「テンション高いね!」「今日はテンション低め」など日常会話でよく口にする「テンション」という言葉。日本語としても馴染みのある「テンション」ですが、英語では何と言うか知っていますか?「テンション」をそのまま ”tension” と訳してしまうと全く違う意味になってしまいます。

今回は、日本人が間違いがちな「テンション」をクローズアップ。”tension” 本来の意味をはじめ、「テンション」の正しい英語表現や便利なフレーズを紹介します。

日本語の「テンション」と英語の ”tension” は同じ?

嬉しいことや楽しいことがあると、気分が上がって「ハイテンション」になりますよね。
しかし、この「ハイテンション」は完全な和製英語で、英会話では全く通じません。
日本語の「テンション」と英語の ”tension” は意味が違うため、「ハイテンション」をそのまま ”high tension” と訳してしまうのは間違いなのです。

日本語の「テンション」と英語の”tension”それぞれの正しい意味と使い方を解説します。

”tension”の意味

日本語の「テンション」は、そのときの気持ちや感情を表現する言葉として使われます。
しかし、英語の ”tension” は、「緊張・張力・電圧」という意味があり、国際関係のニュースや政治問題で使われることが一般的です。

tension  緊張、伸張、(精神的な)緊張、(情勢・関係などの)緊張、張力、電圧

よくある間違いを例文で紹介します。

NG例
When my team won the soccer game I was high tension!
訳)私のチームがサッカーの試合に勝ってハイテンションだったの!

英語のネイティブスピーカーにとって、 ”High tension” は「緊張」や「不安」などネガティブな意味を表します。

そのため、嬉しそうな表情で ”high tension!” と言うと、相手は「試合に勝ったのに、なぜ精神的に不安を抱えてしまったの?」と疑問に思ってしまうでしょう。英語で「ハイテンション」を伝えるときには注意が必要です。

和製英語「テンション」の由来

そもそも、なぜ「テンション」のような和製英語が使われるようになったのでしょうか。
由来は、ギターの「テンション・コード」から来ているといわれています。

テンション・コードとは、四和音を土台としたテンション・ノートと呼ばれる音が付いたコードのこと。不協和音を協和音に変えて心地よい音にしたり、短調な音を反復させることで曲の雰囲気を盛り上げたりするギターの技法です。

ギターのテンション・コードを上げると、それに合わせて観客の雰囲気も盛り上がります。
「会場を盛り上げる」=「テンション・コードを上げる」=「テンションを上げる」と変化した結果、現在の「ハイテンション」につながったのでしょう。

”tension”の正しい使い方

「緊張」を表す ”tension” の正しい使い方を例文で確認しましょう。

Aさん
There is a lot of tension between Russia and America.
訳)ロシアとアメリカで緊張が高まっています。
Aさん
The teacher was upset, the air was charged with tension.
訳)先生が怒ったとき、教室の空気が張りつめた。

「テンションが高い」は英語で?

「テンションが高い」は英語で?

日本語の「テンションが高い」を表す英語にはどのようなものがあるのでしょうか。
よく使う代表的な英語を紹介します。

excited

”excited” は、「興奮している」、「ワクワクしている」という意味を表す英語です。何か良いことがあって、楽しくて待ちきれない、嬉しくて落ち着かない状態のときによく使われます。「ハイテンション」を表す最もスタンダードでわかりやすい単語です。

Aさん
Lisa looks super excited about her trip to Hawaii!
訳)リサはハワイ旅行を前にテンション高いみたい!
Aさん
Why is Alex more excited than usual? What’s the occasion?
訳)アレックスはいつもよりテンション高いけど何かあったの?

hyper

”excited” と並んで日本語の「ハイテンション」にぴったりな英語が “hyper” です。”hyper” は、”hyperactive” の略で、とっても元気でよく喋ったり、動いたりしている状態を表します。
ただし、皮肉の意味もあるため使うときは注意が必要です。

Aさん
Hannah seems so hyper today. What’s going on?
訳)ハンナは今日すごくハイテンションだね。どうしたんだろう?
Aさん
Ken’s always hyper. It’s annoying.
訳)ケンはいつもハイテンションでうっとうしいな。

full of energy / energetic

”full of energy” は、「エネルギーに満ち溢れた」、”energetic” は、「活動的な」「精力的な」を意味する英語です。「超元気!」や「やる気満々!」といったニュアンスを伝えるときによく使われます。

Aさん
My kids are always full of energy. I can’t keep up with them.
訳)子どもたちはいつもテンションが高くてついていけないわ。
Aさん
Emma’s so energetic today.
訳)エマは今日ハイテンションだね。

pumped up / pumped

”pumped” は、「興奮している」を意味する英語です。空気がパンパンに入っている状態を表し、「(元気を注入されたように)テンションが高い」という意味になります。

10代〜20代の若者によく使われ、インターネット上でも見かけるスラングのひとつです。とてもカジュアルな口語表現のため、ビジネスシーンでは使わないようにしましょう。

Aさん
Paul was so pumped up to see the game!
訳)ポールがその試合を観てめっちゃテンションが上がってたよ!
Aさん
This event is extremely crazy! I’m really pumped!
訳)このイベントはかなりイケてる!超テンション上がるわ!

「テンションが低い」は英語で?

「テンションが低い」は英語で?

「ハイテンション」に対して、日本語の「テンションが低い」を表す英語はどのようなものがあるのでしょうか。
よく使う代表的な英語を紹介します。

low key

日本語の「テンションが低い」を表す英語として最適なのが、”low key” です。”low key” は、騒がず落ち着いている様子や、なんとなく盛り上がっていない様子を表します。

若者がよく使うスラングでとてもカジュアルな表現です。ビジネスシーンにはおすすめできませんので注意してください。

Aさん
The wedding party was rather low key, but it was quite cozy.
訳)ウエディングパーティーは、テンションは低めだったけど居心地よかったよ。
Aさん
Mari’s speech was too low key. So I guess it didn’t touch people’s hearts.
訳)マリのスピーチはかなり控えめで、心に響かなかったんじゃないかな。

feel / look /seem down

なんとなく「元気がない」「やる気が出ない」といったときには、”down” を使った英語で表現するのがよいでしょう。
”feel down”で、「テンションが低い(上がらない)」を意味します。

Aさん
Sorry, I’m feeling a little down today.
訳)ごめん、今日はちょっとテンション低い感じなんだ。

”look down” や ”seem down” で、「テンションが低く見える」「元気がなさそう」と訳せます。相手の状況や表情などから推測して声をかけるときにも使える便利な表現です。

Aさん
You look [seem] a bit down today. Are you ok?
訳)なんかちょっとテンション低いね、大丈夫?

be depressed

“depressed” は、”down” よりもさらに落ち込んでいたり、本当に鬱々とした気持ちだったりするときに使う英語です。

ちなみに、病気の鬱の場合は、名詞 ”depression” を使って “I have depression.” と言います。

Aさん
That bad news really depressed me.
訳)悪い知らせを聞いてかなりテンションが下がったの。

be in low spirits

”be in low spirits” の直訳は「低い気持ち・精神」です。そこから転じて、「意気消沈」や「テンションが低い」を意味する英語として使われています。

Aさん
Bob was in low spirits after he lost his phone.
訳)ボブは携帯電話をなくしてテンションが低かった。

「テンション」を表現する便利なフレーズ

「テンション」を表現する便利なフレーズ

「ハイテンション」や「テンションが上がる」など、日本語の「テンション」を表す英語表現は他にもいろいろあります。

喜びや興奮を伝える英語を知っておけば、英会話がワンランクアップすること間違いなし。友達や家族など、気心の知れた人との間で使える便利なスラングを紹介します。

  • Let’s get pumped up! テンション上げていこう!
  • I’m psyched! テンション上がるー!
  • I’m excited! 興奮する!
  • So much fun! 楽しすぎる!
  • Gets me going! やる気が出る!
  • It was so lit / fire! 最高だった!
  • raise/ life me up. 気分が上がる
  • midnight high 深夜のハイテンション

 

  • I’m pretty low. 落ち込んでいる。
  • I am in a funk. テンションが上がらない。
  • I’m bummed out. へこんでいる。
  • That sucks! テンション下がるわー。
  • Don’t let me down! がっかりさせないで。
  • Bummer! ちぇっ、つまらないなあ。
  • This blows. いやだなあ。

まとめ

日本人が間違いがちな「テンション」にフォーカスし、”tension”の意味をはじめ、「テンション」の正しい英語表現や便利なフレーズを紹介しました。

気持ちや感情を表す日本語の「テンション」は、英語の”tension”と全く意味が異なります。”tension” の正しい意味は、「緊張」や「電圧」です。

英語で「テンションが高い」ことを表現するときは、”excited” や ”hyper” 、”full of energy” などを使います。反対に、「テンションが低い」場合によく使われるのが、”low key” や ”feel down” です。

一言で気持ちを表現できる英語フレーズも、短くて使いやすいので合わせて覚えておくと役立ちます。

なんとなくやる気が出ない、学習が捗らないといったときには、一旦休憩しましょう。好きな音楽を聴いたり映画を観たりして気分転換をするのもよいですね。Let’s get pumped up!(テンション上げていきましょう!)