「教科書英語」と聞くと、「座学ばかりで実用的じゃない!」というイメージをお持ちではないでしょうか?
教科書英語に「実用的ではない」というイメージがあるのは、本屋さんで見る英語の参考書や、英会話教材のCMなどを見ると、学校英語や教科書英語に対する苦言が見受けられるのが大きな理由です。
しかし、英語の教科書に書いてあるフレーズや文法事項の解説は、実際の英会話や、大人の英語の学び直しに大変役に立ちます。
この記事では、大人の学び直し英語や、実際の英会話に役立つ英語の教科書の使い方についてお伝えします。
定番の教科書”Here We Go”と「ニューホライズン」
中学校の英語の授業で作られる教科書として定番なのが”Here We Go”と「ニューホライズン」だと言えるでしょう。
それぞれの特徴を見ていきましょう。
Here We Go
”Here We Go”は光村図書から出版されている中学英語の教科書です。
”Here We Go”の特徴
”Here We Go”の特徴として、写真やイラストを多く取り入れていて、目で見て学びやすいことが挙げられます。
中学で学ぶ英語は基礎的なところから入るため、写真やイラストなどの目で見る学びは取っ掛かりやすく、理解を促(うなが)すことを期待できます。
また文法事項について基礎的ながら丁寧な解説がされていて、英語の基礎を学ぶ中学生には嬉しいポイントです。
”Here We Go”には英語の日常会話で多く使われるフレーズや表現を多く取り入れているので、実際の英会話で実用的だと言えるでしょう。
”Here We Go”の学習の進み方
”Here We Go”では具体的に、短時間での効果的な習得、反復学習、アクティビティに重きを置かれた学習の進め方をしていきます。
各ユニットごとや、学習の目的が小分けに明確化されているので、短時間の学習でステップ・バイ・ステップで身についていくのを期待できます。
さらに、各ユニットの終わりに復習項目が設けられているので、順序通り進めていけば反復学習による知識の定着が期待できます。
加えて、ユニットごとに英語の4技能(リスニング=読解、リーディング=聴解、ライティング=英作文、スピーキング=英会話)を伸ばすためのアクティビティがたくさん載っているので、英語の4技能をバランス良く養うことが期待できます。
ニューホライズン
「ニューホライズン」は東京書籍から出版されている中学英語の教科書です。
「ニューホライズン」の特徴
「ニューホライズン」は、英語が使われている国々の文化的な背景が多く取り入れられています。
英語圏の文化的な背景も取り入れられていることから、英語を言語としてだけでなく、実際に英語を話す時の振る舞いや言い回しも学べて、コミュニケーションとして効果的に身につくことが期待できます。
また、文化的な背景を含めて英語を学ぶことで、より英語圏での自然な言い回しや日常英会話でよく使われる実用的なフレーズに焦点を当てて学べます。
加えて、難易度が上手に調節されていて、少しずつステップバイステップで、初級から中級、中級から上級レベルのプロセスで知識と技能を身につけることが期待でき、無理なく、着実な学びを期待できます。
「ニューホライズン」の学習の進み方
「ニューホライズン」では具体的に、明確な目標設定、リスニング(聴解)とスピーキング(英会話)の充実、ペアワークやグループワークの充実に重きを置かれた学習の進め方がされます。
「ニューホライズン」の各章(ユニット)には明確な学習目標が設定されています。
目標が設定されていることで、学ぶ側は「このユニットでは、これを身につけるんだな」と、目標を意識することができ、集中して効果的に取り組むことができます。
目標が明確に設定されていると、目標をクリアすることで達成感を得ることができ、学習意欲が高まることも期待できます。
さらに「ニューホライズン」にはリスニング(聴解)やスピーキング(英会話)のアクティビティがたくさん含まれており、実用的な英会話力を養うことができます。
特に、オーディオ教材を活用することでリスニング力の向上が期待できます。
加えて、「ニューホライズン」に沿って、授業でのペアワークやグループワークをすることで、他の人とコミュニケーションを図りながら学ぶことができます。
ペアワークやグループワークによって実践的な英語力を身につけることが期待できます。
大人の学び直しではペアワークやグループワークをするのは難しいかもしれませんが、「学生のときに、こんなことを、こんな風にやっていたな」と思い返すだけでもかなり効果がありますよ。
中学校で学ぶ英語の範囲
中学校を卒業するまでに学ぶ英語の範囲は、2020年度に学習指導要領が改訂されたことで大きく変化しました。
2020年度よりも前は、英語を学校科目として学ぶのは中学1年生からでしたが、学習指導要領が改訂された今では、小学5年生からのスタートとなり、2年間前倒しでスタートすることとなったからです。
科目としての英語が2年間前倒しスタートになったことで、中学校を卒業するまでに学び終わる範囲も大きく増えました。
大きく分けて、英単語数は2倍近くに、文法事項は高校英語から「現在完了進行形」「原型不定詞」「仮定法の中でも基本的な内容」が前倒しで学ばれるようになりました。
英単語・英熟語
2020年度以降の学習指導要領では、2020年度以前に比べて、中学校を卒業する時点で取得している英単語の量が2倍近くになりました。
「指導する語数については,(中略)小学校で 600 ~ 700 語程度,中学校で 1,600 ~ 1,800 語 程度,高等学校で 1,800 ~ 2,500 語程度」を指導することとして整理している。
出典:中学校学習指導要領(平成 29 年告示)解説 外国語編 P.34
上述の中学校学習指導要領解説によれば、小学校で学ぶ600〜700語と、中学校で学ぶ1,600〜1,800語を合わせて、中学校を卒業する頃には2,200語〜2,500語を習得していることになっています。
2020年度以前の学習指導要領では、中学校で学ぶ英単語数が1,200語程度を目安としていたことから、改定前と改定後を比較すると約2倍になっていることがわかりますね。
小学校で既に600〜700語を学んでいるのに加えて、中学校で学ぶ英単語も、小学校で学んだものに関連付けることで、2020年度以前の1,200語を超える英単語を覚えられるようにしています。
「1600 ~ 1800 語程度」については,前回の改訂における「1200 語程度」と比 べると増加幅が大きく見えるが,小学校において中学年の外国語活動で扱ったり 高学年の外国語科で学んだりした語と関連付けるなどしながら,中学校で語彙を 増やしていくことを考えれば,言語活動の中で無理なく扱うことのできる程度の 語数であると考えられる。
出典:中学校学習指導要領(平成 29 年告示)解説 外国語編 P.34
以上のことから、2020年度以降の学習指導要領では、2020年度以前に比べて、中学校を卒業する時点で取得している英単語の量が2倍近くになったことがわかりますね。
英文法
2020年度の学習指導要領改訂によって、中学校を卒業するまでに学ぶ英文法の項目も増えました。
高校英語で学ぶ英文法項目が、中学英語に前倒しになったイメージです。
具体的には、「現在完了進行形」「原型不定詞」「仮定法の中でも基本的なもの」が、中学校を卒業するまでに学ぶようになりました。(中学校学習指導要領 平成 29 年告示 解説 外国語編 P.137)
特に仮定法の中でも基本的なものについては、実際の英会話でもよく使われますし、高校英語で学ぶ文法事項を理解するための要になりますから、義務教育期間で学ぶことは大きな前進だと言えますね。
まとめ
この記事では、大人の学び直し英語や、実際の英会話に役立つ英語の教科書の使い方についてお伝えしました。
ここまでお読みのあなたは、定番の教科書を使って、どんな風に英語の学び直しを効果的に行えるのかをしっかり理解しているでしょう。
この記事でお伝えした内容が、あなたの英語学習をより豊かにできれば幸いです。