単語と文法の知識は英語を勉強するうえで非常に重要です。この2つを覚えておくと、英語の読み書きがスムーズに行えます。
また、スピーキングやヒアリングにおいても、語彙力が基本です。ただ、膨大な量の単語を暗記するのが苦になる人も少なくありません。
「また単語を覚えなければ…」「文法がわからない…」そんな悩みを抱えていませんか? 実は、効率的な学習方法を知れば、英語の暗記はそれほど苦痛ではなくなります。
この記事では、脳の働きや学習の仕組みについての最新の研究成果を基に、英語を効率よく覚える方法を詳しく解説します。限られた時間で効果を得られる実践的なテクニックなので、日々忙しい社会人や勉強に追われる学生の方にとって特に役立つ内容となっています。
紹介している学習法で、これまでよりも少ない努力で多くのことを学べるようになり、英語力の伸びを実感できるはずです。
重要な単語を覚えると英語が楽になる
一般的に、英会話を問題なく行うために必要な語彙数は1000個前後だとされています。すなわち、英語学習ではどんどん単語を詰め込むのではなく、重要度の高い語句を完璧に覚えるほうが大切なのです。
そのためには、「中学英語」にさかのぼって勉強しましょう。なぜなら、日本の英語教育において、中学校で暗記する語句の数は1100~1200ほどだとされているからです。日常会話レベルの英語であれば、中学校の授業に出てくる単語さえ覚えればおよそ理解できます。
ただ、単純に英単語を覚えるだけでは読解力も会話力も伸びません。中学英語を深く学んでいくことが肝心なのです。
独学の英語学習で単語を優先する理由
学校や予備校の英語学習では、単語と文法を同時に教えていくことが定番です。
ただし、独学で英語を勉強し直す際は、単語を優先的に覚えましょう。重要な英単語の意味を知っておけば、文法を学び始めても「知っている語句を並び替える」だけで済みます。
そもそも、単語を暗記している際に使い方まで理解できているはずなので、文法の基礎も自然に習得していけます。
「過去形」「現在進行形」「受動形」など、動詞の活用も単語を暗記しているときに覚えてしまえばいいのです。そのうえで、文法を深く理論的に学んでいけば英語力を補強することが可能です。
一つひとつの単語を完璧に覚えるメリット
たとえば、「take」という基礎的な単語があります。多くの人が「~を取る」という意味で認識している動詞です。ただ実際には、「~をつかむ」「~を捕らえる」「~を抱く」など、複数の意味を持っています。また、「take to~」「take out」「take off」など、語句の連結(イディオム)を生み出す単語としても有名です。
中学単語の時点で、「take」のように複数の意味を持った重要語句はたくさん出てきます。
単語を暗記する際は、よく知られている意味だけチェックするのではなく、使い方を完璧に記憶していきましょう。そうすれば、中学英語を学ぶだけでもかなりの語彙力を身につけられます。
英語をしっかり覚えるためのコツとその活用法
英単語の暗記や文法を覚えるためには、多角的なアプローチが欠かせません。デジタルとアナログ、インプットとアウトプット、短期的な暗記と長期的な定着などをバランスよく取り入れることで、より記憶に残りやすくなります。
ここでは、デジタルツールから今までにもあった学習法まで、幅広い英語学習のテクニックとその活用法をご紹介します。
自分にぴったりな学習スタイルを見つけていくヒントとなるでしょう。
アプリやオンラインツールの活用
フラッシュカードや作成した問題を解いていく機能がついた「Quizlet」や「Anki」などのアプリの利用が便利です。覚えにくい単語だけを特別なリストにして、集中的に復習することで、改善点を強化する学習ができます。
また、「Oxford Learner’s Dictionaries」などのオンライン辞書は、単語の意味だけでなく、用例や発音も確認できるのがメリット。新しい単語を調べる際は、例文も必ず読み、関連語や反対語もチェックすることで、語彙力を効果的に増やせます。
英語コンテンツの活用
映画やドラマ、音楽、ポッドキャストなどの英語コンテンツを日常的に楽しむことで、自然な英語に触れる機会を増やせます。
まずは自分の趣味に関連したものを選んでみましょう。好きな分野なら理解しやすいはずです。選ぶのが難しいという場合は、内容のわかりやすさを重視した「Curious George」などの英語圏の子供向けの番組もおすすめです。
最初は字幕付きで視聴し、徐々に字幕なしに移行することで、リスニング力と理解力をアップさせることができます。
単語帳や参考書の活用
学習のデジタル化が進んでいますが、紙の本やノートを使用したアナログ学習は人間の脳をより使うため、記憶が定着しやすいといえます。
単語集には、英語学習で重要な語句が意味や発音とともに掲載されています。解説が載っている単語集も多く、効率的に英単語を覚えられるアイテムです。
初心者はまず、基本的な語句が集まっている単語集を選びましょう。そして、内容を繰り返し読み込み、完全に覚えます。そのうえで、難易度の高い単語集へと進むようにします。
そして文法を暗記するには、問題のついている参考書が役立ちます。ある項目について、実際に問題を解いていけば自分の理解度を確かめられるからです。
ただ、それだけでは試験対策の英語学習になりがちで、実践的な読解力、会話力を求めている人の目的に合いません。そこで、学んだ文法を使った英作文に挑戦してみましょう。例えば、「未来形」を学んだとすれば、実際に「will」や「be going to~」といった語句を使い、作文を完成させます。
添削はAIや翻訳サイトで十分可能です。もしも意図した日本語訳が出てこないときは、参考書を見ながら正しい文章に直していきましょう。こうした実践を踏まえれば文法も着実に覚えられます。
英語を使う機会を作る
「HelloTalk」や「Tandem」などの言語交換アプリやオンライン英会話サービスを利用することで、実際に英語を使う機会を増やせます。
やはり実践に勝るものはありません。定期的に外国人と交流することで、教科書や参考書にはない英語でのコミュニケーション力を磨くことができます。
英単語が驚くほど頭に残る4つの記憶術
学習のやり方がわかったとはいえ、覚えてもすぐに忘れてしまうという方も多いでしょう。
ここからは、単なる丸暗記とは違った4つの記憶術をご紹介します。
4つの記憶術を活用することで、英単語がより効果的に、そして長期的に記憶に残るようになります。難しい単語や複雑な綴りでも、これらの方法を使えば、従来の暗記方法よりも効率的に学習できるでしょう。
イメージ連想法
単語を覚えるとき、その意味を表す絵や場面を想像すると覚えやすくなります。
例えば、「Apple」という単語をりんご型のコンピューター会社のロゴと関連付けるなど、リアルで具体的なイメージを作ることが重要です。
単語カードの裏にその単語のイメージ図を描いたり、単語の意味を表す面白い場面を想像したりすることで、記憶がさらに鮮明になります。
語源法
長い単語は、いくつかの部分に分けて考えると覚えやすくなります。例えば、「Automobile(自動車)」は「auto(自己)」と「mobile(動く)」という2つのパーツから成り立つ単語です。このように単語を分解して理解することで、言葉の意味をより深く理解できます。
また語源を知るとともに、単語の成り立ちを理解しておくとスムーズです。単語の初めに付く “pre” “ex” などの接頭辞や、“tion” “ness” などの接尾辞など、単語の構成には規則性があります。これを知っておくと、知らない単語の意味が推測できたり覚えやすくなったりします。
ストーリー作成法
覚えたい単語や文法を使って、簡単な文や短い話を作ってみましょう。自分の経験や興味に関連させると、より記憶に残りやすくなります。毎日3つの新しい単語を使って短い文章を作ったり、自分の日常生活に関連させたミニストーリーを作成するなどが効果的です。
また、作った文章を音声録音し、発音の練習も兼ねるなどの応用もできます。
間隔反復法
間隔反復法は、一定の間隔を空けて復習することで長期記憶を形成する学習方法です。この方法は科学的に効果が実証されており、何かを学ぶ際には非常に有効な方法として知られています。
やり方は、新しい単語を学習した後、1日後、3日後、1週間後、2週間後、1ヶ月後と徐々に間隔を広げて復習するということ。
定期的に思い出すことで、脳から情報が引き出しやすくなり、効率的に記憶を定着させることができます。
【便利なツールとテクニック】
フラッシュカードの活用
単語はデジタルフラッシュカードアプリの活用が便利。アプリには、復習が必要な単語のピックアップや復習スケジュールを管理してくれます。アプリの通知機能をリマインダーとして活用すると、復習を忘れずに続けられます。
オリジナルノートの作成
単語だけでなく文脈をつかむために例文を記入しておき、ノートの余白に復習する日を設定しておく方法です。書くこと、見ること、読むことを組み合わせた多感覚学習ができるため、頭に入る情報が多くなります。また、過去の振り返りや自分の学習の進み具合を視覚的に確認でき、達成感が得られるのもオリジナルノートの特徴です。
英単語を覚えるときの注意点
単語集で語句を覚えるとき、「独自の読み方を編み出す」人もいます。たとえば、「rain」という単語を覚えるとき、ローマ字で「ライン」と置き換えてしまうパターンです。確かに、この覚え方なら英語になじみのない場合でも、簡単に綴りを記憶できるでしょう。
しかし、正しい発音を覚えられないので実践的ではありません。読み書きはできたとしても、会話には応用ができないのです。
単語集を使うときは、発音までしっかりチェックしましょう。そして、声に出しながら頭に叩き込んでいくのが理想です。それに加えて、ノートに単語を書き写していけば「目」「耳」「手」「口」の4つを使って効率的に暗記できます。
応用編!英語を文章で覚えて単語力と文法力を高める
単語や文法規則を個別に学ぶことも大切ですが、実際の英語では、これらの要素が文脈の中で使われています。
ここからは、英語を「文章」として捉え、より実践的な学習方法に踏み込んでいきましょう。
実用的な文章に触れる
文章ごと、語句や文法を覚えられる単語集を買って、隙間時間に目を通します。こうしたタイプの単語集で得られるメリットは「実用的であること」です。覚えた単語が、どのような文脈で使用されるのかをイメージできます。
また、文法とともに英語力を補強できるので、読解力も高まっていきます。次に、「変則的な表現」を確認できるのも魅力です。英語表現は常にテキスト通りとはいきません。省略や倒置法など、変則的な文章をたくさん読み込んでいきましょう。
最初は日本語訳なしで読んでいく
文章で覚えるタイプの単語集を開いたら、最初は日本語訳を読まないのがコツです。現時点での読解力、単語力を試すためにも自力で読み進めていきます。
もちろん、初めて見る単語、表現もあるでしょう。ただ、1000前後の重要語句を覚えておけば、文脈から意味を予測することも可能です。こうした予測のスキルは、今後、英語に触れていくうえでとても大事です。
それに自分の頭で考え悩むことで、単なる丸暗記にならず文章の意味をじっくり覚えられます。
最後に自力で日本語訳をしてから答え合わせをしていきましょう。どの部分を間違ったのか確かめて、完璧に覚えられるまで繰り返し読み込みます。
感覚優位を味方に付けて記憶の効率をアップする方法
あなたは、自分の感覚が優れている部分をご存じですか?
感覚優位性とは、あなたが新しい情報を最も理解しやすく、記憶に残りやすい学び方のことです。いわば、あなたの脳が最も得意とする情報の受け取り方です。
主に視覚、聴覚、読み書き、運動感覚の4つのタイプに分かれます。例えば、見て学ぶのが得意な人、聞いて学ぶのが得意な人、体を動かしながら学ぶのが得意な人など、人それぞれに学びやすい方法があります。
得意な学び方を知って活用することで、より効率的に英語を習得できるのです。
どの感覚が優位かを知る方法
自分の感覚優位性を知るには、以下の方法が効果的です。
- 過去の学習経験を振り返る
- 異なる学習方法を試してみる
- 日常生活での情報処理方法を観察する
過去の学習経験を振り返る
学校での勉強や趣味の習得など、これまでの学習経験を思い出してみましょう。どのような方法で学んだときに最も理解が深まり、長く記憶に残ったかを考えます。
例えば、講義を聞いて理解が進んだのか、教科書を読んで理解できたのか、実験や実習で体験して覚えたのかなどを分析します。
苦手だった科目や習得に時間がかかった技能についても、どのような学習方法が効果的だったかを思い出してみましょう。
異なる学習方法を試してみる
新しい英単語を覚える際に、以下のような方法を試してみましょう。
- 単語カードを見て覚える(視覚)
- 単語を声に出して繰り返し言う(聴覚)
- 単語を書いて覚える(読み書き)
- 単語の意味を表すジェスチャーをしながら覚える(運動感覚)
それぞれの方法で学習した後、どの方法が最も効果的だったかを比較します。この実験を何度か行うことで、自分にどれが適しているのか、より正確な結果が得られます。
日常生活での情報処理方法を観察する
新しい場所への行き方を覚えるとき、地図を見るのが好きか、音声ナビを聞くのが好きか、実際に歩いてみるのが好きかを考えてみましょう。
レシピを覚える際、写真付きの手順を見るのが好きか、詳細な説明文を読むのが好きか、実際に料理しながら覚えるのが好きかを観察します。
4つの感覚優位性
視覚優位型
視覚優位型は、目からの情報を最も効率的に処理できるタイプです。図やマップ、写真などを使った情報がよく頭に入ります。この型の人は、新しい情報を学ぶ際に「頭の中で絵を描く」ように、概念やアイデアを視覚的にイメージ化することが得意です。
おすすめ学習法
- 関連語句をマインドマップで整理
- 図解で文法を説明
- 動画視聴(字幕付き)
聴覚優位型
聴覚優位型は、耳から入る情報を最も効率的に処理できるタイプです。この型の人は音やリズムに敏感で、聞くことを中心とした英語学習方法が特に効果的です。
例えば、講義を聴いたり、会話を通じて学んだりすることで、より深く理解し、記憶に定着させやすい傾向があります。
おすすめ学習法
- 単語を繰り返し声に出す
- シャドーイング
- 音楽を使ってリスニング学習
- オーディオブックやポッドキャストの利用
読み書き優位型
読み書き優位型は、文字を通じて情報を最も効果的に処理できるタイプです。
この型の人は、本やWeb記事などの文字ベースの資料から学ぶことを好みます。新しい概念を理解したり、知識を定着させたりする際に、読むことや書くことを通じた学習方法が特に効果的です。
例えば、詳細なノートを取ったり、要約を作成したりすることで、情報をより深く理解し、長期的に記憶に留めやすくなります。
おすすめ学習法
- 英語日記を付ける
- ニュースなどの記事の要約
- 新しい単語を使って例文作成
運動感覚優位型
運動感覚優位型は、体を動かしたり実際に体験したりすることで、最も効果的に情報を処理できるタイプです。
この型の人は、「学びながら行動する」アプローチが特に有効です。抽象的な概念や複雑な理論も、実践的な活動や日常生活の具体例と結びつけることで理解が深まります。
例えば、新しい単語を学ぶ際にジェスチャーを交えたり、文法規則をロールプレイで実践したりすることで、より効果的に学習できます。
おすすめ学習法
- ロールプレイ
- ジェスチャーを加えた単語練習
- 英語で会話するゲームなどの利用
複数の感覚優位性を持つ場合
実際には、多くの人が複数の感覚優位性を併せ持っています。異なる感覚を意識的に組み合わせることで、より深い理解と長期的な記憶定着が可能になるからです。
例えば、新しい単語を学ぶ際に、その単語を見て(視覚)、発音し(聴覚)、書き取り(読み書き)、関連するジェスチャーをする(運動感覚)といった複合的なアプローチを取ることで、学習効果を最大化できます。
自分の強みとなる感覚を中心に据えつつ、他の感覚も積極的に活用することで、より効果的で柔軟な学習が実現できるのです。
複数の間隔を組み合わせた学習の例:
- 動画を見て重要フレーズをノートに書き取る(視覚、聴覚、読み書き)
- オーディオブックを聞きながらウォーキング(聴覚、運動)
- 英語の歌を聴きながら歌詞を読む(聴覚、視覚、読み書き)
英語の覚え方はいろいろ!基礎を大切にして学ぼう
デジタルツールからオリジナルノート、単語集や参考書など英語の覚え方にはさまざまな方法があります。大切なのは、基礎を疎かにせず着実に英語を理解していくことです。
いきなり難しい単語を覚えなくても、最初は中学校レベルの語彙でかまいません。そのうえで、一つひとつの語句や文法を細かく学んでいきます。そういった地道な学習の積み重ねが英語習得への道となるのです。