アメリカ留学または大学へ進学することを検討している人を悩ます問題が「英語力の証明」ではないでしょうか。

アメリカでは多くの学校が国際留学生を受け入れているため、日本人であったとしても、はたまた、何歳になったとしても留学は可能です。

しかし、それに伴って必ず必要となるのが英語力の証明。具体的には、多くの学校でTOEFLのスコアやTOEICのスコアが用いられています。これらの英語力の基準は各学校によって異なり、ある学校ではTOEFLのスコアが必要とされ、ある学校ではTOEFLもしくはTOEICのスコアどちらでも良いということも。

特にカリフォルニア州やニューヨークなど日本人が多く集まる都市圏の学校は、少しでも日本人を受け入れようという意味で、TOEFLとTOEICに加えて「英検」なども英語力の証明として採用しています。仮にTOEFLやTOEICのスコアを持っていなくても、英検の準1級を持っていれば英語力はあると判断してくれる学校もあるのです。

このように様々な条件がある英語力の証明ですが、アメリカで学生生活を送るためには、いったいどのような英語力を保有しておくべきなのか、またそれらの勉強法はどうすればいいのか、私の経験をもとに紹介したいと思います。

繰り返しになりますが、英語力の証明は学校ごとに異なります。さらには、留学生の数を調整するため毎年のようにルールを変更する学校もあります。

今回の記事は、まだ留学先の学校や留学都市も決まっていない人向けですので、それを踏まえて読んでいただければ幸いです。

アメリカはTOEFLと心得る

アメリカはTOEFLと心得る

留学先がアメリカの場合は「TOEFL」の勉強をすることをおすすめします。

アメリカへ留学する場合、英語力の証明としてほとんどの学校が「TOEFL」のスコアを要求します。これに加えて、日本での成績、学校や上司などからの公式な推薦状、さらに日本で何を学んできたかなどのエッセイが要求され、これらすべてが大学の要求を満たしていれば晴れて合格になります。

学校によっては、家庭の経済状況や家族構成、さらに4年間の授業料が支払えるかどうかのチェックをするため、収入証明や銀行の残高証明が求められることもあります。これまた学校によって大きく異なるため、留学を検討する際に一番入念に調べる必要がある部分と言えるでしょう。

アメリカでは、英語力において大学の授業についていけるかどうかの判断は「TOEFL」を用いるのが主流です。その理由に、TOEFLは「スピーキング」「ライティング」「リスニング」「リーディング」すべての要素を網羅しているため、その人の英語の総合力を判断するのが容易ということがあります。

対して、日本で圧倒的に主流となっている「TOEIC」は、アメリカのごく一部の大学でしか認めてもらえません。その理由は、お分かりのようにTOEICの主流は「リスニング」「リーディング」のテストのためです。

つまり、いくらTOEICの高得点スコアを持っていても、希望する大学がTOEFLしか認めてくれない場合は「宝の持ち腐れ」になってしまいます。仮に、語学学校などの機関であれば、交渉するという多少の融通が利くかもしれませんが、大学入試に該当するような場面ではいっさいの融通は利きません。

従って、目標とする大学がTOEFLなのか、TOEICなのか、留学を検討する初期中の初期段階でしっかりと把握しておく必要があります。ただし、アメリカの大学に進学する場合は、ほぼ間違いなくTOEFLが必要とされると考えていいでしょう

ちなみに、私は、留学前、TOEICのスコアしか持っていなかったため、受講しようと考えていた大学のコースに行くことは諦めました。理由はその大学はTOEFLのスコアしか認めていなかったからです。

さらに、要求されるTOEFLのスコアは、数ヶ月程度勉強すればなんとかなるというレベルでもなかったので、おとなしく語学学校に通って英語の基本から学ぶことにしました。

私の場合は、明らかな準備不足が招いた結果ですが、留学を決意するのは大学が求めるTOEFLスコア習得のための勉強に時間をかけるため「半年前」が最低ラインであると思います。

もちろん、ご自身の既存の英語力によって異なりますが、難しい単語が頻出するTOEFLは、時間をかけて攻略する必要があるでしょう。

TOEFLには2種類ある

TOEFLには、TOEFL iBT(Internet-based Test)と、TOEFL ITP(Institutional Testing Program)の2種類あります。

TOEFL iBTは、公式なスコアとして認定されるオンラインの試験で、4つのセクション(リーディング・リスニング・スピーキング・ライティング)から構成されています。試験時間は約4時間と長丁場です。

一方のTOEFL ITPは、団体向けの筆記試験(マークシート形式)。リスニング・文法・リーディングの3セクション構成となっています。

TOEFL ITPはあくまで英語力を測定するツールのひとつであるため、留学時の入学要件にTOEFLが設定されている場合には、TOEFL iBTの受験が必須になってきます。

TOEFLの勉強法

TOEFLで高スコアを取得するためには、半年以上という時間をかけた勉強が必要です。

私の個人的な経験では、TOEICは短期的な勉強でスコア向上が可能なものの、TOEFLはすべての能力が問われるため、長期的でなおかつ計画的な勉強法が必要になると思っています。

実際に、私は3ヶ月でTOEICスコアを100点向上させました。一方で、TOEFLはいまだにリーディングセクションの問題文を理解できない程度なので、TOEFLとTOEICは同じ英語でもまったく異なるものと考えたほうがいいでしょう。とくにTOEFL初心者にとって、TOEFLは非常にアカデミックなため苦労すること必須と言えます。

そんな長期戦を覚悟のTOEFLの勉強法ですが、「スピーキング」「ライティング」「リスニング」「リーディング」の4つのセクションを学習する必要があります。いずれのセクションも限られた時間内で対応せねばならず、なおかつ4時間以上となるテストは精神的にも肉体的にもヘトヘトになるほどです。

私は4つのセクションを「インプット」と「アウトプット」に分割して考えており、勉強法はこのインプットとアウトプットに基づいて進めていくと効率的だと思います。

インプットの「リスニング」「リーディング」

インプットの「リスニング」「リーディング」

まず、私が考えるインプットについてですが「リスニング」「リーディング」がそれに該当します。いずれも自分が持っている英語力を外に向けて発するというよりは、英語力を自分のなかに取り込む印象が強い要素と言えるでしょう。

私はこれらのインプットにはさほど時間をかける必要はないと考えています。なぜなら、これらの要素は勉強するものではなく「日常生活で身についていくもの」だからです。

当然のことですが、アメリカで生活していると英語に囲まれていますので、あらゆるものが英語のため嫌でも英語を目にして、いつの間にか知らなかった単語や表現を覚えてしまっていくものです。実際に私がそれを経験しており、ただアメリカで生活しているだけで、リーディングスキルとリスニングスキルは向上しています。

このことからTOEFLの「リスニング」「リーディング」に対する勉強方法として一番おすすめなのが「生活を英語化する」ことです。

家族や友人と接するとき以外はあらゆるものを英語化。音楽やラジオも、インターネットで観るウェブサイトもすべて英語のものを徹底して選択し、とにかく英語化します。

さらに、可能な限り一日の大半を英語化された環境で過ごすようにするといいでしょう。通学や通勤時間に聞く音楽はTOEFLのリスニング問題を聞き、スマホでSNSチェックやゲームをしていた時間をすべて英語のウェブサイト閲覧に変更。これだけで「インプット」は押さえられると思います。

ただし、英語化する部分はあくまでも「TOEFLに関連すること」にすべきです。つまりは「アカデミックな内容」ということになります。TOEFLはアカデミックにふさわしい難しい英単語が頻出しますので、それらを理解できるような音楽や本、またはウェブサイトを意図的に選ぶ必要があります。

具体的には、リスニングはイギリスのBBCニュースやTED Talksなどがアカデミックでなおかつ面白い内容が多いのでおすすめです。リーディングは、Natureなどの化学雑誌や歴史に関連する書物がおすすめ。読んでいてさっぱり面白くなくても、TOEFLには効果を発揮します。事実、TOEFLでは化学系のテーマが採用されることが多いので役立つこと必至でしょう。

この生活を最低でも半年続ければ、いざTOEFLの試験を受ける際に「どこかで聴いたことある」や「以前、読んだことがある」という効果を得られるでしょう。もちろんTOEFLの試験以外でも有効なので、ぜひ実践してみてください。

アウトプットの「スピーキング」「ライティング」

インプットとは対称的に「アウトプット」は制限時間内に効率良く英語力を発揮しなければいけないため、最も苦労するセクションでしょう。TOEIC同様にテクニックも必要とされるため、インプットの「リスニング」「リーディング」よりも本腰を入れて学習する必要があります。

私は「スピーキング」に関しては「独り言」が有効だと考えています。部屋や車のなかでTOEFLのテーマに関連したことを自分なりに想像し、要約して、論理的に説明できる「フォーマット」を繰り返す練習です。

TOEFLのスピーキングテストでは、英語の授業さながらに、何かしらのテーマに対して意見を求められ、それに応えるという能力が問われます。そのため、スピーキング問題は自分なりのフォーマットを用意しておくと便利です。

日本のように起承転結スタイルではなく、まず結論を述べ、その結論をサポートする理由を3つ述べる。これを鉄則とし、複数の言い回しを用意しておけばほぼ問題ないでしょう。あとは、問題の問いかけに対して、自分の意見を論理的に要約できるかどうかなので英語とは関係がないことです。

スピーキングセクションは、鉄則に基づき、複数の言い方を用意し、さらに独り言で練習し、どんな時でも鉄則通りに話せるようにしておけばいいでしょう。満点を目指すのではない限り、この鉄則法で十分に得点を得ることは可能です。

個人的には「ライティング」が一番苦労すると考えています。なぜなら、限られた時間のなかでエッセイ式のフォーマットに従い、正しい文法と正しいスペルで、なおかつアカデミックな英単語を使った様々な言い回し(書き回し)を使う必要があるからです。一言で言うと「英語の正確さと豊富さ」が判断されます。

そのため、ライティングこそ時間をかけて勉強と練習が必要になるでしょう。ライティングセクションを攻略するにあたって覚えるべきは「エッセイ式フォーマット」「文法」「英単語」「パラフレーズ(言い換え)」そして「高速タイピング」です。

「エッセイ式フォーマット」以外は数ヶ月では効果は表れないため、半年以上じっくり時間をかけて磨いていく他ありません。私はTOEFL対策のため、毎日1時間インターネット上からTOEFLの例題を見つけ出し、本番同様の制限時間でエッセイを書く練習をしていました。

ライティングは先に紹介した「インプット」がしっかりできた上で初めて成立するセクションですので、急激にスコアが伸ばせる部分ではありません。特効薬のような物はなく、地道なインプットと日々の練習が成果につながります。

効率よくTOEFLで得点を伸ばす学習法

TOEFLの勉強法について解説しましたが、ここからはTOEFL®テスト日本事務局の公式サイトを活用して、効率よくTOEFLの点数を伸ばす方法について解説します。

日本でのTOEFL受験を運営しているのは、TOEFL®テスト日本事務局です。まず、その事務局の公式サイトをチェックしてみましょう。

1,テストの全体像を知る

TOEFL iBT® Free Practice Test 問題集が掲載されています。この問題集は、「英検2級程度からTOEFL iBTを勉強したいと思った時に、学習のキッカケにできるようなミニテストはないか」という保護者の声に応えて用意されたもので、TOEFLテストの概要を知るのに役立ちます。

2.今の自分の実力を知る

TOEFL iBTは約2時間ですが、約40分間で体験できる無料のSample Testも掲載されているので、そのSample Test を使って問題を解き、今の自分の実力を知るようにしましょう。

Full Practice Testも用意されています。TOEFL iBT対策プラットフォームを作るだけで、テストを受けることができて、AI判断による大まかなスコアの目安を確認することができます。4つのセクションのうち、どのセクションが得意で、どのセクションが苦手かを判断することもできます。

3.自分の目標スコアを設定して学習を始める

交換留学の目安となるスコアは60、海外大学の学部入学の目安になるスコアは80、海外大学院の目安になるスコアは100です。2で今の自分の実力を知った後、どこまでスコアを目指せそうか、目標スコアを設定して学習を始めましょう。

目標スコアの設定の仕方

TOEFL iBTは、リーディング・リスニング・スピーキング・ライティング各30点ずつの配点で合計120点満点です。

初心者の場合、目標スコアは61点とされています。アメリカの大学については、スコア61点以上を基準としているところが多いです。

参考:https://www.toefl-ibt.jp/test_takers/tips/

初心者がTOEFLで高得点を取る対策

効率よくTOFLEで得点を伸ばす学習法を紹介しましたが、その学習法に沿って進めていくとして、どうすれば高得点が取れるかについて解説していきます。

アカデミックなTOEFLならではの単語を覚える

TOEFLでは、アカデミックなTOEFLならではの単語がよく出てきます。上記の学習法に沿って学習を進めていきながら、アカデミックなTOEFLならではの単語をできるだけたくさん覚えていきましょう。そういったアカデミックな専門用語をたくさん覚えていると、リーディングやリスニングで単語の意味を苦労して推測せずにスムーズに解けるようになります。TOEFLテスト頻出単語をまとめた単語帳も出回っているので、そういった頻出単語集もうまく活用しましょう。

中学や高校の文法力を鍛える

TOEFLでは文法力も重要になってきます。文法力を鍛えることで、リーディングの読解力やリスニングの理解力が一気に上がります。ライティングやスピーキングでも、文法力は問われるので、文法力を鍛えることが、高得点につながります。

各セクションごとに対策する

TOEFLでは、4つのセクションを均等に英語力を評価されるので、すべてのセクションで英語力を伸ばすように対策していきましょう。苦手なセクションを作らないように、4つすべてのセクションについてまんべんなく対策することが重要になってきます。

まとめ

いかがでしたでしょうか。アメリカの大学留学を目指しておられる方向けに、TOEFLで高得点を目指す方法について解説しました。アメリカの大学に留学する場合、TOEFL対策は必須です。さらにTOEFL対策には時間と積み重ねが必要になりますので、留学を決意したらすぐにでも学習を始めましょう。ひとつの目安として半年続けることを意識してください。

TOEFLに専念した後にTOEICに挑むと「なんて簡単なんだ!」と思うほどですので、まずはTOEFLの勉強を頑張ってください。初めてTOEFLの問題を解いたときは、難しく感じるかもしれませんが、何度の過去問や練習問題を解いて対策をしていくうちに、得点が伸びてくることでしょう。くれぐれも、希望する学校が要求している条件の確認を最初に行うようにしてくださいね。TOEFLで高得点を取るのは、短期間では厳しいことですので、しっかり対策をして、根気強く勉強を続けていっていただきたいです。