「完了形」は日本語に訳した時に過去形と同じ日本語訳になることが多いので、「過去形と何が違うの?」と困惑する人も多いでしょう。

今現在これを書いている著者もそうでした。

過去形、現在完了形、過去完了形、それぞれ形も意味も違っているはずなのに、似たような日本語訳になることで混乱してしまいがちです。

この記事では、そんな「完了形」について、細かい意味やニュアンスを交えながら、過去形、現在完了形、過去完了形の順にお伝えして、これを読んでいるあなたが適切に使い分けられることを目的にそれぞれの違いをお伝えしていきます。

現在完了形

現在完了形

「完了形」の中で最も基本となる形が「現在完了形」です。

後述する「現在完了進行形」や「過去完了形」などに先駆けて、中学英語で学ぶ(※)項目であることからも、「現在完了形が、完了形の中でも基本となる」ことが伺えます。

※2023年現在では学習指導要領が変わり、教科科目としての英語教育が2年前倒し(小学校5年生スタート)になった影響で、「現在完了進行形」までを中学英語で学ぶようになりました。ただし現在完了進行形を含めた、完了形の基本として「現在完了形」から学ぶのは変わりません。

現在完了形の作り方

現在完了形は「Have + p.p(過去分詞形)」の形にすることで表現できます。

Haveで「現在」を表して、過去分詞形で「完了」を表して「現在完了形」にするイメージです。

例文↓

  • I have finished my homework.
    宿題を終えてしまいました。

  • He has played football since he was seven.
    彼は7歳の頃からサッカーをしています。

※例文の「Finished」と「Played」は過去形ではなく過去分詞形です。

現在完了形の意味と使い方

現在完了形は「~した。」と訳されることが多いです。

「~した。」だったら、過去形と同じじゃないの?と思いますよね。確かに日本語訳してしまえば過去形と同じになる場合も多いです。

しかし、過去形と現在完了形とでは、同じ日本語訳になったとしても、文章が含んでいる意味は違ってきます。

過去形と現在完了形の違いについては後述するので、まずは現在完了形の表す意味から見ていきましょう。

現在完了形が表す意味には、主に以下のものがあります。

  1. 完了・結果
  2. 経験
  3. 継続

順番に見ていきましょう。

1.完了・結果

現在完了形が表す意味として、「完了・結果」があります。

「完了・結果」とは、文字通り「物事(例えば、お仕事や宿題など)が完了しているさま」や、「誰かが行った動作の結果」を表します。

例文を見た方がわかりやすいかと思いますので、例文を挙げてみます。↓

  1. I have finished my homework.
    宿題を終えてしまいました。(完了)

  2. She has gone to Sapporo.
    彼女は札幌に行ってしまいました。(結果)

1.の例文では「宿題がもう終わっている(完了している)」さまを意味していて、2.の例文では「彼女は札幌に行ってしまった。(その結果、今はもういない)」ことを表しています。

【補足】ところで、どちらも「(終えて)しまいました。」と「(行って)しまいました。」で、同じ日本語訳になっていますよね。

これは「完了」の意味も「結果」の意味にも、「共通したニュアンス」があるからです。

「共通したニュアンス」については、過去形と現在完了形との意味の違いの項で詳しく後述します。

2.経験

現在完了形が表す意味の1つとして、「経験」の意味があります。

「経験」は、「今までに一その動作をしたことがあるか」を表します。こちらも言葉で説明するよりも例文を見たほうがわかりやすいでしょう。↓

  • I’ve made a curry and I’ve made a cake.
    私はカレーとケーキを作ったことがあります。

  • I heve been to London.
    ロンドンに行ったことがあります。

例文のように、「カレーとケーキを作った経験がある」ことや「ロンドンへ行った経験がある」ことを意味しているのがわかりますよね。

【補足】

先述の「彼女は札幌に行ってしまった。」の例文と、「ロンドンに行ったことがあります。」の例文では、どちらも「~に行く」という動詞が使われています。

しかし、「札幌に行ってしまった。」の文では「Gone(Goの過去分詞形)」を、「ロンドンに行ったことがあります。」の文では「Been(Beの過去分詞形)」を使っています。

日本語訳ではどちらも「行く」ですが、表現したい英文が「結果」の意味なのか、「経験」の意味なのかで「Gone」と「Been」を使い分ける必要があります。

「結果」の意味で使う場合は「Gone」を、「経験」の意味で使うときは「Been」を使うように意識して覚えましょう。

3.継続

現在完了形が表す意味の1つとして、「継続」の意味があります。

「継続」には、「ある時点から現在まで続いている状態」を表す働きがあります。こちらも例文で見てみましょう。↓

  • He has played football since he was seven.
    彼は7歳の頃からサッカーをしています。

  • Yoko has studied English for 8 years.
    陽子は8年間英語を勉強しています。

例文から、「彼が7歳の頃から現在まで、サッカーを継続していること」「陽子が8年前から現在まで英語の勉強を継続している」ことがわかりますね。

これが現在完了で表す「継続」の英文です。

現在完了形と過去形との違い

現在完了形は日本語訳すると「~した。」と訳されることから、「過去形」と区別しづらくて苦手とする人は多いです。

これは日本語が過去形と完了形をあまり区別しないことから、日本人にとって完了形が「英語特有の感覚」になっているからです。

ところで、前項で「現在完了形」には「完了・結果、経験、継続」の意味があるとお伝えしましたね。

現在完了形が持つ「完了・結果、経験、継続」の意味には、それぞれ「共通したニュアンス」があります。

現在完了形の持つ「共通したニュアンス」とは「現在との繋がり」です。

例えば、同じ「宿題を終えた」という文章を、過去形と現在完了形でそれぞれ比べてみましょう。

  • I finished my homework.
    宿題を終えました。

  • I have finished my homework.
    宿題を終えました。

どちらも同じ日本語訳ですが、過去形は単純に「宿題を終えた」という事実を意味しています。

対して現在完了形に関しては「宿題を終えた。(なので、今は宿題は完了している。)」というニュアンスを持っています。

これが「結果」の意味に関しても

  • She went to Sapporo.
    彼女は札幌に行った。(今はどこにいるかわからない)

  • She has gone to Sapporo.
    彼女は札幌に行ってしまった。(なのでもうここにはいない)

といった、「現在」への関わりという点で意味に違いが出てくるわけです。

こうした「現在と関わりがあるか」の視点を持てば、過去形と完了形の違いを感覚的に理解できるようになります。

過去完了形

過去完了形

過去完了形は、「過去のある時点から、さらにさかのぼった過去」を表すときに使われます。

過去完了形の作り方

過去完了形は「Had + p.p(過去分詞形)」の形にすることで表現できます。

「現在」完了形の「Have」が、「過去」完了形になって「Had」になったイメージです。

過去完了形が表す意味

過去完了形は、「過去のある時点から、さらにさかのぼった過去」を表します。

例えば、以下の例文のような状態です。↓

  1. The train had already left when we arrived at the station.
    私たちが駅に着いた時電車はすでに出発していた。

  2. He told me he had been to France twice.
    彼は2度フランスに行ったことがあると私に話した。

  3. He had stayed in Japan for two weeks before he moved to Seattle.
    彼はシアトルへ異動になる前までは日本に2週間滞在していました。

1.の例文では「電車が出発したのは、私たちが駅に着くより前」、2.の例文では「彼が2度フランスに行ったのは、私にそれを話すより前」、3.の例文では「日本に2週間滞在していたのは、シアトルに異動するより前」という時系列を表しています。

現在完了形が「現在」を暗示していたのに対して、過去完了は「過去」を起点にして、それより前の出来事を表現するようなイメージです。

まとめ

この記事では、完了形について「過去形との違い」や、それぞれの細かい意味とニュアンスの違いを含めて詳しく解説しました。

「過去形」と「現在完了形」、「過去完了形」にそれぞれ「日本語に訳されないニュアンスの違い」があるので少しややこしく感じるかもしれませんが、ここまでお読みのあなたであれば、それぞれが関わる「時間」の視点を持ち、スピーディで適切な使い分けができるようになっているでしょう。

この記事でお伝えしたことが、あなたの英語学習をより豊かなものにできれば幸いです。