このころは幼稚園や保育園でも、すっかりお兄さんお姉さんになる年頃ですね!団体生活の中で、友達や先生など、親以外との関りが一日の大半を占め、人間関係の楽しさや難しさなどもわかってきます。そんな6歳までの子供の発達の目安、それに伴う言語のアプローチを見ていきながら、海外の子育て事情も紹介していきます。
身体的発達
ボールをドリブルさせたり、跳び箱を飛ぶ、鉄棒で回るなどの動きが出来るようになる
この年頃になると、体の神経回路も完成し、大人とほぼ同等の複雑な動きが出来るようになります。親と競争をしたり、リレーなどで走るだけではなく、跳び箱や鉄棒などの器械体操なども、どんどん挑戦していきます。運動が得意な子は、友達と競争して勝負する楽しさも味わいながら、練習などを積極的に行う様子が見られます。
- 器械体操・・・Gymnastics
- 鉄棒・・・iron bar
体のバランスをとる能力が発達する
平均台をバランスをとって渡る、ジャングルジムの高いところまで登る、ブランコの立ちこぎをする、など見ててハラハラするような、一見危険そうな遊びも平気でやってのけます。これは、脳の発達とともに、筋肉や体幹が発達していくからです。しかし、エスカレートして思わぬ大きな事故になることもあるので、注意が必要といえましょう。
- ハラハラする・・・be thrilled
- 体幹・・・trunk
手先がさらに器用になり、複雑な形をハサミで切ったり、ノリを上手に使ったりできる
ハサミを使って、曲線などを紙を回しながら切ったり、ノリやテープなど道具の使い方を正しく理解して使うことが出来ます。また、廃材(牛乳パックやトイレットペーパーの芯など)を利用して、自分の作りたいものをイメージしながら、自由工作を楽しむことが出来るようになります。どんどんイメージを膨らませて、ロケットやロボットを作る様子を見ていると、将来は博士になる?など期待してしまいます!
片付けや、着脱、入浴や排せつなど身の回りのことはだいたい一人でできる
自立心が育ち、ほとんどのことを自分でやれるようになったことに自信を持つようになります。見ててもどかしいところがあっても、先回りしてやってしまったり、小さい子扱いすると、せっかくの自立する心が潰されてしまうので、納得がいくまで自分の力で最後までやらせることが大切です。
- 自分に自信を持つ・・・be confident in oneself
情緒的発達
いろんな経験から社会性が育ち、他者を思いやる心を持てるようになる
体の不自由な人を手伝ったり、忙しそうなときに手を貸すなどの振る舞いが出来るようになります。自分の欲求を押しとどめて相手を理解し、相手の気持ちを考えたうえで行動するようになります。また、社会のルールやマナーなども意識するようになります。そんな子供の成長を見ると、「大きくなったんだな・・」と感動する場面もあるでしょう。
大人は見られてます!
そんな子供たちは、指導するべき大人がルールを守らなかったり、公共の場での悪いふるまいなどを見ると、大人に対する信頼を失くしてしまいます。「急いでるから」「ここは特別にそうしてもいいの!」など、大人の勝手な都合で言い訳したり、ルールを無視することは絶対にやめましょう!!
- 社会のルール・・・social rules
- 公共の場・・・public place
けんかをしても、自分たちで話し合い、相手を許したり、理解したりする
大人が介入しなくても、問題が起きたら自分たちで話し合い、解決しようとします。多少時間がかかったり、要領が悪くても、子ども同士で協力させたり、自分自身の力で試行錯誤して問題を解決する機会を設けてあげましょう。
- 問題を解決する・・・to solve a problem
進んで大人の手伝いや、小さい子の世話をし、人の役に立つことを嬉しく感じる
この時期はお年寄りや、自分より小さい子どもに対して思いやりの気持ちを持つようになります。人にやさしくすることでみんなと仲良くなれるのだということを理解させて、他人に対する思いやりや気配りをする心を育てましょう。
- 思いやり・・・consideration
言葉の発達もさらに伸びて、自分の考えを長い文章にして伝えることが出来る
自分の意見などを人の前で話したり、質問に対して答えたりできるようになります。言葉遊びも上手になり、冗談を言って周りを笑わせる子も出てきます。また想像力も大きく伸び、自分でお話を創作することもできて、子ども達で即興でドラマを繰り広げる様子など驚かされますよ!
言語のアプローチ
聞いたそばから言葉を覚えていく時期です。今まで感覚的に使っていた言葉を正しく教えていきましょう。
例えば、犬や猫は「ワンワン、ニャンニャン」ではなく、「犬」「猫」という。物は「いっこ」と言っていたものを「一匹」「一本」「一人」など区別をする。などですね!文字や数字などにも興味を持つ頃ですが、ほかの子と比較をして強要したり、優劣をつけることは、子どもの自尊心を傷つけ、せっかくのやる気をくじいてしまうことになります。ものを覚えるタイミングは子供によって違いますので、無理に文字を反復して書かせるなどして、書くことに抵抗感を抱いてしまわないように、日常の中で興味を抱くように取り組んでみましょう!
理数的理解力もついてきて、数の多い少ないや、量や大きさの比較ができる
とは言っても、この時期に無理やり算数を教え込んでしまうと、「算数嫌い!」となど苦手意識を持たせてしまうと大変です!
例えば数の数え方などは、単に1,2,3・・・と数唱させるのは単なる暗記にすぎません。パズルのピースやブロックなど、遊びの要素があり実物を数えさせることが重要です。また、間違っているのを指摘ばかりされると、「合ってるよ」と言われないと前に進めなかったり、間違うのを恐れてやりたがらなくなる、というケースも出てきます。ここでは、「出来たら褒める。間違いをとがめない」というのが、子どもを算数好きにするコツだと言えるでしょう。
- 褒める・・・to praise
- 間違える・・・make a mistake
出来事などを長期間記憶することができる
子どもの記憶力は、成長過程における経験、周りの環境、受ける教育などの影響を大きく受けます。子どもの脳はまだ成長段階なので、この時期に豊かな想像力や感性を育てる環境を作ってあげると、将来的な記憶力がアップします。そのためには、次のような手法があるようで、インプットとアウトプットをさせながら、楽しく記憶力を鍛えていきましょう!
- 何度も繰り返し声に出してみる
- 覚えたことを親や周りの大人に聞いてもらう
- 絵本の読み聞かせを親と一緒にする
海外の子育て事情
インド
今、世界中のエリート、例えばアメリカの医師の38%がインド人。NASAの科学者の36%がインド人、マイクロソフト社員の34%がインド人(2008年インド政府のデータより)ということです。
インドは伝統的に頭脳労働者が尊敬される社会らしく、子供のころから数学教育をされていると言います。幼いころから、算数遊びを通して算数的思考の訓練を受け、単に公式を暗記するのではなく、「どうしたら簡単に計算ができるのか?」という頭の使い方を身に着けるのだそうです。「丸暗記、単に覚える」学習から、「自分の力で考える」学習をすることが、世界的に優秀な人材を輩出してきたインドのベースになっているようです。
イギリス
イギリスでは、パートタイム、フレックスタイム、ワークシェアリングなどの様々な就労体制があります。
- フレックスタイム・・・労働者自身が労働時間の長さや配置を設定できる制度。
- ワークシェアリング・・・これまで一人で担当していた仕事を、勤労者同士で分け合うこと。
メリットとしては、子育て中は長時間労働を避けて、子育てや家族と過ごす時間を増やし、子どもが大きくなったら仕事の時間を増やすことが出来るところです。子どもと一緒にいたくても仕事が中心になっている日本人からすると、なんともうらやましい話ですよね!
また、イギリス独自の働き方に「タームタイムワーク」というのがあります。「ターム=term」は学校の「学期」のことで、夏休みや冬休みなど、子どもの学校のスケジュールに合わせて親も休みを取ることができるというのものです。
核家族が多い日本では、子供が休みに入るたびに預け先をどうしよう?と悩んでいる方も多いので、この便利な制度はぜひ今後取り入れてほしいものですね!
まとめ
大人と変わらない生活力をつけだしたこの時期の子供は、考え方も経験によって理解力が深まり、「協調性」「適応力」「応用力」が身についてきます。友達とのかかわりが生活の大半を占めるようになってきて、競争心や嫉妬心なども出てきて、子供なりに気持ちの変化も経験しながら、社会的ルールに従って行動するようになってきます。
小学校へ入学する準備も始まるため、自分で考えて行動する力をつけることが必要だといえるでしょう。そのためには、いろんな人や地域の人との交流をし、そのなかで人がどの様にふるまい、どのように接しているのかを学ばせることは大きな意味があるでしょう。
また、一方的に叱られても、反発をしてしまいます。「なぜいけないのか」を面倒くさがらずに説明し、子供がきちんと理解できるように心がけましょう。運動能力や言語の発達のスピードは個人差があるものです。決して他者と比較して怒ったりしないで、温かく見守ってほしいものです。得意なことをほめて伸ばしてあげる、できたことを讃えてあげるなど、子供の自立を促す言葉かけを心掛け、安心して新しい環境へ順応できるように見守ってあげてくださいね!