「腕には自信がある」と言われた場合、皆さんは何を思い浮かべますか? おそらくほとんどの方が、何かしらの技術に自信がある様子を想像するでしょう。中には、腕そのものの造形美に自信がある、そう捉えた人もいるかもしれません。
このように、日本語では「腕=技術」の連想が働きますが、果たして英語の場合はどうなのでしょうか? ということで、今回は「腕」を英語で何と言うか、日本語とのイメージの違いも含めて、詳しく解説していきます。
これを読めば、日本語と英語での「腕」の認識の違いが理解でき、英語表現の幅が広がりますよ。
それでは、早速始めていきましょう!
「腕」は英語で何て言う?
「腕」は英語で “arm(アーム)” と言います。
右腕なら “right arm”、左腕なら “left arm”、そして両腕を指す場合は “arms” と複数形になります。
arm の語源には諸説ありますが、一説によるともともとは「肩」を表す単語だったのが、意味が広がり、主に腕を表すようになったとされています。おそらく、後から「肩」を意味する “shoulder” が別の言語圏から入ってきて、意味がバッティングしたために、仕方なく arm が腕を表すようになったのでしょう。
The curry exploded and I got burned on my arm.
訳)カレーが爆発して腕に火傷しちゃった。
arm の意味は腕以外にもある?
arm には、「腕」以外に「武器」の意味もあります。武器の意味の場合は通例 arms と複数形になります。
これは、ラテン語時代にまったく違う言葉だった armus(肩)と armare(武装)があり、それぞれの綴りが似ていることから、後年同じ単語になったと推察されます。
しかし、ハンマーやナイフ、銃などの武器が、基本的に腕に持って使うものであることを考えると、どこかで「腕≒武器」とイメージが共通していたとも考えられます。
腕は使い方次第で武器にもなるので、使いどころには注意が必要ですね。
The Thousand-Armed Avalokiteshvara has many arms.
訳)千手観音には、たくさんの腕があるんだ。
Oh, that means he is armed, right?
訳)え、武装してる観音様ってこと?
No, no, it means he has many arms growing out of him.
訳)違う違う、腕がたくさん生えてるってことだよ。
Guns and stuff just sprouting out of the body!? Japanese religion is amazing!
訳)身体から拳銃とか生えてくるの!?日本の宗教ってすごいね!
腕の部位を英語で何て言う?
肩から手首までの範囲のうち、腕をさらに細分化すると、以下のように言い分けられます。
- 肩:shoulder(ショルダー)
- 上腕:upper arm(アッパーアーム)
- 肘:elbow(エルボー)
- 前腕:forearm(フォアアーム)
- 手首:wrist(リスト)
上腕の upper は「上」を、前腕の fore は「前」をそれぞれ表しているので、基本的には日本語と同じようなイメージだといえます。
しかし、手首を “hand neck” と言うことはないので、wrist という正しい表現を覚えておきましょう。ちなみに、足首の場合は “ankle(アンクル)” と言います。
Can you rotate your arms behind your back and touch both elbows together?
訳)腕を背中にまわして、両肘をくっつけられる?
Impossible!
訳)無理!
「腕がいい」「暖簾に腕押し」など、腕に関する表現を英語で言ってみよう!
ここからは、「腕がいい」や「腕立て伏せ」、「暖簾に腕押し」など、腕に関する表現を英語で何と言うのか確認していきます。
arm を使わずに表現するものも多く含まれているので、何と言えばよいか、ぜひ考えながら読み進めてみてください。
「腕を伸ばす」は英語で何?
「腕を伸ばす」ことは、英語で “extend one’s arm” と言います。one’s の部分には my や your など誰の腕かが入り、両腕なら arms になります。
また、運動などで伸ばす場合は “stretch one’s arm”、左右に広げるように腕を伸ばす場合は “open one’s arm” とも言います。
Let’s stretch our arms wide and take a deep breath.
訳)腕を大きく伸ばして、深呼吸をしましょう。
ちなみに、何か物を取るために腕を伸ばす場合は “make a long arm” とも表現できます。直訳すると「長い腕を作る」ですが、もちろん比喩的な言い方です。日本語の「足を延ばす」に近い感覚ですね。
If we make a long arm, do you think we can reach the stars floating in the sky?
訳)腕を伸ばせば、空に浮かぶ星が掴めるかな。
Unless you’re Elastic Man, that’s impossible.
訳)ゴム人間でもなけりゃ無理だよ。
「腕を曲げる」は英語で何?
「腕を曲げる」は英語で “bend one’s arm” と言います。
bend は「曲げる」という意味の動詞で、腕以外の対象にも使えます。
I can’t bend my arm properly right now because it’s fractured.
訳)今骨折しているので、腕を上手く曲げられません。
「腕がいい」は英語で何?
英語で「腕がいい」と表現する際は “skilled” が適切です。skill はもともと「技術」の意味ですが、skilled と過去分詞にすることで「技術が身に付いた⇒腕がいい」という意味になります。
また、具体的に何の腕がいいのか表現したい場合は ”be good at ~ing” を使うと良いでしょう。~ing の部分には料理(cooking)など、腕の良さが発揮される行為が入ります。
My husband is a skilled cook.
訳)うちの旦那は腕のいい料理人なんだ。
Oh, really? Specifically?
訳)へえ、具体的には?
He’s really good at making omurice!
訳)オムライスが絶品!
ちなみに、日本語では何かの技術が高いことを「腕がいい」と言いますが、英語では arm を使った同様の表現が存在しません。「腕=技術」の感覚は日本だけなのかもしれませんね。
「腕を上げる」は英語で何?
技術を高める意味での「腕を上げる」は、英語だと “improve one’s skills” や “develop one’s skills”と言います。improve は「向上させる」、develop は「発展させる」という意味で、ほぼ同じニュアンスで使えます。
If you want to improve your singing skills, it’s effective to go to karaoke every day.
訳)歌の腕を上げたければ、毎日カラオケに行くのが効果的です。
また、単に動作として「腕を上げる」と言うなら “raise one’s arm” となります。
前述の通り、英語に「腕=技術」の連想はないので、技術を高める意味では使わないようにしましょう。
Hey, you raised your hand. That’s good.
訳)やあ、腕を上げたね。いいね。
Huh? No, not really…
訳)え?いや、別に上げてないですけど…。
「腕立て伏せ」は英語で何?
筋トレなどで行う「腕立て伏せ」は英語で “push-ups” と言います。「腕立て伏せをする」と動詞で表現する場合は “do push-ups” でOKです。
地面を腕で押して(push)、身体を上に上げる(up)ということですね。1回の腕立て伏せなら push-up ですが、たいていは複数回が想定されるので push-ups と複数形になります。
Because my wrists hurt when doing push-ups, I bought a special device.
訳)腕立て伏せをすると手首が痛くなるので、専用器具を買いました。
「暖簾に腕押し」は英語で何?
「暖簾に腕押し」とは、手応えのない様子、張り合いのない様子を表す慣用表現ですが、同等の感覚を英語で説明するなら “It’s a waste of time” が適切でしょう。直訳すると「それは時間の浪費だ」となります。
また、「暖簾に腕押し」に近いニュアンスで使われる英語のことわざに “It is like beating the air.” もあります。これは直訳すると「それは空気を叩くようなものだ」となり、意味のないことを指して使われます。もとのイメージも含め、暖簾に腕押しと非常に似ていますね。
No matter how much I warn him, he never reflects on it at all, so it’s really a waste of time.
訳)彼に注意しても全然反省しないから、本当に時間の無駄。
In English, we say “it is like beating the air” for that kind of thing.
訳)そういうのを英語では「空気を叩くようなものだ」って言うよ。
まとめ
今回は「腕」を英語で何と言うかについて、詳しく確認してきました。
「腕」は英語で arm ですが、arm にはその他に「武器」の意味もあります。
また、日本語には「腕=技術」のイメージがありますが、英語ではスポーツなど以外では腕に技術のイメージはありません。そのため、「腕がいい」などの表現をする際は、arm を使っても伝わらない可能性が高いので注意しましょう。
それでは、これからも楽しい英語学習を。
Let’s enjoy!!