チェコ中部、ボヘミアとモラヴィアの境にある小さな町リトミシュル。そこに、まるで絵本から抜け出したようなルネサンス様式の城があります。それが世界遺産 リトミシュル城(Litomyšl Castle)。16世紀に建てられたこの城は、ヨーロッパ各地の建築様式を融合させた芸術作品のような存在です。
ズグラッフィートという独特の装飾で覆われた壁面、優雅なアーケード、そして音楽家スメタナゆかりの地としても知られる文化の香る場所です。
世界遺産に登録されているリトミシュル城の歴史や魅力を、英語を交えながら紹介していきます。
リトミシュル城とは?

リトミシュル城は、16世紀にペルンシュテイン家のヴラティスラフ2世によって建てられたルネサンス様式の城です。イタリアの建築家ジョヴァンニ・バティスタ・アオスタリと弟ウルリコによって設計され、1580年ごろに完成しました。
外観は明るく華やかなルネサンス様式、内部は後期バロックやクラシック様式の装飾が施され、建築史上きわめて重要な位置を占めています。
当時のボヘミアでは珍しかったこの様式が、のちに中欧の城郭建築に大きな影響を与えました。
リトミシュル城の歴史
10世紀頃、リトミシュルの丘には街道を見張る要塞が築かれていました。その後、12世紀にはプレモントレ修道会の修道院が建ち、交易によって町は発展します。14世紀には神聖ローマ皇帝カール4世の命で司教区が設けられました。
そして1567年、ボヘミア首相ヴラティスラフ2世が領主となり、スペイン貴族のララ夫人を迎えるためにこの城の建設を計画します。ヴラティスラフは当時ヨーロッパで流行していたイタリア・ルネサンス様式を採用し、チェコには珍しい明るく優美な建物を完成させました。
外壁には ズグラッフィート(sgraffito) という技法が用いられ、漆喰を二重に塗って上層を削り、模様を浮かび上がらせています。なんとその数は8000にもおよび、同じ模様はひとつもないといわれています。中庭の壁画には聖書の物語が描かれ、壮麗な装飾の一部は現在も残っています。
さらに18世紀には、150人を収容できる小さな劇場が増築され、現在もバロック様式の劇場が保存されています。
1994年には中欧7カ国の国家元首が集い、中欧サミットがリトミシュル城で開催されました。
アクセス
リトミシュル城は、プラハから東へ約160km。鉄道ならプラハ本駅からチェスカー・トルジーまで特急で約2時間半、そこからバスで約30分です。町の中心から徒歩圏内にあり、散策しながら美しい街並みを楽しみつつ訪れるのもおすすめです。
世界遺産としての価値
リトミシュル城(Litomyšl Castle)は1999年にユネスコの世界文化遺産に登録されました。
登録理由は?
次のような点が評価されて世界遺産に登録されました。
登録基準(ii):重要な文化交流の跡
異なる地域の建築様式を融合させたリトミシュル城は、ヨーロッパにおける文化交流の成果を象徴している。
登録基準(iv):人類史的に重要な建造物や景観
ルネサンス様式の城郭建築として極めて保存状態が良く、ヨーロッパにおける建築史の発展を物語っている。
覚えておきたい英語
この記事で紹介したリトミシュル城には、歴史や建築、美しい芸術にまつわる英単語がたくさん登場します。旅先でも使えるように、覚えておきたい単語をチェックしておきましょう。
castle(城)
The castle was built in the 16th century.
その城は16世紀に建てられました。
architecture(建築、構造)
The architecture of Litomyšl Castle is unique.
リトミシュル城の建築は独特です。
ornament(装飾)
The walls are covered with beautiful ornaments.
壁は美しい装飾で覆われています。
heritage(遺産)
This castle is part of the world’s cultural heritage.
この城は世界の文化遺産の一部です。
perform(上演する)
They still perform plays in the old theater.
彼らはいまも古い劇場で芝居を上演しています。
旅先で使える英会話フレーズ

旅先では、美しい景色や感動を英語で伝えられると楽しさが倍増します。ここでは、リトミシュル城を訪れたときに使える、シンプルで自然な英会話フレーズを紹介します。
訳)このお城、まるでおとぎ話の世界みたい!
訳)ほんとだね、ルネサンスのデザインが素晴らしいよね。
訳)ここで有名な作曲家が生まれたの知ってる?
訳)ああ、スメタナのこと?彼の音楽、好きなんだ。
訳)あの模様見て!ひとつも同じじゃないのよ。
訳)すごい職人技だね。
訳)まるで歴史の中を歩いてるみたい。
訳)その通り。すべての壁が物語を語っているね。
おすすめポイント
リトミシュル城には、建築の美しさだけでなく、音楽や芸術、歴史が息づいています。見どころを知っておくと、訪れたときの感動がさらに深まります。
リトミシュル城
四角い中庭を囲むように建つ3階建ての城館。ルネサンス様式の外観に、後期バロックやクラシック様式の内装を組み合わせた独特の美しさが魅力です。
ズグラッフィート模様が全面に描かれた外壁、聖書物語の壁画、そしてアーケードが織りなす中庭の光景はまさに芸術の建築。また、18世紀末に建てられた劇場では、当時の舞台装置や背景画がほぼ完全な形で保存されています。
作曲家スメタナの生家
リトミシュル城の付属施設だったビール醸造所で、チェコの作曲家ベドルジハ・スメタナが生まれました。父親は醸造技師で、家族はその施設内に住んでいたのです。現在は記念館として公開され、スメタナが使っていたピアノや手書きの楽譜などが展示されています。
毎年6~7月には「スメタナ国際オペラ・フェスティバル」が城内で開催されます。
おわりに:英語で世界遺産を旅しよう!
リトミシュル城は、芸術と歴史、そして音楽が息づく特別な場所です。城の壁に刻まれた模様や劇場の華やかさを目の当たりにすれば、まるで時を越えて旅しているような気分になります。
英語で世界遺産を巡ることで、現地の人と感動を分かち合い、旅がもっと豊かになります。次の旅では、英語の一言を添えて、この世界をもっと深く感じてみませんか。

