今回は、オーストラリア語学研修+日本語教師ボランティア(1ヶ月)を行った方の体験談レポートです。

なぜ「ボランティア+語学研修」の留学にしたのか

大学4年の時、就職も英語教員に内定が決まっていたのですが、残りの大学生活をどう過ごそうかと思っていたときに、最後の春休みなら卒業に影響なく留学が出来そうだったので、1ヶ月の短期留学をすることにしました。

また、単なる語学研修ではなく何か働く経験がしてみたかったので、前々から興味のあった日本語教師ボランティアとセットになっているプランのある学校を選びました。

卒業後は英語教員になることになっていたので、少しでも人前で立って話す練習が出来ればという思いもあり、いろいろなタイミングがちょうどよく重なり迷いなく留学を決意することができました。私にとっては留学先選びは二の次で、たまたま日本語教育が盛んなオーストラリアの学校が多かったので、オーストラリアに決定しました。

最初の試練は自力での申し込み

当時、大学生で「時間はあるけどお金はない」という状況だったので、なるべく費用を抑えたいと思っていました。色々なサイトを調べながら、日本語教育ボランティアと語学研修をセットで斡旋してくれる学校の情報を調べ、留学会社を通さずに自分で語学学校とコンタクトを取りました。

オーストラリアは、特に小学校でのボランティアが関わるとブルーカードの申請などビザの手続きも煩雑な部分があり、英語でオーストラリア政府のサイトを読んでみたり、書類を取り寄せたりと、渡航前から語学の勉強をしているようで、面白かったです。語学学校にも直接担当の人にメールで連絡を取り、受けたい授業のコースを選択し、授業料を海外送金するところまで完了する必要がありました。どれも初めてやることだったので、時間もかかりましたが、「自分で手配している」充実感があり、留学前の自信にもなりました。

最初の2週間は語学学校での語学研修

1ヶ月のうち、最初の2週間はブリスベンの語学学校での語学研修でした。開講されている授業は一般英語のほかに、TOEFLやIELTSなどの資格試験対策のクラスもありました。私は一般英語の上級クラスに入りました。約10人のクラスで、学生の国籍は、ブラジル・イタリア・スペイン・日本・韓国・アラブなど多様で、どの学生も積極的に会話をする人たちでした。本格的な語学留学でもなかったので、課題なども自宅で30分ほどあれば終わるようなもので、毎日の勉強は座学よりも実生活の中で身につけるという生活でした。

授業は、Cutting Edgeのテキストを使い、おおむね教科書に沿って授業が進められました。テーマに沿って討論する時間もけっこうあり、なかなか発言の機会をつかみにくい日本人の私にとっては緊張感のある時間でしたが、先生がうまくフォローも入れてくれ、それなりに発話をするチャンスがありました。何を言おうかとか頭の中で考えているといつまでたっても何も言えないまま時間が過ぎてしまうので、見切り発車で何か思いついた単語をひとこと声に出して言うことで、自分の発話チャンスをつかむことができるということも学びました。

学校は駅から町の中を8分ほど歩くとあり、商店街やオフィスなどが整然とある、治安のいい町でした。近くには大学もあり、大学のプールも安く一般解放されていて、授業前にプールで泳いでから行くこともありました。放課後も、クラスメイトやクラスメイトの友達など、あまりよく知らないメンバーでも一緒になって、近くのショッピングセンターに出かけたり、美術館やカジノに出かけてみたり、パブに行ったりしました。ショッピングセンターは17時には閉まるところが多く、日本の感覚で出かけると、あっという間に閉店、ということもありました。

ホームステイ体験

滞在先はホームステイで、娘3人・シングルマザー・ネコ2匹・犬一匹のいる家庭でした。女ばかりの家で、受け入れ学生も女性のみとしていたようです。なんでもやってくれるホテルではなく、その家でお世話になる者として、家事のお手伝いなどは、ホストであるお母さんのルールに従い、積極的にしました。皿洗い、洗濯物、庭の花の水遣り、犬の散歩(子どもたちと一緒に)、など色々とすることはありました。

ホストファミリーも優しく接してくれましたが、一度、朝早く家を出るときに、鍵をきちんとかけずに出かけてしまい、帰宅後にきつく叱られました。私は、次にすぐ上のお姉さんが出かけるから開けたままにしておいたのですが、女性だけの家で、もあり、安全管理として絶対に怠ってはならないことだと言われました。確かにその通りでしたし、この家のルールはきちんと知っておかなければならなかったので、きちんと言ってくれてありがたかったです。この出来事は、はっきりとした話し方が日本とは違うという異文化を感じさせる出来事でもありました。

後半2週間の日本語教師ボランティア体験

日本語教師ボランティアは、ホストファミリーの子どもたちも通う小学校で行いました。主に小学校2年生の担当で、現地の先生と一緒にチームティーチング式に1週間ほど行ったあと、残りの1週間は完全オリジナルでした。

チームティーチングでは先生の進める授業の中で、発音のモデルになったり、会話の相手役になったり、プリント配布のお手伝いなど事務的なことだったり、色々な役割がありました。メモを取りながら授業方法の勉強もさせてもらいました。この1週間は子どもたちの大体のレベルを把握しながら、次の週の授業プランを考えたり準備したりして過ごしました。

最後の1週間のオリジナル授業は、「日本語で数字を覚えて電話をかける」という内容にしました。基本的には英語で授業を行う必要がありましたが、内容が日本語なので、英語の細かい文法や表現の間違いなどは気にしないことにしました。30人くらいのクラスを45分でマネージメントするのは結構あっという間で、1週間の授業でもあっという間に過ぎてしまいました。子どもたちに人気があったのは日本の「ご褒美シール」とご褒美スタンプの代わりにした「印鑑」でした。

授業は毎時間あるわけではなく、他の業務などがあるわけでもないので、授業の合間は授業準備をしたり、先生のお仕事のお手伝いをしたりしました。昼休みは、ランチのあとは校庭に出てみると子どもたちがたくさん遊んでいるので自然に一緒に遊んだりお話をしたりしました。日本なら、TAは「英語で」話すものですが、ここでも子どもたちは日本語ではなくやはり英語で話しかけてきました。子どもの話す英語は独特で、大人と話す以上に難しかったように思います。

かかった費用(概算・学費や生活費)について

往復航空券・語学学校代・ホームステイ代のほかに、ボランティア先の斡旋代・ビザ申請代などの雑費、プライベートでの旅行(ボランティア修了後さらに1週間滞在しオーストラリア内で一人旅をしました)や交際費・通信費などがかかりました。すべて合わせても約35万円くらいだったように思います。留学会社を介さずに手配をしたので、かなり安く抑えることが出来たと思います。

その後のキャリア(現在のキャリア)について

この短期留学で得たものは、オーストラリアでの文化体験と、海外の友人、一人旅や自分で手配したことによる自信感、社会人になる直前の区切りとしての体験などでした。

帰国後すぐに卒業、入社の時期を迎え、卒業直前の体験として本当にいいものになりました。英語をたた勉強するのではなく英語を使って何かをする、という方向性にとても夢を抱くことができた経験でした。