海外旅行の時にホテルに泊まると、朝食はコンチネンタルスタイルかアメリカンスタイル、ビュッフェスタイルどれかである事がほとんどです。
実は日本のホテルの朝食にも取り入れられている欧米スタイルの朝食は、注文する時初めての方は戸惑ってしまう事も。今日は、代表的な3つのスタイルから見る欧米の朝食についてのお話です。
Breakfastの語源は「断食後最初の食事」=朝食から
英語で朝食は”breakfast”ですよね。Fastとは「断食」という意味です。近年、日本でも一定期間断食を取り入れたダイエット方法として「ファストダイエット」といった言葉を聞くようにもなりました。
つまり、breakfastとは「断食を破る」、つまり「断食の後、最初に食べる食事」を表す言葉でした。そのため、広義では「断食後食べた食事」が、昼でも夜でもbreakfastとなる訳です。
人は夜になると眠ります。睡眠時間は一時的な断食状態となります。眠りから覚めて朝食べる食事、つまり断食明けから食べる食事として、breakfast=朝食、という言葉として定着しました。
冷たいメニューだけで構成された欧米朝食スタイル「コンチネンタルブレックファースト」
海外のホテルに宿泊する時、
“Which would you like to eat for breakfast, continental or American ?”
日本語に訳すと
「朝食はコンチネンタル、アメリカンどちらになさいますか?」
と聞かれる場合も多いです。
コンチネンタルブレックファースト”continental breakfast” 「大陸風朝食」とは、主に火を通さない冷たい物だけでまとめられた朝食を指します。ヨーロッパ大陸が起源の朝食なので、この名前がついています。簡素な朝食であるコンチネンタルブレックファーストは、パンにバターやジャム、もしくはシリアル、それにフルーツとハムやチーズなどが付きます
火を通さなくても提供できる朝食スタイルのため、保温の必要もなく、さっと出せる朝食です。元々は大衆的なホテルの朝食や、パッケージツアーの朝食などに採用されていました。
現在では、パンと飲み物、という基本的なスタイルは崩さないまま、提供しているパンの種類が豊富になっている、などホテルごとに趣向を凝らしたコンチネンタルブレックファーストが提供されるようになりました。
火を通した卵料理が中心の「アメリカンブレックファースト」
コンチネンタルブレックファーストに対して、火を通したメニューも提供しているのがアメリカンブレックファースト”American breakfast”「アメリカ式朝食」です。コンチネンタルブレックファーストのメニューに、卵料理や肉料理を追加したスタイルが多くなっています。
アメリカはご存知の通り移民の国です。その地域に住んでいる住民の母国の朝食がベースとなったメニューが出る=アメリカンブレックファーストなのです。その為、アメリカンブレックファーストとして決まった形式やメニューがあるわけではなく、地域によって提供されるメニューはがらりと変わります。
ホテルで提供されている一般的なアメリカンブレックファーストは、卵料理は卵2個か3個を使用して、お好みの料理が選択できる場合が多いです。ちなみに、英語の卵料理の言い方は以下の通りです。
・目玉焼き(片面焼き) sunny-side up
・目玉焼き(両面焼き) turn over egg
・目玉焼き(両面焼きの半熟) over-easy egg
・玉子焼き(両面焼きでしっかり焼く) over-hard egg
ちなみに、目玉焼きは“fried-egg”と表現しますが、元々fryは油を使って焼く、もしくは炒める調理法を指す言葉です。Fried-eggというと、フライパンで焼いた卵料理全てを指してしまうので、目玉焼きは焼き方によって呼ばれる事が多くなっています。
・オムレツ(具無) plain omelet
・オムレツ(チーズ入り) cheese omelet
具入りのオムレツは、〇〇 omelet, もしくはomelet with 〇〇と表現します。
・スクランブルエッグ scrambled eggs
・ゆで卵 boiled egg
アメリカンブレックファーストには、卵料理と一緒に焼いたソーセージやベーコンが付く事が多いです。両方つけられる所もあれば、ソーセージかベーコン選択する場合もあります。
ちなみに、ソーセージは英語で” sausage”です。日本では「ウィンナー」という事もありますが、ウィンナーは元々ドイツ語の“Wiener”「ウィーンの」という言葉から来ています。英語でウィンナー=ソーセージではありませんので注意しましょう。
今ではすっかり一般的になった「ビュッフェスタイル」
海外のホテルだけでなく、日本のホテルそして旅館でもすっかりおなじみになった朝食スタイルが「ビュッフェスタイル」です。「ビュッフェスタイル」”buffet” とは、決まったメニューが着席状態で提供されるのではなく、自分自身で料理を取りに行くスタイルを指します。
日本のビュッフェは「食べ放題」という認識もあり、自分で好きな物を好きなだけ楽しむ事ができますよね。ところが、海外のホテルで日本のビュッフェのつもりで振舞うと、マナー違反となってしまう場合があります!
ここで、海外のビュッフェでやってはいけないポイントについて見てみましょう。
最初は一通りを持ってくる・ひとつのメニューだけを取らない
朝食のビュッフェでは、前菜(サラダやホットミールなど)・メイン(各種卵料理やソーセージ、ベーコンなど)・パンやペストリー、シリアルなど・フルーツ、という順番でメニューが用意されています。
最初はこの順番に沿って、一通りのメニューを持ってくるようにしましょう。スクランブルエッグだけ別皿に山盛り、パンだけ山盛り…など、ひとつのメニューだけひとつのお皿に山盛りにするのはマナー違反です。
3つ以上のメニューを一緒のお皿に盛らない
ひとつのお皿に盛るのは、3種類のメニューまでにしましょう。前述の通り、一つのお皿に山盛りにするのは、単数でも複数でもマナー違反です。
一度使ったお皿は使わない
食べ終わって次のメニューを取りに行くとき、一度使ったお皿は使わないようにしましょう。ビュッフェのメニューの所に新しいお皿が用意してありますので、取りに行く時には手ぶらで行きます。退席している間に、使ったお皿は下げておいてくれます。
やむを得ず退席する時には、フォークとナイフを「ハの字」に
食事の間に退席するのはマナー違反とされています。けれども、朝食ビュッフェなら食べている時にコーヒーがもう少し欲しくなった、バターやジャムが足りなくなったなど、食事中でもやむを得ず退席する事があります。
食事の途中で退席し、まだ食べている物を下げてほしくない時には、テーブルマナーでもおなじみの、フォークとナイフをお皿に「ハの字」で置いておきましょう。「食事の途中です」という意味になり、お皿を下げられません。使っているナプキンを椅子の背もたれにかけておくのもOKです。
食べ残しをしない
日本における食べ放題のビュッフェにも共通するルールですが、持ってきたものを食べ残してはいけません。欲張らず、自分が食べられる分だけ取るのがスマートなビュッフェの楽しみ方です。
まとめ
いかがでしたか? 海外だけでなく、日本のホテルのルームサービスやカフェメニューをチェックすると、「コンチネンタルブレックファースト」などが紹介されている事も多いので、ぜひ見てみて下さいね。