「英語で何て言う?」コーナー、今回は「breakの用法」についてです。
「break」は、力を加えて物を瞬間的にばらばらにしてしまうことで、「こわす」、「割る」、「折る」、「ちぎる」などの意味を表します。自動詞、他動詞、名詞として使われます。「break」(原形)の語形変化は、「broke」(過去形)、「broken」(過去分詞形)で、不規則動詞に分類されます。また、つづりは異なりますが、「break」は「brake」(ブレーキ)と同じ発音ですので注意しましょう。
今回は、慣用表現の多い「break」をたくさんの例文とともに解説します。
「break」の意味まとめ
まずは、「break」の基本的な意味について品詞ごとに解説します。
他動詞の「break」について
目的語を必要とする他動詞として使われる「break」には、「こわす」、「割る」、「折る」、「ちぎる」、「骨折する」という意味があります。以下の例のように、必ず「…を」に当たる目的語をともないます。
- break a branch(枝を折る)
- break an egg(卵を割る)
- break a vase [glass](花瓶 [コップ] を割る)
自動詞の「break」について
他動詞の「break」に対し、目的語を必要としない自動詞として使われる「break」には、「こわれる」、「割れる」、「折れる」、「ちぎれる」、「中断する」という意味があります。以下に例文を2つ挙げます。
- Be careful. It breaks easily.(気をつけて。それ、こわれやすいから。)
- We break for coffee at 9:00 every morning. (私たちは毎朝9時に仕事を中断してコーヒーを飲む)
名詞の「break」について
名詞として使われる「break」には、「休憩」、「中断」、「破損」などの意味があります。以下に4つ例文を挙げます。
- Let’s take a break and have some coffee.(休憩してコーヒーでも飲もうよ)
- It’s time for a lunch break.(さあ、お昼休みよ)
- We have a ten-minute break between classes.(授業の間に10分の休み時間がある)
- There was a break in our conversation.(会話が途切れた)
このように名詞の「break」は、「息抜き」や「小休憩」のニュアンスで使われるのに対し、同じ「休み」を意味する「Rest」は、病気などによって必要になる「休息」や「休養」といった長めの休みを指します。
もう一つ、名詞の「Break」を使った日常的によく使う表現を1つ紹介します。
「Give me a break.」
「Give me a break.」は、スピード違反などで警察に捕まった場面で、警察に対して「勘弁してほしい」や「大目に見て」と言いたい時に使えます。他にも、「いい加減にして」と問題を起こしている相手に対してやめてほしいと伝える時や、「冗談じゃない」と信じられないことに呆れる気持ちを表す表現ですので、覚えておくと便利です。
以上が、基本的な「break」の意味です。
次章では、これらの意味に加え、さらに別のシチュエーションで使われる「break」の使い方を紹介します。
他動詞「break」の用法
この章では、一般的によく使われる他動詞の「break」の用法を解説します。
前章で紹介した「こわす」などの意味に加え、日常生活の中でも出てくる「破る」や「くずす」という意味の使い方も紹介します。
「こわす」
まず、最もよく使われる「こわす」という意味をさらに分類して解説します。
以下の4つの例文では、「break」は、順に「こわす」、「割る」、「切れる」、「骨折する」という意味で使われています。
- 「My brother broke my toy.」(弟が私のおもちゃをこわした)
- 「Who broke the window?」(窓ガラスを割ったのはだれだ)
- 「Try to break this string.」(このひもが切れるか引っぱってみて)
- 「Jim fell from a tree and broke his arm.」(ジムは木から落ちて腕の骨を折った)
3つ目の「切れる」については、「引っ張って切る」ときは「break」、「はさみなどで切る」ときは「cut」、「(薄いものなどを)引き裂く」ときは「tear」を使いますので、覚えておきましょう。
「破る」
次に、「破る」でも、ものをこわす「破壊」以外の意味で使われる「break」を紹介します。
- 「He always breaks his promises.」(彼はいつも約束を破る)
- 「break the world record」(世界記録を破る)
- 「Tom finally broke the silence.」(トムはついに沈黙を破った)
上記のように、「break」は、約束、記録、規則などを破る場合や、沈黙や静けさなどを破るという意味でも用いられます。反対に、「約束を守る」、「記録を守る」、「沈黙を守る」という場合には、「break」の代わりに「keep」を使います。
「くずす」
さらに、お金を両替するケースでも「break」を使えます。
「Can you break this 10,000 yen bill?」(この1万円をくずしていただけますか)
「break」の代わりに「change」を用いても同じ意味になります。「change」は、硬貨や少額の紙幣そのものを指す場合もあります。また、「Keep the change.」は「お釣りはいりません」という意味で、チップとして取っておいてくださいと伝える時に使える表現です。
「Break」の慣用表現
この章では、「break」を使った定型句を紹介します。
- break down( [車・機械などが] こわれる、故障する、…をこわす)
- break in( [盗みなどの目的で] 押し入る、建物に侵入する、話に割りこむ)
- break into( [建物などに] 押し入る、侵入する、突然…しだす、こわれて…になる)
- break off(こわれて取れる、…を折って取る、もぎ取る、[…を] 急にやめる、中断する)
- break out( [戦争・火事などが] 起こる)
- break up(ばらばらになる、解散する、[関係などが] だめになる、[恋人・夫婦などが] 別れる、…をばらばらにする)
上記の中でも、特に日常生活でよく耳にする「break down」、「break into」、「break up」の3つの表現を具体例を挙げて解説します。
「break down」について
「break down」は、 「[車・機械などが] こわれる、故障する、…をこわす」の意味があります。
「Our old car broke down again.」は「うちの古い車がまた故障した」という意味ですが、「down」を省略して、「Our old car broke again.」でも同じ意味ではないかと考える人が多いですが、この表現は間違いです。車やエレベーターなどエンジンやモーターのある機械が壊れた場合には、「break down」を使います。
機械が壊れた状態を指して、「It’s broken.」(故障している)と言いますが、これは壊れた時から直るまでの間使える表現ですので、合わせて覚えておくと便利です。
「break into」について
「break into」は、「 [建物などに] 押し入る、侵入する、突然…しだす、こわれて…になる」といった意味があります。次に「break into」を使った例文を3つ挙げて解説します。
- 「A thief broke into our neighbor’s house.」(近所の家に泥棒が入った)
- 「After a pause, she broke into tears.」(しばらく間を置いて、彼女は急に泣きだした)
- 「The vase broke into pieces.」(花瓶はこわれて粉々になった)
1つ目の例文の泥棒などが押し入る場合は、「break into」の代わりに「break in」を使うこともできます。例文2つ目の「break into tears」(急に泣き出す)と3つ目の「break into pieces」(粉々になる)はよく使われる表現です。
「break up」について
「break up」は、「ばらばらになる、解散する、[関係などが] だめになる、[恋人・夫婦などが] 別れる、…をばらばらにする」という意味があります。
この「break up」は、映画やテレビドラマを見ていると、恋人や夫婦の関係性を描写する場面でよく耳にする表現です。「John and Kate broke up last month.」で「ジョンとケイトは先月別れた」という意味です。さらに、「Break it up!」は、けんかなどを止める場面で、第三者が「もうやめろ」と仲裁する時に使います。
まとめ
今回は「break」に関する英語表現をたくさんの例文とともに紹介しました。
「break」は、スポーツの世界でよく耳にする単語でもあります。ボクシングで「Break!」というと、レフリーが選手に対してクリンチをやめるように指示する言葉で、「中断」を表しています。また、テニスで「service break」というと、相手のサービスゲームを獲得する(破る)ことや、そのゲーム自体のことを指しますね。
今回も、日常会話で使える表現をたくさん紹介しましたので、ぜひ使ってみてくださいね。
では、次回をお楽しみに!
参照:アンカー 大人のための英語学習辞典 2016年12年20日初版第1刷発行(株式会社学研プラス)