かつて「地方は英語を学ぶ環境が整っていない」とよく言われてきました。結論から言えば、住んでいる場所は子どもの英語環境を決める要素ではなくなっています。
オンラインで講師と話せる環境が整い、英語力の地域差も「都市か地方か」では説明できない形に変わってきました。
むしろ地方は、ゆったりとした生活環境や家庭との距離の近さを生かし、親と園が協力して「自然に英語が身近にある生活」を作り出せる土壌が整っています。この記事では、地方の家庭と保育園でできる具体的な工夫をお伝えします。
地方の英語環境はこう変わりました

地方は大都市圏に比べると英語教室の数が少なく、ネイティブ講師に直接学べる機会や国際的なイベントに参加できるチャンスも限られていました。結果として「英語は都会に行かないと身につかない」「地方の子どもは不利だ」という声も珍しくありませんでした。
しかし近年、状況は大きく変わりつつあります。タブレットやスマートフォンで使えるデジタル教材は安価で質の高いものが増え、動画配信サービスや音声アプリを通じて、子どもたちは家庭にいながらネイティブの発音や表現に触れられるようになりました。さらに、オンライン英会話や国際交流プログラムの普及により、地方に住んでいても世界中の人と直接やりとりできる環境が整ってきています。
また、保育園や幼稚園でも、日々の活動に簡単な英語を取り入れる取り組みが広がっています。たとえば「おやつの時間に英語の歌を流す」「行事を英語の絵本で楽しむ」といった工夫です。こうした小さな実践が積み重なり、家庭と園の両方で自然に英語が耳に入る機会が増えてきました。
オンラインが英語学習の主な手段になっています
英語学習の手段は、通学型からオンラインへと軸が移っています。
- 有料の英語学習サービスを利用している1,484人への調査では、最も多く使われていた手段はオンライン英会話(51.2%)で、通学型の英会話教室(36.2%)を上回りました。学習アプリ(46.9%)も教室より多い結果です(ミツカル英会話・株式会社イード調べ/2024年5月時点)
- 20〜59歳の703人への別の調査では、オンライン英会話を利用したことがある人は37.0%でした(マイナビニュース調べ/2024年9月時点)
いずれも大人を対象とした調査ですが、「教室に通わずに英語を学ぶ」形が特別なものではなくなっていることを示しています。通学時間や送迎の負担が大きい地域では、この選択肢の広がりがそのまま子どもの学習機会につながります。
英語力の差は都市か地方かでは決まりません
文部科学省が2026年6月に公表した2025年度「英語教育実施状況調査」では、英検3級相当以上の英語力を持つとされる中学3年生は54.6%、英検準2級相当以上の高校3年生は52.4%で、いずれも2013年度の調査開始以来もっとも高い水準になりました。
注目したいのは自治体別の結果です。
- 中学3年生の割合が高いのは、さいたま市(88.9%)、福井県(84.6%)、横浜市(71.6%)の順です
- 高校3年生では、東京都(62.4%)、福井県(60.7%)、京都府(59.6%)が上位に並びます
- 国が2027年度までに掲げる「6割以上」の目標に達しているのは、中学3年生で67自治体のうち10自治体にとどまります
福井県が中学・高校ともに全国上位に入っている点からわかるように、英語力の高さは都市部だからという理由では説明できません。同調査は、生徒の英語力にICT機器の活用や授業での英語による言語活動、ALTとの授業外の活動が大きく影響していると分析しています。地域の規模ではなく、英語に触れる時間と使う場面の量が結果を左右しているということです。
一方で自治体間の差は依然として大きく、目標の5割に届いていない地域も残っています。学校だけに任せず、家庭と園で英語に触れる時間を確保する意味はここにあります。
出典:文部科学省「令和7年度 英語教育実施状況調査」
地方でも英語を使う場面が増えています
「地方には英語を使う相手がいない」という前提も、実際の数字とは合わなくなってきました。
2025年の訪日外国人は4,268万人で過去最高となり、外国人の延べ宿泊者数は1億7,992万人泊に達しました。このうち三大都市圏(東京・神奈川・千葉・埼玉・愛知・大阪・京都・兵庫)以外の地方部は前年比19.1%増で、都市部を上回る伸びを示しています(観光庁「宿泊旅行統計調査」2025年年間確定値)。
観光地や地域のイベントで海外からの訪問者と出会う機会は、以前より確実に増えています。子どもが「英語が使えた」と実感できる場面は、都会に出かけなくても地元にあります。
家庭でできる英語環境づくりの工夫

英語絵本を生活に取り入れる
毎晩の読み聞かせのうち1冊を英語にするだけでも効果があります。内容をすべて理解できなくても、音のリズムやイラストで物語を感じられるため、子どもにとっては「楽しい時間」として定着します。
日常の声かけを英語でひとこと
「Good morning」「Let’s wash hands」など、短いフレーズを毎日の習慣に組み込むことで自然に耳が慣れていきます。完璧な文法よりも、場面と音の結びつきが大切です。
オンラインで世界とつながる
ビデオ通話を活用し、海外の子どもや英語を話すボランティアと交流する取り組みも増えています。月に1回でも本物の英語に触れることで「教室に通えない=不利」という感覚を払拭できます。
相手を自分で見つけるのが難しい場合は、Kimini英会話のように自宅のタブレットやパソコンから受けられるレッスンを使う方法もあります。決まった曜日と時間に講師と話す予定が入るため、家庭だけでは続きにくい「英語を使う場面」を安定して確保できます。
保育園でできる英語の取り組み

英語の歌や手遊びを取り入れる
園で歌う歌の一部を英語にするだけでも、子どもたちは自然に英語の音を楽しみます。リズムに合わせて体を動かすことで記憶にも残りやすくなります。
季節の行事と英語を組み合わせる
ハロウィンやクリスマスなど、行事に合わせて英語のフレーズを取り入れると特別な雰囲気とともに印象づけられます。地方の園でも簡単に実践できる方法です。
保育士が英語を“学ぶ姿”を見せる
保育士自身が簡単なフレーズを学び、子どもと一緒に使うことで「間違えてもいい」「一緒に楽しむ」という姿勢を共有できます。子どもは大人の姿から学び取る部分が大きいのです。
実際に、保育士が英語の歌詞を確認しながら歌っている園では、子どもが自分から発音を真似して聞き返す場面がよく見られます。完成した英語を見せるより、学んでいる過程を見せる方が子どもの反応は大きくなります。
地方ならではの強みを生かす:自然体験や地域交流 × 英語
都会にはない魅力を持つのが地方の子育て環境です。広い自然や地域の人とのつながりを生かせば、英語学習も「机の上の勉強」ではなく、もっとリアルで楽しいものに変えられます。
自然体験を英語で楽しむ
畑や田んぼでの体験
収穫体験や農作業をしながら「apple」「carrot」「water」「sun」など自然に関する英単語を使うと、実物と結びつくので記憶に残りやすくなります。
アウトドア活動
キャンプやハイキングで「Let’s go」「Look at the sky」などの簡単な英語を声かけに取り入れると、遊びと英語が一体化します。
地域の人との交流を英語につなげる
外国人観光客とのちょっとした会話
前述のとおり、地方部の観光地では海外からの訪問者が増えています。地域のイベントや観光スポットで「Hello」「Where are you from?」など簡単なフレーズを交わすだけでも、子どもにとっては「使えた」という成功体験になります。
国際交流イベントを家庭で再現
地域で国際交流協会や留学生支援団体がイベントを行っていることもあります。参加できない場合でも、家庭や園で「インターナショナル・デー」を企画し、地域の人に来てもらって英語で遊ぶ場を作ることもできます。
地域文化と英語の融合
方言と英語を比べて楽しむ
例えば地元の言葉で「ありがとう」と英語の「Thank you」を比べて遊ぶと、多言語への興味が育ちます。
祭りや伝統行事を英語で紹介
「This is a festival.」「We dance with drums.」など、自分の地域文化を英語で言う体験は、自己表現と英語の両方を育てます。
地方は「自然」「地域のつながり」「文化」という豊かな資源を持っています。それを英語と掛け合わせると、子どもは「英語を学ぶ」のではなく「英語で楽しむ」経験を積むことができます。これは都会の英語教室では得にくい、地方ならではの強みといえます。
地方の暮らしを英語で楽しむアクティビティ例

野菜スタンプ遊びを英語で
- やり方:畑や市場で手に入る野菜(オクラ、レンコン、ジャガイモなど)を切ってスタンプにします。画用紙に押しながら「This is green」「Circle」「Star」などの英語を添えます。
- ポイント:実物を手で触りながら色や形を英語で言うことで、感覚的に覚えやすくなります。
英語で「お祭り屋台ごっこ」
- やり方:地域のお祭りにちなんで「たこ焼き」「かき氷」などを紙やおもちゃで再現します。店員役が「Here you are」、お客さん役が「Thank you」とやりとりする簡単な英語を使います。
- ポイント:ごっこ遊びは盛り上がりやすく、子どもが英語を自然に声に出せるチャンスになります。
自然探検ミニハイク
- やり方:家の周りや公園を散歩しながら「tree」「flower」「river」「bird」など自然の単語を探して言ってみます。写真を撮って「English Nature Album」を作ると復習にもなります。
- ポイント:実物と英語を結びつけることで、机の上の単語学習よりも定着率が高まります。
地元の人と「英語インタビュー」
- やり方:地域のおじいちゃん・おばあちゃんに、子どもが英語で簡単な質問を投げかける遊びです。実際のやりとりが難しい場合は、大人がインタビュアー役になって再現するだけでも成立します。
- 例:「What is your favorite food?」「Do you like fish?」
- ポイント:人と関わる楽しさと英語を組み合わせることで「英語はコミュニケーションの道具」という実感が湧きます。
季節行事 × 英語クラフト
- やり方:節分の鬼のお面や七夕の短冊など、地域の行事に合わせた工作をしながら「red」「star」「big」「small」などの英語を加えます。
- ポイント:伝統文化を大切にしながら英語をのせることで「日本と世界のことば」を同時に楽しめます。
よくある質問
地方に英語教室がなくても、子どもの英語は伸びますか
伸びます。英語力を左右するのは教室の有無ではなく、英語に触れる時間と使う場面の量です。文部科学省の調査でも、中学3年生の英語力が全国上位に入っているのはさいたま市に次いで福井県で、都市部だから高いという結果にはなっていません。
親が英語を話せなくても、家庭で英語環境は作れますか
作れます。保護者に必要なのは英語力ではなく、英語に触れる時間を生活に組み込む役割です。英語の絵本を1冊選ぶ、音源を流す、「Good morning」と声をかける、といった行動で十分に環境は成立します。発音を教える役は、音源や講師に任せて構いません。
保育園に英語の時間がない場合、家庭だけでは足りませんか
家庭だけでも足ります。園に英語の活動があると触れる回数は増えますが、必須の条件ではありません。1日5分でも毎日続く方が、週1回の長い活動より子どもの記憶に残りやすくなります。
オンライン英会話は何歳から使えますか
対象年齢はサービスごとに異なります。申し込みの前に、対象年齢と保護者の付き添いが必要かどうかを確認してください。未就学児の場合は、レッスン中に保護者が横に座り、講師の指示を日本語で補う形が取り組みやすい方法です。
地方だと英語を使う機会がないのではありませんか
機会は増えています。2025年の外国人延べ宿泊者数は、三大都市圏以外の地方部で前年比19.1%増と都市部を上回る伸びでした。観光地や地域のイベントで海外からの訪問者に出会う場面は、以前より身近になっています。
まとめ
地方では、英語教室が限られている分、家庭と保育園が連携して「生活の中に英語を取り入れる」工夫が重要になります。
特別な教材や大きな予算がなくても、絵本、歌、短いフレーズの積み重ねが子どもにとって大きな力になります。
今や英語環境は都市か地方かに左右されるものではなく、親と園の工夫次第で豊かに広げられる時代です。
家庭での取り組みに加えて、講師と話す時間を定期的に確保したい場合は、Kimini英会話のような自宅で受けられるレッスンを組み合わせる方法もあります。
