ビジネスシーンでは「企業」を英語で表現する機会が多いですよね。しかし、「企業を英語で何と言うのか」「そもそも企業と会社は何が違うのか」などと迷ってしまうことも多いのではないでしょうか。

ということで、今回のテーマは「企業」です。企業と会社の違いを踏まえつつ、英語で企業を表す表現について詳しく確認していきます。

これを読めば、ビジネスの現場で「企業」をスムーズに英語で表すことができるようになりますよ。

それでは、早速始めていきましょう!

そもそも「企業」とは何か?

そもそも「企業」とは何か?

企業を英語で何と言うかを見ていく前に、そもそも企業という日本語がどういう意味なのかを確認しておきましょう。

一般には企業と会社は同じ意味で使われていますが、厳密には少し意味合いが異なっています。

企業=利益を追求する組織

「企業」とは、利益を得ること(営利)を目的として活動する組織のことです。そのため、一般的な会社だけでなく、国や自治体などの運営する公共企業、個人で経営しているお店や自営業などの個人企業など、幅広い形態の組織を表します。

会社=会社法をもとに設立した法人組織

「会社」とは、利益を得ること(営利)を目的とし、会社法にもとづいて設立された法人組織のことです。営利目的という点では企業と同一ですが、会社法に則っているという点で、会社の方が企業より狭い意味合いの言葉だと言うことができます。

ちなみに、会社法で設立できるのは「株式会社」「合同会社」「合資会社」「合名会社」の4種類(「有限会社」の設立は2006年以降廃止されました)。これらの住み分けは日本法によるものなので、他の国ではまた違った分け方がされています。

特に「株式会社」という概念は日本にしか存在しません。そのため、株式会社を英語で表記する場合は、そのまま “Kabushiki kaisha(gaisha)”、あるいはその略称である “KK.(K.K.)” を会社名の末尾に付けるか、”Co., Ltd” など似た意味の英語表現を付けることになります。

「企業」は英語で何て言う?

「企業」は英語で何て言う?

「企業」を表す英語表現で最も一般的なのは “enterprise” です。発音記号は「énṭɚprὰɪz」、カタカナだと「エンタープライズ」となります。

enterprise はもともと「大胆な企て、冒険」などを意味する言葉でしたが、何か目的をもって作られた組織(企業)を表す言葉として定着しました。

しかし、上述したように企業は会社と似た用語であり、英語でも enterprise 以外に company や corporation など別の単語が使われることがあります。

そこで、ここからは「〇〇企業」という名称ごとに、英語での一般的な呼び方を確認していきましょう。

「私企業」「公企業」in English

企業を営利の種類によって分類すると、個人や自社の利益のために活動する「私企業」と、公共の利益のために活動する「公企業」に分けられます。個人事業主や一般的な会社は「私企業」、国や地方自治体の運営する組織などは「公企業」に当てはまります。

英語で「私企業」は “private enterprise”、「公企業」は “public enterprise” と言います。private(プライヴェート)は「私的な」、public(パブリック)は「公的な」という意味なので、直訳調で理解しやすいのではないでしょうか。

「個人企業」「法人企業」in English

運営する際の責任の主体で企業を分類すると、個人が責任を負う「個人企業」と、法人が負う「法人企業」とに分けられます。

「法人」とは、組織を律的にと見なして権利や義務を付与することです。そのため、企業に万一のことがあった際、法人企業のメンバーは投資額以上の責任を負う必要がない(有限責任)一方、個人企業の場合は負債なども含めて全面的に責任を負う(無限責任)という違いがあります。

英語では、「個人企業」のことを “sole proprietorship” と言います。専門用語なので難しいですが、読み方は「ソール プロプライアターシップ」となります。企業としてでなく、個人を指して「個人事業主」と言う場合は -ship を外して “sole proprietor(ソール プロプライアター)” と言います。proprietor 自体は「所有者」という意味です。

また、「法人企業」は “corporation” と言います。読み方は「コーポレーション」です。英語で「法人化する」ことを corporate と言い、corporation はその名詞版です。

ちなみに、似た表現に “incorporation(インコーポレーション)” がありますが、こちらは法人化する過程に重きを置いた表現。とはいえ、corporation と incorporation の表す意味に実質的な違いはなく、アメリカでは incorporation が、その他の国では corporation が多く採用されています。

corporation は “Corp.”、incorporation は ”Inc.” という略称でよく記載されます。

Aさん
I’m a sole proprietor.
訳)私は個人事業主です。

「大企業」in English

「大企業」は英語で “large enterprise” と言います。

large 以外に big や huge、major などが使われることもあります。

また、大規模な企業がたいてい会社であることから ”big company”、法人化もほとんどの場合されているので “major corporation” などと呼ばれることもあります。

Aさん
My brother works for a big company.
訳)私の兄は大企業に勤めています。

「中小企業」in English

日本で言う「中小企業」に相当する英語表現は “Small and Medium-sized enterprise(SME)” です。”Small and Medium-sized Business(SMB)” と呼ばれることもあります。

日本の中小企業は「中小企業基本法」による規定があるため、SME(SMB)と完全に同義というわけではありませんが、日常会話で使うぶんには同じ意味だと考えてしまって問題ありません。

Aさん
There are many SMEs in the U.S.
訳)アメリカにはたくさんの中小企業があります。

「零細企業」in English

規模が極めて小さい企業を指す「零細企業」は、英語だと “micro enterprise” と言います。micro(マイクロ)は「極小」の意味で、small よりも規模が小さい様子を表します。

しかし、実際は零細企業だけを取り沙汰することは少なく、ほとんどの場合上述のSME(SMB)に含めて語られます。

「ベンチャー企業」in English

日本では新進気鋭の会社のことを「ベンチャー企業」と呼びますが、これは和製英語です。そのため、そのまま venture enterprise などと言っても通じません。

ベンチャー企業に近いのは “startup”、または “venture-backed company” です。

startup(スタートアップ)は主に設立から3年程度の新興企業を表す名詞表現。”start-up company” と言うこともありますが、単に startup だけでも十分通じます。最近では日本でも「スタートアップ企業」という名称が広まってきています。

また、”venture-backed company” は「ベンチャーキャピタル(venture capital)に出資された会社」という意味。venture capital とは、ハイリターンを狙って新興企業への投資をメインに行う投資会社のことです。

ちなみに、venture は adventure と同語源で、もともとは「冒険」を意味する言葉。日本では少ない資金で発足する企業が「ベンチャー企業」、アメリカなどの海外では新興企業に出資する会社が「ベンチャーキャピタル」。同じ冒険でも意味合いが真逆なのが面白いですね。

まとめ

まとめ

今回は「企業」を表す英語表現について詳しく確認してきました。

企業は基本的に “enterprise” ですが、分類の仕方や組織規模によって、その呼ばれ方がさまざまに変わります。今回ご紹介したことを参考に、英語でも的確に企業を表現していきましょう。

それでは、これからも楽しい英語学習を。

Let’s enjoy!!