英語の学習者にとって、使い方が非常に難しいのが関係代名詞です。日本語とは文法が大きく異なっていることから、慣れていない人には会話に使うことも難しいですが、英語を学ぶ人にとっては必ずマスターしなければいけない英文法です。関係代名詞の使い方に慣れることで、英語力が大きく向上する場合も多いですが、ここでは関係代名詞が苦手な学習者のために、関係代名詞を理解するために欠かせない、使い方や注意点について詳しく解説します。
代名詞と接続詞の役割を果たす関係代名詞
関係代名詞は、代名詞と接続詞が一つになった単語です。
二つの異なる意味を持つ文章を、一つの文章にまとめることができる機能があります。関係代名詞として使用されている代表的な単語はwhoやwhichですが、それぞれ使用できる条件が厳密に決められています。
whomやthatなども、関係代名詞としてwhoやwhichのかわりに使うことができます。所有格として使用できるwhoseという関係代名詞もあり、つなぎ合わせたい二つの文章の内容に合わせて、選ぶ必要があります。
関係代名詞を使用して二つの文章をつなげる場合、注意しなければいけないのは、二つの文章の関係性です。特に気をつけなければいけないのは、関係代名詞の直前に置かれる単語が、関係代名詞の直後に置かれる文章において、どのような意味を持っているかを見極めることです。
例えば、
Aさん
I have a brother.
訳)私には弟がいます。
という文章と
Aさん
He is five years old.
訳)彼は5歳です。
という文章をつなぎ合わせたい場合には、Heという単語をwhoに置き換えて
Aさん
I have a brother who is five years old.
訳)私には5歳の弟がいます。
という一つの文章にします。
この場合、関係代名詞whoの後に続く文章との関係において、先行するbrotherという単語は、主語と同じ意味を持っています。つまり、上記の文章において関係代名詞whoは、文章をつなぐ接続詞としての役割と、後続する文章の主格としての役割を同時に果たしていることになり、
Aさん
I have a brother, and he is five years old.
訳)私には弟がいます。そして彼は5歳です。
という文章と同じ意味を持つことになります。このような接続詞と代名詞を一つにまとめた機能を持っていることが関係代名詞の大きな特徴で、単語の内容を一つの文章の中でより詳しく説明できることから、書き文字のほかに話し言葉でも広く使用されています。
上記の文章ではheが人間を表す代名詞であるために、whoが関係代名詞として使用されていますが、後続する文章の主語が人間以外の物の場合には、whoのかわりにwhichが使用されます。例えば
Aさん
I have a doll.
訳)私は一体の人形を持っている。
という文章と
Aさん
The doll was made in France.
訳)その人形はフランスで作られた。
という文章を一つにつなぎ合わせたい場合には、後続する文章の主語が、人形という物を表す単語であることから、使用される関係代名詞もwhoのかわりにwhichになります。
Aさん
I have a doll which was made in France.
訳)私はフランスで作られた一体の人形を持っている。
がこの場合の、正しい関係代名詞の使用方法です。
目的格や所有格として関係代名詞を使用する方法
関係代名詞が使われている文章を読む場合に注意しなければいけないのは、文章の中でどのように使われているのか、正しく判断することです。関係代名詞の中でもwhoやwhich、thatは、後続する文章の主語としても目的語としても、使用できるという特徴があります。
例えば、
Aさん
He is the boy who I met yesterday.
訳)彼は私が昨日出会った少年です
という文章の中では、直後のIの目的語として、whoが使用されています。この場合に関係代名詞whoは、
Aさん
He is the boy.
という文章と、
Aさん
I met him yesterday.
という文章をつなげる役割を果たしているという点では共通していますが、後続の文章の主語であるIではなくて、目的語のhimを表す関係代名詞として使われているのが、英文法上の大きな違いです。
後続の文章の目的語が人間以外の物の場合には、whoのかわりにwhichが使われますが、whoを目的格の代名詞として使用する場合には、whoのかわりにwhomという関係代名詞を使用することも可能です。whomはwhoと同じように、人を表す代名詞のかわりに使用できる関係代名詞ですが、後続する文章の中で、代名詞が目的語として使用されている場合にのみ使用できるという制限があります。それに対してwhoは、後続する文章の中で代名詞が主語として使われていても、目的語として使われていても、使用できるという違いがあります。
whoやwhichとともに関係代名詞の中でもよく使われているのがwhoseですが、whoseは所有格の代名詞のかわりに使用できる関係代名詞です。例えば
Aさん
He is my friend.
訳)彼は私の友達です。
と
Aさん
Her sister is a teacher.
訳)彼の妹は教師です。
という文章を1つにつなぎ合わせたい場合に、
Aさん
He is my friend whose sister is a teacher.
訳)彼は教師の妹がいる私の友達です。
という形で使用できます。Whoやwhichと大きく異なる点は、whoseはそれ単独では文章をつなぎ合わせることができないことで、必ずwhoseの後に何らかの名詞を置く必要があります。そのために後続する名詞との関係においては、whoseは主格の一部になることも目的格の一部になることもあり、上記の文章の場合には、「whose sister」が後続する文章の主語になっています。
関係代名詞と関係副詞の違い
関係代名詞をうまく使用することで、文章の内容をわかりやすく伝えることができますが、英語の学習者が注意しなければいけないのは、関係副詞との違いです。関係代名詞と関係副詞は使い方が似ているので、同じものと勘違いされる場合も多いですが、厳密に言えば違う種類の言葉になります。新聞記者が記事を書くときに使用している決まりごととして5W1Hという言葉がありますが、このうち5つのWは、who、when、where、what、why、の5つの言葉から成り立っています。この中で関係代名詞に該当するのはwhoだけで、そのほかの言葉は厳密に言えば関係副詞に該当します。関係副詞と関係代名詞の大きな違いは、文章の中でその言葉がどのような役割を果たしているのかということと、大きく関係しています。関係代名詞の場合、先行する言葉が後続する文章の主語や目的語に該当する場合に限り、使用することができます。
例えば
Aさん
He is the boy who I loved.
訳)彼は私が愛した少年です。
という文章の場合、the boyという単語は後続するI lovedという文章の目的語に該当するために、the boyという文章のすぐあとに置いて、使用することができます。その一方で関係副詞の場合には、先行する単語が、後続する文章の副詞として使用されている点に違いがあります。例えば
Aさん
Japan is the country where I was born.
訳)日本は私が生まれた国です。
という文章において、関係副詞whereの前に置かれているthe countryという名詞は、後続するI was bornという文章との関係において、副詞の役割を果たしています。
これは I was bornという言葉の直後にthe countryという言葉を置けないことが理由になっていて、
Aさん
I was born in the country
と言う必要があります。この「in the country」が「その国で」という副詞の意味を持つことから、
Aさん
Japan is the country.
と
Aさん
I was born in Japan.
という二つの文章をつなぎ合わせたい場合には、関係代名詞は使用することができず、関係副詞のwhereがかわりに使用されます。ただし、上記の文章においては、関係副詞whereのかわりに、関係代名詞whichを使用することも可能で、この場合には
Aさん
Japan is the country in which I was born.
という形で使用されます。このような形で使用される場合には、which単独で見れば、関係代名詞に前置詞のinがついたものとみなすことができますが、in whichをまとめて関係副詞としてとらえる考え方もあります。
英語力の向上に役立つ関係代名詞
関係代名詞は英語の能力を向上させるためには、ぜひともマスターしておきたい文法です。関係代名詞は大きく分けて3種類の使用法があり、代名詞が主格の場合にはwhoかwhichを使用します。代名詞が目的格の場合にもwhoかwhichを使用しますが、代名詞が人間を表す場合にはwhoのかわりにwhomを使うことも可能です。Whoseは所有格として使用できる関係代名詞です。関係代名詞と似たような機能を持つ文法に関係副詞がありますが、混同しないように注意が必要です。