バイリンガル保育園や英語導入保育を行っている園にとって、連絡帳は「一日の出来事を伝えるツール」にとどまりません。
家庭と園、そして日本語と英語をつなぐ大切なコミュニケーションの架け橋です。

特に、英語教育に不安や期待を抱いている保護者にとって、連絡帳は
「園がどんな思いで子どもと関わっているのか」
「英語活動がどのように日常に根付いているのか」
を知る、最も身近な窓口です。

ただの報告ではなく気持ちが伝わる工夫を考える

ただの報告ではなく気持ちが伝わる工夫を考える

行動+感情+背景を書くことで「見える保育」に

ありがちな連絡帳の文は、「今日は英語の歌を歌いました」「ブロックで遊びました」といった事実の羅列になりがちです。

そこに一歩踏み込んで、

  • 子どもの気持ち
  • その行動に至った背景
  • 保育者のまなざし

を加えることで、文章は一気に温度を持ちます。

Today, he sang the English song with a big smile. At first he was shy, but when his friends joined in, he relaxed and enjoyed the rhythm.

「今日は、彼は大きな笑顔で英語の歌を歌いました。最初は恥ずかしがっていましたが、友達が一緒に歌い始めると、リラックスしてリズムを楽しみました。」

このように、日本語を主軸にしながら短い英語を添えることで、「英語は特別な時間ではなく、日常の中で使われている」というメッセージが自然と保護者に伝わります。

英語は“見せる”より“寄り添う”姿勢で

英語導入園では、「英語ができているかどうか」に目が向きがちですが、連絡帳で大切なのは成果のアピールではありません。

たとえば、「Helloと言えました」だけで終わらせるのではなく、

He tried to say “Hello” by himself. Even when the pronunciation was different, we smiled and responded warmly so he felt confident.

「彼は自分で『こんにちは』と言おうとしました。発音が違っても、私たちは笑顔で温かく応えたので、彼は自信を持てたようです。」

と書くことで、

  • 間違いを受け止める姿勢
  • 挑戦を大切にしている保育観

が伝わり、保護者の安心感につながります。

保護者が家庭で声をかけやすくなる一文を添える

連絡帳は、家庭での会話を広げるヒントにもなります。

Today we talked about colors in English. You might ask him, ‘What color do you like?’ at home.
「今日は英語で色について話しました。家で『何色が好き?』と聞いてみてください。」

このような一文があるだけで、

  • 保護者が英語に関わるハードルが下がる
  • 園と家庭で同じ言葉を共有できる

という好循環が生まれます。

英語に自信がない保護者にとっても、「これならできそう」と思える具体性が大切です。

日本語8割・英語2割の“安心バランス”

バイリンガル園であっても、連絡帳は「保護者が安心して読める」ことが最優先です。

  • 全文英語にしない
  • 専門的な英語表現を多用しない
  • 簡単で、感情が伝わるフレーズを選ぶ

このバランスが、「英語教育に前向きでありながら、保護者に寄り添う園」という信頼につながります。

書き手の言葉は、園の姿勢そのものになる

連絡帳の一文一文には、園の価値観がにじみ出ます。

  • 子どもをどう見ているか
  • 英語をどう位置づけているか
  • 保護者とどう関係を築きたいか

忙しい中でも、「この子の一日を、保護者と一緒に見守りたい」という気持ちを込めて書かれた文章は、必ず相手に届きます。

連絡帳で書いてはいけないタブー例と、そこから起きたトラブル事例

連絡帳で書いてはいけないタブー例と、そこから起きたトラブル事例

連絡帳は信頼関係を深めるツールである一方、書き方を誤ると誤解や不信感を生みやすいものでもあります。
特に英語導入園では、「言葉の選び方」が想像以上に大きな影響を与えます。

タブー① 評価・断定的な表現を書く

NG例

  • 「集中力がありませんでした」
    “She couldn’t concentrate.”
  • 「英語の理解が遅れています」
    “His English comprehension is lagging.”
  • 「他の子よりできていません」
    “She is not as good as the other kids.”

実際に起きた問題

保護者が
「うちの子は劣っていると言われた」
と受け取り、園への不信感が一気に高まったケース。

特に英語については、

  • 家庭で英語をしていない
  • 親が英語に苦手意識を持っている

場合、必要以上に否定的に受け止められやすくなります。

ポイント
評価ではなく「様子+支援」を書くことが大切です。
発達や言語習得を一文で断定するのは避けましょう。

タブー② 保育者の感情だけを書く

NG例

  • 「今日はなかなか言うことを聞いてくれず大変でした」”Today was quite a challenge because he wouldn’t listen to me at all.”
  • 「落ち着きがなく、対応に困りました」”He was restless and difficult to deal with.”

実際に起きた問題
保護者が
「迷惑な子だと思われているのでは」
と感じ、園への相談やコミュニケーションを避けるようになった。

連絡帳は“保育者の愚痴”を書く場所ではありません。
感情を書いてしまうと、保護者は子どもが否定されたと感じます。

ポイント
困難な場面があった場合は、

  • なぜそうなったのか
  • どのように関わったのか
  • その後どう変化したのか

を冷静に書くことが必要です。

タブー③ 他児との比較を書く

NG例

  • 「お友だちはできていますが、○○くんはまだです」
    “They’ve made friends, but ○○ hasn’t yet.”
  • 「周りは理解していますが…」
    “Everyone around him understands, but…”

実際に起きた問題
家庭で子どもが
「ぼくはできてないんでしょ?」
と落ち込み、英語活動そのものを嫌がるようになった。

英語導入園では特に、家庭環境の違いが大きく影響します。
比較は、子どもの自己肯定感を大きく下げる要因になります。

ポイント
連絡帳は「その子自身の物語」を書く場所。
他児は登場させないのが原則です。

タブー④ 英語だけ・専門用語だけで書く

NG例

  • 英語のみで長文
  • ESL、phonics、outputなどの専門用語を説明なしで使用

実際に起きた問題
保護者が内容を理解できず、
「何をしているのか分からない園」
「質問すると迷惑そう」
という印象を持ってしまった。

英語教育に前向きな保護者であっても、専門用語は負担になります。

ポイント

  • 日本語を主にする
  • 英語は短く、感情や場面が伝わる形で添える
  • 専門用語は使わないか、必ず補足する

ことが信頼維持につながります。

タブー⑤ 家庭のしつけや方針を一方的に指摘する

NG例

  • 「ご家庭でも英語をやらせてください」
    “Please have your child practice English at home as well.”
  • 「家で練習していないようです」
    “It seems she hasn’t been practicing at home.”

実際に起きた問題

保護者が
「責められている」
「園のやり方を押しつけられている」
と感じ、連絡帳への返信が減った。

家庭の事情はそれぞれ異なります。
連絡帳での指導・要求は、関係悪化の原因になりやすいです。

ポイント
提案は
「お願い」ではなく「共有」や「ヒント」
として書くことが重要です。

タブー⑥ ネガティブな内容だけで終わる

NG例

  • 注意点・できなかったことのみ
  • 課題の列挙で終わる文章

実際に起きた問題
連絡帳を読むたびに保護者が不安になり、
「毎日ダメ出しされている気分」
になってしまった。

ポイント
どんな日でも、

  • 小さな成長
  • その子なりの挑戦
  • 保育者が嬉しかった瞬間

を必ず一つ入れることで、印象は大きく変わります。

まとめ

連絡帳は、単なる記録ではなく「信頼を積み重ねるメディア」です。

特にバイリンガル保育・英語導入園では、「英語ができるか」よりも「安心して挑戦できているか」が最も大切な視点になります。

一日の終わりに書く数行が、保護者の安心と、子どもの明日への意欲につながる。
そんな連絡帳を、今日から意識してみてはいかがでしょうか。