ビジネスが複雑で高度化し、人生100年時代と言われるなか、キャリアの選択肢や働き方も多様化しました。転職や副業をはじめ、ライフステージの変化にともなって休暇を利用することも、働き方を考えるうえで、キャリア形成の一部になっています。

職場が変わったり、結婚や出産などでライフステージに変化が起こったりした際、日本語では「一身上の都合」という表現がよく使われます。詳しい事情は伏せつつ礼儀正しく理由を伝えられるため、プライバシーを守りながら手続きをスムーズに進めるために役立つ言い回しです。

「一身上の都合」は、退職願や休暇届で多用される、便利な表現ですが、英語にはこれと全く同じ四字熟語のような表現はありません。しかし、状況に応じて「個人的な理由で」や「私事により」といった表現を使ってスマートに伝える必要があります。

そこでこの記事では、退職理由から急な欠席まで、ビジネスシーンでよく登場する英語表現をまとめて紹介します。

この記事の3行まとめ(AI要約)

  • 「一身上の都合」に直接対応する英語表現はないが、”personal matter”や”for personal reasons”で同様のニュアンスを伝えられる。
  • 退職願では”for personal reasons”、家族の事情には”due to family circumstances”など、場面に応じた表現を使い分ける。
  • 避けられない事情を伝える際は”unavoidable circumstances”や”beyond my control”が便利で、詳細を伏せつつ丁寧に伝えられる。

「私事」を英語で

「私事」を英語で

日本語の「私事(わたくしごと)」は、公的な場を離れた自分自身の状況・理由を指します。英語では、“personal matter” や “private matter” と表現するのが一般的です。

私的な事情を伝えるフレーズ

  • personal matter :私事、個人的な事柄。

  • private matter :私的な問題(より秘匿性が高いニュアンス)。

  • on a personal note :私事ですが(話を切り出す際)。

Aさん
I need to take a few days off to attend to a personal matter.

(私事により、数日間お休みをいただく必要があります。)

Aさん
I’m afraid I cannot share the details as it is a private matter.

(私事(プライベートな問題)ですので、詳細についてはお話しいたしかねます。)

Oxford Learner’s Dictionaries によると、personal は”connected with a person’s private life, rather than their job or official position”(仕事や公的な地位ではなく、個人の私生活に関連するもの)と定義されています。

参照: Oxford Learner’s Dictionaries

「個人的な理由」を英語で

「個人的な理由」を英語で

「一身上の都合」を直訳的な英語にすると「個人的な理由(personal reasons)」になります。

さまざまな場面で使える「個人的な理由」の表現

  • for personal reasons :個人的な理由で(一身上の都合で)。

  • due to personal reasons :個人的な理由により。

Aさん
I have decided to step down from my current position for personal reasons.

(一身上の都合により、現在の役職を退任することにいたしました。)

Bさん
【ワンポイントアドバイス】 “For personal reasons” は、ビジネスシーンで理由を深く追求されたくないとき、非常に使い勝手の良いフレーズです。多様な働き方が広がってきた今日でも、この一言を添えるだけで、距離感を保ちつつ意思を伝えるプロの印象を与えられます。

「退職理由」を英語で

退職願(Resignation Letter)などで「一身上の都合により退職いたします」と書きたい時のフォーマルな表現です。

英文の退職願で使われるフレーズ

  • for personal reasons :一身上の都合により。

  • pursue other opportunities :他の機会を追求するため(前向きな退職理由)。

  • career change :キャリアチェンジのため。

Aさん
Please accept this letter as formal notification that I am resigning from my position for personal reasons.

(一身上の都合により退職したく、本状をもちまして正式な届出とさせていただきます。)

Cambridge Dictionary によると、resignation は”the act of telling your employer that you are leaving your job”(雇用主に対して仕事を辞めることを伝える行為)と説明されています。

参照: Cambridge Dictionary

「個人の事情」を英語で

「個人の事情」を英語で

一つひとつの理由よりも「現在の状況(circumstances)」に焦点を当てた表現です。

状況を伝える英語表現

  • personal circumstances :個人の事情、諸般の事情。

  • due to family circumstances :家族の事情により。

Aさん
Due to unforeseen personal circumstances, I will be unable to attend the meeting.

(予期せぬ個人の事情により、会議に出席できなくなりました。)

「やむを得ない事情」を英語で

自分の意志だけではどうにもならない、避けられない事情を指す時に使います。

避けられない状況を伝える表現

  • unavoidable circumstances :やむを得ない事情、不可抗力。

  • extenuating circumstances :(情状酌量の余地がある)やむを得ない事情。

  • beyond my control :自分の力が及ばない(どうしようもない)。

Aさん
I am very sorry, but I have to cancel our appointment due to unavoidable circumstances.

(大変申し訳ございませんが、やむを得ない事情により約束をキャンセルせざるを得ません。)

まとめ

今回は「一身上の都合」をテーマに、退職や欠席の際に役立つ英語表現を紹介しました。

  • personal matter :私事、個人的な事柄。
  • for personal reasons :個人的な理由で(一身上の都合で)。

英語には「一身上の都合」にそのまま当てはまる熟語はありませんが、こうしたスタンダードな表現を覚えておくと、さまざまなシーンで使えます。

状況に合わせて “for personal reasons” や “personal matter” を使い分け、プライバシーを守りつつ丁寧な報告を心がけましょう。相手に詳細を伝えなければならない必要はありませんが、礼儀正しい一言を添えることで、ビジネスのコミュニケーションがより円滑に進みます。

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nakagawa_tairo 医療・英語分野ライター / Medical & English Content Writer
立命館大学英米文学専攻卒。医療・介護分野で18年の実務経験を持ち、医療制度や専門分野の執筆・監修を多数担当。実務翻訳やビジネス英語の知見を活かし、専門性の高い英語・医療分野の情報を発信している。