革の拠点校として選出される
刈谷北高校
国際教養科と国際探究科を持つ進学校。上述の拠点校の取りまとめをする。
愛知県の生徒さんたちによる英語スピーチ大会の実績
愛知県では、県内の学校から数多くの優秀な生徒さんたちが、愛知県という枠組みを超えて、地方代表や全国の英語スピーチコンテストへの出場を果たしてきた実績があります。
1.名古屋国際高校の大島千結さん
例えば、2024年には名古屋市の「名古屋国際高等学校」の2年生、大島千結さんが第31回愛知県高等学校英語スピーチコンテストで1位を受賞し、東海北陸大会へ進出しました。
大島さんは「Being a Nerd(オタクであること)」というテーマで英語のスピーチをし、「好きなことに情熱を燃やし、追求することは誇るべきことだ。」と熱量を持って演説しました。
また質疑応答の時間では、「同世代の学生に対して、学校はどうサポートできるか?」という質問に対しても
「幅広い知識と高い専門性を持った教員が、生徒ひとりひとりの興味や関心に合わせてアドバイスをできる環境を提供できれば、生徒が情熱を持てる。」
と自身の意見を堂々と語りました。
2.愛知県立千種高校の淵上遥奈さん
また、愛知県立千種高等学校の淵上遥奈さんは、第28回愛知県高等学校英語スピーチコンテストで地区大会で準優勝し、愛知県大会でも準優勝、名古屋市教育員会賞を受賞しました。
その結果、東海北陸ブロック予選に出場し、2位も受賞しています。
淵上遥奈さんのスピーチ「Respect Food and Take an Action」の原稿は、千種高校の活動報告ブログから閲覧することができます。
「Respect Food and Take an Action」では、飽食と飢餓について、食べ物に対する敬意、フードロスへの対策の観点から、国や個人に何ができるのかを語っています。
以上で挙げたような実績を見ると、愛知県内の生徒さんたちが、英語スピーチコンテストで優秀な成果をあげていることがわかりますね。
以上に挙げた実績の他にも、愛知県内の学校は、地区大会や県大会での優秀賞受賞者を多数輩出しており、全国大会への進出もしています。
愛知県の学校は、英語スピーチコンテストの実績を通じて、生徒たちの自信を育み、コミュニケーション能力を高めていることがわかりますね。
英語スピーチコンテストで入賞したり、たとえ参加するだけでも、愛知県の教育は生徒さんたちが将来的に国際社会で活躍するための基盤を築いていると言えるでしょう。
まとめ
この記事では、愛知県の英語教育改革について、以下の点からお伝えしました。
- 愛知県の英語教育改革リーディング(先導)校として、13の先進的英語教育機関を持つ学校が、各地域の学校と連携して英語教育改善を図っている
- 愛知県は、愛知県の生徒さんたちから、県を超えた地区や全国で行われる英語スピーチコンテスト出場者を何人も出す実績を持ち、将来世代の外国語教育や英語での成功体験に尽力している
この記事でお伝えした内容が、あなたのお役に立てられれば幸いです。