「英語で何て言う?」コーナー、今回は「fair」についてです。スポーツなどで「フェア・プレーの精神」という表現があるように、日本語に溶け込んでいる「fair」ですが、実は「え!そんな意味もあったの?」というオドロキの単語でもあります。一体、どういう意味をもつ言葉なのでしょうか。今回は、「fair」について詳しく解説します。
「fair」の基本的な意味について
形容詞「fair」のもっとも一般的な意味は、冒頭でも触れた「フェア・プレー」に代表される「公平な、公正な、妥当な」という意味です。反意語は「unfair(不公平な)」です。
Aさん
fair play
訳)フェアプレー、公正な態度
Aさん
fair trade
訳)フェアトレード
註)発展途上国の作物や製品を、公正な価格で購入する貿易の仕組み
Aさん
Our teacher is always fair to us.
訳)私たちの先生はいつも私たちに公平です。
Aさん
That’s not fair.
訳)そんなの不公平です(ずるいです)。
Aさん
Do you think 10,000 yen is a fair price?
訳)一万円は妥当な価格だと思いますか?
この「fair」は「公正に、フェアに」という副詞としての意味もあり、
Aさん
Let’s play fair.
訳)正々堂々と勝負しよう。
のように使われます。
「fair」と同じ意味で「just」という単語があります。「just」は副詞で「ちょうど、ちょっと、ほんの」という意味で親しまれている単語ですが、形容詞で「正しい、公平な」という意味もあります。「justice(公平、正義)」という名詞からも連想できますね。
Aさん
I want to be just to all people.
訳)私はすべての人を公平にあつかいたいです。
「fair」は「ひいきせずに公平である、適切である」というニュアンスの単語である一方、「just」は「社会的、道徳的に正しいか正しくないか」ということが強調されている単語という違いがあります。
また、「fair」には名詞の前のみに用いて「かなりの、相当の」という意味や、程度や能力が「まあまあの、まずまずの」という意味もあります。
Aさん
He spent a fair amount of money in books.
訳)彼はかなりの額のお金を書物に使いました。
Aさん
Mike’s Japanese is fair.
訳)マイクの日本語はまあまあですね。
ほかにも、肌が「色白の」、髪が「金髪の」という意味があります。「色黒の、黒髪の」というときは「dark」を使います。
Aさん
Ellen has a fair skin.
訳)エレンは色が白い
このとき、「fair」の代わりに「white」を使うことはできないので注意です。
Aさん
The girl has fair hair.
訳)その少女は金髪です。
最後に、「fair」 には天気が「晴れた」という意味があります。
Aさん
The weather was fair that day.
訳)その日は良い天気でした。
次に、この「晴れた」という意味について、詳しく解説します。
「fine」・「clear」・「fair」の違いについて
「晴れた」と聞くと、「fine」を思い浮かべる方が多いと思います。その通りで、「fine」は「晴れた」を表す最も一般的な単語です。
Aさん
The weather was fine today.
訳)今日は天気が良かったです。
「clear」は「晴れ渡った、空の澄んだ」状態を表し、雲や霧がなくて遠くのものがはっきり見えるような状態のときに使います。対して、「fair」は雲があっても「雨のない、穏やかな」状態をさします。「fair」は、天気予報などでよく使われます。
Aさん
It’ll be fair tomorrow.
訳)明日は晴れるでしょう。
Bさん
I hope so./I hope not.
訳)そうだといいな。/そうでなければいいな。
Aさん
Fair, later occasionally cloudy.
訳)晴れのち時々曇り
Aさん
Aug.7, Fri, Fair.
訳)(日記などで)8月7日、金曜、晴れ
「fair」にはさまざま意味があることがわかりましたが、ここで質問です。「fair enough」という日常会話の表現を聞いたことがあるでしょうか。「十分に公平…?」と思ってしまいますが、いまいち意味がピンとこないですよね。この表現は口語でよく使われるので、ご紹介します。
「fair enough」の意味について
「fair enough」は、「結構です、まったくその通りです」という意味で、アメリカよりもイギリスでよく使われるようです。例えば、友だちと何かについて決めようとしている場面で、意見を言い合ってもなかなか決まらないとしましょう。
そこで、Aさんが
Aさん
Let’s toss a coin to decide.
訳)コインで決めましょう。
と言ったら、Bさんが
Bさん
Fair enough.
訳)いいですよ。
という感じで使います。
Bさんは「OK.」と言ってもいいのですが、「Fair eough」には本心は納得していないけれど、最終的に「まあいいか」というニュアンスがあります。「最終的には納得している」という感じです。
話を終えたい時も、「Fair enough」は使えます。
Aさん
I’ll support his plan.
訳)私は彼の計画を支持します。
Bさん
Fair enough.
訳)わかりました。
Bさんは、「his plan」を支持したくないけど、Aさんの考えについては「わかった」としています。これ以上話を続けるつもりはないので、「Fair enough」です。
このように、日常会話で「fair enough」というと、かなり小慣れた印象ですね。ぜひ、使ってみてください。
「fair」のいろいろな意味をご紹介しましたが、もう一つとても馴染み深い「博覧会」という意味でよく使われる「fair」があります。
名詞としても使える「fair」
カタカナ語でもよく「○○フェア」などで使われる「fair」は、名詞です。
Aさん
The fair is held from the end of April to the beginning of May.
訳)フェアは4月の終わりから5月の初めに開催されます。
「博覧会、見本市」という意味で、アメリカでは「品評会、展示即売会、バザー」という意味でも使われています。アメリカでは「ステートフェア(a state fair)」という州単位の品評会があり、だいたい夏の終わりから秋の始めに開かれます。競技会やサーカス、見世物、カーニバルなどもある大きなイベントです。
19世紀に、農業を促進する目的で、農産物の展示会や家畜の品評会が始まったとされています。以後、工業やサービス業が進むにつれて、製品の展示や自動車レース、音楽ライブなど、いろいろな催しが開催されるようになりました。ちなみに、アメリカ最大の品評会は、毎年10月頃にテキサス州ダラスで行われる「State Fair of Texas」で、「ビッグ・テックス(BIG TEX)という巨大な人形がシンボルになっています。
一方、イギリスでも「fair」は、「農産物の定期市、縁日」のようなお祭り的イベントを表し、見世物や余興の「巡回興行、移動遊園地」という意味でもよく使われます。イギリスをはじめ、ヨーロッパでは大型トレーラーで移動式の遊園地が、広い公園などを利用して開催されることが多く、こういった遊園地は「fun fair」と呼ばれ、開催される場所は「fair ground」と呼ばれています。
このように、同じ「fair」というつづりでも意味がまったく違う場合があるので、品詞や文脈からくみ取ってくださいね。
まとめ
いろいろな意味を持っている「fair」ですが、「faeger(美しい)」という古い英語が語源とされています。「公平、公正」という意味に派生していますが、根本にはこの「美しい」という意味があるのだと思うと、「fair play」という言葉が生まれたことにも納得できますね。ちなみに、「博覧会」の「fair」の語源はラテン語の「休日」とされています。今回は、この「fair」という言葉の精神性と、「fair enough」を覚えておいて頂けたらと思います。
それでは次回をお楽しみに!
参照:アンカー 大人のための英語学習辞典 2016年12年20日初版第1刷発行 (株式会社学研プラス)