「今日はまた3回も着替えました」

保育園からの連絡帳を見て、そう感じたことはありませんか。特に初めて集団保育を経験する保護者にとって、1日に何度も着替えることは驚きや疑問につながりやすいものです。
しかし、保育園での着替えには、単なる「汚れたから着替える」以上の意味があります。

そして、保育園での「着替え回数」に対する考え方は、国や文化によって大きく異なります。背景には、清潔観念、子ども観、保育の目的の違いがあります。ここでは代表的な国・地域ごとに、その特徴を見ていきます。

今回は、保育園での着替え回数や理由、そして、各国保護者との考え方の違いについて紹介します。

日本の保育園における着替えについて

日本の保育園における着替えについて

保育園で着替えの機会が多い理由の一つは、子どもの健康と快適さを守るためです。汗をかいたまま過ごすと体が冷えやすくなり、皮膚トラブルや体調不良の原因にもなります。特に乳幼児期は体温調節が未熟なため、こまめな着替えが重要です。

また、清潔な衣服で過ごすことは、感染症予防の基本でもあります。食事や外遊び、排泄後など、生活の節目ごとに着替えることで、衛生的な生活リズムを身につけていきます。これは大人が思う以上に、子どもの身体感覚や生活習慣の土台づくりにつながっています。

個人差・季節・園の方針により変動しますが、「1日の着替え回数の目安(年齢別)」は以下のような状況になっています。

年齢 1日の着替え回数(平均)
0〜1歳 4〜6回
2歳 3〜5回
3歳 2〜4回
4〜5歳 1〜3回

① 登園後〜朝の活動

着替え内容:私服 → 園用衣服(または活動着)
回数:1回

家庭から着てきた服のまま過ごす園もありますが、動きやすさ、汚れ対策、生活の切り替えを目的に、登園後に園用の服へ着替える園も多くあります。
この着替えは、「おうちから園生活への切り替え」という意味合いも持っています。

② 外遊び・製作・運動あそび後

着替え内容:汗をかいた服 → 清潔な衣服
回数:1回(活動内容によっては2回)

外遊びや運動、絵の具・粘土遊びの後は、汗、砂や泥、絵の具などで衣服が汚れやすいため、着替えを行います。
特に乳児クラスでは、「少し汗をかいた」「飲み物をこぼした」といった軽微な理由でも着替えることがあります。

③ 食事後(給食・おやつ)

着替え内容:食事で汚れた服 → 清潔な服
回数:0〜1回

エプロンやスモックを使う園もありますが、食べこぼし、汁物の飛びはね、口周りの汚れが多い年齢では、着替えが必要になることがあります。
このタイミングの着替えは、「清潔な状態で午睡に入る」ための準備でもあります。

④ 午睡前・排泄後

着替え内容:衣服または下着・ズボン
回数:0〜1回(排泄状況による)

トイレトレーニング中や、おむつからパンツへの移行期では、失敗や汗による着替えが発生しやすくなります。
また、午睡前に汗をかいている、衣服が湿っている場合は、体調管理のために着替える園もあります。

⑤ 午睡後

着替え内容:汗を吸った服 → さっぱりした服
回数:1回

寝ている間は思った以上に汗をかくため、午睡後に着替える園は多くあります。

特に夏場や乳児クラスでは、シャツや下着だけを替えるケースも一般的です。

⑥ 帰り支度

着替え内容:園用衣服 → 帰宅用の服
回数:0〜1回

園での活動着のまま帰る園もありますが、汚れを家庭に持ち帰らない、気持ちの切り替えを目的に、帰り際に着替える園もあります。

各国の保護者との考え方の違い

各国の保護者との考え方の違い

保育園での「着替え回数」に対する考え方は、国や文化によって大きく異なります。背景には、清潔観念、子ども観、保育の目的の違いがあります。ここでは代表的な国・地域ごとに、その特徴を見ていきます。

日本の保育園では、1日に3~4回着替えることも珍しくありません。一方で、海外から来た保護者の中には「そんなに着替えるの?」と驚く人も多くいます。

欧米の保育施設では、多少の汚れは「よく遊んだ証拠」として受け止められ、着替えは必要最小限にとどめるケースもあります。特に屋外遊びが中心の園では、汚れてもそのまま活動を続ける文化が根付いていることもあります。

この違いは、どちらが良い悪いという話ではなく、保育に対する価値観や気候、生活習慣の違いによるものです。

日本:清潔さと生活習慣を身につけることを重視

日本の保護者は、「汗をかいたら着替える」「汚れたらすぐ着替える」という感覚を当たり前のものとして受け止めています。これは家庭でも同様で、保育園での着替えの多さは「丁寧に見てもらっている証拠」と感じる人も少なくありません。

また、日本では着替えそのものが教育の一部と考えられています。

  • 決まったタイミングで着替える
  • 衣服を整えて次の活動に入る

といった流れを通して、生活リズムや集団生活のルールを学ぶという意識が強いのが特徴です。

アメリカ:主体性と快適さは子どもが判断

アメリカの保護者は、「子どもが不快に感じたら着替える」という考え方を持つ人が多く見られます。多少汚れていても、子ども本人が気にしていなければそのまま活動を続けることも一般的です。

着替えは「必要に応じて行うもの」であり、

  • 大人が頻繁に促す
  • 時間割のように決められた着替え

はあまり好まれません。
自分で「着替えたい」と言い出すことが、自立のサインと捉えられています。

イギリス:汚れ=学びの証という価値観

イギリスでは、外遊びや自然体験が重視され、「汚れることは悪いことではない」という意識が根付いています。泥遊びや絵の具遊びで服が汚れても、「今日はよく遊んだのね」と前向きに受け止められることが多いです。

そのため、保育中に何度も着替えるよりも、

  • 動きやすい服
  • 汚れてもよい服

を最初から選ぶ家庭が多く、着替えの回数自体は少なめです。

北欧(スウェーデン・デンマークなど):自然と共に過ごす前提

北欧諸国では、雨や雪の中でも外遊びをする文化があり、「着替えは1日の終わりにまとめて行う」という考え方が一般的です。

防水ウェアや重ね着を活用し、多少濡れても活動を中断しないことが多いため、

  • 頻繁な着替え=必須ではない

という認識があります。
その代わり、「自分で服を管理する力」を重視し、年齢が低いうちから自己管理を促します。

フランス:身だしなみと効率のバランス

フランスでは、清潔感や見た目を大切にする一方で、「必要以上に着替えさせない」合理的な考え方が見られます。

  • 食事で大きく汚れた
  • トイレで失敗した

といった明確な理由がある場合に着替えるのが基本で、活動ごとの着替えはあまり行いません。
着替えよりも、エプロンやスモックで服を守る工夫が多く使われます。

海外の保護者が日本で驚くポイント

日本の保育園に通い始めた海外の保護者からは、

  • 毎日大量の着替えを持参すること
  • 汚れていなくても着替えること

に驚きの声が上がることがあります。

しかし、その理由を説明すると、「清潔だけでなく、生活習慣や自立の練習なのですね」と納得されるケースも多く、日本の保育の丁寧さに理解を示す保護者も少なくありません。

このように、着替えに対する考え方は「正解・不正解」ではなく、文化と価値観の違いです。
日本の保育園での着替えの多さは、子どもの快適さと成長を支えるための一つの方法であり、国際的な視点から見ることで、その意味がより立体的に理解できるようになります。

自分で脱ぎ着する練習としての意味や声かけフレーズ

以下のように、日本語+英語のセットで声かけフレーズを紹介すると、バイリンガル保育や英語教育の視点も自然に入れられます。

自分で脱ぎ着する練習としての意味や声かけフレーズ(英語入り)

着替えは「できる・できない」を評価する時間ではなく、「やってみよう」と挑戦する経験そのものが大切です。声かけ一つで、子どもの意欲や安心感は大きく変わります。日本語で気持ちを支えつつ、短くシンプルな英語を添えることで、英語にも自然に親しむことができます。

脱ぐときの声かけ

Aさん
まずはズボンから脱いでみようか
Let’s take off your pants first.
Aさん
自分でできそう?
Can you try it on your own?

着るときの声かけ

Aさん
どっちが前かな?見てみよう
Which side is the front?
Aさん
足をここに入れるよ
Put your foot in here.
Aさん
次は腕だね
Now, your arm.

うまくいったとき

Aさん
できたね!
You did it!
Aさん
最後まで着られたね
You got it on all by yourself.
Aさん
気持ちいいね
That feels nice, doesn’t it?

うまくいかないとき・時間がかかるとき

Aさん
大丈夫、ゆっくりでいいよ

It’s okay. Take your time.

Aさん
手伝ってほしいときは言ってね

Tell me if you need help.

英語は完璧に理解させる必要はありません。毎日の着替えの中で、同じフレーズを繰り返し聞くことで、子どもは状況と音を自然に結びつけていきます。
着替えの時間は、生活習慣と自立、そして言葉の土台を同時に育てる大切な学びの場なのです。

まとめ

保育園での着替え回数は、多さだけを見ると驚かれるかもしれません。

しかしその背景には、衛生管理、自立支援、そして日本ならではの保育観があります。

日々の着替えを通して、子どもたちは少しずつ「自分でできること」を増やしているのです。