グローバル化が進む社会において、英会話はキャリアアップのための必須のスキルになりつつあります。そのため、子供を持つ親の中には、なるべく我が子が幼いうちから英語を学ばせたいと考える人が少なくないようです。では、実際に英会話の学習はいつ頃から始めるのが良いのでしょうか。以下で順を追って見ていきましょう。

英会話学習を始めるのに最適な年齢とは?

英会話学習を始めるのに最適な年齢とは?

まず最初に結論から言うと、英会話の学習を始めるのは早ければ早いほどベターです。具体的には、英語をそのまま聞いて理解できるために必要となる英語脳や英語耳を身につけるためには0歳から6歳までに学習を始めるのが良いとされています。その背景には、年齢別の脳の発達段階がありますので、以下で順番に見ていくことにしましょう。

Aさん
It is said that the sooner you start learning English conversation, the better!
訳)英会話の学習を始めるのは、早ければ早いほど良いと言われています。
Bさん
That’s because the younger you are, the easier it is to acquire an English brain or ear.
訳)若ければ若いほど、英語脳や英語耳が身に付けやすいからだね。
Aさん
An English brain or ear sounds weird, but I understand what you want to say.
訳)英語脳や英語耳って奇妙に聞こえるけど、あなたが言いたいことは分かるよ。

0歳から3歳

生まれてすぐの時期から3歳までの子供は、まだ母国語である日本語も満足に聞いたり話したりできません。この頃の子供の脳は、周囲から入ってくる音を積極的に吸収して、そこから得られる情報を理解するよう努めているのです。そのため、この時期に日本語に加えて英語の音に多く触れさせることで、その意味を自然とインプットできるようになっていきます。いきなり難しい会話を聞かせるのではなく、英語で歌われている童謡を聞かせるだけでも一定の効果は得られるでしょう。動画サイトで検索すれば、アニメーション入りの英語の童謡集がいくらでも見つかりますので、そういったものを活用すれば、コストをかけずに済ませられます。

4歳から6歳

幼稚園に通う4歳から6歳ごろになると、子供は自分の口で言葉を発するようになります。3歳まではひたすらインプットするだけでしたが、この頃になるとアウトプットもできるようになるのです。そのため、単に英語を聞かせるだけでなく、ネイティブスピーカーなどとコミュニケーションさせることで、より効果的に英会話のスキルを向上させられるようになるでしょう。

なお、この時期の子供は自分が好きなもの以外には関心を示さないという特徴があります。無理やり英語を学ばせようとすると、かえって逆効果になる可能性がありますので、子供が好きな教材や音楽を使うなどして、楽しんで学べる環境を用意してあげると良いでしょう。英語の音楽に合わせてダンスを踊ったり、友達などとゲームをしながら英語に触れ合うような取り組みも効果的です。親と一緒に簡単な英語ゲームで対戦するのも、英単語や簡単な英文法を覚えるモチベーションになったりします。

昨今では、スマホやタブレットが普及して文字を書くことがおろそかになりがちですが、カラフルな色鉛筆でアルファベットを書く練習をしたり、自分の持ち物にアルファベットで名前を書かせたりなどもしてみるといいです。

早期教育のメリットとは

早期教育のメリットとは

早いうちから英会話の学習を始めることには様々なメリットがあります。

スムーズに英語学習に取り組める

一つ目のメリットは、英語の学習にスムーズに取り組めるという点です。小学校や中学校に入って英語の学習を始めると、日々の宿題やテストなどに追われてどうしても勉強させられている感じが強くなるため、子供によっては途中で英語嫌いになってしまうケースが少なくありません。幼少期から楽しみながら英会話を習っていれば、学校での英語学習にもスムーズに入って行きやすくなりため、結果的に嫌いにならずに英語学習を継続できるのです。

ネイティブレベルの英語力が身につく

音楽の世界では、大人になってからでは絶対音感は身に付かないと言われていますが、英語学習でも同様のことが言えます。すなわち、本当にネイティブと同じ感覚で英語の音を耳にして理解できるようになるためには、遅くとも9歳から10歳ごろまでにはある程度英語に慣れ親しんでおく必要があるのです。逆に言えば、それまでに英会話の学習を始めていれば、ネイティブ並みの英語力が身につくということであり、それが早期教育のメリットの一つであると言えるでしょう。

いわゆる「英語耳の習得」ですが、一般的に遅くとも9歳から10歳ごろまでと言われており、その時期を過ぎると、日本語にない英語の音が聞き取れなくなるとされています。例えば、LとRの音の違いは、幼少期から英語に慣れ親しんでいた人にとっては全く違和感があるものではありませんが、10歳を超えてから英語を始めた人にとっては頭では分かっていても、自然とその違いを聞き分けるのは決して容易ではありません。大人になってから勉強を始めても、日常会話に困らない程度に上達することは可能ですが、本物の英語耳を獲得するためには、なるべく早い時期から英語学習を始めるに越したことはないのです。

吸収が早い

三つ目のメリットは、英会話学習を始めるのが早ければ早いほど、よりスピーディーに英語を身につけられるという点です。赤ちゃんが母国語を身につけるスピードには凄まじいものがありますが、それと同様のタイミングで英語を学び始めれば、真綿に水を含ませるかのように急激に英語スキルを高められるでしょう。早ければ、3歳くらいには英語を口にするようになるかもしれません。

好奇心旺盛で発想が豊か

10歳頃までの子供は、とても好奇心が旺盛で、見るもの聞くものすべてに好奇心を示します。よく耳にする曲の歌詞など、詳しく教えてもいないのに完コピして口ずさめるようになっていたりして、驚くことがあります。その曲はよく聞いているし、好きなんだなと気づきますが、その才能をぜひ英語学習にも活かせるように仕向けましょう。

英語の歌を覚えられるようになったら、それに関することで何かしら質問を投げかけてみるのもいいでしょう。何気ない質問に対して思いがけない答えが返ってきて、子供の発想の豊かさに感動することもありますよ。

早期教育の注意点とは

早期教育の注意点とは

英会話学習を早期に始めるのには、前述のような様々なメリットがある一方で、いくつか注意しておくべき点があります。それらを正しく理解しておかないと、後になってこんなはずではなかったと後悔する羽目になりかねませんので、ここで併せて紹介しておきます。

母国語の学習が阻害される

注意すべきポイントの一つ目は、子供が幼い頃から英会話の学習に注力しすぎると、肝心の母国語である日本語の習得が疎かになるという点です。「二兎を追う者は一兎をも得ず」や「虻蜂取らず」ということわざがあるように、二つの物事を追い求めようとすると、両方とも中途半端な結果になるケースは少なくありません。語学学習においても同様であり、英語に力を入れすぎて日本語の学習が疎かになると、いずれの言語も年齢相応の水準に達しないという事態になる恐れがあるのです。これはダブルリミテッドやセミリンガルと呼ばれる状態で、子供のためには極力避ける必要があります。英会話を習得させようとして日本語ができなくなるというのは本末転倒ですので、あくまでも英会話は日本語学習を妨げない範囲で行うようにするというのが大切です。

Aさん
I can see how focusing too much on learning English from an early age could lead to neglecting the acquisition of one’s native language.
訳)幼い頃から英会話の学習に注力しすぎると、母国語の習得が疎かになるというのは、分かります。
Bさん
Why do you say that?
訳)なぜそんなこと言うの?
Aさん
I know someone who attended an international school from elementary school and was halfway through both English and Japanese.
訳)小学校からインターナショナルスクールに通っていて、英語も日本語も中途半端になった人を知ってるからです。
Bさん
I see. But don’t be too negative.  They can learn both if they work hard at learning English conversation as long as it doesn’t interfere with their Japanese study.
訳)なるほどね。でも、あまり否定的にならないでください。 英会話の勉強も頑張れば、日本語の勉強の妨げにならない限り、どちらも身につけることができます。

英語が嫌いになる

二つ目に注意すべきポイントは、子供が小さいうちからあまりに親が熱心に教育しすぎると、かえって英語アレルギーに陥ってしまいかねないという点です。幼い時期に英語に対して嫌悪感を抱いてしまうと、後になってそれを無くすのは非常に困難となります。そのため、もし子供が英語学習を嫌がるようであれば、無理に押し付けたりはしないようにしましょう。もしかすると学習方法が合っていないかもしれませんので、少しやり方を変えてみるのも一案です。あくまでも本人が前向きな気持ちで取り組まないと、早期教育の効果は得られないという点を肝に命じておくようにしましょう。

動機づくりが大切

三つ目に注意すべきなのは、子供が積極的に英語を学びたくなるように誘導するための動機づくりです。幼い子供にいくら将来のためになるからといっても、それを理解して進んで勉強しようと思うはずがありません。そうではなく、楽しんで英語を学びながら、小さな成功体験を積み重ねていくことで、気づけば子供が自ら英語を学びたいという気持ちが芽生えてくるのです。そのため、親としては、なるべくそのような環境を整えてあげることが重要となります。単に英会話教室に入れて満足するのではなく、自ら子供と一緒になって英語の歌を歌ったり、少しでも子供が英語を口にできたら積極的に褒めてあげるようにすると良いでしょう。子供にとっては、親に認めてもらえるというのがもっとも大きなモチベーションにつながるのです。

どうすれば子供のモチベーションを上げられるか、モチベーションを上げる方法を真剣に考えて仕向けることが重要になってきます。モチベーションの上げ方をいくつか紹介します。

1.  小さなことでも、できたことを具体的に褒めてあげる

単語を覚えたとか発音が上手にできたなど、ほんのささいなことでも、できたことを具体的に褒めてあげるようにしましょう。6歳までの幼児は、褒められたらうれしくなって、さらに頑張ろうという意欲が湧いてきて、熱心に取り組むようになるでしょう。

2.他の子と比べない

「お友達の○○ちゃんは・・・」と他の子と比べて発言してしまいそうになりますが、そこはぐっと抑えるようにしましょう。この時期の子供は繊細で、同年齢の子と比較されすぎると、「どうせ自分は・・・」と劣等感を抱いてしまうようになりがちです。

上のお子さんと比較して発言するのもNGです。姉や兄が優秀で下の子がそれと同じぐらいできない場合、ついつい上の子を引き合いに出して物を言ってしまいがちですが、優秀な姉や兄と常に比較されてきた子は、すぐに諦めてしまったり投げやりになってしまいがちです。

その子なりのベストを尽くしてがんばれたらそれで良しと考えて、他の子と比較しないことが、その子の健やかな成長に役立ちます。

子供が楽しんで英会話を学べる方法を見つけよう

以上で見てきたように、幼い子供に英会話を学ばせることには多くのメリットがある一方で、やり方を間違えると思わぬ副作用を生じさせかねません。

そのため、子供を持つ親としては、焦って無理に勉強させようとするのではなく、子供が心から楽しんで、自己肯定感を養いながら勉強できるやり方を見つけるよう心がける必要があるのです。