ラグビーは世界中で多くの競技人口を抱える人気のスポーツで、オリンピックの正式種目にも選ばれています。このラグビーは、もともと英語の母国であるイギリスで誕生したこともあって、競技中には英語が多用されます。そのため、試合を観戦することで、英語学習に役立てることができるのです。この記事では、オリンピックのラグビーの試合を通じて英語力を伸ばすためのおすすめの方法を紹介します。
ラグビーとはどのようなスポーツ?
はじめにラグビーへの関心を深めていただくために、その内容や歴史について説明します。
ラグビーとはどのようなスポーツなのか?
ラグビーは、2つのチームによって行われるスポーツで、楕円形のボールを奪い合って、相手の陣地に侵入し、最終的にインゴールまでボールを運ぶことで得点することができます。フィールドプレイヤーの人数やルールが異なるさまざまな種目が存在しますが、もっともポピュラーなのは1チーム15名で構成される15人制と呼ばれるものです。
ラグビーの歴史
ラグビーの歴史は古く、その起源は19世紀前半に遡ります。諸説あるものの、1823年にイギリスのラグビー校というパブリックスクールで行われていたフットボールの試合中に、1人の少年がボールを手に持って相手のゴールに向かって走り出したことに由来するといわれています。その後、1863年にそれまでクラブごとに独自のルールで行われていたフットボールの統一ルールを決めるための会議が開催されるのですが、その際に、一部のクラブがボールを手で持つことなどが認められなかったことに反発して協議を離脱することになりました。それらのクラブは、1871年にラグビーフットボール連合を結成し、そこから本格的にラグビーの歴史が始まるのです。
イギリスで誕生したラグビーは、紆余曲折はあったものの、次第に上位階級のスポーツとしての地位を確立していきます。また、それと並行して、オーストラリアやニュージーランド、カナダといったイギリス連邦を構成する諸国へも広がっていき、世界的なスポーツへと変貌を遂げていくのです。なお、日本にラグビーが伝来したのは意外と早く、1874年には来日したイギリス船員によって横浜で試合が行われています。
ラグビー強豪国の英語
イギリス
ラグビーの発祥国イギリスでは、ラグビーの競技人口が一番多く、スポーツパブでもラグビー中継を観ることが当たり前ということです。
旅行先、留学先としては人気の国ですので、本場でラグビー観戦するのもよいかもしれません。
ニュージーランド
ラグビー大国ニュージーランドの代表は、全身黒色のユニフォームを着ているチームで、「オールブラックス」といわれています。
ニュージーランド代表は、試合の前にニュージーランドの先住民であるマオリ族の伝統舞踊「ハカ」も有名です。マオリ族の戦士が、戦いの前に手を叩き足を踏み鳴らして自らの力を誇示し、相手をあおる舞踊です。
ニュージーランドの英語は、キーウィイングリッシュ(Kiwi English)といわれており、独特のイントネーションやなまり、語彙があります。
アイルランド
ラグビー強豪国です。
アイルランドの英語は、話すスピードや発音、単語のスペルもアメリカ英語とはかなり違っているため、アメリカ人にとっては難しいようです。
ラグビー好きの方は、ぜひアイルランド英語にも挑戦してみてください。
オーストラリア
オーストラリアもラグビー強豪国です。
オーストラリアはイギリスに植民地支配を受けていた影響もあり、イギリス英語の影響を受けています。初期のオーストラリア移民の多くが話していたコックニー(ロンドンの下町なまり)の継承と考えられています。
今では「オージーイングリッシュ」と言われ、特徴のある英語になりました。
南アフリカ
南アフリカは、ラグビーワールドカップ2019で3度目の優勝を果たしました。
多人種・他民族国家であり、英語も含み11の公用語があります。母国語はアフリカーンス語(オランダ語由来の言語)のため、英語もオランダ語のようななまりがあります。
アメリカ
アメリカではラグビーよりアメリカンフットボールの方が人気です。
ただし、アメリカンフットボールや野球の競技人口が伸び悩む一方で、サッカーやラグビーの競技人口が増えているということです。
アメリカには、野球のメジャーリーグだけでなくメジャーリーグラグビーというプロリーグが存在します。
ラグビーワールドカップ
4年に一度行われ、世界三大スポーツイベント(オリンピック、FIFAワールドカップ、ラグビーワールドカップ)のひとつといわれています。
1987年にニュージーランド・オーストラリアの共同主催で第1回大会が行われました。
2019年には、日本で開催されたことは記憶に新しいのではないでしょうか。2027年はオーストラリア、2031年はアメリカで開催される予定です。
ラグビー用語を紹介
ラグビー用語は、日本語でも耳慣れない人が多いでしょう。主な用語の英語を紹介し用語の説明をします。
トライ
Try:対戦相手の陣地におけるインゴールライン内(ゴールライン上も含む)に味方の選手がボールを置く得点方法のことです。5点入ります。由来はtry at goalで現在は略されて使われています。
スクラム
Scrum:ラグビーにおける集団戦の一つでフォワード同士で押し合うことをいいます。
アドバンテージ
Advantage:ファールを受けた場合でもプレーを続けた場合得点につながる可能性が高いと判断された場合、そのファールをいったん流すことです。
ラインアウト
Lineout:ボールがサイドラインの外に出てしまったあとに行われる、ボールを投げるセットプレーのことをいいます。
ノットリリースザボール
not release the ball:タックルを受けた際にボールを離さずにそのままつかむ反則行為のことです。
ドロップゴール
drop goal:ボールをワンバウンドさせてゴールバーの間に蹴り込むことをいいます。成功した場合3点が入ります。
ノーサイド
No side:試合終了のことを指す古風な英語表現です。日本では現在でも使われていますが、現在の英語圏ではNo sideという表現は使われなくなり、代わりにFull timeが用いられています。
日本では「試合が終われば敵も味方もなく、お互いの健闘を称え合って感謝し、ラグビーを楽しんだ仲間として友情を深めよう」というラグビーの精神に重ねる言葉として説明されています。
It’s full time.
訳)試合終了だね。
In Japan, it is called “no side”. It is a spirit of praising each other’s good work.
訳)日本では「ノーサイド」と言ってるよ。お互いの健闘をたたえ合おうという精神からだよ。
That’s nice!
訳)それはすてきね。
ラグビーを通じて英語を上達させる方法
このように今や世界的なスポーツとなったラグビーですが、プレーを楽しむだけでなく、英語学習に役立てることも可能です。ここでは、ラグビーを使った英語学習のおすすめの方法を紹介します。
ルールブックを読んでみよう
多くの人にとって、いきなり英語でラグビーの試合を見るにはハードルが高いでしょう。そこで、まずおすすめなのが英語のルールブックを読んでみるという方法です。インターネットで「rugby, rulebook」という検索ワードを使って調べれば、ルールブックは簡単に見つかります。まずは、それを見てルールの内容を学習してみましょう。
ラグビーボール
例えば、ラグビーボールの素材については、次のように規定されています。
Leather or suitable synthetic material. It may be traded to make it water resistant and easier to grip.
訳)レザーか適当な合成繊維制のものに限る。防水性を高めたり、掴みやすくするための加工を施すことは可能。
この一文だけ見ても、suitableやsyntheticといった単語の学習ができますし、「可能」を表すmayの用法やitを主語とする受動態の言い回しの理解を深められるでしょう。
反則名
また、ボールを前に落とすknock-onの解説は、こちらのようになっています。
When a player mishandles the ball, i.e. drops it or allows it to rebound off a hand or arm, and the ball travels forwards, it is known as knock-on.
訳)プレーヤーがボールを落としたり、ボールが手や腕に跳ね返って前方に転がった時は、ノックオンになる
ノックオンというのは日常用語ではないのですが、ルールを読めばそれほど難しい概念ではないということがわかるでしょう。
監督とコーチ
ラグビーの指導者は日本語では監督やコーチと呼ばれます。コーチは英語でもcoachですが、監督については英訳する際には少し気をつける必要があります。というのも、漢字の意味をそのままにsupervisorなどと直訳してしまうと、ネイティブスピーカーには言いたいことが伝わらないからです。監督の正しい訳語は、head coachになりますので、もし知らなかったという方はこの機会に覚えておくとよいでしょう。ここで紹介したもの以外にも、ラグビーには日本語と英語でニュアンスが異なる用語が数多くあります。それらの違いを正確に理解すれば、これまで以上に英語力を向上させることができるに違いありません。
英語で試合を見てみよう
ルールがわかったところで、次に実際に試合を見てみましょう。なお、日本のナショナルチームの愛称は、国花に因んだBrave Blossoms(桜の勇者たち)というものです。知っておくと観戦時により盛り上がれるはずですので、ぜひ覚えておきましょう。
試合の観戦の仕方
できれば英語で実況されている試合をテレビや動画配信などで見るのがおすすめですが、いきなりだとハードルが高いという場合は、まずは日本語の実況を見てどういう解説が行われるのかについてのイメージを持つようにしてもよいでしょう。試合は録画して何度も見れるようにしておくのがポイントです。
おすすめの学習法
より効率的に英語学習をするためには、ディクテーションとシャドーイングという手法を駆使するというやり方があります。このうち、ディクテーションというのは、耳で聞いた英語を書き起こすことで、聞き取れていない単語や言い回しを見える化する学習法です。一方、シャドーイングは、耳で聞いた英語の音をそっくりそのまま口に出して反芻するというものです。この2つの学習法を組み合わせることで、英語脳が鍛えられますので、ぜひ実践してみてください。
外国人と英語で会話してみよう
さらに英語力を伸ばすためには、観戦したラグビーの試合を題材にして、外国人と実際にコミュニケーションをするのが有効です。オリンピックの試合ともなると、世界中で何千万人もの人が観戦するため、会話のネタとしてこれ以上相応しいものはありません。もし身近なところに外国人の知り合いがいるのであれば、彼らと積極的に英語で会話するようにしてみましょう。ここでは、友人のジャックに話しかける際の例文を紹介します。
Jack, have you been watching the rugby Olympics games on TV?
このように語りかければ、ラグビー好きの人であれば会話に乗ってきてくれるはずですので、あとは試合の感想を述べ合うなどして盛り上がるとよいでしょう。わからないルールや用語があれば、質問してみるというのもおすすめです。
オンライン英会話を活用しよう
もし知り合いに外国人がいない場合は、リーズナブルな料金で利用できるオンライン英会話を活用するという手もあります。オリンピックの試合であれば、講師である外国人も見ている可能性が高いので、以下のように言って話題を振ってみると良いでしょう。共通の話題があれば、話が尽きることはないため、限られた時間を最大限有効に使えるようになるはずです。
What do you think about Japanese rugby team?
訳)日本のラグビーチームについてどう思う?
ラグビーで英語力を鍛えよう
ラグビーは、身体を鍛えるのにもってこいのスポーツですが、ここで紹介したように、試合観戦やそれをネタにした外国人との会話を通じて英語力を鍛えることも可能です。特に、オリンピックが開催される際には、これまで以上に注目度が高まるはずですので、ぜひその機会を捉えて外国の人とコミュニケーションをしてみるとよいでしょう。