何かを試しに行なってみることを「トライアル」と言い、日常生活でも無料トライアルキャンペーンなどで親しみのある言葉です。
そもそも英語が語源ですが、英語圏でトライアルは違う意味でも使われていることをご存知ですか?
今回の記事は、トライアルの意味を改めて確認し、また英語表現について例文とともに正しい使い方を分かりやすく解説します。
trialの意味
まず、日本語トライアルの意味は何なのか、英語表現はどうなるかについてみていきましょう。
トライアルの意味
私たちが普段使っているトライアルですが、ほとんどの場合で「何かを試してみること」の意味で使われています。
例えば、人気の映画やテレビ番組が見放題のストリーミングメディアをお試しで使ってみるときの「1ケ月間無料トライアル」にように使います。
このキャッチコピーを見たとき、私たちはお得だと感じます。無料で利用し、本当に自分に必要かどうか試すことができるからです。
トライアルのメリット
トライアルのメリットとは、ユーザーが実際の使い勝手やサポート体制などを確認できる点です。それをまずは無料でできればやってみることに価値があると考える人は多いでしょう。新サービス利用に関して、トライアルで確かめることでリスクがなくなるという言い方もできるでしょう。
Kimini英会話でも無料体験があります。
実際に予約方法、オンライン講師、レッスン内容など総合的に体験できる、これらはトライアルのメリットそのものです。
トライアルの英語trial
さて、トライアルの語源は英語”trial”です。
単語trialを辞書で調べると、以下であることが分かります。
動詞のtrial
・実際に試す・試用する
・臨床試験を行なう
名詞のtrial
・裁判
・試験・検査
・試練・苦難
・努力・取り組み
・選考会・予選会
形容詞のtrial
・裁判の
・予備的な・試験的な
ここまでtrialを確認すると、普段私たちが使っているカタカナ語トライアルは動詞の「実際に試す・試用する」に当たります。しかし、他にも探るや試す関連の様々な意味を持つことが分かります。裁判という意味を持つことも知らなかったという人は少なくないのではないでしょうか?
ここで、trialの意味「実際に試す・試用する」の使い方を例文で紹介しましょう。
After trialing a two- and three-day work week in the office, the company decided on a two-day work week.
訳)オフィスでの週2日勤務と週3日勤務を実際に試した結果、会社は週2日勤務を決定しました。
この企業は、オフィス出勤日とWFH(在宅勤務)のバランスを考慮するためにトライアルをし、やってみた結果から判断を下したという例文です。
トライアルとトライ
トライアルに似た表現にトライがあります。英語にするとtrialとtryです。
tryには「試す・やってみる」に加え、trial同様「裁判する・裁判にかける」という意味もあります。
この2つの言葉の違いですが、トライアルは相性や実力などが問題がないかどうかの確認、トライはうまくいくかどうか試してみることという目的の違いがあります。
トライアルの意味 – ビジネス
さて、ここからはもっと具体的にトライアルを紹介します。まずは、ビジネスにおけるトライアルの意味です。
ビジネスでのトライアル
仕事のシーンでもトライアルが使われます。正しい使い方は「試みる」や「試行」であり、例えば新しい商品を開発するために何度もトライアルを重ねてきた、という言い方になります。
そこで、trialを使った例文を紹介します。
The development department has been trialing a new product for 1 year.
訳)開発部門は新製品を1年間、試してきました。
1年間という期間で新製品を繰り返し試し、より完成度の高いものにするためトライアルを重ねてきたという例文です。
「試行」の使い方
試行とは、言葉通りに「試しにやってみること」です。試行を別の言葉にするとトライアルやテスト作業になります。試行は、同じ条件のもとで繰り返し行なう実験という意味があるためです。
試行trial run/test
ビジネスにおいてトライアルと聞いたときには「試行」であると考えることができます。
試行の英語は”trial run”や”test”で表現します。
trial run
trialを使ったtrial runには「試行・実験」や試運転、慣らし運転や試乗といった車関連の意味も含まれます。走るという意味で親しみのある動詞runには「走行する・動く」などの意味があります。
trial runにすることで、新しい製品やシステムがどのように機能するか見る予備テストという意味になります。
A trial run is an important process for the new system.
訳)試行することは新システムにとって重要な過程です。
test
testは英語学習者にとって大変馴染みのある単語ですね。試験、テストの他、検査・動作確認といった試行に似た意味を持ちます。
The company made a huge mistake by rushing to get a result without having a safety test.
訳)その企業は安全性試験を行なわずに結果を急いだことで大きな間違いを犯した。
試行錯誤trial and error
日本語にトライ&エラーという言葉があります。
思いつく方法を次々に試行していくなかでその失敗から学んでいくことです。
英語ではtrialを使い”trial and error”というフレーズが「試行錯誤」を表します。
Trial and error is a method of problem-solving.
訳)トライアル&エラーは問題解決の手段です。
タイムトライアルの意味
次のトライアル関連用語は「タイムトライアル」です。タイムトライアルとは、スポーツにおいて選手が定められたコースの走破時間を競うために行なわれる走行を言います。また、自転車競技でもタイムトライアルがあります。
time trial
タイムトライアルは英語でそのまま”time trial”です。
選手が個別にタイムを計測するためにtimeが使われています。
A time trial is a maximum effort run that is not part of a race.
訳)タイムトライアルは、レースではなく最大限の努力を要する走行である。
アスリートたちは最速の時間を得るため日々努力しますが、タイムトライアルは彼らにとって重要になります。
トライアル雇用の意味
トライアル雇用という言葉を聞いたことがありますか?
企業における雇用形態のひとつであり、原則3ケ月間の雇用契約を結びます。この間、企業側、雇用側双方が就業について見極め、判断することになります。
トライアル雇用を試してみたい人は、ハローワークで求人を探します。
試用期間と違うトライアル雇用
似た言葉に試用期間があります。しかし、この2つには明確な違いがあります。
試用期間は本採用された者に対しての期間、トライアル雇用の場合はお試し期間が終わった段階で一方または双方がハッピーでなければ契約をしなくても問題ありません。
イギリスのwork trial
筆者の住むイギリスでも、政府によるwork trialがあります。雇用主は求職者へ少なくとも全国最低賃金を支払います。イギリスの全国最低賃金は2024年4月からは1時間あたり11.44ポンド(約2,180円)になります。
トライアル雇用は”work trial”で表現できます。
A work trial is a brief period of time in which a candidate completes an assignment or role for a company before human resources offers them a permanent position.
訳)トライアル雇用とは、人事部が正社員のポジションを候補者にオファーする前に、候補者が企業での任務や役割を完了するための短い期間です。
トライアル雇用には日本もイギリスも政府が関わっているんですね。
初回トライアルの意味
フリートライアル、無料トライアル、嬉しい響きですね。トライアルには一定期間試すことができるもの、一回だけお試しの初回トライアルがあります。
初回トライアル
初回トライアルでは、無料または値引きされたお得な金額でサービスなどを初回1回体験できます。
初回トライアルは無料であれば英語で”free trial”で表現します。
I got a free trial of the new skin lotion from a shop.
訳)お店で新しい化粧水の初回無料トライアルをもらいました。
英語学習で言えばtrial lessonですが、初回だけでなく期間が設定されていることが多いですね。
裁判のトライアル
最後に、トライアルにおける「裁判」の意味や使い方について紹介しましょう。
実は、英語のページでtrialと検索すると、日本語トライアルのニュアンスよりも裁判に関する情報が出てくるほどです。
法廷での調査trial
最後に少しかたい内容になります。trialの意味を紹介したところで名詞として「裁判」、形容詞で「裁判の」の意味がありましたが覚えていますか?
trialには以下3種類があります。
- civil case 民事訴訟
- criminal case 刑事事件
- juvenile case 少年刑事事件
trial by juryであれば陪審裁判・陪審制度を表します。
A trial consists of a disagreement between two or more people or businesses.
訳)2人以上の人物または企業間の意見の相違からなる裁判。
例えば、家主と借主間の争い、離婚訴訟、少額訴訟などの裁判がこういったトライアルに含まれます。
海外でトライアルの話になったときに、何かを試してみるのではなく裁判関連の話の可能性があることを頭に置いておいてくださいね。
まとめ
何かを試しに行なってみることを日本語でトライアルと言います。
しかし、英語trialを調べてみると、それ以外に裁判、試練、臨床試験など様々な意味があることが分かります。
ぜひ、この機会にtrialを理解し、英会話に使えるようにしましょう。